特集

特集民主主義の危機──改憲・共謀罪に加担する創価・公明

“テロの温床”への視座欠くテロ等準備罪議論

広岡裕児

国際ジャーナリスト パリ在住

 イタリアのG7が終わった。記念写真を見て思った。果たして日本の首相はここにいる資格があるのだろうか? 経済だけの先進国なのではないか。トランプ大統領も疑問符が付くが、アメリカという国そのものではしっかりと民主主義が機能している。

ファヴォリティズムに該当する公算大

 加計(かけ)学園問題について内閣府の最高レベルの意向を証明する文書が確かに存在すると文科省の前川前事務次官が名乗りを上げた。これに対して、「民間人が言ったことだから」信ぴょう性がないという発言が相次いでいる。カルト問題でもよく言われるが、元関係者でもいまは外部の人だからというのは理由にならない。それに、公務員の場合、現役の人間が言ったら、守秘義務違反になってしまうから内部からは絶対に出ない。だからこそ外の人間や情報源を絶対明かさないマスコミの役割が大切だ。

 先に終わったフランス大統領選挙で最有力候補とされていた共和党のフィヨン元首相の落選の原因となった家族の架空雇用疑惑もきっかけはマスコミの報道で、捜査当局が動いたのだった。サルコジ大統領のリビア・ゲートでもそうだし、アメリカのニクソンのウオーター・ゲート事件でもそうだった。

 情報源は命を狙われる危険さえあるから、是が非でも隠さなければならない。だから、当局はマスコミで情報源が公開されていなくても捜査に入るのだ。もちろん捜査でも守秘されることはいうまでもない。

 こういうとき、たとえ大統領、政府高官であろうとマスコミに「情報源を明かせ」などとは絶対言わない。そんなことを言えば、見識が疑われ支持率が落ちるだけだ。次の選挙でも不利になる。いや、場合によっては罷免されるかもしれない。

 フランスに「ファヴォリティズム」という罪がある。

依怙(えこ)贔屓(ひいき)」ということで、正確には「不当な優遇罪」という。役人や政治家などが、公共調達や公共事業の民間委託などで、ある特定の者を優遇することを罰するものである。贈収賄とは違って、金品の受け渡しは必要ない。ただ優遇をしたという事実だけで十分である。破毀院(最高裁)の判例によって建設やサービス運営だけではなく、あらゆる公共がかかわる市場取引に関係するとされている。

 加計学園のケースは、フランスであればこの罪に該当する公算が大である。もし該当しなくても、マスコミの集中砲火を浴びることは必至で、世論も動き、次の選挙に大きく影響することは間違いない。

 森友学園は、公開入札をしなかったこと自体で不当な優遇とみなされ、さらに、価格の疑惑まであるのだから、確実にひっかかる。最終的に起訴されるかどうかは別として、トップの逮捕も十分にありうる。また、このあからさまな異常を調査しなかった会計検査院も共犯になる。実際、7年前、パリから50㎞ほど離れたC市にある国有地払い下げについて、公開入札を行わず相場よりもかなり安く売却することを許可したということで大臣秘書が逮捕されたという例がある。

 ところで、森友学園や加計学園の問題について、さかんに「忖度(そんたく)」といわれるが、おかしい。忖度とは、他人の心を推しはかることである。だが、これらの事件では、検討案件の背後に何らかの大きな影が見えており、その無言の圧力に屈したのではないだろうか。「忖度」ではなく、「影響力の行使」ではないのか。「忖度」は権力者に都合のいい言葉である。「影響力」なら主語は影の権力者だが、「忖度」だと決定を下した当事者だ。だから役人の勝手な行為として、トカゲの尻尾切りで終わらせることができるのである。

「ファヴォリティズム」は、汚職の横行に対して従来の収賄罪では不十分なので90年代に作られた罪である。同じように、日本の共謀罪も従来の法律では十分な対策ができないからといって作られた。だが、その性格は正反対である。前者は権力者を束縛規制するのに対して、後者の対象は国民である。前者では権力は制限され、後者では拡大する。

詐術的主張繰り返す公明

 公明党のサイトにあるQ&A「テロ等準備罪」法案(「公明新聞」2017年4月28日付の転載)は、次のように言う。

〈テロ等準備罪を新設する理由は、テロなどの組織的犯罪を未然に防ぐためです。(…中略…)世界各地でテロ事件が頻発する中、対策は喫緊の課題です。

 テロの未然防止には、情報交換や捜査協力など国際社会との連携が必要です。このため政府は、すでに187カ国・地域が締結している国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の早期締結をめざしています。〉

 政府も国際組織犯罪防止条約に入るために改正すると繰り返しているが、じつは、条約加盟には共謀罪は必要不可欠ではない。ほかならぬ先のQ&A「テロ等準備罪」法案がいみじくも言っている。

〈条約は、重大な犯罪(死刑・無期および長期4年以上の懲役・禁錮刑の罪)を行う「合意」、または組織的な犯罪集団の活動への「参加」の少なくとも一方を犯罪とするよう求めています。

 しかし、国内には「重大な犯罪の合意罪」に当たる罪は一部の犯罪にしか規定がなく、「参加罪」は存在しません。〉

 条約の原資料をたどってみても双方もたなくても、どちらか一方だけでいいと明記されている。共謀罪は「重大な犯罪の合意罪」にあたる。参加罪とは〈組織的な犯罪集団の目的及び一般的な犯罪活動又は特定の犯罪を行う意図を認識しながら、次の活動に積極的に参加する個人の行為 /a組織的な犯罪集団の犯罪活動 / b組織的な犯罪集団のその他の活動〉(外務省仮訳)である。共謀罪のように細かい例を出さなくても範囲は明確である。しかも「組織的な犯罪集団」とは、「金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため」重大な犯罪や本条約で定めた犯罪をおこなうことを目的として「一体として行動するもの」に制限されている(この制限は合意罪でも同じだが日本ではなぜか無視された)。

 公明党も共謀罪に慎重だったことから、これまでは廃案になっていた。もし、条約加盟が目的なら、濫用予防のしやすい参加罪にすればよい。しかも加計学園・森友学園への対応にみられるように、権力の濫用を阻止するセーフガードは全く機能していないのだからなおさらである。

 ところが、そういう努力はせず、このほどテロ防止ということで共謀罪賛成に回った。だからこそ強行採決ができた。この点についてもしかるべき説明があるべきだが、Q&Aは、先の引用の次にいきなり〈そこで、どうしても「テロ等準備罪」の新設が必要です。〉と論理が飛躍してしまう。

 じつは「テロ等準備罪」はテロには全く効果がない。

 やはり公明党のサイトで、漆原良夫党中央幹事会会長が、「テロ等準備罪」法案の意義について誇らしげに次のように述べている。

〈「テロ等準備罪」の場合、まず、犯罪の主体が「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」に限定されました。共謀罪の時は単なる「団体」でした。「組織的犯罪集団」とは存立の目的が重大犯罪を実行するための団体です。〉

 ただの「団体」であると、宗教団体も入ってしまう。その点が改良されたから公明党も賛成に回ることができたのだろう。日本では公認非公認をとわず宗教団体の存立の目的が重大犯罪の実行だなどということは想定されていない。フランスのように、信教の自由と切り離して、たとえ宗教を名乗っていても悪事を働くことについては罰するような制度にもなっていない。オウム真理教も地下鉄サリン事件を起こしたから問題になっているだけで、その前に重大犯罪を実行することを目的としているための組織だ、などと言ったら、信教の自由の侵害だと袋叩きにあった。現在でも状況はまったくかわっていない。テロリストは精神操作(マインドコントロール)を受けるが、まさに、宗教を名乗る団体がそれを行うことは明白な事実で、テロリストの温床になりうるが、まったく野放しである。そしてなにより、喫緊の課題になっているジハード主義・イスラム過激派はまさに全身全霊で宗教を主張しているのだ。

広岡裕児(ひろおか・ゆうじ)国際ジャーナリスト。1954年生まれ。大阪外国語大学フランス語科卒。パリ第3大学(ソルボンヌ・ヌーベル)留学後、フランス在住。パシフィカ総合研究所(PSK)主任研究員。著書に『プライベート・バンキング』(総合法令)『皇族』(読売新聞社)『エコノミストには絶対分からないEU危機』(文春新書)最新刊『EU騒乱』(新潮選書)など。

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信濃町探偵団

信濃町探偵団──創価学会最新動向

●東京都議選…宗教活動に名を借りた選挙闘争の欺瞞性

※創価学会が、7月2日投開票で実施の東京都議会議員選挙に向けて、組織あげての熾烈な選挙闘争を展開している。創価学会は、選挙の勝利を宗教的勝利として宗教的正当性の根拠とする特異なイデオロギーをもつだけに、宗教活動に名を借りた選挙闘争を繰り広げるのは毎度のこと。

 もっとも今回の都議選は、昨年11月の会則変更で、「創価学会仏」という創価学会そのものを「仏」と位置づける、きわめて特異かつ独善的な教義を発表した後に行われる初の大型選挙だけに、「創価学会仏」の正当性を立証するための負けられない選挙となっている。

 それは同時に、「本尊」の変更や、「創価学会仏」を導入するとともに、従来の平和主義や人権尊重の主張と齟齬する集団的自衛権の行使容認や安保関連法制、さらには共謀罪の導入に賛成ないしは是認する政治姿勢をとる原田会長を中心とする創価学会の現執行部の正当性がかかった選挙であることを意味する。

 周知のように集団的自衛権の行使容認や安保関連法制に関しては、創価大学のOB・OGらが反対署名を行い、一部会員が国会前デモに創価学会の三色旗をもって参加した事実が示すように、創価学会内部からも反対の声や疑念や不信の声があがった。また執行部の本尊・教義変更に異を唱え、批判する会員も一部存在する。

 こうした会員に対し執行部は、各種の処分で対応し、組織の引き締めに躍起となっているが、処分者である執行部の正当性を立証するためには、なにがなんでも都議選に勝つ必要がある。

 そのため執行部は、各種会合や機関紙誌で都議選必勝の檄を飛ばし、創価学会が政治活動・選挙活動を行うことの正当性や必要性、さらには公明党の実績や評価、そして重点政策などを繰り返し強調。選挙闘争に会員を駆り立てるための刷り込みを図っている。また同時に公明党をして、都議選候補23人全員の当選を勝ち取るべく、国政で自民党と連立政権を組んでいるにもかかわらず、都民に不人気の都議会自民党とは手を切らせ、都民の支持が高い小池ゆり子東京都知事にスリ寄らせ、小池都知事の人気を利用して全員当選を果たそうとしている。

 以下、そうした選挙闘争の実態を示す機関紙の記事を紹介しよう。まずは都議選の選挙闘争に挺身する意義を強調した首脳による座談会記事。

5月25日付「聖教新聞」「座談会 栄光の峰をめざして」「東京凱歌へ拡大の金字塔!強情な祈りと率先の行動を」

志賀(男子部長)『東京凱歌』――池田先生は1983年(昭和58年)の5月3日に寄せて、このように揮毫されました。東京会館(現在は東京牧口記念会館が建つ)の開館を記念したものです。

 長谷川(理事長)『凱歌』とは、戦いに勝った時に歌う喜びの歌のことです。本陣・東京の勝利は、広宣流布の新しい道を開いていくという意味だと思います。

 永石(婦人部長)この先生の思いを胸に、東京の同志は本年を『東京凱歌の年』にしようと大奮闘しています。

 伊藤(女子部長)聖教新聞で『東京凱歌の青年城』として連載していただいた通り、青年部も拡大に走っています。

 原田(会長)先生は、その様子を喜んで聞かれていました。さらに、4月26日に東京戸田記念講堂を訪問された際には、『全同志に勝利の鐘よ響け!大東京に凱歌よ轟け!』との思いで、『七つの鐘』のオブジェを強く、また強く打ち鳴らされました。(中略)

 長谷川 東京は日本の首都であり、政治、経済、文化の一大拠点です。日蓮大聖人が最晩年、『立正安国論』の講義をなされた地であり、学会発祥の場所でもあります。牧口先生、戸田先生が広宣流布の指揮を執られた東京は、学会の原点の地なのです。

 伊藤 池田先生が戸田先生と出会い、運命的な闘争を開始されたのも、東京でした。

 志賀 750年前、大聖人は政都・鎌倉で獅子奮迅の民衆救済の戦いをされました。それは、『時代と社会の焦点の地で叫びを上げてこそ、時代と社会を動かせる』との信念からの御行動であったのではないかと思います。

 原田 学会は、三代会長が、この大聖人の御精神のままに、庶民の中に飛び込み、世界広宣流布という未聞の歴史を築いてきました。池田先生は、その本陣である東京の使命と責任について、『東京は、獅子として立ち、獅子として進まねばならない。獅子は、勝たねばならない。永遠の大河の流れを築くには、その源はあくまで清らかで、獅子の咆哮のような勢いがなければならない』と指導されています。(中略)

 原田 特に、リーダーは、御本尊への絶対の確信に立った強盛な祈りが大切です。そして、組織の最前線の方々のところまで足を運び、徹して語り合うことです。何より自らが拡大の先頭に立ち、率先垂範の行動を貫くことです。『建設は死闘、破壊は一瞬』との指針を忘れることなく、『東京凱歌』の年に、拡大の金字塔を打ち立てていこうではありませんか」

同「東京凱歌へ意気高く 原田会長が出席し総区長会」

「感激の同志と共に『東京凱歌』へ勇躍の前進を期する総区長会が24日、信濃町の広宣会館で意気高く行われた。冒頭、原田会長は、全国・全世界の模範となり、誇りとなるべき総東京の深き使命を強調。断じてわが地域に広宣勝利の旗を、との強盛なる一念と行動を貫き、『未来までの・ものがたり』と語り継がれる歴史を築こうと望んだ」

※本誌前号の「信濃町探偵団」でも紹介したように、創価学会は、今回の都議選を「永遠の師匠」(会則)である「池田大作先生」の「総仕上げ」の戦いであるとして、会員の尻を叩くとともに、首都・東京での政治闘争に宗教的意義を付与するために、宗祖と仰ぐ日蓮聖人が、「立正安国論」を上程するなどの宗教活動を展開したのが、当時の首都である鎌倉であったなどと、日蓮聖人の宗教活動に結びつけて正当化。さらに5月25日付「聖教新聞」掲載の座談会記事では、遷化の地である池上(東京都大田区)で、死の床にあった日蓮聖人が最後に講義したのが「立正安国論」であったと強調することで、あたかも都議選の闘争が、「立正安国論」に叶う活動であるかのようにアピールしている。

 さらに東京は、創価学会発祥の地であるとともに、歴代会長が広宣流布の指揮を執った創価学会原点の地であると強調し、その東京が勝利することが広宣流布の勝利に結びつくと、都議選という世俗の政治活動の結果が、宗教的勝利の要因であると喧伝し、会員を宗教活動に名を借りた選挙闘争に駆り立てている。

 原田会長は発言の中で、池田大作会長(当時)が発表した長編詩「建設の譜」の「建設は死闘、破壊は一瞬」との一節を引用しているが、この引用に、教義的・政治的変更を積み重ねてきた執行部判断の正当性が、都議選の敗北で一瞬にして崩壊へと転じることの危険性を、原田氏が危惧していると読むのは穿ち過ぎか。池田氏の健康状態の悪化を受けて、「創価学会の永遠性の確立」、すなわちポスト池田体制の構築に腐心してきた原田会長だが、その強権的ともいえる手法で打ち出してきた施策が、すべて裏目となることへの不安や恐怖が思わず口をついて出たのではないか。人間の本音は思わぬところで露呈するものである。

 もっともそうであるがゆえに、原田会長らは公明党の実績を高く評価する学者等のコメントを引用してのアピールを続ける。当然のことだが、そこには石原知事と結託して進めた新銀行東京の大失敗や福祉の切り捨て、舛添知事を擁立した責任、汚染が明らかになった豊洲移転を推進したことへの言及はない。

5月15日付「聖教新聞」「座談会 栄光の峰をめざして」「“都議会公明発”の実績が全国に」

永石(婦人部長)さて、東京都議会が注目されるなか、あらためて、都議会公明党が成し遂げた『3つの挑戦』への評価が高まっていますね。

 竹岡(青年部長)議員報酬の削減、私立高校授業料の実質無償化、街のバリアフリーの推進を短期間で実現し、都議会公明党のスピーディな『政策力実現』が発揮されました。(中略)

 原田(会長)公明党は、これからも徹して『一人の声』『大衆の声』に耳を傾け、現場に根差した地方議員・国会議員の比類なきネットワークで、庶民のための政治を貫いてもらいたい」

5月17日付「創価新報」「勇気の行動で一点突破、全面展開」「若き力が民衆勝利の歴史創る」

志賀(男子部長)さて、GWが過ぎ、新聞各紙においては、この夏に実施される東京都議会議員選挙の行方を論じる報道も、熱を帯びてきました。

 竹岡 同選挙は、これまでにないほど世論の注目の的となっています。都議選は都民のために真剣に働く議員を選ぶ大切な選挙です。是非とも、公明党には、全力を尽くしてもらいたい。

 角田(創価班委員長)公明党には、現場第一主義で生活者の声を吸い上げ、政策へと実現してきた。『政治を動かす力』があります。公明党に期待する声は年々、高まっている。(中略)

 前島(牙城会委員長)東京都議選の動向が注目される中、公明党がリードした改革も高く評価されています。公明党が提案した『身を切る改革』『教育負担の軽減』『人にやさしい街づくり』の『3つの挑戦』の政策の実現力に、各界から感嘆の声があがっています。

 志賀 なかでも、相次ぐ『政治とカネ』の問題で都政への不信が高まるなか、信頼回復のため、公明党が議員自ら襟を正そうと、昨年11月、『身を切る改革』として、他党に先駆けて提唱した議会改革案は、一字一句変わることなく、全会一致で成立しました。(中略)

 竹岡 公明党には長年、都政をリードしてきた実績がある。公明党には、『大衆とともに』との原点と実現してきた実績の数々を、力強く訴えていってもらいたい」

5月22日付「聖教新聞」「座談会 栄光の峰をめざして」「東京改革へ公明が重点政策」

永石 先日、公明党東京都本部が『都民とともに「東京改革」』と掲げて、都議会議員選挙に臨む『重点政策』を発表しましたね。(公明新聞5月12日・14日付など掲載)

 竹岡 三つの柱で構成され、15分野53項目の制作が掲げられています。地域に根差す公明党のネットワークで集めた『現場の声』が反映されています。(中略)

 原田 『都政改革を、真に都民第一の方向へと形づけていける都議会公明党の役割は大きい』(淑徳大学・結城康広教授)など、公明党への期待は高い。『都民のため』の政治を貫き、『東京改革』をリードしていただきたい」

※地方自治の本旨に則り、住民自治を実現すべく実施される地方議会選挙。当然のことだが都議選も、都民が自らの意思を示すために実施される。それを宗教団体が自らの正当性をアピールするためのツールとすること、またそのために全国動員をかけて、東京都と関係のない地方在住の会員が、選挙の帰趨に影響を及ぼすような選挙活動を行うことは許されるものではない。だが、創価学会は都民の地方自治の選択に土足で踏み込む。それはまた会員の投票の自由のみならず、都民の投票の自由に容喙することにほかならない。宗教団体の選挙活動に一定の制限・制約を設ける必要があるのではないか。

●北朝鮮の脅威を煽り安保関連法制の整備を正当化

5月29日付「聖教新聞」「座談会 栄光の峰をめざして」「責任ある政治こそ」

竹岡(青年部長)近年、北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射を繰り返し、国際社会への威嚇を続けるなど、日本を取り巻く安全保障の環境は緊迫しています。日本、米国、韓国は関係諸国と連携し、北朝鮮に対して自制を促そうとしています。

 河西(総東京青年部長)現実に起きている脅威に対応し、国民の生命と財産、暮らしを守るため、整備されたのが平和安全法制です。今では『あの時、整備しておいてよかった』と、その必要性への理解が広がっています。

 竹岡 北朝鮮は、現体制以降、核実験を3回、50発に迫るミサイルを発射しています。平和安全法制の不要論を強調したいがために、日本共産党の志位委員長は『北朝鮮にリアルな危険はない』(2015年11月のテレビ番組)と発言しました。しかし、わずか2カ月後に、北朝鮮は水爆実験の実施を発表しています。

 河西 09年4月、北朝鮮がミサイルを発射した際、日本として『断じて容認できない』と強く抗議する国会決議を採択しました。しかし、無責任なことに、『「ミサイル発射」と断定すべきでない』と唯一反対したのが共産党でした。

 竹岡 政治には『リアリティ(現実感)』が必要です。今、現実に何が起き、何が求められているのかを受け止め、政治に反映することが重要です。公明党は、国民のために、未来のために、これからも『責任ある政治』を果たしてもらいたい」

※平成27年9月に、自民・公明両党らの強行採決によって成立した安保関連法制。その安保関連法制を公明党は平和安全法制と呼び、その制定・施行の正当性を強調し続けているが、創価学会もまた、東京都議選を前にした「聖教新聞」の座談会記事で、北朝鮮の脅威を引き合いに出して、「『あの時、整備しておいてよかった』と、その必要性への理解が広まっています」と、安保関連法制の制定・施行を評価。返す刀で、安保関連法制に反対した共産党を批判している。

 周知のように安保関連法制については、多くの国民が反対し、創価学会の中からも、創価大学OB・OGらが反対の署名活動を行ったように、反対の声があがった。北朝鮮の脅威を根拠に、安保関連法制の制定を評価する今回の記事は、同法の制定を推進した公明党と、これを容認した創価学会執行部の正当性をあらためてアピールする狙いがあると見られる。同時にその底流には、現在、多くの国民が反対する共謀罪(テロ等準備罪)法案を、公明党が自民党と一体となって推進していることへの予防線が敷かれている。すなわち「北朝鮮怖いでしょ、“平和安全”法制を制定しておいて正解だったじゃない、“テロ等準備罪”も同じよ」という論法である。

 都議選での当面の敵・共産党批判を展開するとともに、安保関連法制の正当性をアピール。同時に共謀罪を推進することへの不安と疑念の払拭を図り、選挙闘争に会員を駆り立てるためのレトリック記事。集団的自衛権や安保関連法制を創価学会が容認していることは、この記事からも明らかだ。

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5月号目次

月号目次

 

閻魔帳

安倍政権の深い闇──スルーされる加計学園問題/森 功

特集ファシズムの温床・洗脳教育──「教育勅語」と「人間革命」

 

「教育勅語」「新・人間革命」──自公ファシズムの本質にある洗脳用教材の使い回し/古川利明

核も部分も現代に通用せず─「森友」の日本会議的戦略/柿田睦夫

『新・人間革命』は「精神の正史」という誤魔化し/段 勲

神仏習合ならぬ「神の国」ファシズムと「仏の国」ファシズムの融合/乙骨正生

 

トピックス

桜田淳子復帰騒動でフジテレビ『バイキング』が被害者軽視の“無責任”放送/鈴木エイト

 

連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

新・現代の眼(第回)

「愛国」というファッション菅野 完

ヨーロッパ・カルト事情231

ジハード主義の精神操作(マインドコントロール)、セクト対策市民団体担当者に聞く(1)広岡裕児

執筆者紹介  編集後記

 

 

 

編集後記から

  稀代の悪法といわれた治安維持法の再来と批判される共謀罪(テロ等準備罪)の国会審議が始まりましたが、共謀罪の成立を図る自民・公明両党は、衆院法務委員会の審議冒頭で、野党の反対を押し切って政府参考人である法務省の刑事局長の出席を強行に採決するなど、異例づくめの審議が続いています。

 この共謀罪の審議と軌を一にするかのように政府は、治安維持法と並んで国家神道・昭和軍国体制の支柱となった教育勅語を、道徳教育の教材などに使うことを容認する閣議決定を行いました。

 周知のように、自公連立政権の一角を構成する公明党の組織母体である創価学会の前身・創価教育学会は、戦前、治安維持法と不敬罪違反容疑で摘発され、牧口常三郎会長は獄死しました。その牧口会長逮捕の要件のひとつは、教育勅語批判にありました。創価学会は、牧口・戸田城聖・池田大作の初代・二代・三代会長を「永遠の師匠」と規定していますが、その「永遠の師匠」を獄死させる要因となった教育勅語の教材使用につながる閣議決定に公明党閣僚は賛成。そして治安維持法の再来といわれる共謀罪については、公明党は反対どころか積極的に成立に加担しています。だが、こうした公明党の動きを創価学会は批判することなく、教育勅語の教材化と共謀罪の導入に反対しようともしません。詳しくは今号の特集記事をご参照ください。

 安倍自民党とともに共謀罪の成立に腐心する公明党は、コウモリ政党よろしく東京都議会では自民党と袂を分かって小池知事と手を組み、改革の旗手として「都民本位」の政策を実現するとアピールして、23人全員の当選を目指しています。原田会長をはじめとする幹部らは、そうした公明党を最大限礼賛。あわせて都議選の勝利は、創価学会の永遠性を確立するための法戦だと、会員の尻を叩いています。宗教的マインドを刺激して全国各地の学会員を都議選のための選挙闘争に駆り立てる創価学会。地方自治と民主政治を蔑ろにする創価学会の選挙活動を、是認することはできません。

 厳しい監視と批判、そしてなによりも創価学会・公明党に関する有権者への正確な情報提供の必要性を痛感します。異例ずくめ

 

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特集

特集ファシズムの温床・洗脳教育──「教育勅語」と「人間革命」

 

「教育勅語」「新・人間革命」──自公ファシズムの本質にある洗脳用教材の使い回し

古川利明

ジャーナリスト

 

ゾンビさながらに「戦前の亡霊」を蘇らせる

 安倍内閣は3月31日、民進党衆院議員の初鹿明博が提出していた質問主意書に対する答弁書を閣議決定した。その内容とは、戦前における日本の教育理念を示した教育勅語について、「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」と、学校教育で教育勅語を使うことにゴーサインを出したのである。官房長官の菅義偉は、それから3日後の定例会見で「道徳教育で使うことに問題はないか」との記者の質問に、「教育勅語にそうしたこと(=道徳を説いた側面)があり、そこは否定できない」と述べ、まずは、来年度から小学校において、正式な教科へと格上げされる「道徳」の授業で、教材としてジャンジャンと使うことにお墨付きを与えたのである。

 今回、こうした答弁書が出てきたのは、例の森友学園事件が炸裂したからである。元々、鑑定評価額が9億円超もあった国有地が、当初は現職の首相である「安倍晋三」の名前を校名に冠した小学校の敷地として、タダ同然で払い下げられていたことに加え、同学園が運営する塚本幼稚園では、教育勅語を園児に暗誦させた挙げ句、運動会の選手宣誓では「尖閣列島、竹島、北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願いいたします」と言わせていた「右翼教育のトンデモぶり」に、世間は度肝を抜かれたからである。

 確かに、教育勅語には、親孝行や夫婦の和、学問の修得といった徳目も説かれているが、核心は「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」の部分である。要は「戦争に突入したら、国民は命を懸けて戦い、天皇に身を捧げて、御国のために尽くせ」ということなのである。まさしく、この教育勅語によって国民を洗脳しあげたからこそ、先の大戦へと突き進むことができたがゆえに、戦後の1948年に、国会で排除と失効の決議がなされたのである。

 それゆえ、今回の措置によって、「戦前の亡霊」をゾンビさながらに蘇らせようとしているのだが、その前提となった森友学園における「右翼愛国教育」とは、果たして、今の社会から、完全に孤立して存在していたのだろうか。じつは、「教育勅語の復活」は、あの日本会議に代表される、わが国の保守・右翼勢力が前々から主張してたことなのである。事実、日本会議の公式HPには、2007年10月に設立10周年を迎えた際、日本会議国会議員懇談会のメンバーで自民党衆院議員(現・同参院議員、参院文教科学委員長)の赤池誠章が「国民の徳育目標となった教育勅語等に代表される日本の精神・価値観は脈々と受け継がれてきているのです。それを国の礎とすることではじめて国家百年の大計が生まれ、公徳心のある日本人が生まれてくると信じます」と書いた文章が、現在でも削除されることなく載っている。また、今度の騒動でも、同じく日本会議国会議員懇談会のメンバーである防衛大臣の稲田朋美は、ちゃんと国会答弁で「(教育勅語の)核の部分は取り戻すべきだ」と発言しているのである。

 

創価学会では『新・人間革命』の「教育勅語化」が

 さて、そこで、創価学会である。

 別に示し合わせたということでもないのだろうが、あまりにも酷似した動きが、ほぼ同時並行で出てきている。わかりやすく例えるなら、今なお、池田大作が書き続けているということになっている小説『新・人間革命』の「教育勅語化」なのである。

 学会内部でも、青年部を中心とする活動家を読者対象とする機関紙「創価新報」(3月1日付)に「師と共に不二の道を歩み続ける」の見出しで、池田大作の長男で主任副会長の博正がインタビューに登場し、青年部のメンバーに対し、この『新・人間革命』をこれまで以上にきちんと読み込み、頭の中に叩き込むことを説いているのである。

 ちなみに、『新・人間革命』の前段として、『人間革命』があり、折しも教育勅語問題がクローズアップされていた最中の週刊現代(4月15日号)で、元外務省主任分析官の佐藤優が「名著、再び」と題するコラムで、恥ずかしげもなく賞賛している。ここで佐藤が紹介しているように、『人間革命』の方は、あくまで第2代会長・戸田城聖の業績がメインで、その後釜たる「山本伸一」こと池田大作については、戸田が死去した後、第3代会長に就任した時点で終わっている。『新・人間革命』は、これを受けて、伸一が1960年10月に、戸田の遺訓を受け、「世界に向けた広宣流布の旅」に出るところからスタートしており、「池田大作の本仏化」を押し進めるうえでは、「第3代会長」に就いて、実権を完全に掌握してからの池田のヨイショに終始しているという点で、むしろ、こっちの方が重要なのである。それゆえ、創価新報の記事では、この『新・人間革命』について「創価の同志にとっては、『信心の教科書』であり、魂の広布史を綴った『不朽の歴史書』でもある」と持ち上げているのである。

 無論、日蓮の遺文を集めた『御書』以上に、この池田大作の『新・人間革命』を教学上の重要な教材として位置付けているのは、何も今に始まったことではない。ただ、創価新報のインタビューで博正がしゃべっているように、2010年以降、池田大作が表舞台に出て、直接、青年部のメンバーに激励や指導ができなくなってきているため、この『新・人間革命』の持つ意義が、より一層高まっているのである。それゆえ、博正自身が40年近く前の聖教新聞掲載時の『人間革命』の“切り抜き”を「青春の宝」として、今も大事に持っていることを明かしたうえで、現在連載中の『新・人間革命』についても、「毎日の“切り抜き”が大事」と訓示しているのである。

 

洗脳で深化させる「日本のファシズム」

 ある意味、明治天皇が示した「教育勅語」を反復暗誦させることも、聖教新聞に連載中の池田大作の『新・人間革命』の記事を毎日切り抜かせて、繰り返し読ませることも、目的とするとことは、同じである。つまり、それは脳味噌の深いところに、その中身を刻み込むように注入させていく「洗脳」に他ならない。そして、その最終着地点とは「自分の頭でモノを考えず、権力の命令に逆らわない、従順な人間に改造すること」に尽きる。

 それで言うと、保守・右翼勢力が目指しているものは、「天皇を中心とする神の国」であるのに対し、創価学会のそれは「池田大作を中心とする仏の国」である。そして、今、その両者ががっちりと手を組んでいることで実現している「自公体制」が構築されている以上、このふたつの流れは、既にひとつのものとして集約されていると見てさしつかえないだろう。例えるなら、保守・右翼勢力と創価学会がっちりとスクラムを組み、さながら二人三脚で一緒に富士山に登っている、とでも言おうか。しかし、これこそが、藤原弘達が『創価学会を斬る』(日新報道)で、こう喝破していた「日本におけるファシズムの形態」そのものである。

〈公明党が社会党と連立政権を組むとか、野党連合の中に入るということは、まずあり得ないと考える。その意味において、自民党と連立政権を組んだ時、ちょうどナチス・ヒットラーが出た時の形と非常によく似て、自民党という政党の中にある右翼ファシズム的要素、公明党の中における狂信的要素、この両者の間に奇妙な癒着関係ができ、保守独裁体制を安定化する機能を果たしながら、同時にこれを強力にファッショ的傾向にもっていく起爆剤的役割を働く可能性を非常に多くもっている。そうなった時には日本の議会政治、民主政治もまさにアウトになる。そうなってからでは遅い、ということを私は現在の段階において敢えていう。〉

 これからもう間もなく半世紀を迎えるが、いみじくも、この藤原の予言は完全に的中し、まさに、第1次から第2次へと続く自公体制において、「日本のファシズム」はより深化しているとも言える。それゆえ、「現代の治安維持法」に他ならない、究極の悪法である共謀罪創設法案(組織犯罪処罰法の一部改正案)が、事もなげに国会に提出され、審議入りしているのである。しかし、だからこそ、我々心あるジャーナリズムは、これまで以上に、この自公という「ファッショ政治の極み」がもたらしている惨状と腐敗を、敢然と抉り出し続けなければならない。(文中・敬称略)

 

古川利明(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『デジタル・ヘル サイバー化監視社会の闇』『日本の裏金(上、下)』『ウラ金 権力の味』『「自民党“公明派”」10年の功罪』『「自民党“公明派”」15年目の大罪』(いずれも第三書館刊)など著書多数。

 

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信濃町探偵団

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

●都議選対策=「立正安国」鼓吹&欺瞞的な公明党礼賛

4月13日付「聖教新聞」「座談会 栄光の峰をめざして」「都議会公明党 身を切る改革を実現」

永石婦人部長)東京都議会の動向が注目されるなか、公明党がリードした『身を切る改革』が、各方面から高く評価されていますね。

 竹岡(青年部長)今回の『身を切る改革』の実現は、都議会史に残る画期的なことです。相次いだ『政治とカネ』の問題等で不信が高まる中、都民の信頼回復のため、公明党はまず議員自らが襟を正し、覚悟を示そうと、昨年11月、『身を切る改革』として議会改革案を他党に先駆けて提唱しました。(中略)第一に、議員報酬が20%削減(4月から1年間)されました。さらに条例の抜本的な見直しなどを行い、報酬削減の恒久化を目指しています。

 志賀(男子部長)第二に、政務活動費が月額10万円減額(議員一人当たり)され、収支報告書や領収書などの写しをインターネット上で全面公開します。(中略)

 竹岡 そして第三に、本会議などに出席するたびに定額支給されていた『費用弁償』も廃止。そのほか、永年議員への記念品授与や肖像画作成などの『議員特権』も廃止されました。(中略)

 原田(会長)こうした評価の声を私もよく伺います。都議会公明党は、半世紀以上にわたって、『大衆とともに』の立党精神のまま、都民本位の政策を推進してきました。これからも、『都民のために』との一心で、全力で尽くし抜いてもらいたい」

4月16日付「聖教新聞」「世界広布新時代第25回本部幹部会への池田先生のメッセージ」

60年前の7月、大阪事件の弾圧の渦中に炎の東京大会を行ってくれた歴史も、私と妻の命から離れることはありません。(中略)あの日あの時、戸田先生は関西本部で私に言われました。『社会の不幸に目をつぶり、宗教の世界に閉じこもり、安穏として、ただ題目を唱えているだけだとしたら、大聖人の立正安国の御精神に反する。この世の悲惨をなくし、不幸をなくし、人権を、人間の尊厳を守り、平和な社会を築いていくなかにこそ仏法の実践がある』(中略)民衆の幸福のため、社会の安定のため、世界の平和のため、我らはいよいよ『賢者はよろこび』と戦い進むのだ。そして、信念の対話を勇敢に広げ、地涌の若き賢者を聡明に育みながら、人類に立ちはだかる、ありとあらゆる試練を断じて勝ち越えていく『立正安国の大連帯』を築き上げていこうではないか」

4月17日付「聖教新聞」「座談会 栄光の峰をめざして」「都議会公明党『教育負担軽減』を推進」

志賀 さて、本年2・3月に実施された都議会において、公明党が提案した『3つの挑戦』が全て実現しました。

 原田(聖教新聞代表理事)『身を切る改革』『教育負担の軽減』『人にやさしい街づくり』の三つですね。公明党が『3つの挑戦』を発表して、わずか数カ月。他の追随を許さない、スピードあふれる政策実現力に、各界から感嘆の声が上がっています。

 原田(会長) 中でも、『教育負担の軽減』で実現された、私立高校の授業料の実質無償化は、“『教育を受ける権利』を保障するもの(柴田悠京都大准教授)”と高く評価されています」

 

※7月2日投開票で実施の東京都議会議員選挙に向けて、公明党候補23人の全員当選をめざす創価学会が、組織上げての選挙闘争に突入している。ゴールデンウィークには、「交流」という名目で全国各地の学会員が、東京在住の友人や知人を訪問し、公明党候補への投票を依頼する事前運動を展開。それを前に創価学会は、都議会公明党をアピールするポイントを、「聖教新聞」掲載の座談会記事に掲載した。すなわち都議会公明党は、都議会進出以来半世紀以上にわたって「都民本位」の政策を推進してきた政党であり、昨今は「身を切る改革」と「教育負担の軽減」で大きな実績をあげているというのだ。

 たしかに都議会公明党は議員報酬の20%削減の旗を振ったが、記事にもあるようにそれはこの4月からわずか1年間のみの適用。都議選を睨んでのパフォーマンスであることは明白だ。なぜなら小池知事は昨年10月、知事給与を半減する条例案を都議会に提出し可決させたが、この半減措置は1年ではなく任期いっぱいの適用。これひとつ比較しても20%1年間が、およそ「身を切る改革」と大見得を切れるようなものではないことが分かる。

 それにしても座談会記事で創価学会幹部らは、公明党が半世紀以上にわたって「都民本位」の政策を実現してきたなどと強調しているが、ショボイ「身を切る改革」をアピールする一方で、壮大な無駄使いだった新銀行東京問題や五輪誘致、豊洲市場移転推進などにはいっさい頬かむり。同様に政務調査費についても、今頃になってようやく月額10万円の削減で威張っているが、公明党目黒区議団の全員辞職事件が象徴するように、全国各地で多くの公明党地方議員が政務調査費の不正受給や不正使用に関与してきたことは周知の事実。10万円削減は遅きに失したくらいでとても胸を張れるものではない。

 新銀行東京問題や築地市場の豊洲移転で公明党が旗を振った事実に頬かむりしたまま、あたかも公明党が「都民本位」の政策を実現し、小池知事とともに「改革」を実行する政党であるかのようにアピールする創価学会の姿勢は極めて欺瞞的である。

 しかも創価学会は、毎度のことだが会員を選挙闘争に駆り立てるために、選挙活動を宗教活動の一環と認識させるべく「立正安国」を振りかざしており、4月度本部幹部会への「永遠の師匠」池田大作“先生”のメッセージでは、「立正安国の大連帯」を築くことを厳命している。同本部幹部会での原田稔会長発言は、そうした創価学会の選挙闘争、なかんずく今回の都議選の位置づけ、意味付をダイレクトに示しているので以下に紹介しよう。昨年11月に創価学会組織そのものを「創価学会仏」とした創価学会は、自らの宗教的正当性を証明するために、またポスト池田を視野に入れた体制整備のために、この都議選になんとしても勝たなくてはならない。その必死さが原田発言には滲み出ている。

 

4月21日付「聖教新聞」「5・3『創価学会の日』『創価学会母の日』記念 世界広布新時代第25回本部幹部会から(要旨)」「原田稔会長 庶民が主役の時代へ堂々と」「社会の繁栄築く立正安国の行動」

「さて、6月23日告示、7月2日投票の東京都議会議員選挙につきまして、公明党東京都本部からの同党公認23人への支持依頼を受け、学会として、東京社会協議会において協議し、支持を決定しました。私たちは、よりよき社会、よりよき東京建設のために全力で支援していきたい。思えば、7月に『立正安国論』を上呈された日蓮大聖人の言論戦は、終始一貫、鎌倉を舞台とする『首都決戦』でありました。

 また7月は、池田先生が、夕張炭労による不当な学会弾圧の矢面に立って戦われ、そして事実無根の大阪事件によって入獄された月です。私どもは、師匠の不惜身命精神を今こそ受け継ぎ、東京の完全勝利から全国へと、『庶民が主役の時代』を開いていきたい」

「『師匠の総仕上げの戦いというのは、弟子の大成を見届けることなんです。つまり、弟子が、「先生!わが勝利を、ご覧ください!」と、師匠に胸を張って報告できる実証を示すことなんです。それが、師弟不二です』

 まさしく、今の私どもへのご指導と拝すべき、重要な一文であります。池田先生は『学会の永遠性を確立するのは、まさに今この時だ。これが私の総仕上げの闘争である』と、ご指導くださっています。そして『師匠の総仕上げの戦い』が『弟子の大成を見届けること』であるならば、私たちは断じて勝たねばなりません。(中略)

 私どもは日々、師匠との誓願に立ち返りながら、全てが『自分の戦い』であり、全てが『自分のための戦い』であると決めて、勇んで戦っていきたい。『5・3』から『7・3』へ、断じて池田門下の勝どきを上げようではありませんか」

 

●池田健在アピール

4月14日付「聖教新聞」「池田先生ご夫妻 桜輝く創価大学へ 滝山国際寮、万葉国際寮など視察」

「池田先生ご夫妻は13日午前、爛漫の桜が春の光に照り映える東京・八王子市の創価大学を訪問。新年度の講義が始まり、活気あふれるキャンパスを視察した。

 先生ご夫妻は、中央教育棟の前で創大の田代理事長、馬場学長、創価女子短大の石川学長とあいさつを交わし、看護学部棟へ。今春卒業した1期生の受験者が看護師国家試験『全員合格』の快挙を果たした看護学部の奮闘に、重ねてのエールを送った」

4月20日付「聖教新聞」「未来部機関紙 池田先生の新連載」「中学・高校生向けの『未来ジャーナル』と小学生向けの『少年少女きぼう新聞』の5月号から、池田大作先生による新しい連載が始まる」

4月21日付「聖教新聞」「本部幹部会から(要旨)永石貴美子婦人部長」

「お元気な池田先生・奥さまのもと迎えた、5・3『創価学会の日』『創価学会母の日』を記念する本部幹部会の開催、おめでとうございます」

 

※池田夫妻が元気であることを強調する創価学会。創価大学に足を運び、未来部向けの機関紙に新連載をはじめるという。だが創価学園や創価大学に足を運んだという聖教記事には写真の掲載はない。「立正安国の大連帯を」と檄を飛ばす総大将が「お元気」でなくては困るのだろうが、「お元気」である証明はどこにもない。

 

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4月号目次

月号目次

 

 

閻魔帳

カルト集団が支える安倍政権と森友事件/川﨑泰資

特集/政治劣化を助長する創価勢力の原罪

 

「現代の治安維持法・共謀罪」創設を後押しする「公明党=創価学会」の欺瞞/古川利明

問われる「公明党」の存在価値/段 勲

創価・公明の加速度的レゾンデートル崩壊示唆した3つの指標/乙骨正生

 

トピックス

国税通則法に国税犯則取締法を混入した危険/浦野広明

トピックス

霊感商法弁連が広島で全国集会を開催 桜田淳子のタレント活動復帰に反対の採決/鈴木エイト

トピックス

清水富美加騒動から見える幸福の科学の反社会性/藤倉善郎

 

連載

信濃町探偵団

──創価学会最新動向

新・現代の眼(第回)

メディアの機能不全菅野 完

ヨーロッパ・カルト事情230

セクトとジハード主義グループの共通点広岡裕児

執筆者紹介  編集後記

 

 

 

編集後記から

 東京の桜は、寒気の影響もあってか満開になるのが遅れたため、例年より長く楽しむことができましたが、そんな桜が満開になる直前の3月29日、東京・永田町で「日本会議」の関連団体である「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が主催する集会が開かれ、改憲に向けて気勢をあげました。

 これには自民党の下村博文幹事長代行をはじめ、自民、民進、日本維新の会などから41人の国会議員が参加しましたが、注目すべきは公明党から斎藤鉄男幹事長代行が出席し、挨拶したことです。

 日本会議系の集会で公明党議員が登壇し、挨拶したのは初めてということで、報道によれば斎藤幹事長代行は、「何より大事なのは各党合意。少なくとも野党第1党が入る形で大きな国民合意を得て、1回目の国民投票は必ず実現させる」(3月29日朝日新聞デジタル)と発言したとのこと。

 小誌に連載を執筆している菅野完氏が著書『日本会議の研究』で、その実態を明らかにしたように、日本会議は、明治憲法への回帰を主張した生長の家の谷口雅春総裁の教えを受けたウルトラ右翼の日本青年協議会を中核とし、神社本庁や仏所護念会教団などの保守的あるいは右翼的な宗教団体が蝟集する日本最大の右派団体。かつての創価学会・公明党は、靖国国家護持や靖国公式参拝を唱える日本会議的主張を批判していましたが、「戦後レジームからの脱却」を唱えて改憲に突き進む安倍首相を政権の領袖としてともに戴く関係になったいまは、批判の旗をおろして誼を通じることになったようです。

 創価教育学会を壊滅させ、牧口初代会長を獄死させた軍国主義政府の精神的バックボーンとなった国家神道を支えた勢力、そこへの回帰を模索する勢力と(よしみ)を通じるとは……。公明党が治安維持法の再来と批判される共謀罪に賛成し、創価学会がこれを是認するのもむべなるかなという感じです。

 

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特集

特集/政治劣化を助長する創価勢力の原罪

 

創価・公明の加速度的レゾンデートル崩壊示唆した3つの指標

乙骨正生

ジャーナリスト

 

森友問題・共謀罪そして核兵器禁止条約

 会則改変による本尊・教義の変更や、イラク特措法・特定秘密保護法・集団的自衛権行使容認・安保法制への賛成などなど、自公連立政権参画に伴う政治的スタンスの激変は、創価学会の宗教的・社会的レゾンデートル(存在理由)の崩壊を示唆していると、筆者は本誌で指摘してきたが、昨今、話題の国民注視の3つの問題が、その崩壊の度合いがさらに加速度的に進んでいることを示す指標となっている。

 3つの指標とは、いまや国民の一大関心事となった森友問題と共謀罪(テロ等準備罪)、そして法的拘束力をもつ国連の核兵器禁止条約決議ならびに会議への日本政府の反対と不参加表明に対する公明党そして創価学会の対応である。以下、それぞれの指標についての創価学会・公明党の対応を簡単に検証してみよう。まずは森友問題から。

 国民の財産である国有地を、教育勅語を園児に暗誦させる教育を施してきた森友学園にタダ同然で払い下げるという不透明かつ不自然な問題に端を発した森友問題は、3月23日、森友学園の籠池泰典理事長(当時)の国会証人喚問へと発展した。証人喚問に至る過程で、国会や大阪府議会では連日のように森友問題が取り上げられたが、公明党は森友問題に関する質問を行うどころか、自民党と一体になって籠池氏の参考人招致に反対。籠池氏が安倍首相夫妻からの寄付に言及するや、一転して首相への侮辱だとして、籠池氏を国会に証人喚問したが、野党が国有地の廉価での払い下げや異例続きの小学校認可問題、さらには首相夫妻や政治家の関与、行政当局の忖度(そんたく)を追及する中で、公明党は自民党と一体となって、安倍政権へのダメージを抑えるために、籠池氏の証言の信用性・信憑性に疑問を投げかける質問に終始した。

 創価学会もそうした公明党の姿勢を是認しているのだろう。証人喚問翌日の3月24日付「聖教新聞」は、「『森友』問題で籠池氏喚問 『訴追の恐れ』証言拒否 衆参予算委 公明・竹谷、富田両氏が追及」との見出しで、公明党議員の質問に特化した報道を行い、籠池証言の信憑性に疑問を投げかけている。例えば注目の安倍昭恵夫人からの寄付金100万円の有無については次のようにある。

「参院予算委で竹谷参院議員は、籠池氏が首相夫人から封筒に入った100万円の寄付を受け取ったとしたことについて、寄付金が入っていた封筒を残しているかと聞き、籠池氏は『残っていない』と答えた。竹谷参院議員は、『封筒も残していない。お礼状も出していない。私には100万円の寄付がなかったのではないかと思えてならない』と指摘した」

 本誌読者には周知のことかもしれないが、創価学会が政界に進出したのは昭和30年のこと。同年4月の統一地方選挙で東京都議会や東京特別区(23区)、横浜市議会など複数の地方議会に議席を獲得したのだが、その際、創価学会が政界進出の旗印として掲げたスローガンは、「公明選挙」「政界浄化」だった。翌317月の参院選で国会に議席を獲得した創価学会は、池田大作会長(当時)の提唱で、3611月に公明政治連盟を、3911月に公明党を結党したが、その綱領には「腐敗政治と断固戦い、公明なる議会制民主主義の確立」とあり、結党宣言でも「政界浄化」を掲げていた。

 

国有地不正追及は「公明党の独壇場」

 しかも結党50年を記念して公明党が出版した『大衆とともに――公明党50年の歩み』(公明党史編纂委員会 平成26年刊行)によれば、そもそも「公明」なる名称は、戸田城聖創価学会二代会長が、創価学会が参院に初めて議席を獲得した直後に、「学会の選挙運動は『公明選挙』だ。宴会政治のような、腐敗した政治を正すのが使命だからだ」と述べ、政治団体を作る場合には「公明」の名を冠するよう提案していたことを踏まえた池田会長の、「政治団体としての名称は『公明政治連盟』としてはどうだろうか」との提唱に基づいて名付けられたという。

 一連の事実は、「政界浄化」と「腐敗した政治を正す」ことが、宗教団体である創価学会の政界進出と、公明党という宗教政党結成の重要な動機と目的だったことを示している。

 それだけに公明党は、結党当初から「清潔の党」を自らのキャッチ・フレーズとし、国会ならびに地方議会で腐敗政治すなわち汚職や疑獄、政官業の癒着やもたれ合いの追及に力を入れた。前出の『大衆とともに――公明党50年の歩み』では、そうした公明党の“活躍”を、「『政界浄化の公明党』の真価発揮――国、地方で金権腐敗政治の一掃に総力」との見出しでアピール。「●“公明党の独壇場”参院決算委での追及」「●共和製糖事件追及。黒い霧解散の引き金に」「●都議会リコール解散主導。議長選汚職で」「●都議会公明党が『宴会政治追放』の口火切る」「●法案審議で“与野党ヤミ取引?”疑惑糾す」「●追及した不正浪費額・国の予算の12%分」などの“実績”をあげたと誇示している。

 このうち「公明党の独壇場」だったという参院決算委員会の追及とは、国有地などの払い下げをめぐる不正の追及。そこには公明党の活躍によって次のような不正や疑惑が暴かれたと書かれている。

「公明党が第3党になった参院では、特に決算委員会を舞台とした国有財産払い下げをめぐる不正追及は、“公明党の独壇場”といわれた。旧虎ノ門公園払い下げにからむ不正転売、旧陸軍経理学校跡地の不正転貸し、旧高輪御用邸跡の国有地払い下げに絡む疑惑、日本住宅公団が行った大阪・光明池の用地買収をめぐる疑惑・・・など次々糾弾し、そこに政治家や利権屋が暗躍している実態を浮き彫りにした」

 国有財産の払い下げをめぐる不正の追及で「独壇場」とまで言わしめた公明党と、今日、国有地の払い下げに端を発した森友問題で、沈黙するどころか疑惑に蓋をしようとする公明党の態度はまるで似て非なるもの。

 宗教的倫理観に基づく「政界浄化」を旗印に、政界に進出した創価学会と公明党の、宗教的・社会的レゾンデートルが崩壊していることは明らかだろう。

 

創価学会弾圧の根拠は「治安維持法」

 同様に共謀罪に公明党が賛成し、創価学会がこれを是認していることも、創価学会・公明党の宗教的・社会的レゾンデートルの崩壊を示唆している。

 創価学会の前身である創価教育学会は、戦前、治安維持法違反と神宮大麻に対する不敬罪で摘発され、牧口常三郎会長・戸田城外(後に城聖)理事長以下の幹部21人が検挙され、牧口会長は獄死、組織は壊滅した。

 こうした歴史的経緯から、創価学会ならびに池田名誉会長は、自らの平和活動や人権闘争の原点は戦前の軍国主義政府との闘争にあると強調。創価学会弾圧の根拠となった治安維持法を「稀代の悪法」と批判してきた。例えばブラジル文学アカデミーのアタイデ総裁との対談集『二十一世紀の人権を語る』において池田氏は、「日本では、一九二五年、普通選挙法が成立した時、稀代の悪法である治安維持法が同時に成立しました。青年男子の参政権が認められた一方、表現・結社の自由、ついには思想・信条の自由さえ制限されることになってしまい、その結果、国家総動員法にいたる軍国主義日本への道となったのです」と、治安維持法を「稀代の悪法」と表現した上で、「私ども創価学会が第二次世界大戦当時に軍事政府から受けた迫害は、先ほど申し上げた『治安維持法』という思想統制の悪法にもとづいたものでした」と発言している。

 国民の強い反対によって過去3度にわたって廃案となった共謀罪については、「原則として結果犯を処罰するという我が国の刑事法の基本原則や法体系に反し、人権保障機能を危うくする」(新たな共謀罪法案の国会上程に反対する東京弁護士会会長声明・2017/1/11)ことや、「結社の自由、表現の自由はもとより、思想信条の自由という内心の自由をも侵害」(同)するおそれがあることから、日本弁護士連合会会長をはじめ、東京・大阪・愛知など全国各地の弁護士会会長が、相次いで反対声明を発表。今年2月には葛野尋之一橋大学教授、高山佳奈子京都大学教授らを呼びかけ人とする刑法学者137人も反対声明を出すなど、法律専門家を含む国民各層からの強い反対の声があがっている。

 だが公明党は、安保関連法制を「平和安全法制」と言い換えて成立を図ったように、共謀罪に関しても、676あった共謀罪政府原案の犯罪対象を277に絞り込んだと喧伝。「共謀罪は、国民を弾圧するための法律などではなく、組織犯罪集団の犯行から国民の権利を守るための法律」(漆原良夫公明党法務部会長)などと主張。安倍自民党ともに、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催のために共謀罪の成立は必要と強調している。そして創価学会ならびに池田氏もまた共謀罪に反対することはなく、共謀罪の成立を急ぐ自民・公明両党を批判することもない。

 創価教育学会を壊滅させ、初代会長を獄死させる根拠となった「稀代の悪法」の再来を黙認する創価学会と公明党の姿勢は、宗教団体としての自己否定にほかならず、「内心の自由」を侵害・抑圧する可能性のある共謀罪の導入に道を開くことは、宗教団体の存立基盤である「信教の自由」や「思想・信条の自由」を放擲する自殺行為ですらある。

 

核兵器禁止条約反対に沈黙

 そして法的拘束力をもつ核兵器禁止条約交渉に関する国連決議に日本政府が反対し、いままた交渉会議に不参加を表明したことを政権与党公明党が是認し、創価学会が抗議も批判もしていない事実も、創価学会・公明党の宗教的・社会的レゾンデートルの崩壊を物語っている。

 今年1月の「SGIの日」記念提言で池田氏は核兵器禁止条約に言及、交渉会議直前の3月1日には英字紙への寄稿文で、日本が核兵器禁止条約会議でイニシアチブを取ることを提唱しているが、日本政府が核兵器禁止条約交渉決議に反対したことや、交渉会議に不参加を表明したことを批判することはない。池田氏はつねづね、生命尊厳という宗教的理念と宗教的使命感に基づいての発言とする戸田二代会長の「原水爆禁止宣言」を、創価学会ならびに自らの平和運動の原点であると強調し、声高に核兵器の廃絶を訴えてきた経緯がある。

 そうした事実に基づくならば、アメリカ従属という政治的思惑から核兵器禁止条約に反対する日本政府を厳しく批判すべきは当然であり、自らが創立した公明党に政府と厳しく対峙し、もし聞き入れないならば連立離脱をも考慮すべきが至当のはず。だが共謀罪同様、核兵器禁止条約への反対・不参加にも池田氏ならび創価学会は沈黙を守り、唯々諾々と連立を維持する道を歩んでいる。

 こうした創価学会の現状を矢野絢也元公明党委員長は、著書『黒い手帖』に「私の見る限り、学会は明らかに宗教法人の枠組みを外れ、反社会的な集団への道を辿っている。このまま、進路を修正せずに進んでいけば、行き着く先は『忘』ではないか」と書いているが、それが単なる宗教団体の「忘」だけですむなら問題はない。というのも創価学会が首相官邸と直接、政治的パイプを結んでいること、さらには公明党を通じて日本の政界全体に少なからぬ影響力をもっている事実に鑑みる時、それは宗教団体だけの「忘」にとどまらず、日本社会全体の「忘」に繋がりかねない。その意味で3つの指標は、創価学会の崩壊と同時に、日本社会全体の危機を浮き彫りにしたともいえよう。

 

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』『司法に断罪された創価学会』(かもがわ出版)など。

 

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信濃町探偵団

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

●欺瞞的な核兵器禁止条約をめぐる提言&活動

3月3日付「聖教新聞」「英字紙ジャパンタイムズに 池田先生が寄稿」「「今こそ核の脅威終わらせる条約を」

「池田先生が『今こそ核の脅威を終わらせる条約を』と題して、英字紙『ジャパンタイムズ』(1日付)に寄稿した。今月末からアメリカ・ニューヨークの国連本部で核兵器禁止条約の締結に向けた交渉が始まることを受けて、唯一の被爆国である日本が歴史的な使命と責任に基づき、交渉会議に自ら参加するとともに、核保有国や依存国へも参加を働きかけるべきと強調。またこの条約作りを“地球的な共同作業”とするためにも、市民社会の声を、民衆主導による国際法としていくべきと訴えている」

3月31日付「聖教新聞」「核兵器廃絶へ確かな前進を」「国連本部で宗教間の共同声明を発表」

「アメリカ・ニューヨークの国連本部で27日、核兵器禁止条約の制定に向けた交渉会議がスタートし、SGIの代表が市民社会の一員として参加している。28日には、条約内容の具体的な討議に先立つハイレベルセッションが行われ、SGIが参加する『核兵器を憂慮する宗教コミュニティ』が共同声明を発表した」

 

※法的拘束力のある核兵器禁止条約締結交渉を進めるための会議が、3月27日から国連で始まった。昨年10月、国連総会第1委員会が法的拘束力のある核兵器禁止条約交渉の推進を決議した祭、日本政府は米露などの核保有国とともに決議に反対。唯一の戦争被爆国の反対は、核兵器の廃絶を願う国内ばかりか世界の人々の失望と顰蹙を買った。だが、多年にわたって核兵器の廃絶を声高に主張してきた池田大作名誉会長は、日本政府すなわち安倍自公政権を批判することはなく沈黙。しかし交渉会議が始まるのを前にして、ジャパンタイムズ紙に、「唯一の被爆国である日本が歴史的な使命と責任に基づき、交渉会議に自ら参加するとともに、核保有国や依存国へも参加を働きかけるべきと強調」する一文を寄稿した。

 しかし核兵器禁止条約の交渉に日本政府は不参加を表明。あらためて核兵器の禁止・廃絶を進める世界の声に逆行。会議の場の無人の日本代表団の席には、国連NGOによって「あなたがここにいてほしい」との英文メッセージが書かれた“折り鶴”が置かれたが、交渉への参加を主張した池田氏の日本政府に対する批判的コメントはいっさいない。創価学会はいまや安倍自公政権最大の支持基盤であり、公明党は政権与党。池田氏や創価学会が行うべきは、ジャパンタイムズ紙への寄稿や「市民社会の一員」としての交渉会議への参加ではなく、日本政府に条約に賛成し、交渉会議に参加させることではないのか。核廃絶を自らを飾るアクセサリーとして利用し、核兵器条約交渉においてもアリバイ的工作と報道を続ける創価学会&池田氏。罪深き所業と言わざるを得ない。

 

●健在誇示も写真不掲載

3月4日付「聖教新聞」「池田先生ご夫妻――創価女子会館へ」「池田先生と香峯子夫人は3日午前、東京・信濃町の創価女子会館を訪れ、同会館の前で婦人部と女子部の最高幹部を激励した」

3月27日付「聖教新聞」「アメリカ広布の尊き母 来日した歴代婦人部長を池田先生ご夫妻が激励」

「池田先生と香峯子夫人は25日午前、東京・新宿区の戸田記念国際会館を訪れ、一行を激励した。池田先生は、純真な師弟の信心を貫き、後輩の育成に走り続ける母たちを賞賛。感謝と広布の決意を語る一行に『サンキュー!』『ありがとう』と応えるとともに、一人一人の健康・勝利、アメリカSGIの一層の大発展を心から念願した」

 

※小説「新・人間革命」の連載に、各種会合へのメッセージなど、旺盛な“執筆力”を誇示する池田大作氏だが、あいかわらず会員の前に姿を見せることはなく、肉声ビデオの発表もない。かてて加えて最近は「聖教新聞」への写真掲載もなくなり、わざわざアメリカから来日したというアメリカ創価学会の歴代婦人部長と面談したとの記事にも、婦人部・女子部との面談の記事にも写真はない。写真を撮ることすらままならない、あるいは写真でその姿を見せることもはばかられるほど老・病は進んでいるのだろうか。生・老・病その先にあるものは……。

 

●東京都議選に向けて繰り返される宗教的扇動

3月4日付「聖教新聞」「創価の団結と底力を示せ」「原田会長を中心に全国総県長会議」

「祈りと励ましと団結。この『法華経の兵法』で勝て!――広布全身の息吹みなぎる全国総県長会議が3日、東京新宿区の創価文化センター内の金舞会館で行われた。(中略)

 原田会長は、若き日の池田先生が陣頭指揮を執った『札幌・夏の陣』(1955年)と『大阪の戦い』(56年)に言及。その勝利の要諦として『最高の祈り』『最高の準備』を挙げ、全リーダーが異体同心の団結で、広布の名指揮をと望んだ。さらに学会の永遠性を確立する重要な『時』を迎えていることを改めて強調。全国の池田門下がわが使命と責任を果たし抜き、拡大につぐ拡大に一丸となって打って出て、創価の底力を示そうと訴えた」

3月15日付「聖教新聞」「全国で対話の春告げる座談会 原田会長は東京葛飾 永石婦人部長は足立へ」

3月19日付「聖教新聞」「東京調布 総区の日記念総会 原田会長、永石婦人部長とともに」

 

※7月の東京都議会議員選挙に向けて創価学会が力を入れている。全国総県長会議で池田氏が折伏と選挙闘争で勝利したとする「札幌・夏の陣」と「大阪の戦い」を例示して選挙勝利のための準備を指示。自らは都議選の激戦区や新人候補を擁立する東京の各組織に足を運んでいる。選挙の勝利を自らの宗教的正当性の根拠とする創価学会は、「創価の底力を示そう」と政教一体の選挙闘争を躍起になって繰り広げていることが判る。

 

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3月号

3月号目次

閻魔帳

創刊15周年に寄せて 自壊・自滅の道を歩む創価学会を定点観測したことの意味/乙骨正生

特集/共謀罪に手を貸す公明党&創価学会の自己否定

“御身大切”で共謀罪に賛成する創価・公明/溝口 敦

「究極の悪法」こと共謀罪創設法案の成立に手を貸す「公明党=創価学会」の大罪/古川利明

戦争をする国へ安倍政権の総仕上げ 対米「朝貢外交」と「共謀罪」のゴリ押し/川﨑泰資

トピックス

カルト報道の明暗 幸福の科学とワールドメイト/藤倉善郎

トピックス

統一教会(家庭連合)を放置し続けた行政機関への国賠訴訟、東京地裁は棄却の判断/鈴木エイト

連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

新・現代の眼(第回)

“森友学園”から見える大・小の問題菅野 完

ヨーロッパ・カルト事情229

テロ対策にセクト警戒機関が関与する理由広岡裕児

執筆者紹介  編集後記

編集後記から

 巻頭の「閻魔帳」でも触れましたが、少誌は、今号をもって創刊満15年を迎えました。創刊当初、連立政権に参画した創価学会・公明党は、国家権力をバックボーンに、自らに対する批判勢力・抵抗勢力に暴力的牙を剥き出しにし、熾烈な攻撃を繰り返していただけに、少誌や小誌発行人もその対象として、激しい誹謗中傷を浴びるとともに、名誉毀損に基づく民事・刑事での提訴・告訴や、創価学会関係者による携帯電話の通話記録の引き出しなどの被害にさらされました。

 しかし15年の歳月の過程で、「永遠の指導者」として組織に独裁的に君臨してきた池田大作名誉会長は、事実上の「生ける屍」となり、また矢野絢也元公明党委員長の造反や、本尊教義の変更と平和主義の放擲などの政治的主張の変遷などにより、宗教的・社会的レゾンデートルが崩壊し、いまや創価学会の組織勢力は下り坂。自壊・自滅に向けて坂道を転げ落ち始めているといっても過言ではありません。

 そうした組織実態を糊塗するために創価学会・公明党は、国政では自民党にすり寄り、軍国主義や国家主義に反対し、憲法9条の厳護を訴えていたにもかかわらず、改憲を掲げる安倍自民党に媚び諂い、牧口・戸田両会長を獄に繋いだ治安維持法の再来といわれる共謀罪にも賛成する体たらく。その一方で、東京都議会では小池都知事にすり寄り、来る都議選で現有23議席を確保すべく腐心するという無様な醜態をさらしています。

 残念ながら小誌は、創価学会という宗教的ファシズム勢力と自民党の右翼ファシズム勢力が連携し、議会制民主主義の危機を招く事態を防ぎたいという創刊の動機・目的を果たすことはできませんでしたが、創価・公明という異常な宗教政治集団が、日本社会にいかなる弊害をもたらしたかという事実を、後世に伝える定点観測者としての役割だけは果たせたものと自負しています。

 安倍自公政権が、「内心の自由」を侵害する共謀罪の成立を図ろうとするいま、小誌はもう少し「カナリヤの囀り」を続ける必要があるのかなと考えています。

 どうか今後とも、よろしくご支援ご協力のほど、お願いいたします。

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特集

特集/共謀罪に手を貸す公明党&創価学会の自己否定

“御身大切”で共謀罪に賛成する創価・公明

溝口 敦

ノンフィクション作家

危険性を承知で成立に寄与

 安倍政権は過去3度廃案になった「共謀罪」法案を「テロ等準備罪」と名を変え、310日にも閣議決定して上程、成立させようとしている。

 安倍首相は124日の衆院本会議で「これを共謀罪と呼ぶのは全く誤りであります」と強弁した。その理由として、今回のテロ等準備罪法案は対象を「組織的犯罪集団」に限っていること。また「犯罪の準備行為が行われたとき」と限定して、初めて処罰の対象となること──を挙げた。

 だが、これらは06年の共謀罪の修正案にすでに盛り込まれていたことが判明している。安倍首相のウソは簡単に露呈したし、だいたい共謀罪で逮捕されるのは「組織的犯罪集団」のメンバーに限らず、一般国民全てが法の対象にされる。安倍首相は二重三重にウソをつき、果ては「法案を整備しなければ東京オリンピックをできないと言っても過言ではない」とテキ屋の口上よろしくまくし立てた。

 だが、公明党はこの危険きわまる法案に賛成している。共謀罪の危険性は十分承知しているはずだが、安倍の寵を競う維新という競争相手が登場した以上、あえて反対を唱えて、安倍にソデにされたくはない。しかし、政党としての見てくれも顧慮せざるを得ず、苦肉の策として法案は「犯罪対象が多すぎる」と注文をつけた。政府はこれを受けて667罪を277罪に削って、5つに分類した。

 内訳は、①テロの実行に関する犯罪──組織的な殺人や現住建造物放火、ハイジャック、拳銃などの発射、サリンなどの発散、流通食品への毒物混入など110罪。

②薬物関連──覚せい剤やコカイン、大麻などの輸出入・譲渡など29罪。

③人身に関する搾取関連──人身売買や臓器売買、集団密航者の不法入国、強制労働など28罪。

④その他資金源関連──組織的詐欺など101罪。

⑤司法妨害関連──偽証や逃走援助、組織的犯罪の証拠隠滅など9罪。

 と、並べている。

 一見もっともらしい外見だが、227日、衆院予算委員会ですぐ共謀罪法案の化けの皮が剝がれた。金田勝年法務大臣が、もともとどのような性質の団体であっても、犯罪を目的とする団体に「一変」した場合には、適用対象の「組織的犯罪集団」になり得るとの見解を示したのだ。

 民進党の山尾志桜里代議士が宗教法人やNPO法人、草野球チーム、同窓会のメーリングリスト、「ライン」グループを例に挙げ、性質が一変したと見なされれば、「組織的犯罪集団」になるのかと質した。金田法相は「もとの団体の性質は関係なく、(犯罪目的の団体に)一変した場合ということでとらえる」、「一変したと判断するのは捜査機関だ」と認めた。

 また通信傍受法の対象に「ライン」やフェイスブックなどのSNS全般が含まれると答弁、たとえ絵文字であっても共謀の合意は成立し得る、手段は限定して考えないと認めた。

 テロ等準備罪は老若男女を問わず、全国民を対象とする。全国民が共謀罪に問われかねない危険性が日を追うごとに明確化している。

 よく知られたことだが、創価学会の初代・牧口常三郎、二代・戸田城聖は昭和187月、警察に逮捕され、8月牧口は巣鴨拘置所に移された。同年11月、治安維持法違反と神社に対する不敬罪で予審請求を東京地裁に出された。

 その折の検察調書は牧口の罪状に関し、次のように結論している。

「謗法の罪をまねがれんが為には、皇大神宮の大麻を始め、家庭に奉祀する一切の神符を廃棄する要ある旨強調指導し、同人等をして何れも皇大神宮の大麻を焼却するに至らしめ、以て神宮の尊厳を冒瀆し奉る所為をなしたる等、諸般の活動をなし、以て神宮の尊厳を冒瀆すべき事項を流布することを目的とする前記結社の指導者たる任務に従事したるとともに神宮に対して不敬の行為をなしたるものなり」

 牧口、戸田は戦争に反対したから、治安維持法に問われたのではない。単に伊勢神宮の神札を焼いたからにすぎない。それだけが、治安維持法第7条「国体を否定し又は神宮若は皇室の尊厳を冒瀆すべき事項を流布することを目的として結社を組織したる者又は結社の役員其の他指導者たる任務に従事したる者は無期又は4年以上の懲役に処し」、及び神社に対する不敬罪に相当する行為だったのだ。

自縄自縛となる可能性大

 現在の創価学会・公明党は政権に服従し、世の大勢に従うだろうから、現在の治安維持法である共謀罪に引っ掛けられることはないと彼らは安心しているかもしれない。しかし、山尾志桜里代議士の挙げた例に宗教法人が含まれているように、創価学会という組織やその幹部をかつてのオウム真理教に準ずる「組織的犯罪集団」、あるいはメンバーとみなして、共謀罪で罪に落とすことはきわめて簡単だ。

 教団施設内に第三者を入れない徹底した秘密主義、教団施設で選挙など政党活動を行っている政教一体ぶり、海外への目に余る組織展開、池田大作氏の名誉あさりを意図した海外送金など、創価学会を国際的テロ支援組織と疑うことは決して不可能ではない。

 まして公明党は7月の都議選では自民党との連携を離れ、小池百合子都知事にすり寄っている。安倍自民党が公明党を裏切りと離反のヌエと考え、いずれ罰を与えようと考えたとしても不思議はない。

 にもかかわらず創価学会・公明党は戦前に犯した愚を性懲りもなく、もう一度繰り返そうとしている。それも法の成立に積極的に関与する形でだ。

 山口那津男・公明党代表は215日、衛星放送で都議選について聞かれ、軽い調子を装って次のように答えた。

「公明党は本来、歴史的には地方議会から始まった。その要である首都東京、都議会公明党は公明党の魂、原点といってもいいくらい重要な位置を持っている。絶対に勝たないといけないと言い聞かせている。23人を公認しているので全員当選を目指したい。小池知事側と選挙調整をしているわけでは今ないと思う。小池さんがいったいどこにどれだけお立てになるのか分からないので。ただ、競合してまずい結果にならないように、それは必要に応じて考えたいと思う」

 山口党代表がいかに冷静を装おうとも、公明党が今重大な岐路に立っていることは間違いない。創価学会・公明党は単に「現有組織勢力」を守る、自分が今占める地位を守る──に徹しているのだが、たまたま共謀罪と小池都知事の登場で中央では安倍政権、東京都では小池知事という股裂き状態に陥った。

 彼らの眼中に一般国民の姿はない。たとえ共謀罪で引っ括られようと、それこそ「わが亡き後に洪水よ来たれ」で彼らの知ったことではない。自分だけが大事な自分党だから、力を持つ者におべっかも使うし、すり寄って鼻毛のチリも払う。たとえ池田大作名誉会長が健在であっても、この事情は変わるまい。池田氏自身が御身の安全と安泰を第一に考える自分党だからだ。

 彼らにはこれさえあればという強力な武器がある。判断を創価学会・公明党の幹部たちに預け、たとえ共謀罪の成立を加速させようと、おとなしく従い続ける学会員大衆という羊の群れが武器なのだ。羊は自分の判断力を持たないが、選挙で投票できる一票は持っている。よく言うことを聞くこの一票さえあれば、幹部たちは股裂き状態になっても、何とか凌ぎ切れる。落ち目になっても、自分たちを高く売ることが可能なのだ。

 人が頭の中で考えていることを罰するのが共謀罪だが、創価学会・公明党の幹部たちは会員が頭の中で考えていることを思いやる想像力さえ切り捨てている。学会員はもともとどの政党に投票するか、どの候補者に投票するか、自分で判断する習慣を持たないのだから、「内心の自由」など無用の長物と考えているのだろうか。人間性の荒廃が極まって「日本死ね!」という状態は改まりそうにない。

溝口 敦(みぞぐち・あつし)ノンフィクション作家。1942年生まれ。早稲田大学政経学部卒。出版社勤務などを経てフリーに。宗教関係をはじめ幅広く社会問題を扱う。『食肉の帝王』(講談社プラスα文庫)で第25回講談社ノンフィクション賞、日本ジャーナリスト会議賞、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞の3賞同時受賞。『堕ちた庶民の神』(三一書房)『歌舞伎町・ヤバさの真相』(文春新書)『パチンコ「30兆円の闇」』『生贄の祀り』『あぶない食品』(小学館文庫)『武富士 サラ金の帝王』『池田大作「権力者」の構造』『中国「黒社会」の掟』『細木数子 魔女の履歴書』(講談社プラスα文庫)『暴力団』『続・暴力団』『薬物とセックス』(新潮新書)『抗争』(小学館新書)『やくざの経営戦略』(文春新書)など著書多数。

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