4月号 目次

 

4月号 目次

閻魔帳

公明党・維新塾の危険な野合/川崎泰資

記念特集/人心を蝕むマインドコントロール……創価学会etc.

「自分で考える」ことを放棄する危険/柿田睦夫

フランス司法省通達、そしてマインドコントロールについて/広岡裕児

「信教の自由」後ろ盾に個人の自由意思を破壊する/段 勲

東大創価信者へのカルト指導とカルト化の度合い/福本潤一

創価学会におけるマインドコントロールの構造/乙骨正生


トピックス

矢野裁判和解余話――池田相続税問題と谷川会長説/本誌編集部


●連載

信濃町探偵団――創価学会最新動向

斎藤貴男の[キーワード漂流](34)

消えゆくキヨスク/斎藤貴男


戦後保守運動とカルト問題(9)

統一教会と手を結ぶことの危機感の欠如/平田文昭


執筆者紹介 バックナンバー一覧 編集後記


編集後記から

 3月31日に東京でも桜の開花宣言が出されました。例年に比べ寒さの厳しかった今年の冬、梅の開花は1カ月以上と大幅に遅れましたが、桜は例年に比べてわずか5日遅れで開花を迎えました。小誌今号の発行日である4月10日には、すでに桜前線は東北に達しているものと思われます。桜が被災された皆さまの心の癒しになることを願わずにはおれません。

 小誌今号では、オセロの中島知子のマインド・コントロール問題が、テレビや週刊誌等で大きく取り上げられていたことから、マインド・コントロール問題を特集しましたが、マインド・コントロールの問題は、なにもカルトや占い師だけの問題ではありません。

 昨年3月11日まで多くの日本人は、いわゆる原子力村の面々と、それに加担したマスコミによる情報操作によって原子力の安全神話を信じ込まされていたのです。原子力村とマスコミが一体となっての情報操作は、国民に対する一種のマインド・コントロールといっても過言ではないでしょう。

 国会の事故調査委員会の参考人質疑で、本来、原発の安全性を守る砦であるべき原子力安全委員会や、原子力安全・保安院の無能力ぶり、無責任ぶりが白日の下に晒されましたが、それでもなお原子力村の面々は水面下で蠢いており、無能力かつ無責任な原子力村の判断に依拠して、野田政権は多くの国民の反対の声を無視して原発の再稼働と輸出を強行しようとしています。そしてそうした動きは消費税の増税論議においても散見されます。

 その意味で日本社会にはマインド・コントロールが渦巻いています。

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特集/人心を蝕むマインドコントロール……創価学会etc.

フランス司法省通達、そしてマインドコントロールについて


広岡裕児

国際ジャーナリスト パリ在住


 脆弱さの濫用罪

  昨年9月19日フランス司法省は、「セクト的逸脱警戒および対策に関する刑事政策についての通達」を出した。検察官や予審判事向けで、とくに刑法の「脆弱さの濫用罪」に的を絞ったものである。

 通達は「セクト的逸脱の危険は存在しつづけている」「05年の通達以来セクト的逸脱に進化が見られる」といまあえて出した理由をあげたあと、あらためておさらいする。

 「セクト的逸脱とはグループまたは個人によって公共の秩序、安全、人の十全性を侵害することである。依存状態をつくる技術や圧力、脅迫あるいは精神支配を助長する実践としてその人の自由裁量の一部を奪うものである」

 なお「技術」と訳したが体系的な確立されたものとはかぎらない。「テクニック」といったほうがニュアンスは伝わるかもしれない。「圧力」もいかめしいが、なんとなく「プレッシャー」のことだ。

 さて、その「脆弱さの濫用罪」だが、01年の通称アブー・ピカール法で、従来からあった刑法の脆弱さの濫用罪を改正し、高齢者や障害者病人などに加えて「重大または繰り返しの圧力、またはその人の判断を変質させるのに適した技術の結果心理的または肉体的な服従の状態にある人」を「その人に重大な害を及ぼすような行為あるいは不作為に導くために、不正な濫用をすること」を犯罪としたもの。

 マインドコントロールそのものではなく、その結果生じた肉体的精神的物質的被害によってはじめて犯罪が成立する。「その人」という言葉が重要で、この犯罪の被害者はコントロールを受けた者自身なのである。

 今回の通達は、この心理的依存状態の立証に直接関連のある要素として「家族との分離、職業や友人関係の環境からの断絶、通常の医療の拒否、金銭の要求、メディアの遮断……」とあらためて説明している。

 この条項のセクトへの適用は、毎年平均5件ほどあるが、小さなグループばかりである。大きなグループは専門家によってうまく法の網をすり抜けられるようなシステムがつくられているために立証がむずかしいのだ。

 かえってセクトとは関係ない個人が犯人になる事件の方が多い。

 たとえば、2011年3月8日逮捕されたアンジェリナという占い師。「精神的支援をする」と称して35歳から50歳の客と同棲し同衾までした。偽の近親相姦や幼児性愛と思い込ませることに成功し、何人かは実際にこの偽の記憶をもとに無実の両親や親戚を告発。目を醒ました客たちが「詐欺、背任、脆弱さの濫用」で告発したものだが、中でも、とくに司法は、35歳の女性のケースに注目している。彼女は偽の記憶を植え付けられて家族から完全に引き離し、5年間アンジェリナの言いなりになっていた。

 

 マインドコントロールと洗脳

 あらためてはっきりさせておきたいが、 マインドコントロールと洗脳は違う。

 洗脳はいやがる相手を無理やり思想改造させようとする。そこには暴力がつきまとう。

 対してマインドコントロールは「物理的な意味での身体的拘禁や拷問を用いず、当人が操作されていることさえ認知しないような状態で、個人のアイデンティティを別のものへ導くテクニック」である。(西田『マインドコントロールとは何か』)

 人の持つ好奇心や依存心を利用して次第に引きつけ、別の方向にもっていく。そのキーポイントは「やさしさ」である。セクトのマインドコントロールでは「ラブボンビング(愛の爆撃)」とよばれる段階がある。

そして被害者の「自発性」をことさらに強調する。

 べつにコントロールされると無気力になるというわけではない。「自分の意思で」ガムシャラに動いてとても活気があるように見えることもある。加害者が一見頼りなさそうな人間だったり、そう仕向けたりしたりしたばあいには被害者の方がかえって加害者を支配しているように見えることもある。

 二人きりの関係の中でもできる。男女の場合、しばしば単なる恋愛感情とまちがえられる。だが、マインドコントロールの被害者には二重の自己をもつという特徴があるのではっきり区別できる。

 「メンバー本人には、統一教会に入る前と入った後では、変化があらわれています。ひょっとしたら、会話の中で気づかれた家族もあるかもしれません。入信前の自己が現れたり、その都合によって二つの自己が使い分けられます」(パスカル・ズィヴィ『マインド・コントロールからの脱出』)

 その時々顔を出す以前の温和で優しい人格は、まるで周囲に助けを求めているようである。

 影響力が薄れて落ち着いてくると、本来の自分に戻って柔和なのびのびとした表情と声で話しているのが、ある種のことを話そうとすると言葉が途切れ、突然話し方がかわる。表情さえ変わる。しかもそのとき別のものに操られているのだということがはっきりわかる。それを機会にまた加害者のもとにもどってしまうこともある。じつにあっけない。影響力はそれだけ大きいのだ。

 そのとき無理してでも引き止めなければならないのだが、監禁だなどといわれてしまう。幸い日本の場合統一協会での判例で、裁判所も理解を示しているが、フランスではまだむずかしい。

 ただほんのうわべだけの人間関係しかなければちょっと変わった程度としかみえず、この二重の自己には気づかない。気づいても正面から向き合うのには並外れたエネルギーがいるので人間の自己防衛本能から被害者がいう「自分の意思」という言葉をアリバイにして、現実から目をそらす。

 本来の自分に戻る手助けをするのが脱会カウンセラーだ。彼らは人間の複雑さを認識し、取り巻く環境もよく理解した上で、親や家族ができない部分を手助けするだけの役割である。救出できるのはあくまでも親や家族など深い愛で結ばれ、場合によっては自分が犠牲になってもいいと思える人だけである。

 これに対して、脳機能学者などデプログラマーは逆マインド・コントロールで別人格をつくる。混同してはならない。

 

 的外れな論評

 オウム事件や統一協会問題などで、日本でもずいぶん認識されたと思っていたが、洗脳という言葉が乱れとぶ中島知子さんの報道ぶりをみると、どうもまだまだのようだ。中でも呆れたのが霊感カウンセラーの江原啓之氏の言葉。

 「そもそも中島さんの騒動って、社会生活が送れなくなり家賃滞納をして関係者に迷惑をかけたことが問題ですよね。蕫中島さんに同情﨟的な報道に違和感を抱 いている人もいると思いますよ。(……)こんな騒動になりましたが、中島さんはマインドコントロールをされているとは言えません。正しい言い方をすると共依存﨟でしょう。依存する心とそれを利用する者との関係です」(女性自身http://jisin.jp/news/2531/3686/)

 まさに「依存する心」を利用して社会生活を送れなくすることこそ「マインドコントロール」なのだ。

 マインドコントロールのことを理解していないカウンセラーには近づいてはならない。

 コントロールするつもりがなくても相手のほうからハマッてしまうこともある。そのときちゃんと道を外さぬよう修正にしなければならないのだが、初めからわかっていないのだから、危険を察知しようがない。

 ちなみに、洗脳とマインドコントロールの基本的な違いもわかっていない宗教学者のまったく的外れなコメントもあった。

 そもそも宗教学者に聞くこと自体が間違っている。宗教学はマインドコントロールを否定している。入信者はすべて自発的に入ったものであるというのが大前提で、技術で騙されて入ったのでは学問の根底が崩れてしまう(と思っている)のである。

 

広岡裕児(ひろおか・ゆうじ)国際ジャーナリスト。1954年生まれ。大阪外語大学フランス語科卒。パリ第3大学(ソルボンヌ・ヌーベル)留学後、フランス在住。パシフィカ総合研究所(PSK)主任研究員。著書に『プライベート・バンキング』(総合法令)『皇族』(読売新聞社)など。

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信濃町探偵団――創価学会最新動向

 

信濃町探偵団――創価学会最新動向

 

●健在誇示と夫人宣揚

・3月9日付「聖教新聞」「ブラジルパラナ州 サランジ市に池田香峯子広場」「SGI会長夫妻の平和への偉業を讃え 市議会が決定」

 「半世紀以上にわたり、世界の平和と人類の幸福のために祈り、動き、語り、綴ってきた池田SGI会長。その旅路には、いつも、香峯子夫人の支えがあった。その名を関する広場を開園したサランジ市は、パラナ州第3の都市マリンガの南東に隣接。(中略)2007年5月には、SGI会長夫妻に『名誉市民』称号を贈っている」

・3月12日付「聖教新聞」「東日本大震災から1年 全犠牲者の冥福と被災地の復興を祈念 名誉会長は創価学会第2別館で東北の友にメッセージを贈る」

 「池田名誉会長夫妻は、東京・新宿区の創価学会第2別館で厳粛に勤行・唱題を行い、全犠牲者の冥福と、被害を受けた方々の安穏を深く祈念した。名誉会長は、被災地の一日も早い復興を念願してメッセージを贈(った)」

・3月13日付「聖教新聞」「南アフリカ元大統領マンデラ氏からSGI会長にメッセージ」「アフリカ民族会議ANC100周年記念バッジも」

・3月15日付「聖教新聞」「中央アジアキルギス共和国の文化の発展を担う ビシュケク人文大学がSGI会長に名誉博士号」「池田博士は世界的ヒューマニスト 平和と寛容の精神を拡大」

 「中央アジア・キルギス共和国のK・カラサエフ記念ビシュケク人文大学から、創価大学創立者の池田SGI会長に『名誉博士号』が贈られた。これは、世界に平和と寛容の精神を広めることに大きく寄与してきたSGI会長の功績を讃えるもの」

・3月16日付「聖教新聞」「3・16『広宣流布記念の日』を全世界が慶祝 イタリアモンテシルヴァーン市に戸田城聖通り」「『精神の継承者』を讃えてSGI会長に記念プレート」

・3月19日付「聖教新聞」「アルゼンチンの美しき観光都市ビジャ・ラ・アンゴストゥーラ市 SGI会長に『卓抜した人物』証」「市長 池田博士は平和の人材を育成」

・3月20日付「聖教新聞」「SGI会長の新連載エッセー 忘れ得ぬ旅太陽の心で パンプキン4月号からスタート」

 「池田SGI会長の新連載エッセー『忘れ得ぬ旅 太陽の心で』が、このほど完成した月刊誌『パンプキン』4月号からスタートした。SGI会長が、これまで訪れた国や街の文化や歴史を紹介し、交友を結んだ人々との思い出を綴る」」

・3月27日付「聖教新聞」「SGI会長夫妻の平和闘争に共鳴」「モジ・ダス・クルーゼス市 香峯子夫人に名誉市民証」

 「ブラジルに創価の人間主義への共感が広がっている。サンパウロ州のモジ・ダス・クルーゼス市からは、池田香峯子SGI会長夫人に、『名誉市民証』が贈られた。(中略)発議者のサフィチ市議が授与の辞を高らかに」

 

 ※一昨年5月以降、約2年にわたって本部幹部会を欠席するなど、多くの幹部・会員が参集する場に姿を見せることのない池田大作名誉会長。もはや池田氏の健康状態が健常であるはずがないことは明白であるにもかかわらず、創価学会は池田氏の健康状態に関する情報は開示せず、相変わらず世界各地から顕彰や名誉称号などが贈られているとして、“主なき”顕彰報道を続けている。

  また池田氏の伴侶として“平和旅”を支えてきたとして池田夫人かねさんへの顕彰報道も相変わらず。

  東日本大震災から満1年の3月11日には、創価学会第2別館で夫婦で勤行をしたという。もっともその写真は「聖教新聞」には掲載されていない。ちなみに創価学会第2別館とは、池田氏が信濃町に居る際には、自宅同様に使用していたことから、矢野絢也元公明党委員長が明らかにした創価学会による妨害が行われた国税庁による調査の直前に、急きょ、数年分の家賃約2000万円を支払ったいわくつきの施設である。

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3月号 目次

3月号 目次

フォーラムを毎月お届けします(定期購読)

閻魔帳

創刊10周年を迎えて 言論の自由と民主主義を守るべく尽力/乙骨正生 2

記念特集/創刊10周年に寄せて

「政教分離」見すえた創刊の趣旨 10年間の“粘り腰”を今後も/柿田睦夫

創公複合体に深く刺さった槍/溝口 敦

政教一致と反社会的行為を糾す 「継続は力」を実証する活動に敬意/川崎泰資

奇跡の創刊10周年/浦野広明

創価学会の「広宣流布」構想は破綻 日本人意識に基づいた新たな論評を/山村明義

時代遅れの清貧雑誌/広岡裕児

「時代の真実」を報告する小雑誌ここに在り/野田峯雄

「宗教と社会のかかわりを考える」という志の原点を/古川利明

創価学会以外にも通じる普遍的な問題意識を/藤倉善郎

言論表現の自由と「フォーラム21」/菊池 紘

強い者に媚びへつらうメディアほど恥ずかしいものはない/斎藤貴男


対談/「フォーラム21」創刊10周年を振り返る

言論封殺と戦い続けた10年

必要不可欠な宗教と政治に関する情報発信/段 勲 乙骨正生


トピックス

矢野元委員長vs.創価学会訴訟 突然の和解の背景とは/本誌編集部

編集後記

フォーラムを毎月お届けします(定期購読)

 

編集後記から

 小誌は今号をもって創刊満10周年を迎えました。ご購読いただいた読者の皆さま、また数多の記事を執筆してくださった執筆者の皆さま、そして印刷・発送・事務作業等、編集・出版業務にご協力いただいた多くの関係者の皆さまに、誌面を借りて衷心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

 小誌今号の特集記事にあるように、小誌は、自公連立政権の発足によって創価学会の政治的影響力が飛躍的に増大し、その政治的影響力と巨大な資金力の前に、日本の大手メディアが次々と創価学会の膝下に屈していることへの危機意識に基づき、たとえ小なりとも宗教と政治・宗教と社会に関する真実、特に創価学会・公明党に関する正確な情報を報道しようとの目的意識をもって始まりました。

 自公連立政権は平成21年夏の衆院総選挙における自公両党の惨敗の結果、崩壊しましたが、参議院のキャスティングボートを握る公明党に野田民主党政権は秋波を送り、いままた「ハシズム」と揶揄されながらも台頭する橋下大阪市長率いる大阪維新の会と創価学会・公明党が連携する姿勢を見せています。その意味で、10年前に危惧した創価学会をめぐる政治状況、日本における政治と宗教の危機はいまだに払拭されてはいません。

 昨年3月11日に東日本大震災・大津波そして福島第一原発事故という未曾有の大災害に見舞われまた日本社会は、いまだに混乱と混迷の極みにあります。そうした混乱と混迷の中で、人心の隙をついてファシズムが勃興したことは歴史の示すところでもあり、小誌の危機意識と問題意識は拡大こそすれいまだに縮小には向かいません。

 ここに東日本大震災・大津波から1年を迎えるにあたって、あらためて犠牲となった方々のご冥福をお祈りするとともに、宗教と政治・宗教と社会に関する事実と真実を発信することを通じて、今後とも未曾有の災害があぶり出した日本社会の構造的矛盾や欠陥を是正するために尽力する所存です。よろしくご支援・ご鞭撻賜りますよう、お願いいたします。

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記念特集/創刊10周年に寄せて

 

記念特集/創刊10周年に寄せて

創・公複合体に深く刺さった槍

溝口 敦

ノンフィクション作家

 創刊10周年おめでとうございます。創刊以来「フォーラム21」が社会で果たしてきた役割は非常に大きいものがあります。

 創価学会=公明党に対する社会的な警戒心は決して消失していませんが、近年衰退著しい政界やメディアなどが創・公複合体を受容しようとする動きがあります。創・公複合体は一定の票や議員数、また巨額の広告宣伝予算を持っているため、それらに頼ろうとする政党やメディアが跡を絶ちません。彼らは創・公複合体が社会に流す害毒と、その有害な体質に目をつぶってお先棒を担ぎ、複合体という神輿を担うことで社会的な警戒心や抵抗を弱める働きをしています。

 そういう中でフォーラム21は創価学会批判の旗幟を鮮明にして、戦い続けています。もちろん創・公複合体は「フォーラム21」を目の仇にして、何度も訴訟を乱発し、嫌がらせを行いました。しかしフォーラム21は一歩も退くことなく粘り強く戦い、貴重な勝ちをおさめています。

 フォーラム21は決して立ち位置を変えません。創・公複合体がいくら攻撃を繰り返しても、決して音を上げず、妥協しません。だからいつでも掲載記事が信頼できるのです。創公複合体と戦う者にとっては橋頭堡であり、情報拠点です。創公複合体から離脱し、新たに戦おうとする者にとっては羅針盤の役割を果たしています。

 フォーラム21が創刊された10年前と今とを比べれば、明らかに創・公複合体の士気も結束力も落ちています。力の結集点である名誉会長・池田大作氏の植物人間化で、指揮命令系統が拡散、混乱していることが原因と思われます。創・公複合体はちょうど北朝鮮と同じで、池田氏を英雄的に祭り上げることで個人崇拝に結びつけ、その個人崇拝を組織的な力の源泉にしてきました。しかし池田氏の心臓はまだ停まっていないといった病状では、単に生物的に死んでいないだけの話です。組織的にはトップが不在ですから、複合体の官僚が今までの惰性で適当に組織を動かしているだけです。

 このことを端的に象徴するのは「週刊文春」の大誤報に対する創・公複合体の微温的な反応でしょう。同誌は去年10月27日号で、「池田大作名誉会長『厳戒病室』本当の病状」とタイトルにうたい、創価学会の医療関連施設「南元センター」で看護師として勤務していたという人物の証言を載せました。

 「先生の病気は、脳梗塞です。梗塞は2カ所にあり、もともと糖尿病という持病をお持ちなので、合併症を誘発する恐れもあります。自力で歩くことはできず、移動は車椅子でした」

 いかにもリアリティのありそうなコメントであり、特集記事でしたが、なんと週刊文春は12月29日号の「編集長から」で訂正し、詫びています。

 「記事につき、創価学会より『該当する看護師は存在せず、証言は事実無根である』との抗議がありました。これを受けて小誌は再取材を行いましたが、証言者が看護師であるとの確証を得るに至りませんでした。病状についての記述を取り消し、ご迷惑をおかけした関係者にお詫びいたします」

 創・公複合体はよほど注意深く雑誌に目をさらさないと見つからないこの小さな訂正文を出させることで週刊文春を無罪放免としました。仮にも池田氏の病状に関する誤報です。従前の創価学会なら名誉毀損で裁判に訴え、多額の損害賠償を求めたことでしょう。

 しかし池田氏の病状は誤報とはいえ、週刊文春記事に近いはずですから、池田氏が記事の影響を判断した上、立腹し、裁判しろと号令を掛けることもできなかったのでしょう。創価学会がこれまで敵視してきたのは週刊新潮でしたが、新潮に加えて新たに文春も敵に回すのはという気のすすまなさから訴訟を控えたとも伝えられています。創価学会の官僚にとっては池田氏に怒られる心配がない以上、誤報の扱いなどはどうでもいいことなのです。

 明らかに創価学会の士気は薄まり、かつて戦闘的といわれた社会への鋭角性を失っています。長期的に見れば、将来はふつうの社会の中に溶融していくでしょうが、それまでの間、フォーラム21は創公複合体に深く刺さった槍であり続けるはずです。

 

(みぞぐち・あつし)ノンフィクション作家、フリージャーナリスト。1942年生まれ。早稲田大学政経学部卒。出版社勤務などを経てフリーに。宗教関係をはじめ幅広く社会問題を扱う。『食肉の帝王』(講談社プラスα文庫)で第25回講談社ノンフィクション賞、日本ジャーナリスト会議賞、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞の3賞同時受賞。『堕ちた庶民の神』(三一書房)『歌舞伎町・ヤバさの真相』(文春新書)『パチンコ「30兆円の闇」』『生贄の祀り』『あぶない食品』(小学館文庫)『武富士 サラ金の帝王』『池田大作「権力者」の構造』『中国「黒社会」の掟』『細木数子 魔女の履歴書』(講談社プラスα文庫)『暴力団』(新潮新書)『抗争』(小学館新書)など著書多数。

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対談/「フォーラム21」創刊10周年を振り返る

 

対談/「フォーラム21」創刊10周年を振り返る

言論封殺と戦い続けた10年 必要不可欠な宗教と政治に関する情報発信

段 勲 ジャーナリスト

乙骨正生 ジャーナリスト

 創刊の契機となった自公連立政権


 段 今号をもって「フォーラム21」は創刊満10周年を迎えることになりました。

 乙骨 平成14年3月の創刊以来、多くの読者の方々、執筆者の皆さまに支えられて、おかげさまで通巻194号をもって満10年を迎えることができました。

 段 振り返ると創刊時の平成14年3月は、平成11年10月の自公連立政権発足から2年半を経て、両者の蜜月関係が極めて強固なものとなっていた時期でした。当時、政権の一角を占めたばかりか、選挙協力による票縛りで自民党の鼻面を引き回すまでになるにいたった創価学会は、その余勢を駆って自らに批判的な言論のパージを図ることに腐心し、「言論の暴力による人権侵害を許すな」とのキャンペーンを展開。国会では創価学会の意向を受けた公明党が、名誉毀損罪の速やかな適用や名誉毀損の損害賠償の高額化を推進しました。その結果、多くの出版媒体が萎縮し、触らぬ神に祟りなしとばかりに創価学会問題を敬遠する傾向が強まり、創価学会・公明党についての批判的な報道は一部の雑誌媒体を除いてほとんど姿を消しました。

 そうした時期に、創価学会問題をメインとする雑誌を創刊することなど常識的には考えにくいし、そもそもが個人で雑誌を創刊して発行を続けるなど容易なことではない。それだけに乙骨さんとは長年にわたる友人ですが、私は率直に言って雑誌の創刊は無謀ではないかと心配しました。

 乙骨 たしかに「フォーラム21」の創刊は、自公政権がまさに佳境に入る時期にあたっていました。また創価学会にあっては「フォーラム21」を「すぐに潰してやる」と豪語し、「聖教新聞」において「デマ雑誌を撲滅しろ」「デマ雑誌は高額の賠償金で叩き出せ」などのキャンペーンを張っていましたから、皆さんにいろいろとご心配をいただいたのでしょう。10年の節目にあたってさまざまな激励や支援をいただいたこと、あらためて御礼申し上げたいと思います。

 段 もっとも困難は予想されましたが、「フォーラム21」の創刊は時宜を得たものだったとも思います。なぜなら多年にわたって憲法の政教分離規定への抵触が問題となるとともに、極めて全体主義的な体質を持つ創価学会が政権に参画したにもかかわらず、政界やマスコミ界が創価学会批判を行わないことに、多くの人々が忸怩たる思いを抱いていたからです。

 乙骨 実は「フォーラム21」の創刊に先立って、自公連立政権発足以来、「フォーラム自由21」と題する創価学会・公明党問題を考える勉強会を、定期的に行っていました。勉強会には政界・宗教界・学界・マスコミ界などからさまざまな方々が参加をされ、創価学会問題に関する情報を共有していました。それはそれで有意義だったのですが、創価学会のキャンペーンによって創価学会報道が減少していく現実を前に、勉強会で創価学会問題についての情報を共有することよりも、創価学会に関する正確な情報を広く社会に発信することこそ急務なのではと思うようになり、思い切って「フォーラム21」を創刊することにしました。

 段 批判的言論のパージに成功しつつあった創価学会にとって、創価学会問題を専門的に取り上げる雑誌媒体が新たに誕生することなど、予想外の出来事だったであろうことは想像に難くありません。それだけに創価学会は「フォーラム21」を目の敵にしました。「フォーラム21」が創刊された平成14年に、「フォーラム21」の事務所がある新宿区の創価学会組織の会合で、婦人部幹部が「フォーラム21」を「デマ雑誌」と呼び、「週刊新潮」を発行する新潮社とともに「退治する」との決意を披瀝している事実からも、いかに創価学会が「フォーラム21」をマークしていたかが分かります。

 乙骨 面白かったのは、創刊してすぐに創価学会の広報室職員が、電話で「フォーラム21」の購読を申し込んできました。そこで私は購読の条件として、「聖教新聞」の購読を拒否されていましたので、「『聖教新聞』を購読させくれればOK」と答えたのです。広報室の職員は、「検討します」といって電話を切りましたが、後日、「やはり乙骨さんに『聖教新聞』の購読を認めることはできません」と購読を断ってきました。しかしその一方で、「『「聖教新聞』など、どこからでも手に入るでしょう」といって、再度「フォーラム21」の購読を求めてきました。別に隠す必要もないので「フォーラム21」の購読は許しましたが、創価学会の臆病さ、腹の小ささには呆れました。

 段 なんとしても「フォーラム21」を手に入れたかったのでしょう。そういえば創価学会の男子部幹部・活動家によって、乙骨さんの携帯電話の通信記録が違法に盗み出されたいわゆるNTTドコモ事件で、実行犯が乙骨さんの通信記録への犯行を実施した時期も「フォーラム21」の創刊時に当たっていましたね。

 乙骨 創刊の前後2カ月にわたって私の使用する携帯電話の通信記録が、NTTドコモの子会社に勤務する創価大学OBの男子部活動家によって違法に引き出されていました。事件は平成14年に刑事事件の有罪判決が出され、平成19年には真相究明のために私が提訴した民事事件の判決で東京高等裁判所が、犯行は全国副青年部長という創価学会青年部の最高幹部の「指示又は命令」によって実行されたものであると認定、同判決は確定しました。

 実行犯の男子部活動家は、犯行の動機を単なる「個人的興味」であると強弁しましたが、通信の秘密を犯すことは憲法や刑法で禁じられた重罪であることを十二分に教育されている電気通信事業者の社員が、単なる「個人的興味」で違法行為を犯すはずがない。犯行時期が「フォーラム21」の創刊時期に重なっている事実は、犯行の真の動機が「フォーラム21」の出版に関する情報収集にあったことを示唆していると考えるのが自然でしょう。

 

 熾烈だった創価学会の言論弾圧


 段 「フォーラム21」は創刊以来、一貫して専門誌ならではの創価学会に関するディープな特集を組んでおり、政界やマスコミ界そして宗教界でも高い評価を受けています。それだけに創価学会は「フォーラム21」を目の敵にしました。昨年11月に乙骨さんに対する創価学会の名誉毀損事件で、東京高裁は乙骨さんに対する創価学会の誹謗中傷は、「言論の自由の範疇」にすら入らない悪質な名誉毀損であると認定しましたが、機関紙誌や謀略本などを用いての攻撃は熾烈でした。その上で創価学会や公明党は、乙骨さんとフォーラムに対する名誉毀損に基づく訴訟を濫発することで、乙骨さんと「フォーラム21」を潰そうとしたのです。

 乙骨 自公政権の発足を契機に、創価学会は私に対する訴訟を濫発するようになり、「週刊新潮」に掲載されたコメントや、月刊誌「諸君!」に執筆した記事などについて、創価学会や公明党の神崎代表らから、民事・刑事での複数の提訴や告訴を新潮社や文藝春秋社と共同被告として起こされました。「フォーラム21」に関しては、創価学会ならびに創価学会関係者が4件の訴訟を起こしてきました。

 段 残念ながら乙骨さんが敗訴した事件もありますが、創価学会の提訴が乙骨さんや「フォーラム21」を狙い撃ちにしていたことは明白です。要するに創価学会は、乙骨さんを提訴することで、乙骨さんの社会的信用を貶めるとともに、乙骨さんを使うと訴訟になると威嚇することで、マスコミに乙骨さんの記事やコメントを使わないよう周知徹底する。そして時間的・経済的に応訴の負担を強いることで乙骨さんとフォーラムを追いつめる狙いだったのでしょう。

 乙骨 創価学会は、「言論の暴力による人権侵害を許すな」と強調するなどして、提訴の正当性をアピールしますが、その主張は額面どおりにはうけとれません。なぜなら「言論の暴力による人権侵害を許すな」と強調する創価学会は、私が提訴した名誉毀損事件で敗訴していますし、日蓮正宗僧侶に対する名誉毀損事件で、秋谷会長や青木理事長さらには現会長である原田副理事長の不法行為責任が認定されるなど、「言論の暴力による人権侵害」をくり返しているからです。

 これらの判決は確定しているにもかかわらず、創価学会は、反省・謝罪をするどころか、無視黙殺を決め込んでいます。

 段 謝罪するどころか、名誉毀損による不法行為責任を裁判所から認定された原田副理事長を、判決確定後、公益法人として税制上の優遇措置を受けている創価学会の会長に昇格させている。

 当時の「聖教新聞」の記事を見ると、「乙骨をマスコミ界から追放しろ」とか、「デマ雑誌」を「撲滅しろ」などと書きたてていますが、乙骨さんが敗訴した事件では、訴訟における損害賠償の仮執行として、新潮社・文藝春秋社・講談社・小学館・日本ジャーナル出版など、乙骨さんが原稿を書いたりコメントしている出版社に対して、乙骨さんの原稿料やコメント料の差し押さえまで行っている事実もありますね。

 乙骨 一審の東京地裁で私が敗訴し、50万円の損害賠償の支払いを命じられた事件でした。もちろん私は東京高裁に控訴し、裁判は継続していたのですが、創価学会は各出版社に対して、私が将来、原稿を書いたりコメントをした場合に発生する原稿料やコメント料を、損害賠償の債務であるとして差し押さえたのです。私がその出版社で原稿を書くかどうかも分からないのに、書いた場合は差し押さえるという内容でした。

 通常、仮執行における差し押さえというのは、雇用契約や出版契約などによって給与が支払われるなどの定期的な金銭の支払いがある場合になされるものです。私の場合、フリーですから出版社との間には雇用契約も出版契約もありません。にもかかわらず差し押さえを行ったのは、出版社に私を使うと面倒なことになるという認識を持たせ、私を使わないようにするための圧力以外のなにものでもありません。

 段 一連の事実は、創価学会の提訴の意図と動機が、不法行為による損害の法的回復にあるというよりも、訴訟を批判的言論を押さえ込むための手段として悪用していることを示している見ることが可能だ。

 乙骨さんや新潮社が敗訴した場合、創価学会は「東京地裁 ガセネタ屋乙骨を断罪」などの見出しでその事実を大々的に報道する一方で、乙骨さんが勝訴した場合には創価学会敗訴の事実をただの一行も報じようとはしない。別件の創価学会関連の裁判に出廷した聖教新聞記者の創価学会幹部は、「創価学会は敗訴した場合は報道しない」と証言していますが、そのご都合主義には呆れるばかりです。

 

 創価学会の膝下に屈した政界・マスコミ界

 

 乙骨 創価学会の機関紙誌ばかりではありません。一般のマスコミ、特に新聞社や通信社は、私が敗訴した事実は報道しますが、私が勝訴した場合は報道しません。NTTドコモ事件でも、全国紙は創価学会の男子部活動家に有罪判決が出された事実を報道しましたが、創価学会の活動家であるとか創価大学OBなどということは書きませんし、そもそも被害者である私の名前すらいっさい書きませんでした。ですから一般の読者はなんの事件なのかさっぱり分からない。創価学会が発注する機関紙誌の巨額の印刷費や広告費の前に屈し、創価学会に迎合する日本のマスコミの病巣は、本当に深刻です。それだけに「フォーラム21」の存在意義もあるのですが。

 段 「言論の自由」のないところに健全な民主主義は育ちません。マスコミが創価学会の膝下に屈した結果、政治と宗教に関する議論も低調なものとなり、創価学会と公明党の関係についての批判は事実上、封じられてしまった。その結果、政界でも創価学会問題はタブー視されるようになってしまいました。

 「フォーラム21」の10年の歩みは、自公連立政権の歩みとほぼ重なっていますが、創価学会の政教一致の実態や、自公政権の内実を抉り出した「フォーラム21」の記事は、将来、21世紀初頭の日本の政治状況が検証される際、あるいは日本における宗教と政治の問題を検証する際に第一級の資料になると思います。

 乙骨 幸いにも「フォーラム21」創刊の契機となった自公連立政権は、平成21年夏の衆院総選挙で国民の批判の前に潰えましたが、日本における宗教と政治の関係に大きな変化が生じなかったことは残念でなりません。オウム真理教問題や創価学会問題など、政治と宗教、政治と社会の関係を考える絶好の機会があったにもかかわらず、日本の政党や政治家は政治と宗教の関係を真摯に見直そうとの姿勢に欠け、創価学会問題を政局や政権奪取のための手段としてしか見ないという、打算的な姿勢に終始したからです。

 段 自民党は宗教団体を自らの集票マシーンとすることに腐心してきた歴史があります。また宗教団体側も、宗教法人の非課税問題などで政権与党である自民党にすり寄り、媚び諂ってきた経緯がある。「フォーラム21」ではそうした両者の実態についての批判や問題提起をくり返し行っていますが、両者のもたれあい関係はいまだに続いている。

 乙骨 民主党にしても大同小異。創価学会を厳しく批判していた菅直人氏が、首相に就任したとたん、東京富士美術館に足を運び創価学会に媚びを売った事実が、政治家の無節操ぶりを象徴しています。民主党や菅さんは「仏敵」とまで言われ、それを問題視していたのに情けないことです。

 民主党は、自公連立政権が成立した平成11年には、「政治と宗教を考える会」を立ち上げ、創価学会・公明党の政教一致体質を問題にした。また矢野元公明党委員長が創価学会から退会し、創価学会から人権侵害を受けたとして提訴した際には、「矢野絢也さんから話を聞く会」を立ち上げ、矢野氏から創価学会が公明党の政治力を使って政治権力・行政権力を歪めていた事実を聴取している。その中には創価学会による税務調査妨害問題も含まれていた。そうした事実を踏まえて民主党は矢野氏や池田大作氏の国会招致問題に言及していたのです。ところが昨年、矢野氏が「乱脈経理」を上梓し、その中で国税庁の税務調査を妨害した事実を具体的かつ詳細に明らかにしたにもかかわらず、民主党はこの問題をまったく取り上げようとしません。結局、創価学会問題を政局として、政治的駆け引きの手段としてしか考えていないのです。

 段 野党にしても、民主党が「社会保障と税の一体改革」を掲げ、税制改革の論議を提唱しているのだから、その一環として宗教法人の非課税問題を議論し、その中で創価学会の税務調査妨害を取り上げてもいいはずなのに、まったく言及しようとしない。どうかしています。

 オウム真理教事件を契機に、宗教法人法の改正が議論され、財務会計の透明性の強化などが図られました。しかしこの改正にしても、カルト問題を含む抜本的な議論の必要性が叫ばれたにもかかわらず、結局は微温的な修正に終始しました。その背景には、既得権を守るための宗教界の反対もありましたが、最大の要因は宗教法人法改正そのものが、自民党と新進党・創価学会の政権奪取をめぐる政局として利用されたことにあった。宗教法人法改正の過程で、当初、自民党は池田氏の国会喚問を要求したが、最終的には秋谷会長の参考人招致で妥協した。自民党にすれば創価学会にブラフをかけて自らに逆らうことの恐ろしさを骨身に染みさせればよかったのです。彼らは本気で宗教と政治の関係を是正しようなどとは考えていなかったのです。

 乙骨 宗教法人法改正の経緯、そして、昨年、矢野氏が「乱脈経理」で明らかにした国税庁の創価学会に対する税務調査は、池田氏の心胆を寒からしめ、権力に迎合することの必要性をあらためて痛感させたことでしょう。それが自公連立政権の成立に繋がっていった。しかしこうした政治と宗教の関係の暗部、実態を日本のマスコミは報じようとしないのです。

 段 そう。政治と宗教に関する本質的な議論、ことに創価学会問題を政界・マスコミ界がタブー視している結果、かつてはオウム真理党が、そしていままた幸福実現党のような政党が出現してしまった。これも創価学会流の政教分離論に対する批判が政界・マスコミ界で行われないことから、宗教団体が政党を作り、政権奪取を目指して信徒・会員の政治選択の自由を阻害するような動きが正当化されてしまっているのです。幸福実現党については、母体の幸福の科学がマスコミに大量の広告を出稿しているから、適切な批判ができないという、創価学会そっくりの構造がある。

 乙骨 そしていままた政権交代に失望した多くの人々が、政治的閉塞感を破るものとして、「独裁」を売り物にし、個人の思想信条の自由すらないがしろにする橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会に大きな期待を寄せている。この橋下・大阪維新の会と創価学会・公明党が連携する動きを見せています。自公連立政権は崩壊しましたが、各種選挙や政局において創価学会・公明党が影響力を発揮する政治状況はまだ続いているのがいつわらざる日本の政界の現実です。それだけに宗教と政治の関係についての監視と検証、そして情報発信がいまだに必要不可欠なのです。

 

 混迷と混乱が予想されるポスト池田大作

 

 段 ご承知のように一昨年の5月以来、池田大作さんは本部幹部会を欠席するなど、大衆の前に姿を見せていない。創価学会は「フォーラム21」を「すぐに潰してやる」と息巻いていましたが、どうやら池田さんの方が先に倒れてしまいそうな雲行きです。

 「フォーラム21」では、ポスト池田大作体制についてもたびたび取り上げており、池田大作さんの長男・池田博正さんを中核とする世襲体制になるだろうと予想していますが、ポスト池田大作体制が円滑に進むかどうかは不透明です。特に、池田大作氏亡き後、創価学会がどのような政治選択をするかは未知数です。その意味でも、創価学会に対する監視を怠ることは危険だと指摘できます。

 乙骨 人権侵害を含むさまざまな違法行為・不法行為をくり返している創価学会が、公益法人たる宗教法人の適格性を欠くことは明白です。また創価学会・公明党の政教一致体質が、政治権力や行政権力を歪めていることも、矢野氏の告発によってあらためて裏付けられました。

 そうした創価学会が、日本の政治に大きな影響力を保持していることは、日本社会や日本国民にとって大きな不幸です。しかしそうした創価学会の実態や、創価学会と政治の関係を含む日本の政治と宗教の歪んだ関係を、当事者の政党や政治家はもとより、権力を監視する役目を果たすべきマスコミがまったく取り上げようとはしない。本来であれば10周年の節目を契機に、「フォーラム21」はその役割を閉じたいところですが、残念ながら当分、創価学会の動静を含む宗教と政治、宗教と社会に関する情報の発信は続けなければならないと覚悟しています。

 段 20世紀から21世紀にかけて日本社会に多大な影響を及ぼした池田大作氏の末路と、創価学会の帰趨を監視することは、「フォーラム21」に課せられた大きな使命と考えて頑張ってください。

 乙骨 力の続く限り努力する所存です。

 

(だん・いさお)フリージャーナリスト。1947年生まれ。週刊誌記者を経て、創価学会・公明党など宗教問題をはじめ社会・世相、医学・健康等をレポート。近著の『私はこうしてがんを克服した』(日本能率協会)『鍵師の仕事』(小学館)『宗教か詐欺か』『創価学会インタナショナルの実像』(共にリム出版)など著書多数。

(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』『司法に断罪された創価学会』(かもがわ出版)など。

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2月号 目次

2月号 目次

フォーラムを毎月お届けします(定期購読)

閻魔帳

原発発言に投影される人間性/乙骨正生


特集(1)/「脱原発」を提唱した池田大作の欺瞞


解散風の中で飛び出た池田大作の「脱原発宣言」/古川利明


あまりに唐突な「脱原発」提言の唖然 容認・推進派からいつ転向したのか?/段 勲



特集(2)/消費税増税論議と宗教法人課税問題


マニフェスト違反、ネット動画が暴露 学会・公明は『乱脈経理』の闇に目を塞ぐ/川崎泰資


奇妙な消費増税大合唱と「聖域」の宗教法人税制/柿田睦夫


「信教の自由」「公益性」論議に惑わされず宗教法人に課税を/藤倉善郎


税と社会保障の一体改悪の大連立/浦野広明



●連載


信濃町探偵団――創価学会最新動向


ヨーロッパ・カルト事情(174)

覚醒するカトリック原理主義/広岡裕児


執筆者紹介 バックナンバー一覧 編集後記

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編集後記から

 通常国会が始まりました。平成21年の衆院総選挙時のマニフェストで、民主党は消費税は上げないとしていたにもかかわらず、野田政権は冒頭から「社会保障と税の一体改革」を掲げ、消費税増税に向けて突っ走っています。

 野田首相は、前回総選挙の街頭演説で「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いていないことはやらないんです。それがルールです。書いていないことを平気でやる。これっておかしいと思いませんか」と述べ、「天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ。消費税を引き上げる話はおかしいんです」と、天下りを根絶せずに消費税増税の話に入ることはおかしいと力説しました。

 この発言に照らせば現今の野田首相の言動はまるでペテンです。

 小誌本号では、そうした消費税増税問題に関連して、天下りの根絶と同様、先に手をつけるべき問題として宗教法人非課税問題、ことに公益法人としての適格性に問題のある創価学会についての非課税問題を特集しました。

 また1月26・27日に創価学会の池田大作名誉会長が、機関紙「聖教新聞」に掲載した「『SGIの日』記念提言」で、脱原発に言及したことから、その欺瞞性についても特集を組みました。

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特集(2)/消費税増税論議と宗教法人課税問題

 

特集(2)/消費税増税論議と宗教法人課税問題

奇妙な消費増税大合唱と「聖域」の宗教法人税制

柿田睦夫

ジャーナリスト


 世論を操作するマスコミ報道

 

 政官界にもマスコミ界にも、奇妙なことが進行している。「社会保障と税の一体改革」だ。なぜ「一体」なのかよくわからないまま既成事実となり、全国紙の元日付社説も申し合わせたように、この言葉で埋まっている。

 「取り組むべきは、社会保障と税の一体改革を実現させ、成熟社会の基盤をつくることだ」が「朝日」の社説。「読売」も「社会保証と税の一体改革は、どの政党が政権を取っても、与野党で協力して実施に移さなければならない」と説く。唯一、「毎日」は「民主的手続きを踏まえ一歩一歩ことを進めていくしか道はない」とプロセス重視を求めるが、それでも「この改革の必要性については、私たちもこの欄で何度も訴えてきた」と言い添えるのを忘れない。

 「一体改革」しか選択の余地はないぞ、とマスコミが国民を説き伏せる、そんな構図だ。「大東亜共栄」へと国民を誘導した戦前のマスコミを想起する人もいるだろう。だがこの「一体改革」は国会で正式に、つまり国民の面前で議論したものでも確認したものでもない。「毎日」がいう「民主的手続き」を踏んでいないものなのだ。しかもここでいう税とは「増税」のことであり、いつの間にか「消費増税」になってしまっている。

 増税といっても選択肢はいくつもある。所得増税もあれば法人や株式配当金にかかる軽減税率の是正という手もある。配当益は証券優遇税制により半減されているし、研究開発減税や連結納税制で実質税負担率は名目の半分以下という大企業も多い。軽減額は年間1・7兆円になるそうだ。資本金10億円超の企業の内部留保を活用するという方法もある。その7%弱で6万人の新規雇用ができるという試算もある。

 「社会保障財源に消費税」論が実は曲者だ。社会保障充実のための果てしなき増税になりかねないからだ。問題は、こんな議論や選択肢を国民に提示しないまま事が進んでいるところにある。

 実際、国民の過半数は消費増税に反対している。1月中旬の世論調査でも「反対」は「朝日」で57%、「読売」55%、「日経」56%に達した。するとマスコミは、自分のことは棚にあげていっせいに「政府の説明責任」を唱える。政権を批判するように見せて実は後押しをしているのだ。「朝日」は「なぜ、知事たちは増税に必要性をもっと強調しないのか」(1月24日付社説)とまで書いた。

 しかも、である。日本新聞協会の秋山耿太郎会長(朝日新聞社長)は元日付協会報で「新聞は民主主義や文化の発展を支える公共財」だから「軽減税率を適用する」よう求めた。国民には消費増税必要論を説教しながら、自分たちには軽減税率では虫がよすぎるのではないか。

 マスコミはこぞって「一体改革=消費増税」を「与野党協議」で実現しろと要求する。ありていにいえば民・自・公の3党談合である。他の政党は国会の場で3党合意に賛否を表明するだけでいい。国会の形骸化だ。だから議員は「身を削れ」では本末転倒だろう。比例定数を大幅削減し小選挙区で残るのは2大政党だけ。これで議会はさらに形骸化する。

 ちなみに3党協議について公明党は政権側が「社会保障の将来像を明らかにする」ことを条件にしている(「読売」1月14日付)が、数年前に「百年安心の年金」と見栄を切ったのは、いったい誰だったのか。

 「身を削る」のに手っ取り早いのは政党助成金のはずだ。年間320億円(共産党は受領せず、その分は各党で山分けしている)。これがあれば、議員を80人減らすよりもはるかに経費節減になる。そもそも国民に消費増税をさせて、その税金を政党が使うという発想自体がおぞましい。だが、大半の政党も大手マスコミも、この選択肢を国民に提示しようとしない(一部の地方紙やブロック紙はこの問題を取り上げている)。

 

 まずは歪んだ税務行政の是正を

 

 奇妙なことの極め付きは税務行政そのものにあり、しかもそれが「聖域」だということだ。前述のような大企業と中小企業の税の格差や優遇税制は「制度」として公然と行われているが、同じ税制の下でもサジ加減ひとつで課税したりしなかったりするという実態が放置されているのである。

 端的な例が本誌190号(昨年11月号)の特集「矢野絢也著『乱脈経理』が明かした創価学会の税務調査妨害」に見られるような「税の見逃し」である。

 矢野絢也元公明党委員長が昨秋、自責の念を込めて国税との闇取引の実態を公表した。平成2年から4年にかけて行われた創価学会に対する税務調査の顛末記である。

 創価学会が矢野氏に命じたのは、絵画の買い漁りなど池田大作氏がらみの乱脈経理に手を触れさせないこと、関連帳簿類を秘匿しきることだった。矢野氏と国税幹部が談合を重ねた。これには自民党の竹下登元首相も一役買った。公明党は湾岸戦争への90億円追加支援やPKO法案に賛成するという政治取引までした。

 その結果、墓苑事業会計のごく一部をアリバイ的に申告漏れと認定するだけで、他はすべて不問となり、「事実上、税金をゼロにする」ことで決着する。国税幹部は「今回は矢野さんや竹下さんの顔を立てて、この辺で納めた」と語ったという。

 一般の宗教教団や、とりわけ末端の寺や教会に対する税務調査は頻繁に行われている。会計帳簿から過去帳まで根こそぎ調べる。葬儀式場や結婚式場を運営すれば「貸席業」として課税される。

 ところが創価学会に対する税務調査はこのとき以後20年間、一度も行われていないと矢野氏は書いている。創価学会の会館を公明党の選挙に提供しても課税されない。――国会もマスコミも増税議論の前に、このように歪んだ税務行政の是正をすべきだろう。

 

 

 悪用される宗教法人非課税

 

 宗教法人の布施や献金など宗教上の収入や固定資産税は非課税だ(但し、そこから支出する住職や職員の給与は通常に課税される)。事業収入にも軽減税率が適用される。宗教の「公益性」を認めた措置である。

 筆者も原則的にはこれに異論はない。しかしこの制度をとんでもない形で使う例が少なくない。創価学会も典型例だが、オウム真理教も徹底してこの特典を利用した。滋賀県に本部のある教団では平成21年、元郵政相への6000万円の政治献金や、原価5200万円の山林が4億円になるという土地転がし疑惑が発覚した。原資は非課税の宗教収入である。

 だが奇妙なことに、民主、自民両党から、大企業・資産家への優遇税制や防衛費にメスを入れろと主張する共産党にいたるまで、こうした宗教法人税制の実状には口を出さない。「聖域」なのである。

 「一体改革=消費増税」路線には欺瞞が多い。とはいえ震災や原発の復旧だけでも巨額の財源が必要だ。国民全体が知恵をしぼり、負担も合理的に分けあうべきだろう。

 米国の富豪や企業投資家からは「私たちからもっと税金をとれ」という声が出ている。

 ところが日本の富豪や優遇税制に浸っている大教団(弱小教団や寺、教会のことではない)からは、そんな声すら出てこない。「復興までの時限立法でも我々にも課税を」。そんな声が宗教界から上がれば、経済界も「我々の減税は継続しろ」とは言いにくいだろう。

 布施・献金の帳簿や信徒名簿は信仰の自由を守るため公開できないという議論には一理ある。それなら自主申告という方法もあるし、少なくても固定資産税の算定は確実にできる(固定資産税相当額を自治体に寄付する教団もある)。

 筆者たちの調べでは平成7年当時、大阪市内の創価学会施設の土地建物の固定資産税相当額は2億1000万円だった。同12年当時、東京・信濃町近辺の学会施設の固定資産税相当額は土地だけで2億7000万円。こんな施設が全国に千数百もある。その多くが宗教とは関係ない選挙に使われているとすれば、「この財政非常時に」という声が出ても不思議ではあるまい。

 

柿田睦夫(かきた・むつお)フリージャーナリスト。1944年生まれ。業界紙記者などを経て1979年から「しんぶん赤旗」社会部記者。2011年の退職までの間、「現代こころ模様」シリーズなどで「宗教と社会」の関わりを取材。葬儀や戦後遺族行政に関わるレポートも多い。著書に『霊・超能力と自己啓発―手さぐりする青年たち』(新日本新書、共著)『統一協会―集団結婚の裏側』(かもがわ出版)『現代葬儀考』(新日本出版社)『宗教のないお葬式』(文理閣、共著)など。

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信濃町探偵団――創価学会最新動向

 

信濃町探偵団――創価学会最新動向

 

●脱原発を提唱――あいも変わらぬ姑息な変節と健在誇示

・1月8日付「聖教新聞」「(本部幹部会への)名誉会長のメッセージ」「勇気は勝利の力なり」「信心とは“必ず勝つ”と決めることだ」

 「日本全国、そして世界192カ国・地域の同志が一体となり、我ら創価家族は、大いなる希望に燃えて、元気はつらつと新年を出発することができました。(中略)この一年も、『異体同心』の鉄の団結で、すべての戦いに勝利し、朗らかな楽しい人生を送りましょう!結びに――偉大なる 勇気と希望の 獅子の道 と贈り、私のメッセージといたします。ともどもに元気で頑張り、勝ち抜こう!わが友に勝利あれ!わが同志に幸あれ!と祈りつつ」

・1月26日付「聖教新聞」「第37回『SGIの日』記念提言 上 創価学会インタナショナル会長池田大作」「『生命尊厳の絆輝く世紀を』」「人間の“無限の可能性”信じ 苦難を乗り越え、勇気の前進!

・1月27日付「聖教新聞」「第37回『SGIの日』記念提言 『生命尊厳の絆輝く世紀を』下」「原発に依存しない社会へ 日本は早急に政策検討を」

 

 ※毎年恒例の「SGIの日記念提言」で、池田大作創価学会名誉会長が、「日本のとるべき道として、原子力発電に依存しないエネルギー政策への転換を早急に検討していくべきです」と、「脱原発宣言」した。

  本誌の平成23年6月号や8月号で特集したように、池田大作氏は原発推進論者であり、公明党も原発を推進する立場だっただけに、突然の方針変更をマスコミも注目。「読売新聞」(1月25日配信)などは、「池田名誉会長、脱原発依存提言へ…公明に影響も 読売新聞」の見出しで次のように報じた。

 「創価学会の池田大作名誉会長は26日、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえ、『原子力発電に依存しないエネルギー政策への転換を早急に検討していくべき』だとした『平和提言』を発表する。

  創価学会を支持団体とする公明党のエネルギー政策論議にも影響を与えそうだ。

  池田氏は『日本は地球全体の地震の約1割が発生し、津波に何度も見舞われてきた』と事故再発の可能性を指摘したうえで、再生可能エネルギーの導入に向け、『先駆的に取り組んでいる国々と協力』『コストを大幅に下げる共同開発』『途上国も導入しやすくなる技術革新』などを推進するべきだとしている」

  もっとも提言自体は「転換すべし」ではなく、「転換を早急に検討していくべきです」と曖昧模糊としており、「脱原発」の意志を強く表明したものではない。

  また池田氏は30年も前から原発の危険性に警鐘を鳴らしてきた旨、主張しているが内部の機関紙誌はともかく、世間一般に対して原発の危険性を声高に主張したことはない。そうした欺瞞的な姿勢については本誌今号の特集で詳報しているとおり。

●世襲体制への布石

・1月12日付「聖教新聞」「学会訪中団 中国 李克強副総理を表敬」

 「中国を訪問中の池田副理事長はじめ創価学会の訪中団一行が、11日午後3時10分から25分間にわたり、中国の李克強副総理と北京市内の人民大会堂・福建の間で会談した。

 席上、李副総理から、胡錦濤国家主席、温家宝総理より託された池田名誉会長への伝言が紹介された。(中略)池田副理事長から、本年の青年訪中団の派遣予定や日本美術の名宝展の開催計画などの紹介があると、副総理は『文化交流は相互理解を促進する最もよい手段です』と語り、一層の友好促進を念願。世代から世代へ、万代に続く両国の友誼の未来が約し合われた」

・1月14日付「聖教新聞」「中国人民対外友好協会 李会長と会談」

 

 ※昨年末に病死した北朝鮮の金正日総書記は、昨年、2度にわたって中国を訪問した。すでに健康状態の悪化が取りざたされていた金総書記が、病をおして中国を訪問したのは、後継の世襲体制について、中国の承認と支援を求めるためだったと見られている。

  さて翻って創価学会。一昨年5月以降、本部幹部会を欠席し、大衆の前に姿を見せない「永遠の指導者」(創価学会会則)の後継体制、すなわちポスト池田大作体制の構築に迫られている創価学会で、注目される動きがあった。池田大作名誉会長の長男で、創価学会の副理事長・SGIの副会長を務める池田博正氏が創価学会訪中団を率いて訪中し、李副首相と会談するなどしたからである。

  北朝鮮は、中国を後ろ盾にして金正日体制の後継として金正恩体制の確立を図ったが、創価学会もまた中国との関係を誇示する形で、すわわち中国を後ろ盾にする形で、池田大作体制から池田博正体制へと世襲の後継体制を図ろうという腹づもりなのだろう。

 

●魚心と水心――公明党賀詞交換会

・1月14日付「公明新聞」「大阪、奈良、兵庫で新春年賀会」

 「公明党の山口那津男代表は13日、党大阪府本部、同奈良県本部、同兵庫県本部の新春年賀会にそれぞれ出席し、あいさつした。このうち大阪府本部の新春年賀会で山口代表は、公明党が掲げる『地域主権型道州制』について、『国の統治機構を大きく変えるものであり、将来の国の形として実現したい』と主張。その上で、大阪維新の会がめざしている大阪都構想に触れ、「目標を同じくするという前提で府民、市民の皆さんの気持ちをどうやって一つ一つ実現していくかという点でお互い協力し、議論を尽くしていきたい』と述べた。佐藤しげき党府代表(衆院議員、次期衆院選予定候補=大阪3区)は、『公明党らしい建設的な意見を出し、二重行政の弊害を解消したい。地方自治法などの法改正についても積極的に議論を進める』と強調した。(中略)また、来賓の松井一郎府知事、橋下徹大阪市長、小池俊二・日本商工連盟大阪地区代表があいさつした」

・同「新春年賀会での来賓あいさつ(要旨)」

 「力合わせ「大阪の再生」を 松井一郎・大阪府知事

 日本の国、行政の姿を変えていかねばならない。地方主権の言葉の意味をしっかりとらえ、実際に行動に移すのがわれわれの役割だ。

 昨年、橋下市長と共に“ワン大阪”を掲げ、ダブル選を戦い勝利した。今年は『大阪を再生してほしい』という府民の願いを実現させる第一歩にしていきたい。

 公明党は、府議会でも市議会でも絶大な力を持っている。その力を大阪の再生のためにつなげてほしい。公明党の知恵を貸していただきたい。私は公明と共に一緒になって大阪を変えていきたい」

 「公明の理念実現に協力 橋下徹・大阪市長

 先日、東京に伺った折、山口代表はじめ公明党の皆さんから、大阪市長、府知事のダブル選挙で示された大阪の民意の方向へ、できる限り協力すると言っていただき、これほど心強いことはない。

 蕫百年戦争﨟といわれた府庁と市役所の枠組みを取り払って一体的に政治と行政を動かしている。これが『大阪都構想』だ。

 日本の統治機構を変えるためには、公明党が掲げる地域主権型道州制を実現しなくてはならない。本気で実現しようと思えば、大阪都構想くらい実現できなければいけない。その上で大阪維新の会代表として、来るべき国政選挙でわれわれができることを精いっぱいさせていただきたい。国の形を変えるという公明党の理念に、協力させていただきたいと思う」

 

 ※先の大阪市長選挙で、創価学会・公明党は自主投票を貫き、実質的に橋下氏と大阪維新の会をバックアップした。

  その狙いは池田大作氏のカリスマの源泉で、創価学会にあって長く「常勝」といわれた関西・大阪の地で、再び衆議院小選挙区で議席を奪還することにあると見られている。周知のように平成21年8月の衆院総選挙で公明党は大阪の4選挙区・兵庫の2選挙区を含む小選挙区8候補すべてが落選した。その失地回復をいまもっとも追い風にのっている大阪維新の会と手を組むことで果たそうというのである。

  具体的には、北側前幹事長など公明党の候補が立つ大阪・兵庫の6選挙区に大阪維新の会は候補を立てないかわりに、創価学会・公明党が他の選挙区の大阪維新の会の候補を支援するものと見られている。

  そうした背景を1月23日付「日刊ゲンダイ」は、「公明票800万が動くのか」と題して次のように報じている。

 「『国を動かしていこうじゃありませんか』――と先週末、後援会パーティーで『国政進出」をブチ上げた大阪市長の橋下徹(42)。大阪維新の会は、衆院選で300人近くを擁立し、200議席を目指すという。

  これまで橋下徹は、『近畿一円で候補者を擁立する』と50人程度の擁立は口にしていたが、一気に“全国制覇”に舵を切った形だ。民主党や自民党は、『カネもないのに全国政党をつくれるはずがない』と冷ややかだが、橋下市長は自信満々。

  自信を強めているのは、創価学会・公明党と“商談”が成立したからと専らだ。

 『橋下徹が早い段階から国政進出を考えていたのは間違いありません。ただ、関西以外で候補者を立て、大量当選させるのは難しいとみられていた。ところが、創価学会・公明党と“選挙協力”することが確定し、状況がガラッと変わったといいます。創価学会との間をつないだのは、橋下市長のアドバイザー役、堺屋太一です。

  創価学会の幹部と昨年2回会談し、選挙協力することで話をつけたといいます。創価学会の最重要課題は、小選挙区から出馬する9人全員を当選させること。とくに大阪の4選挙区から立候補する4人は絶対に当選させたい。そのためには、維新の会の協力が不可欠。そこで、公明党候補が立つ選挙区に維新の会は候補を擁立しないが、その代わり他の選挙区では、創価学会が維新の会の候補者を応援するという“取引”が成立したとみられているのです』(政界関係者)

  実際、橋下市長は公明党の新年互礼会で『衆院選で協力させてもらう」とスピーチしている。公明票は全国に800万票、各選挙区に平均2万~3万票あるだけに、創価学会の全面協力が得られたら、維新の会は全国で十分に戦える。

  橋下市長は、首都圏では『みんなの党』、名古屋では『河村新党』とタッグを組むとみられている。橋下の強みは、選挙で勝てるなら、政策を度外視してどの政党とも手を組むことだ。このままではホントに100議席以上、取りかねない」

  もともと橋下市長と公明党そして創価学会は、橋下氏が府知事選に立候補した時から良好な関係にあった。橋下氏が府知事に当選した後、一時関係は悪化したが、橋下人気に便乗したい創価学会・公明党と、創価学会・公明党の組織力を活用したい橋下氏との間は魚心あれば水心の関係。公明党大阪府本部の賀詞交換会での橋下市長と松井府知事、そして山口代表らの挨拶には、そうした両者の下心、思惑が露骨なまでに現れている。

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創価学会批判勢力にカルト性があれば批判するは当然/平田文昭


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編集後記から

 あけましておめでとうございます。

 東日本大震災・大津波と人災の極みである原発事故に見舞われた一年が過ぎ、平成24(2012)年が始まりました。今年こそ穏やかな年であって欲しいと願うこと切ですが、元日早々、東北・関東を震度4の地震が見舞いました。

 昨年の東日本大震災以降、日本列島が地震の頻発期に入っているとの説が、専門家から出されており、東海地震に加えて東南海地震、さらには南海地震が連動して起こる可能性が指摘されている他、首都直下型地震の発生率のパーセンテージも引き上げられるなどしていますが、国民生活に重大な影響を及ぼす情報については、事実や真実を正確にしかも迅速に発表することが求められます。

 もっとも昨年末、政府は福島第一原発事故について「冷温停止状態」なる造語を使って、あたかも原発事故が終息に向かっているかのような発表を行いましたが、メルトダウンした核燃料がどのような状態であるかも分からないにもかかわらず、国民を欺罔するような終息宣言には、強い憤りを禁じ得ません。

 情報を開示せずに隠蔽し、体制にとって都合の良い情報のみを垂れ流すことで、世論を誘導し、国民を欺く。太平洋戦争の敗戦も、昨年の原発事故も、誤れる情報統制が招来したという点では同根といえましょう。

 小誌今号では、そうした情報統制が続けられている北朝鮮の金正日総書記が死去したことを受けて、北朝鮮との類似性を指摘される創価学会の今後を展望する特集を組みました。

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