6月号

6月号目次

閻魔帳

改憲阻止へ共産党を含む野党共闘 自公政権は「平成の赤狩り」で対抗川﨑泰資

特集/迫る2016参院選―宗教と政治

政教一体で闘争煽る創価の欺瞞性

信教と思想の自由侵す創価学会選挙 政教分離原則違反の政治力行使/柿田睦夫

「参院での自公過半数回復」のこの3年で突き進んだ「戦争ができる国・ニッポン」/古川利明

宗教法人・創価学会の「選挙活動」奇々怪々‼

宗教団体と政党の打算と思惑

日本会議、創価学会、統一教会(家庭連合)…参院選に向け安倍政権を支える各団体の思惑/鈴木エイト

安倍自公政権の批判軸となりうるのか野党共闘/藤倉善郎

連載

信濃町探偵団・拡大版──参院選に血眼の創価学会最新動向

ヨーロッパ・カルト事情220

パリの総合的犯罪予防治安計画とセクト対策(2)広岡裕児

執筆者紹介 バックナンバー一覧 編集後記

編集後記から

 伊勢志摩サミットのため来日していたアメリカのオバマ大統領が、原爆を投下したアメリカの現職大統領として初めて広島を訪問。原爆資料館を訪れるとともに、原爆慰霊碑に献花。17分にわたるスピーチを発表しました。アメリカ国内では原爆投下正当化論が根強い中で、広島訪問を決断したオバマ大統領には敬意を表したいと思います。またスピーチの内容も、たぶんに理念的でしたが、原爆の記憶の風化を危惧し、歴史を直視する責任と、核兵器のない世界を追求する勇気をもたなければならないと訴えた上での、「広島と長崎は核戦争の夜明けとしてではなく、道徳的な目覚めの始まりとして知られるだろう」との結びの言葉には、胸を打つものがありました。

 今後、大統領の任期が切れた後も、唯一の核兵器使用国の大統領だった人物として、核廃絶に尽力していただきたいものです。

 その一方で、安倍首相の演説は鼻白むものでした。小誌前号ならびに前々号の「閻魔帳」でも指摘しているように、安倍首相は平和主義を掲げ、戦力不保持を謳う日本国憲法下でも核兵器の保有と使用は可能と発言してきたばかりか、閣議決定まで行っているにもかかわらず、核兵器のない世界を実現するための努力をすることが「今を生きる私たちの責任だ」とは、どの面さげて、としかいいようがありません。

 そもそもオバマ大統領の次に安倍首相が演説する必要などあったのでしょうか。伊勢志摩サミットとともに、オバマ大統領の広島訪問を、自らの政権浮揚と、選挙対策に利用したとしか思えない一幕でした。

 その安倍首相は、来る参院選で憲法改正にむけて、参議院でも3分の2の議席を獲得することを企図しています。そして安倍首相を支える創価学会・公明党も、参院選勝利にむけて組織上げての選挙闘争を繰り広げています。

 小誌今号では、文字通り日本の命運を左右するであろう参院選を前にしての、宗教と政治の現実と、宗教団体と政党の動静や思惑について特集を組みました。

 小誌発刊の動機は、創価学会という全体主義的体質を色濃く持つ特異な宗教政治集団と、自民党が融合し、自由で民主的な国家・社会を変容させてしまうことへの危惧感に基づいています。

 いま、まさに日本は立憲主義に基づいた民主主義国家でありつづけるのかどうかの岐路に立っています。国民有権者には、特に宗教者には賢明な判断で、参院選における政治選択をして欲しいものです。

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特集①

特集/迫る2016参院選―宗教と政治

政教一体で闘争煽る創価の欺瞞性

信教と思想の自由侵す創価学会選挙 政教分離原則違反の政治力行使

柿田睦夫

ジャーナリスト

詭弁とスリカエの論法で

 参議院選挙を前にして創価学会がまたぞろ、珍妙な宗教・政治・選挙論を展開している。会員(信者)を選挙活動に駆り出すことを合理化するためだろうが、たとえば青年部機関紙「創価新報」4月20日号の幹部座談会――。

「選挙が近づいてくると、政治と宗教の関係について、騒ぎ立てる勢力があるが、もう一度、ここで確認しておきたい」

「そもそも、『政治参加の権利』は、憲法で全国民に等しく認められている。基本的人権の柱です」

「憲法でうたわれる『政教分離』の原則にしても、国民の『信教の自由』を保障するためのものです」

「『政教分離』の原則について、その眼目は、あくまで『国家の宗教的中立性』という点にある」

「あくまで、『国家権力が宗教に介入しないこと』であり、『宗教団体が政治活動や選挙運動することを阻害するものではない』ということですね」

「国会の場において、内閣の『憲法の番人』ともいうべき歴代の内閣法制局長官が、何度も明言しています。たとえば、1999年7月、当時の大森政輔長官は『(政教分離の原則は)宗教団体が政治的活動をすることをも排除している趣旨ではない』と国会で答弁している」

 この座談会記事の論理構成は、2008年10月に掲載された「創価新報」特集のほぼ完璧な焼き直しである。法制局長官の国会答弁でその論を補強する手法も同じ。集団的自衛権行使と安保法制は憲法違反だという歴代長官の指摘は完全に無視する一方で、ここでは「憲法の番人」とまで持ち上げるのだから、唖然とせざるをえない。

 いつものことながら、この宗教・政治・選挙論は、詭弁とスリカエに満ち溢れている。たとえば「全国民に等しく認められている」政治参加の権利は、国民個人の自由な意思として認められているのであり、団体を対象にしているものではない。団体が個人の自由な意思を無視して政治参加を強制することなど、「等しく認められて」はいないのだ。

 大森長官の国会答弁もその点に配慮して「政治的活動」と述べているのであり、「選挙活動」とは言っていない。いずれも典型的なスリカエの論法である。

「創価新報」はもっぱら憲法の政教分離原則とのかかわりで論を構成しているが、これも間違っている(もちろん政教分離原則という点でも大いに問題だが)。この問題は第一義的には信教の自由(憲法20条1項前段)、思想・良心の自由(同19条)の視点から検討しなければならないことなのだ。

 宗教団体は共通の信仰を持つ者によって組織されたものであり、構成員(信者)の思想・良心、つまり政治参加の意志や政党支持の自由などが一切問われることはない。信仰の強制力によって信者個人の政治信条に介入することなど、あってはならないことなのだ。宗教団体の選挙活動には常にその危険が内在している。

「支持団体」が候補者選任

 創価学会の現実はどうか。創価学会が選挙活動を「広宣流布の戦い」と位置づけているのは公知の事実である。公明党の比例区票を「広宣流布のバロメーター」と呼んだのは秋谷栄之助前会長(現最高指導会議議長)だ。創価学会は「日蓮大聖人の御遺命である世界広宣流布を実現することを大願とする」(会則第2条)団体である。つまり根幹的な信仰活動と選挙活動の一体化が教団の組織原則であり、これは組織として憲法19条を侵すことにほかならない。

 より具体的な事実を見てみよう。2012年まで創価学会本部職員だった男性3人が実名で掲載する「元創価学会職員3名のブログ」が、こんな事実を伝えている。

「学会本部は夏の参議院選挙に向けて、公明支援のための組織体制作りに躍起になり、その影響は現場組織にまで及んでいる。“安保(法制)を推進する公明を支援できない”との思いを表明する地区部長を正役職から外し、『会合で政治の話はするな』と口封じする事態まで起こっている」

「今の創価では『公明党がおかしい』と言えば村八分にされてしまう」

 政党支持の自由を表明すれば教団の役職から追われ、村八分にまでされるというのだ。宗教団体の選挙活動はこのように、信者の思想・良心の自由だけでなく、信者としての権利、つまり信仰の自由まで侵す危険を孕んでいる。「創価新報」は一般的な「政治参加」ではなく、自らの選挙活動をこそ真摯に検証すべきなのだ。

 政教分離とのかかわりはどうか。池田大作氏は1970年5月、言論・出版妨害事件を「猛省」し、政教分離を表明して「学会は公明党の支持団体ということになります」と述べた。メディアもそれを受けて創価学会を公明党の支持母体と呼んでいるが、本当にそうなのか。

「公明党と創価学会の関係は一体不可分だ。候補者は学会組織から選ばれ、国会議員ともなれば谷川(佳樹・本部事務総長)や婦人部の重鎮、坂口幾代ら最高幹部の面接を経て決まる」(『文藝春秋』2015年10月号)

 公明党は7月の参院選で、3年前の4選挙区に3選挙区を加え、過去最多の7選挙区に候補を出すと決めた。

「この方針が事実上決まったのは、先述した(15年)7月の創価学会最高会議だった。学会で選挙対策を一手に仕切る副会長の佐藤浩が、愛知、福岡、兵庫の各県を抱える方面長たちに対し、選挙区で新たに候補者を擁立するつもりがあるかどうかを問い質し、いずれの方面長も『やります』と答えたことから方針が定まった」(『世界』15年8月号)

「支持団体」どころか候補者選任まで創価学会が行っているのだ。これが政教一致でなくて何だろうか。宗教団体ゆえに非課税の教団施設を事実上の選対本部にし、教団資金から組織、人材までフル投入する選挙の実態も同じである。

政策決定から立法権にまで

 憲法の政教分離を定める条文は、国家の宗教的活動の禁止(20条3項)、宗教への公金の支出の禁止(89条)ともうひとつ、20条1項後段に「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」とある。憲法は国と宗教の双方に政教分離を求めている。

 いくつかの事実を見る。まず昨年の大阪都構想をめぐる住民投票前後――。

「水面下で動いたのは、東京の創価学会本部の副会長(広宣局長)である佐藤浩だった。……最近では、公明党国会議員の頭ごしに政府・自民党幹部と接触することも多く、政局回しでも重要な役割を果たしている」(前出『世界』)

 消費税「軽減税率」をめぐっては――。

「重要法案では菅官房長官が佐藤副会長と『落としどころ』を探っているとも言われている。(軽減税率では)佐藤氏が菅官房長官と連絡を取り、次期参院選の選挙協力拒否をちらつかせながら“財務省案の撤回”を要求した。公明党内では当初、山口代表、北側副代表ともに、財務省案やむなしという方針だったが、公明党幹部も引けなくなった」(『アエラ』1月25日号)

 政党間協議ではない。宗教団体の創価学会と首相官邸が直接協議をして政策を決めているのだ。選挙協力も「自公」でなく「自創」なのである。

 矢野絢也元公明党委員長が明らかにしているように、創価学会本部を右翼の街宣活動から守るための静穏地帯法改定、1990年~92年の税務調査から創価学会を守るための「ウルトラC」だったPKO協力法賛成など、創価学会の都合による立法権の行使という例も少なくない。

 これらの事実は憲法20条1項後段に触れていないかどうか。創価学会が唱える「政治参加の自由」とは徹頭徹尾、憲法違反の疑いが濃厚なのである。

柿田睦夫(かきた・むつお)フリージャーナリスト。1944年生まれ。業界紙記者などを経て1979年から「しんぶん赤旗」社会部記者。退「現代こころ模様」シリーズなどで「宗教と社会」の関わりを取材。葬儀や戦後遺族行政に関わるレポートも多い。『霊・超能力と自己啓発手さぐりする青年たち』(新日本新書、共著)『統一協会─集団結婚の裏側』(かもがわ出版)『現代葬儀考お葬式とお墓はだれのため?』(新日本出版社)『宗教のないお葬式』(文理閣、共著)『これからの「お墓」選び』(新日本出版社)『自己啓発セミナー「こころの商品化」の最前線』(新日本新書)『現代こころ模様エホバの証人、ヤマギシ会に見る』(新日本新書)など著書多数。

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特集/迫る2016参院選―宗教と政治

宗教団体と政党の打算と思惑

日本会議、創価学会、統一教会(家庭連合)…参院選に向け安倍政権を支える各団体の思惑

鈴木エイト

ジャーナリスト

 7月の参院選を憲法改正のラストチャンスと捉え、ひた走る安倍政権。下支えする各団体の動向を追った。

『日本会議の研究』が明らかにした日本会議の正体

 改憲という目的の下で安倍政権と一体化してきたのが日本会議とそのフロント団体だ。

 全国の書店やAmazon4月末に発売後、即完売となったのが著述家・菅野完氏が記した書籍『日本会議の研究』(扶桑社新書)だ。同氏が2015年2月から扶桑社系のWebメディア/HARBOR BUSINESS Onlineで連載してきた『草の根保守の蠢動』をまとめたもので、安倍政権に強い影響力を持つ謎に満ちた組織:日本会議の成り立ちや理念、運動主体などその“正体”を的確に暴いている。同書はAmazonのベストセラーランキングで発売前から1位を更新し続け、現在も上位にランキングされている。扶桑社には、同書が発売されてすぐに日本会議の椛島有三・事務総長から出版停止を求める内容証明が届き、数日後には同書内で取り上げた「重要人物」の代理人から法的文書が届いているという。

 菅野氏は、日本会議を「生長の家原理主義という特殊な思想を奉じる市民運動体」と表現、「日本社会全体の右傾化」という“風潮”の背景には同団体の存在があると分析している。日本会議の萌芽は70年代初頭、右派の宗教団体・生長の家の学生信者による右翼学生運動に始まる。日本会議の中核を成すのが元右翼学生闘士の椛島有三〈日本会議事務総長/日本青年協議会〉と衛藤晟一(参議院議員/首相補佐官)であり、他にも集団的自衛権を合憲と主張する官邸御用達の憲法学者・百地章、安倍晋三の筆頭ブレーンである伊藤哲夫・日本政策研究センター所長、そして高橋史朗・明星大学教授という「一群の人々」が連なる。これら旧:生長の家関係者による「インナーサークル」は、今日の安倍政権に対する強い影響力を持つにまで至ったのだ。現に教育基本法改正などで、その提言を法制化してきた“実績”もある。菅野氏は、椛島有三の『日本青年協議会』と伊藤哲夫の『日本政策研究センター』そして教団グループによる『谷口雅春先生をしのぶ会』が、政権を陰で支える生長の家原理主義者による政治運動の3つのラインと見る。

 これら日本会議に連なる面々の悲願である憲法改正は、自分たちが育てた安倍晋三が総理在任中にこそ成し遂げ得るものだとして、参院選に向けラストスパートに入っている。菅野氏は、安倍晋三の総理総裁在任期間と憲法改正に必要な期間を計算、そのタイトな政治スケジュールから、安倍は今夏の参院選に合わせて衆議院を解散し衆参同日選挙にするのではないかと予想している。本原稿執筆時点(5月下旬)では、安倍総理は衆参同日選を見送る公算が高いとみられているが、菅野氏の分析は至極的を射ていると言えるであろう。

政権の小判鮫・公明党=創価学会

 公明党を携え一貫して安倍政権に追従する姿勢を崩していないのが創価学会だ。「平和の党」を自任する公明党だが、戦争法案と指摘され組織母体である創価学会の内部からも反対の声が上がった安全保障法制関連法案を押し通す自民党に追従するなど、その政権にぶら下がるだけの姿に世間の目は冷ややかだ。安倍政権の小判鮫と揶揄される創価学会=公明党は参院選でも婦人部を中心に“活躍”するであろう。憲法改正については慎重な姿勢も見せる公明党だが、参院選を睨んだポーズに過ぎないとの見方が大半だ。

政治家工作に励む家庭連合(旧:統一教会)

 関連団体である国際勝共連合・世界平和連合・世界平和女性などを駆使し、自民党議員に食い込んできたのが統一教会(昨年8月「家庭連合」に改称)だ。3年前の参院選では、安倍晋三の同郷の候補者・北村経夫(元産経新聞政治部長)を当選させるため、安倍が同教団の徳野英治会長との間に密約を交したとも噂された。密約の存在を裏付けるかのように、北村は菅官房長官の手配で選挙運動期間中、統一教会の地区教会2箇所を極秘に訪れ礼拝に参加し講演を行なった。統一教会は全国の信者に対し北村への期日前投票を指示、北村は統一教会信者の組織票約8万票の上積みを得て当選を果たしている。これは全国比例区候補の北村の得票数の半数を超える数だ。組織票での北村当選の見返りは、教団本部への家宅捜索を阻止させることだと信者は聞かされていた。もしそれが事実だとしたら、安倍晋三の総理在任中に同教団本部が摘発を受けることはなく、組織は安泰だ。

 統一教会の保守への傾倒は、教祖・文鮮明が北朝鮮に抑留されていたことへの個人的恨みが根底にある。その恨みが反共産主義に特化し国際勝共連合の結成に至ったのだ。同連合の設立には安倍晋三の祖父である岸信介が深く関わっており、その系譜は安倍晋太郎~安倍晋三へ連綿と繋がっている。統一教会=国際勝共連合の反共主義路線は多くの政治家を取り込んできた。しかしながら教団内に於いて、天皇役の幹部信者が教祖・文鮮明に傅く儀式があることを統一教会系新聞「世界日報」の元編集長長・副島嘉和らが暴露し、同教団や関連組織を反共の同志と思っていた保守界隈から総スカンを食らったこともある。

 永田町周辺に於いては、勝共連合の政治家対策の担当者が美人秘書を連れて衆参両議員会館を練り歩く姿が目撃されている。世界平和連合は地方議員の後援会を結成し、事務所スタッフとして入り込むことで政治家を擁立してきた、その流れで国会議員にまで登りつめた者も少なくない。政治家にしてみれば選挙時に運動員や選挙事務所スタッフ、そして秘書まで無償で派遣してくれる統一教会は有り難い存在だ。キブアンドテイク、これら政治家とカルト教団は、互いの利益のため利用し合っているという構図だ。

 昨年8月、文化庁が長年拒んできた統一教会の名称変更を認可した背景には、同庁を所管する文部科学省の下村博文大臣(当時/現在は党総裁補佐)からの圧力があったとされる。「世界日報」には2013年から2014年にかけて3回も下村のインタビューや対談記事が掲載されている。同教団の名称変更認可当時、文部科学政務官だった山本朋広代議士も国際勝共連合や世界平和連合との関係が指摘されており、昨年10月に幕張で開催された名称変更式典には、文部科学委員を務める自民党の工藤彰三代議士が来賓出席し祝辞を述べている。

 2010年に勝共連合による支援指示文書が流出した山谷えり子(国家公安委員会委員長/内閣府特命担当大臣)も、やはり夫婦別姓に反対する国会議員として2001年、「世界日報」にインタビュー記事が掲載された。他にも稲田朋美(政調会長)、衛藤晟一(首相補佐官)、萩生田光一(総裁特別補佐/内閣官房副長官)、中川雅治(政調副会長/参議院運営委員長)など、安倍晋三に近しい複数の政治家が教団や関連組織のイベントで講演や来賓挨拶をするなどしており、安倍晋三や菅官房長官と親しげに写真に納まる教団関係者の姿もSNS等で確認されている。

「世界日報」や国際勝共連合の「思想新聞」などで展開される「ジェンダーフリー」「夫婦別姓反対」などの論調は安倍政権・日本会議という右派の主張と全く同一だ。但し、統一教会によるこれら主張の根底には、純潔教育から合同結婚式という歪な宗教教化への道程が潜んでいることを忘れてはならない。

メディアへの介入・干渉を許すな

 右傾化という同じ大きな流れの源流を成すこれら諸団体にはそれぞれの思惑があり、現政権の暴走を抑えるためには、これら諸勢力の真の狙いを見極め的確に批判し追及していくことが必要だ。

 安倍晋三ら右派政治家によるNHKへの番組改変問題。更に昨今の高市早苗総務相による放送法を曲解した歪かつ違法なメディア介入発言や、自民党の若手衆院議員大西英男によるマスコミ懲らしめ発言など、安倍晋三の周辺ではメディアに対し高慢な態度を採る政治家が目立つ。これら権力のあからさまなメディアへの介入を許してはならない。有権者の投票判断に際し適切な情報が行き届くようメディア関係者は襟を正すべきである。              (文中・一部敬称略)

鈴木エイト(すずき・えいと)ジャーナリスト。ニュースブログ「やや日刊カルト新聞」主筆。2002年から街頭でカルト団体の勧誘阻止パトロール活動を行っている。

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5月号目次

月号目次

 

閻魔帳

原水爆禁止宣言などどこ吹く風  核兵器保有・使用可能閣議決定に合意した公明大臣乙骨正生

 

特集パナマ文書発覚=日本のタックスヘイブンと創価学会

 

「パナマ文書」には出てこない「創価学会=池田大作の税逃れ」を斬る/古川利明

パナマ文書と日本のタックスヘイブン/浦野広明

「おお!パナマ」と「創価学会」の奇妙な関係/段 勲

隠れた補助金=タックスヘイブン/野田峯雄

 

トピックス

天に唾する「野党共闘」批判 自公「野合」vs.市民運動/柿田睦夫

トピックス

地下鉄サリン事件から21年 改めてひかりの輪の問題を問う/藤倉善郎

 

連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

ヨーロッパ・カルト事情220

パリの総合的犯罪予防治安計画とセクト対策(1)広岡裕児

 

執筆者紹介 バックナンバー一覧 編集後記

 

 

 

編集後記から

 4月14日以来続く「平成28年熊本地震」。被災された皆さまにお見舞いを申し上げます。震度7が2度起きるという前例のない地震。加藤清正が築城した名城・熊本城の瓦が落ち、石垣や櫓が崩れ落ちた無残な姿に、衝撃を受けた人も少なくないことでしょう。

「東日本大震災」から5年の節目を迎え、東北を中心に全国で追悼や復興の各種行事が行われたばかりであるにもかかわらず、またも生じた地震災害。日本列島は、各種のプレートと断層の上にあることはよく知られていますが、九州ことに熊本では今回のような大震災が生じるとの認識は薄かったようです。私たちは、地震災害はいつどこで起こってもおかしくないとの自覚と覚悟をもつ必要性があること、そして地震災害に備える必要性があることをあらためて痛感させられました。

 自民党そして公明党は、東日本大震災発生後の民主党政権の対応を激しく批判しましたが、今回の熊本地震に対する安倍自公政権の対応もはたして妥当なものであるかどうか。まだ継続中ではありますが、詳細な説明もなしに「異常なし」を繰り返す、まるで安全神話を復活させたかのような川内原発の安全宣言に、地震を奇貨としたとしか考えられないオスプレイの派遣、そして被災地支援に全力をあげるべき時だとの野党の要求を拒否してのTPP審議の続行と、安倍自公政権の対応はいただけるものではありません。

 そんな熊本地震の直前に被爆地・広島で開催されたG7外相会議。「広島宣言」に「核兵器は非人道的」という文言を入れることは叶いませんでしたが、各国外相が揃って原爆慰霊碑に献花し、原爆資料館を訪問するとともに、原爆ドームを見学したことは、核廃絶に向けての機運を高めるものとして期待されます。また、原爆を投下したアメリカの現職大統領が、初めて広島を訪問することが決まったとの報道も、とりあえずは原爆投下の正当化に固執してきたアメリカの堅い扉を開いたという点で評価・歓迎すべき事柄にほかなりません。

 その一方で、法理論上は日本国憲法下での核兵器の保有と使用が可能と閣議決定した安倍自公政権。もちろん公明党の大臣もこの閣議決定に合意しています。

 参院選が目前に迫っています。小誌は今後とも宗教と社会、宗教と政治に関する事実を追求し続けます。

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特集

特集パナマ文書発覚=日本のタックスヘイブンと創価学会

 

 

パナマ文書と日本のタックスヘイブン

浦野広明

立正大学法学部客員教授

 

 

「パナマ文書」は、中米パナマ共和国の首都であるパナマ市中心部あるモサック・フォンセカ法律事務所から漏れた機密文書である。この事務所は世界中にあるタックスヘイブンで、税逃れ法人の設立手助けをしていた。

 パナマ文書を入手した南ドイツ新聞と約80カ国以上の報道機関の記者が連携する「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)は、世界各地のタックスヘイブンに設立された法人約21万社に関する報道を始めた(2016年43日)。文書は1150万件という膨大なもので、世界の富裕層や政治家がおこなっている税逃れの実態を暴露している。アイスランドのグンロイグソン首相は、文書によって、タックスヘイブンを利用した資産隠し疑惑が浮上し、辞任を表明した(45日)。

 タックスヘイブン(tax haven)の日本語訳は「租税回避地」である。意図的に税を優遇(無税または極めて低い税率)して、企業や富裕層の資産を誘致している国や地域のことである。税逃れや資金洗浄(マネーロンダリング)の温床となっている。

 タックスヘイブンは、モナコ公国、サンマリノ共和国、英国領のマン島やジャージー島、カリブ海地域のバミューダ諸島、バハマ、バージン諸島、ケイマン諸島、ドバイ(アラブ首長国連邦)、バーレーン、香港、マカオ、シンガポールなどの国々でおこなわれている。タックスヘイブンの存在は近年、各国財政にも悪影響を与えており、情報開示や規制に向けた国際的な動きが強まっている。

 

 日本こそタックスヘイブン

 タックスヘイブンは他国のことではない。大企業や富裕層はタックスヘイブン日本において、白昼堂々と税逃れをしている。

 安倍首相は第183回国会における施政方針演説で、「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指します」と述べた(2013年228日)。冗談はほどほどにしてほしい。目指すどころか、今でも日本の大企業や富裕層は手厚い租税特別措置(優遇税制)によって、税負担が著しく軽減、ないしは完全に免除されている。

 租税は国家が国民の財権を強制的に取り上げるものである(財産権の侵害)。財界は「自由」(新自由主義)を誇示し、資本の自由、市場の自由、貿易の自由を強調する。大企業や富裕層は、自由権法理(国家権力に干渉されない権利)を振りかざし、財産権の自由(課税逃れの恩恵)を手に入れる。この優遇税制は庶民の重税と生活の犠牲のうえに進められる。

 国民本位の税制は、税の支払い方と税の使い方において憲法の精神を生かすことによってのみ実現する。

 税の支払い方について日本国憲法(憲法)が考える原則は、応能負担原則(応能原則)である。応能原則は各人が経済的な負担能力に応じて税負担をするという憲法14条の平等原則の、税負担における考えである。応能原則は、憲法14条に加え、13条(個人の尊厳・幸福追求)、25条(生存権)、29条(財産権)などの理念を活かすことで、実現する。

 また、税金の使途原則は、憲法が平和と生存権を重視しているのであるから、「全税を福祉社会保障に使う」ことが求められる。

 

 大企業・富裕層の税逃れ

 安倍政権は国際的企業間競争に打ちかつために法人税の減税を進めるとしている。2016年度税制改定では、法人税の税率(現行:239%)を、2016年4月1日以後に開始する事業年度から234%に、18年4月1日以後に開始する事業年度から232%に引き下げた。

 現行の法人税率は、原則として、239%の一定税率(2015年41日以後開始事業年度から)を採用している。いくら所得があっても一定率の税負担であるから、所得の多い大企業は税負担が少なくなる。応能負担原則からすれば、法人税であっても累進税率を採用すべきであろう。アメリカの法人税は累進税率を採用している。わが国でも所得税における7段階の累進税率(5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%)が最低限必要となる。

 日本の大企業は、各種の租税特別措置(優遇税制)によって、実際の税負担率は低い。大企業優遇規定の主要なものとしては次に掲げるものがある。

①受取配当等の益金(収益)不算入、②損金(費用)算入を認める引当金・準備金、③特別償却・割増償却、④法人税額の特別控除、⑤株式払込剰余金(株式発行差金)の益金不算入、⑥連結納税制度、⑦法人税の比例税率、⑧欠損金の繰越控除、⑨タックスヘイブン利用の海外子会社益金不算入、⑩消費税の輸出還付税

 これらの優遇税制によって巨大商社が実際に支払った税負担は、法人実効税率が35%から40%であった2010年度から2014年度までの5年間において、三菱商事(79%)、伊藤忠商事(22%)、三井物産(マイナス07%)と「ただ」同然だった(税制評論家・税理士の菅隆徳氏調べ。『税制研究』№69)。

 また、個人の所得税負担率は、所得が1億円を超えると下がる。その要因は株の売却・配当益に対する税制である。2003年度税制改定によって、上場株式の配当や売却益所得については、いくら所得があっても、わずか10%(所得税:7%、地方税:3%)課税とした(証券優遇税制の採用)。この10%の税率は2013年12月末で適用期限が切れ、141月から、税率を20%(所得税:15%、地方税:5%)に戻した(その他に復興特別所得税が13年から25年間所得税額に21%が上乗せされる)。戻したと言っても20%税率(租税特別措置法37条の10)自体が金持ち優遇であることには変わりない。

 

 税逃れを助長する公示制度廃止

 税制問題でしばしば槍玉に上がるのは宗教法人である。宗教法人の課税問題は、小規模宗教法人(小規模の寺社教会)と巨大宗教法人とを区分して考えなければならない。

 小規模宗教法人は大半が収益事業とは無縁であり法人税等が課されない。これをもって税金がかからないかのように見られがちだがそれは誤りである。住職、神主、牧師などは宗教法人の宗教活動に伴う収入から、給与を得て生活をしている。給与には所得税や住民税などが課されている。また、寺社教会の支出する各種費用には消費税が課されている。さらに、日本の税務行政は、「強きを助け、弱きをくじく」傾向が強い。小規模法人の些細な収入を「現物給与」に認定し、源泉所得税の追徴をしている例が散見される。

 矢野絢也元公明党委員長はつぎのように述べている。「公私混同問題は、まだいくらでも残されていた。例えば美術品問題がある。池田氏はお眼鏡にかなった美術品を世界中から買い集めていたが、購入は学会の会計だった…管理も曖昧で高価な絵画が、いつのまにか池田氏宅に飾られていたというようなケースもあったようだ」(『私が愛した池田大作』講談社)。

 このように法人役員が宗教活動とは関係のない支出を宗教法人の費用としている例がみられる(豪華な私邸、絵画の購入、私的な遊興費など)。これらこそ現物給与として課税すべきである。

 宗教団体が宗教活動に使う資産には固定資産税・都市計画税がかからない。宗教法人の施設が恒常的に選挙活動や個人専用の用に供しているとしたら、それはもはや「宗教法人がもっぱら本来の用に供する」施設とはいいがたい。そうした場合には、非課税の適用はない。

 落合博実氏(元朝日新聞編集委員)は、税務署の公示によって知った創価学会の収益事業に係る申告所得金額を発表している。それによれば2002年=約143億2000万円、03年=約181億1000万円、04年=約163億5000万円となっている(『徴税権力 国税庁の研究』文藝春秋)。この数字は公示制度があればこそ知りえた所得である。

 申告書公示制度は、所得税、法人税、相続税の申告書が提出された場合、その申告書に書いてある税額、課税対象金額が一定額を超えるものについて、税務署がその納税者の住所・氏名、税額などを一定期間公示するものであった。この制度は1950年に導入したもので、公示によって第3者のチェックを受ける効果を期待したものであった。

 自公両党は公示制度を2006年度税制改正によって廃止した。廃止により、政治家や創価学会の収益事業に係る申告所得金額などはまったく知る手立てはなくなった。

 公示制度は、所得税は所得税額が1000万円超、相続税は課税価格2億円超、贈与税は課税価格4000万円超、法人税では所得の金額4000万円超、が基準となっていた。

 公示制度は「国民の知る権利」の保障である。自公は公示制度を廃止して高額所得者である政治家や巨大宗教法人の「税逃れ」を探知する術を葬り去った。タックスヘイブンを助長する公示制度の廃止は一刻も早くやめるべきである。

 タックスヘイブンは地球的規模での課税からの自由に他ならないが、この「自由」は世界の圧倒的多数の民衆の生存権と対立する。このような基本的矛盾が長く続く道理はない。

 道理のない体制の展望に未来はない。未来に展望があるのは、巨大企業体に支配、搾取されている民衆の運動とその運動を支える理論である。

 

浦野広明(うらの・ひろあき)立正大学法学部客員教授、税理士。1940年生まれ。中央大学経済学部卒。朝日新聞等の新聞・週刊誌などへの執筆をはじめ、税務・会計に関して、全国各地での講演、裁判での鑑定・証言、新聞・雑誌・TVでのコメントなど幅広く活躍。著書に『現代家庭の法律読本』(岩波・共著)『これでいいのか税務行政』(あゆみ出版・共著)『Q&A納税者のための税務相談』『納税者の権利と法』『新・税務調査とのたたかい』(共に新日本出版社)『争点相続税法』(勁草書房・共著)など。

 

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信濃町探偵団

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

 

●東京各地に出没――健在誇示し選挙闘争を煽る大将軍

4月2日付「聖教新聞」「SGI会長と共に 新時代を創る」「威風堂々と師弟の桜道を」

「爛漫と 師弟の勝ち鬨 桜かな わが師・戸田先生の祥月命日を前に、師弟原点の地・大田区の文化会館で、懇ろに報恩感謝の勤行を行った(3月30日)。―中略―記念の月間を勇み走る、ふるさと大田の同志をはじめ、わが友の健闘を讃え、福徳と人材の花よ、咲け!そう祈って、“桜の城”の会館で、ピアノを弾いた。『さくら』『森ケ崎海岸』、そして先生と幾たびとなく歌った“大楠公”……。師匠を思えば、力は無限に湧いてくるのだ」

4月4日付「聖教新聞」「SGI会長夫妻――恩師を偲び品川文化会館へ」

「戸田第2代会長の祥月命日である2日、池田SGI会長夫妻は東京・品川文化会館を車で視察した。同会館は、創価教育学会発祥の地・時習学館に近く、戸田会長の広宣流布の魂を永遠にとどめる『戸田城聖先生 法難頌徳之碑』が設置されている。(中略)『法難頌徳之碑』を包むように開花した桜を愛でつつ、SGI会長は“創価の源流”の地で恩師の遺徳を偲んだ」

4月7日付「聖教新聞」「創立者・池田名誉会長――桜花薫る創価大学を訪問」

「創立者の池田名誉会長夫妻は6日、今月2日に開学45周年の佳節を刻んだ創価大学(東京・八王子市)を訪問した。満開の桜花が舞い、レンギョウ、ユキヤナギなど百花が咲き誇るキャンパス。創立者は車で『創大門』から『中央教育棟』へ、創大の田代理事長、馬場学長、短大の石川学長と懇談し、全国・世界各地から向学の決意に燃えて集った宝の創大生・短大生・留学生の出発を祝福さらに、全学生・教職員の健康と勝利を念願した。

 その後、創立者は『文学の池』や『周桜』などを視察し、世界市民を育てゆく人間教育の最高学府の大発展を心から喜んだ」

同「座談会 師弟勝利の旗高く」「師と心合わせれば無限の力が」

清水(女子部長)池田先生と奥さまは3月30日、師弟原点の地である東京・大田の文化会館を訪問されました。

 原田(会長)4月2日付の『新時代を創る』には、その心境をこう綴られています。『わが友の健闘を讃え……師匠を思えば、力は無限に湧いてくるのだ』と。私たちも日々、師匠と心を合わせ、その期待に応える決意で前進してまいりたい。

 永石(婦人部長)全国の友は今、新たな広宣流布の勝利を目指し、『仏縁の拡大』と『仏縁を広げる人の拡大』に全力で挑戦しています」

 

※昨年末に大田文化会館、そして今年1月には埼玉文化会館などを訪れたという池田氏が、またぞろ出歩いていると「聖教新聞」が報じている。「恩師」と持ち上げる戸田城聖会長の命日を前に、大田文化会館を再訪。友の健闘を讃え、また恩師を偲んでピアノを弾き、「師匠を思えば、力が無限に湧いてくる」などと、学会員に力の限り戦えと檄を飛ばしている。本紙前号でも指摘したことだが、大田や埼玉に足を運び、ピアノを弾く元気があるならば、3月11日になぜ東北に足を運ばないのか。お為ごかしのメッセージを送るよりは、生身の体を被災地に運び、肉声をもって被災した学会員を激励すべきだろう。それが本当に弾いたのかどうかもわからない、仮に弾いたとしてもおよそ人に聴かせるレベルとは言い難い演奏をもって健闘を讃えたとは、人を馬鹿にするにも程があろう。

 にもかかわらず祥月命日の4月2日には、戸田会長の頌徳碑があるという品川文化会館を訪問。さらに4月6日には、開学45周年を迎えた創価大学を訪問したと報じている。いずれの訪問報道にも写真記事はない。したがって公衆の前に姿を見せたとは確認できないが、一連の記事からは、池田氏の健康状態が以前よりは回復しているものの、しかし、まだ十全ではないことが分かる。平成19年の参院選に際して原田会長は、池田氏を「広宣流布の大将軍」と形容。池田氏と心を合わせれば大勝利間違いないと、参院選の選挙闘争に挺身する学会員の士気を鼓舞した前例がある。今回、池田氏が東京や埼玉に出没し、「師匠を思えば、力は無限に湧いてくる」などと託宣しているのも、これと軌を一にする戦術・作戦にほかならない。だが、平成19年の参院選で創価学会は、「めざせ広布の一千万」を合言葉に公明党比例区1000万票の獲得をめざしたが、結果は776万票と惨敗した。この776万票という得票数は、直前の平成17年衆院選での898万票と比べると約120万票、前回平成16年参院選の862万票と比較しても約90万票のマイナスとなる。

「大将軍」池田氏と心を合せた選挙闘争の結果は無残である。東北にも熊本にも足を運ぼうとせず、冷暖房の効いた快適な空間に身を置きながら、「師匠を思えば、力は無限に湧いてくるのだ」などという世迷言を吐く「永遠の師匠」に、馬車馬のように使役される学会員が哀れとしかいいようがない。早く目を覚ますことだ。ちなみに池田氏が投票に行ったという話は寡聞にして聞いたことがないことを付記しておこう。

 

●創刊65周年を大喧伝……阿諛追従する印刷会社

4月20日付「聖教新聞」「きょう本紙創刊65周年」「師弟の大哲学を未来へ」

「きょう20日、聖教新聞は創刊65周年の節目を迎えた。(中略)池田SGI会長と恩師・戸田第2代会長の手で誕生した聖教新聞。1951年(昭和26年)4月20日の創刊号以来、65星霜を経て、今や1万9000号を突破した。聖教新聞の歩みは、そのまま、民衆勝利の証しであり、広宣流布の栄光の歴史である」

同「池田SGI会長 随筆 永遠なれ創価の大城」「民衆厳護の言論王」「創刊65周年 世界に希望と勇気の獅子吼を!聖教と共に前進!勝利の大叙事詩を綴れ」

「聖教新聞は『人間主義』の旗を掲げる新聞である。災害時などには逆境の中で輝く人間の真価を、尊厳なる生命の宝として宣揚し抜いてきた。聖教新聞は、『立正安国』の言論城である。徹して民衆の側に立ち、正義と人道の連帯を広げる力となってきた。

 法華経には、地涌の菩薩の英姿を、『志固くして怯弱無し』『難問答に巧みにして 其の心に畏るる所無く 忍辱の心は決定し』と記される。まさしく聖教新聞は、この地涌の力用をもった言論紙なのである。

『信念』の新聞であり、『勇気』の新聞である。『智慧』の新聞であり、『対話』の新聞である。『慈悲』の新聞であり、『堅忍不抜』の新聞である。その言論力で、広宣流布の大誓願を完遂していくのだ!(中略)

 三災七難に負けずに、民衆の安穏と社会の繁栄、そして地球の平和を実現する。この人類の悲願へ、我らは自行化他の妙法を朗々と唱え、立正安国の挑戦を貫いていくのだ。いかなる災害や危機にも、断固と立ち向かう希望の大城が創価であり、その揺るぎなき言論の柱、民衆厳護の言論王こそ、聖教新聞である」

同「創刊65周年に寄せて 東日印刷(株)代表取締役社長 高梨一夫氏」「家族の如く強い聖教との絆」

「聖教新聞が創刊65周年の佳節を迎えられたことを、心よりお祝い申し上げます。東日印刷が聖教新聞の印刷を受託してから、はや60余年。日本最大級の新聞印刷会社へと成長したわが社の歩みが、聖教新聞の発展と軌を一にしてきたことは、論をまちません。

 社内ではよく、『“生みの親”は毎日新聞。“育ての親”は聖教新聞』と語られます。感謝の気持ちを忘れずに日々、聖教新聞の“最初の読者”との誇りを持って、社員一同、真剣に印刷業に取り組んでいきます。(中略)

 そんな数多くの変化があっても、一貫して変わらないものがあります。それは聖教新聞と東日印刷との『絆』です。工場が変わっても、設備が変わっても、その信頼関係は揺るぎないものです。なぜか、それはひとえに、池田先生の心配りのたまものであると確信します。

 先生はこれまで、2度にわたってわが社を訪れ、一人一人にねぎらいの言葉を掛けてくださいました。毎年、社員に“串”団子の差し入れを頂いておりますが、印刷現場で働く人の手が、インクで汚れていることへの気遣いなのでしょう。折々のそうした、こまやかな配慮に、感謝の思いは尽きません。社長室に、大切に掲げている一首の和歌があります。

東日と 家族の如き 聖教は 共に栄えむ 歴史を築きて』

 かつて池田先生が詠んでくださった、わが社の宝です。これからも、この歌を心に刻み、『絆』をより強くしていきたいと思います」

 

※五代会長に六代会長(当時・副理事長)・理事長・副会長らが、日蓮正宗僧侶に対する名誉毀損で断罪されたのは「聖教新聞」の座談会記事。この事実に象徴されるように、「聖教新聞」は、これまで創価学会に批判的なあるいは対立する人物や団体に対する誹謗中傷・罵詈雑言を繰り返してきた。そんな人権無視の「聖教新聞」が「人間主義」の旗を掲げた「民衆厳護の言論王」とは……。まァ事実の歪曲と手前勝手な自己宣揚は「聖教新聞」なかんずく池田大作氏の常套手段。いまさら驚くにはあたらないが。

 事実、創刊65年を迎えたという「聖教新聞」の発刊についても創価学会は、「池田SGI会長と恩師・戸田第2代会長の手で誕生した聖教新聞」と、あたかも池田氏と戸田氏の二人で創刊したかのように喧伝しているが、昭和26年4月20日の創刊時の「聖教新聞」の編集主幹は、入信わずか5カ月(昭和2511月入信)の石田次男氏。当時、池田氏は、戸田氏が経営していた大蔵商事といういわばマチ金の営業部長として、取り立て業務、それも債務者の布団を剝がしていったなどの逸話を残すほどの辣腕な取り立てや、資金調達に従事しており、「聖教新聞」の発刊にはほとんど関わっていない。それを「池田SGI会長と恩師・戸田第2代会長」と、あたかも池田氏を中心に「聖教新聞」が創刊されたかのようにアピールするのは、事実の歪曲と手前勝手な自己宣揚の典型例。

 それにしても興味深いのは、「聖教新聞」の創刊65周年を慶祝する東日印刷社長の阿諛追従。金を貰う身の辛さは分からぬではないが、「“生みの親”は毎日新聞。“育ての親”は聖教新聞」と(へりくだ)るとともに、かつて池田氏が詠んだ「東日と 家族の如き 聖教は 共に栄えむ 歴史を築きて」という和歌を社長室に飾り、「わが社の宝です。これからも、この歌を心に刻み、『絆』をより強くしていきたいと思います」と決意表明では、身も蓋もない。また池田氏は毎年、東日印刷に串団子を差し入れるとのことだが、インクで手が汚れているからの気遣いに感謝とは、恐れ入るしかない。

 この東日印刷社長の祝辞は、「聖教新聞」をはじめとする創価学会の出版物、そして「公明新聞」などの公明党の出版物の印刷を受注している新聞社系列の印刷所の経営陣のマインドを象徴的に示している。

 4月20日、パリに本部を置く国際NGO「国境なき記者団」は、2016年の「報道の自由度ランキング」を発表したが、日本は対象180カ国中72位と前年より11位ランキングを下げた。その主な理由は、特定秘密保護法の施行などにより、言論の自由が脅かされており、日本のメディアが安倍政権に対する批判を自主規制するなどしているとし、「問題がある」と位置づけている。このメディアの萎縮要因の一つが、創価学会によるメディアの金縛りであることを忘れてはなるまい。

 

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月号目次

閻魔帳

“核武装”の含みもたせる安倍政権支える創価・公明乙骨正生

特集東日本大震災・原発事故5年─再稼働を支える公明党&創価

「3・11」から5年──安倍自民党の原発再稼動を後押しする「公明党=創価学会」の大罪/古川利明

3・1ビキニ事件と原発行政「原子の火」「第三文明」の相関図柿田睦夫 

トピックス

原田会長が訪韓……揺れる「韓国SGI」の現状/段 勲

トピックス

野々村元兵庫県議だけじゃない 政活費不正くり返す公明党地方議員/本誌編集部

トピックス

活発化するカルトの偽装勧誘 狡猾手口への対策は?/鈴木エイト

トピックス

幸福の科学学園裁判、勝訴確定でも残るもどかしさ/藤倉善郎

連載

ヨーロッパ・カルト事情219

逆風の中、頑張る市民団体広岡裕児

信濃町探偵団──創価学会最新動向

執筆者紹介 バックナンバー一覧 編集後記

編集後記から

 東日本大震災・原発事故から5年の節目となった3月11日から2日後の13日、自民党は党大会を開催しました。来賓として党大会に出席した山口那津男公明党代表は、民主党から政権を奪還してから3年間、自公政権は、アベノミクスをはじめとする諸政策で実績をあげてきたと自画自賛。その上で、今夏の参院選(衆参同日選の可能性も)は「政治の安定を目指す戦い」だとして、自公両党で一致協力しての勝利を呼び掛けています。

 その自公両党は、来る参院選に統一候補を擁立しようとする野党共闘を「野合」だとして激しい批判を浴びせています。例えば自民党が作成した広報ビラ。そこには「野党統一候補=民共合作候補」との見出しがつけられ、野党共闘は「『理念なき民主党』と『革命勢力・共産党』の打算、選挙談合以外の何ものでもありません」と書かれています。

 しかしかつて自民党は、創価学会・公明党の政権参画を厳しく批判し、「この国の政治を特定の宗教団体に握られていいのか」との激しい反創価・公明キャンペーンを展開。創価学会もまた池田大作名誉会長の国会証人喚問を求める自民党に激しい批判を浴びせ続けました。そもそも憲法9条の厳護を掲げる創価学会そして公明党が、9条の改変こそを主眼とする安倍首相と手を握り、選挙での勝利を目的に常軌を逸した選挙協力を繰り返していることこそ「野合」としかいいようがありません。

 安倍首相を支える日本会議や神道政治連盟は、今夏の参院選を改憲のための試金石と位置づけており、創価学会も「広宣流布・立正安国」の総仕上げの戦いと眦を決しています。宗教と政治についての正確な情報を発信する必要性が、ますます高まっていることを自覚して、小誌は今後とも宗教と政治・宗教と社会に関する事実と真実を追究し続けます。

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特集東日本大震災・原発事故5年─再稼働を支える公明党&創価

「3・11」から5年──安倍自民党の原発再稼動を後押しする「公明党=創価学会」の大罪

古川利明

ジャーナリスト

稼動中原発の運転を差し止める異例の仮処分

 未曾有の被害をもたらした東日本大震災から、この3月11日でまる5年を迎えた。津波などで大勢の犠牲者が出た東北の真の復興は、まさにこれからだが、それに向けた最大の核と言うべきものは、「今後、次の世代にまでかかる廃炉作業」をも見据えた、東電・福島第一原発の爆発事故の後始末である。

 そうした折り、「3・11」の2日前の3月9日、大津地裁は、再稼動を始めたばかりの関電・高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止める仮処分決定を出した。稼動中の原発の運転停止を命じる司法判断がなされるのは異例のことだが、しかし、裏を返せば、福島第一原発事故の後始末が収束するメドもまったく立っていないなかで、安倍自公政権が、なし崩し的に原発の再稼動へ向けて邁進していることへの、国民の率直かつ、まっとうな疑念や不安に応えたものといえるだろう。

 大津地裁は、その仮処分決定の中で、13年7月から施行された原発再稼動にあたっての原子力規制委の新規制基準の甘さを厳しく批判している。端的に言えば、これは、そもそも「原発再稼動ありき」の基準であるがゆえ、首相の安倍晋三以下、政権首脳らが「世界最高水準」と自画自賛しているのとは裏腹に、実際には、その中身は「スカスカのザル」以外の何物でもない。で、その本質にあるものとは、このフクシマの原発事故をきっちりと捉え、それを厳しく反省、検証しようとしない怠惰であり、欺瞞である。

 例えば、この仮処分決定が出されるちょうど2週間前の2月24日、東電は「炉心溶融(メルトダウン)の判定基準」がマニュアルに記載されていたにもかかわらず、何と「事故発生から5年近く、それに気づかなかった」と謝罪している。マニュアルには「炉心損傷の割合が5%を超えていれば炉心溶融と判断する」との記載があり、爆発直後の段階で、その割合について、1号機55%、2号機35%、3号機30%であることを摑み、いずれも「炉心溶融」を引き起こしていたのだが、東電側はあくまでも「核燃料が傷付く状態を意味する『炉心損傷』でしかない」と言い張り、炉心溶融であると初めて公表したのは事故から2ヵ月後のことだった。この公表の遅れについて、当時、東電は「判断する根拠がなかった」と説明していたのである。しかし、マニュアルに記載があるのを見落としていたのはウソで、意図的にネグっていたというのが本当のところであろう。

隠蔽される「不都合な真実」

 このように、福島第一原発の事故においては、「事故の過小評価」というより、「事故実態の隠蔽」が至るところで行われているがゆえ、「イチエフの真実」というものが、国民の目にはなかなか見えてこないのである。

 大津地裁が出した高浜原発3、4号機の運転停止を命じた仮処分決定において、その「再稼動にあたっての新規制基準の甘さ」を指摘した中で、「使用済み燃料ピットの冷却設備も基本設計の安全性に関わる重要な施設として安全性審査の対象となるというべきだ」との文言が、さらりと入っている。

 じつは、事故を起こした福島第一原発の中で、最も損傷が激しかった3号機だが、建屋内にあった使用済み核燃料のプールでの爆発だった可能性が疑われている。原子炉内が空焚き状態になると、核燃料を包んでいるジルコニウムと水蒸気が反応して水素が発生し、水素爆発を起こすとされるが、「3号機のそれ」は、火山の噴火を彷彿とさせるような、垂直方向に300mも伸びる黒煙だったことを考えると、これは原子炉内で起こった水素爆発とは考えにくい(なぜなら、水素爆発では黒煙にならない)。つまり、プール内の水が減速材となり、使用済み核燃料が核分裂反応を起こし、臨界に達した結果、その高熱が水を気化させたことによる水蒸気爆発(=核爆発)の可能性を指摘している専門家もいるのである。

 それゆえ、大津地裁の仮処分決定で指摘しているように、「再稼動にあたっては、この使用済み核燃料プールの安全性審査」を絶対に外してはならないのだが、東電における事故原因の調査ではもちろん、それを受けて作成されているはずの原発再稼動の際の新規制基準からも、見事に抜け落ちているのである。要は「原爆と違い、原発の燃料である低濃縮ウランでも、自動制御による冷却が停止すると、例えば、使用済み核燃料プールのように、こんなにも簡単に大爆発を起こすという事実が明るみになってしまうと、長年培ってきた“原発の安全神話”が崩壊するため、何かと不都合である」ということであろう。

 さらには、現在、福島第一原発では、4基の原子炉を取り囲む形で、延べ1・5㎞、深さ約30mの凍土壁の建設が進められている。これは炉心溶融を起こした核燃料を冷やすため、毎日400tもの水を注入しなければならないことに加え、原発の地下30mほどのところには、地下水が流れており、これらが原発敷地内に入り込んできて、さらに海へと汚染水が流れていくのを阻止するためだとされている。

 しかし、この凍土壁はあくまで「ヨコ方向」の遮断だけで、「タテ方向」、つまり、「地下方向への汚染水の流入阻止」という発想がないのである。というのは、それぞれの原子炉の核燃料が、どういう状態になっているかを、正確に見極めようとしていないことから来ている。特に、圧力容器内にあった77tの核燃料すべてが格納容器に落下していると東電も推計している1号機については、こうした大量の核燃料が、鋼鉄製の格納容器の底をも突き破って、その下のコンクリート壁へと沈下し、チェルノブイリ事故における「象の足」と化していることも考えられるが、しかし、これについても、何ら想定しようとしないのである。

 ちなみに、福島第一原発のさらに下方の地下130メートル付近には、阿武隈山系を源流とし、太平洋の沖合5~10㎞付近で合流しているとみられる、かなり大きな地下水脈が存在しており、それを考えると、「タテ方向の汚染水対策」も急務なのだが、なぜかこれもまったく触れようとしないのである。

原発再稼動を黙認・後押しする「下駄の雪」

 さて、そこで、公明党、そして、創価学会である。

 この「3・11」に合わせて、公明党は「東日本大震災から5年──。寄り添い続けた軌跡」と題する『KOMEI(公明グラフ別冊)』を刊行しているが、そこでは「震災復興のために、公明党はここまでの奮闘努力を重ねています」という自己宣伝の集積で、震災復興の根幹にある「福島第一原発の事故の真実」を追及しようという姿勢は、皆無である。

 また、創価学会だが、3月12日付の聖教新聞には、池田大作のメッセージを載せているが、「妙とは蘇生の義なり」という日蓮の御書からの引用に続けて、「いよいよ東北魂を燃やし、凱歌の人生を勝ち開いていこうではありませんか!」と結んでおり、来たる夏の参院選に向け、学会員を鼓舞していると受け止められる内容に終始しており、こっちも脱原発への言及も含め、再稼動をはじめとする原発問題には、まったく触れていない。

 公明党は、「平和の党」「福祉の党」であるとともに、最近では「環境の党」としての看板を大きな謳い文句にしている。池田大作も、東日本大震災の翌年の12年1月のSGI提言でこそ、「原発に依存しないエネルギー政策への転換を早急に検討していくべきだ」と、脱原発をにじませる発言をしたが、しかし、それ以降は、さっぱりである。『KOMEI』の中で、公明党は原発事故発生直後の民主党政権の初動対応について、「遅い、鈍い、心がない」と指摘しているが、政権与党に返り咲いた今、その批判は、モロ、自分たちに突き刺さっていることを、しっかりと知るべきだろう。

 電力会社と財界の意向を酌む安倍自民党は、なりふり構わず、原発再稼動へと舵を切っているが、公明党(=創価学会)は、それにブレーキをかけるどころか、黙認し、後押ししている有り様である。

 一連の安保関連法案の成立に全面的に手を貸していることに象徴されるように、権力の座に居続けることが自己目的化し、今や「下駄の雪」として安倍自民党に追随するだけの存在に成り下がった彼らの欺瞞と大罪こそ、我々心あるジャーナリズムは、厳しく弾劾しなければならない。(文中・敬称略)

古川利明(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『デジタル・ヘル サイバー化監視社会の闇』『日本の裏金(上、下)』『ウラ金 権力の味』『「自民党“公明派”」10年の功罪』『「自民党“公明派”」15年目の大罪』(いずれも第三書館刊)など著書多数。

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●東日本大震災・原発事故5年の節目・

 選挙闘争を煽る「永遠の師匠」

3月8日付「聖教新聞」「東日本大震災5年福光の未来を共に第1回東北青年音楽祭」「池田SGI会長がメッセージ贈る 生命尊厳の希望の明日を」「宮城 岩手 青森 秋田 山形 福島から7000人が集う」「村井宮城県知事らも鑑賞」

「第1回『東北青年音楽祭』が6日、宮城・利府町に立つグランディ・21のセキスイハイムスーパーアリーナで意気高く開催され、東北6県から7000人が集い合った。これには池田SGI会長がメッセージを贈り、心から祝福。東北の若人が『生命尊厳の文明』の旗頭として、勝利に晴れわたる希望の明日を、不撓不屈の東北魂で開きゆけと念願した。村井嘉浩宮城県知事ら多数の来賓も参加し、東北の復興を誓う青年たちのステージを鑑賞した」

同「SGI会長のメッセージ 東北に青春凱歌は轟けり」

「世界に希望の虹を懸けゆく東北青年音楽祭の開催、おめでとう!今、私の心も、わが誉れの若き皆さんと一緒にあります。(中略)大災害の打ち続く世に『立正安国』のために戦い抜かれた日蓮大聖人が、熱い涙を流されながら、皆さん一人一人の手を取り、労い、讃えておられるでありましょう。(中略)この5年間、尊き尊き東北の友は、一日一日、その無限の生命の光を発揮してきました。そして、いやまして、東北の若人が心の財を積みながら、人類が願ってやまない『生命尊厳の文明』の旗頭となって世界をリードしてくれる未来を、私は展望しております。いな、確信しております」

3月11日付「聖教新聞」「池田SGI会長 随筆 永遠なれ創価の大城」「輝け『福光』の凱歌」「『冬は必ず春』を我らが実証 東北の負けじ魂はいよいよ厳たり」

「三月六日の日曜日、宮城・利府町の大舞台に、東北六県の若人をはじめ七千人が集い、春を呼ぶが如く第一回『東北青年音楽祭』が行われた。青年部・未来部による福光の凱歌と希望の調べ──その歓喜と感動は、私のもとまで明るく晴れ晴れと轟いてきた。皆それぞれの使命の場所で奮闘し、そして日本一の希望の拡大を見事に果たしての祭典である(中略)あらゆる苦難を変毒為薬し、大東北は勝った!(中略)

 過酷なる運命の烈風に晒された一人が、人間革命の翼を広げる英姿が、地域に社会に、どんなに勇気を贈りゆくことか。一人の『生命の宝塔』の限りない尊厳性に、万人が眼を開く。そこに『立正安国』の出発点もある」

3月12日付「聖教新聞」「311東日本大震災から5年 全犠牲者の冥福と被災地復興を祈念」「東北40会場をはじめ全国で厳粛に福光勤行会」「池田名誉会長、原田会長は総本部で」

「東日本大震災から5年──全犠牲者の冥福と被災地の復興を祈念する『福光勤行会』が11日、東北40会場をはじめ全国で行われた。池田名誉会長は総本部の創価学会第2別館でねんごろに勤行・唱題を行い、東北の同志にメッセージを送った。原田会長は、広宣会館で各部の代表と勤行」

同「名誉会著のメッセージ 妙とは蘇生の義なり 世界一の幸福勝利の春よ、来れ!」

「広宣流布と立正安国の総仕上げを担い立つ『地涌の旗頭』として、自他共に笑顔と喜びと福徳満つる天地を、断固として築き、広げていただきたいのであります。みちのくの我らは、いかなる苦難が立ちはだかろうとも、『苦楽ともに思い合せて』題目を唱え、『負けでたまっか』と、いよいよ東北魂を燃やし、凱歌の人生を勝ち開いていこうではありませんか!」

※東日本大震災・福島第一原発事故から5年の節目となった3月11日。被災地・東北を中心に各種の追悼行事が催される中で、創価学会も3月11日前後に、犠牲者の冥福や東北の復興を祈る音楽祭や勤行会を開催した。その音楽祭や勤行会には、池田大作名誉会長がメッセージを寄せている。慰霊や激励の文言が散りばめられてはいるものの、池田氏のメッセージの底意は、震災・原発事故が発生した当日にあたる3月11日開催の「福光勤行会」宛てメッセージにおける次のような一文に明白である。

「広宣流布と立正安国の総仕上げを担い立つ『地涌の旗頭』として、自他共に笑顔と喜びと福徳満つる天地を、断固として築き、広げていただきたいのであります」

すなわち来る参院選(衆参同日選挙の可能性も)の選挙闘争に、被災地・東北をはじめとする全国の学会員を動員しようということである。

 それにしても、音楽祭に東北各県の青年部員が参加したことを、「大災害の打ち続く世に『立正安国』のために戦い抜かれた日蓮大聖人が、熱い涙を流されながら、皆さん一人一人の手を取り、労い、讃えておられるでありましょう」とは、さながら「講釈師見てきたような嘘をつき」の類であり、宗教的ステージでの激励とはいえ臭気が強すぎる。

 周知のように創価学会は、会則で「日蓮大聖人」を「末法の御本仏」と位置づけているが、たぶんに理念的であり、多くの学会員にとって真に尊崇・敬愛する宗教指導者は、同じく会則で「永遠の師匠」と規定されている池田大作名誉会長にほかならない。すでに700有余年前に物故している「日蓮大聖人」よりも、現実に存在し同時性を有する池田氏に親近感を覚えるのは当然だが、創価学会では「師弟不二」という得意な宗教的理屈で、学会員に池田氏への信服随順と敬慕の念を強要しているのだから、それも当然である。

 そうであるならば、大震災・原発事故の被害にもめげずに音楽祭に集った若人を、熱い涙を流しながら、一人一人の手を取って労い、讃えるべきは、「日蓮大聖人」ではなく、生きている「永遠の師匠」の役割ではないのか。

 だが、その池田氏は東日本大震災・原発事故発生以来、一度も東北に足を運んでいない。先日、今夏の参院選で公明党候補が立つ選挙区中、最激戦区となる埼玉には、夫人とともに足を運んでいるのだから、東北に赴くことも不可能ではないはず。だが5年の節目にあたっても池田氏は東北に足を向けなかった。おそらく池田氏にとっては、東北の人々を激励するよりも、目先の参院選での埼玉選挙区の勝利の方が重要なのだろう。

 同様に池田氏は、メッセージにおいて甚大な放射能被害をもたらした原発事故についても一切触れることはなく、無視黙殺を決め込んだ。原発事故翌年の平成24年1月に発表した「SGIの日記念提言」では、「原発に依存しないエネルギー政策への転換を早急に検討していくべきだ」と訴えていたにもかかわらず、今日に至るまで池田氏は、原発の再稼働と輸出に腐心する安倍自公政権を批判することはない。原発事故から5年となる今年の「SGIの日記念提言」でも、原発問題に触れることはなかったが、いまだに福島第一原発の事故は収束のメドすら立たず、平成28年1月現在、福島県が発表した原発事故による避難者数は約10万人に及んでいる。にもかかわらず池田氏は脳天気にも「あらゆる苦難を変毒為薬し、大東北は勝った!」と宣言。参院選への闘争を煽っている。つくづく罪深い人物としかいいようがない。

●原田会長が韓国訪問

3月6日付「聖教新聞「原田会長ら韓国訪問団がソウルで李寿成元首相と会見」「元首相 不戦と人間愛の世界へ 池田先生の精神に学びたい」

「原田会長をはじめとするSGI韓国訪問団が5日、首都ソウルの韓国SGI本部を訪問。同日午後3時から同本部で韓国元首相の李寿成博士と会見し、約1時間にわたり、和やかに語り合った」「(李博士は)9912月には、東京・八王子市内で、池田SGI会長と出会いを結んだ。会見では、原田会長が、SGI会長の伝言を紹介した。SGI会長は伝言の中で、99年の出会いを述懐。李博士との有意義な語らいは、永遠の心の思い出となっているとの真情を伝えた。李博士は厚情に感謝し、『池田先生は民衆を愛し、目の前の“一人”を愛する方です。今の指導者たちが、先生の対話の精神に学べば、不戦と人間愛の世界を築くことができるでしょう』と強調した。(中略)原田会長は、李博士の韓国SGIに対する深い理解に感謝しつつ、今後も韓国の方々と、これまで以上に交流と友好を深めながら、確かな平和建設の歩みを進めていきたいと述べた」

3月7日付「聖教新聞」「韓国人口1300万人最大の行政区域京畿道から池田SGI会長に名誉道民証」「知事 対話の力で世界平和に貢献」

「韓国最大の行政区域である京畿道から、池田SGI会長に『名誉道民証』が授与された。対話による世界平和の建設と、文化・芸術振興への多大な貢献を讃えたもの。授与式は6日、首都ソウルにある韓国SGIの池田記念講堂で盛大に挙行され、京畿道の南景弼知事から、訪韓中の原田会長に『名誉道民証』が代理授与された。式典には元駐日大使の権哲賢氏、京畿文化財団の趙昌煕代表理事が来賓として出席」

3月9日付「聖教新聞」「316『広宣流布記念の日』を祝賀」「韓国躍動の全国幹部会 原田会長ら訪韓団が出席 ソウルの池田記念講堂で」

316『広宣流布記念の日』を祝賀する韓国SGIの全国幹部会が6日午後首都ソウルの池田記念講堂で盛大に行われた。これには、原田会長、笠貫SGI女性部長ら韓国訪問団が出席。池田SGI会長がメッセージを寄せ、韓国広布の躍進を心から祝福した。会場には、全土から3400人の代表が集い、金仁洙理事長、金殷瀾婦人部長らとともに、学会創立100周年の2030年へ、誓い新たに出発した。会合の模様は、同国内192会場に同時中継され、約4万人の同志が参加した」

「SGI会長は、見事な大発展を遂げた韓国の友を心から励まし、『今や、全世界が模範と仰ぐ、SGIの希望のトップランナーであります』とたたえた。そして、戸田第2代会長が平和と安穏と幸福を願った韓国の地で、『我らこそ「世界平和の柱」なり。「人間教育の眼目」なり。「民衆文化の大船」なりとの誇りも高く、自らの国土の広布をさらに進めていってください』と念願した」

3月10日付「聖教新聞」「原田会長慶南大学朴総長と会見」

「原田会長らSGI韓国訪問団は7日午後、韓国・慶南大学の朴在圭総長と会見。ソウルにある、同総長が創立した北韓大学院大学で和やかに語り合った」

※創価学会の原田稔会長が、3月初旬、韓国を訪問し、韓国SGIの幹部会等に出席するとともに、李元首相などとも会談した。突然の韓国訪問だが、原田会長は、一昨年来、インド、ヨーロッパと世界各地に足を運び、SGI組織への梃入れを図っているだけに、SGIの中で最大の教勢を誇る韓国SGIへの訪問は不思議ではない。

 原田会長・谷川佳樹主任副会長を中心とする現・創価学会執行部は、一昨年来、会則を変更し、本尊・教義の改変に着手するなど、創価学会の体制変革に腐心しているが、そうした変革の一環として、現在、任意団体として各国の組織に一部、自主的な運営が許されているSGI組織の中央集権化も図られているという。

 特に韓国は、第一次・第二次の日蓮正宗と創価学会の対立・紛争の過程で、組織が四分五裂。また韓国SGI内部での権力闘争・内部抗争も日常茶飯と伝えられる。それだけに早急なテコ入れの必要性に迫られていたと見られている。突然の韓国訪問の裏にはなにがあるのか、詳しくは本誌今号のトピックスをご参照ください。

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3月号目次

月号目次

閻魔帳

高市総務相の「放送波停止」発言は無謀川﨑泰資

特集稀代のトンデモ本・佐藤優著『創価学会を語る』を裁く

「言論人としての死」に値する佐藤優の「創価学会=池田大作」へのゴマスリ/古川利明

「前提」つけた議論の展開 都合の悪い事実は隠蔽・改竄柿田睦夫

売れ筋著作『創価学会を語る』の読後感段 勲

フランス人もびっくりの佐藤優著・池田大作礼讃本/広岡裕児

「外務省のラスプーチン」に手玉にとられる創価学会/乙骨正生

信濃町探偵団──創価学会最新動向

トピックス

民主・社民は柴田未来氏(石川選挙区)への推薦を取り消すべき/藤倉善郎

執筆者紹介 バックナンバー一覧 編集後記

編集後記から

 平成14年3月1日号を創刊号とする小誌は、読者の皆様のおかげをもちまして今号をもって創刊満14年を迎えました。通巻号数は242号、あらためてご購読に感謝申し上げます。

 創刊号の奥付にもあるとおり、少誌発刊の動機は、創価学会を母体とする公明党が、平成1110月に自民党との連立政権に参画したことにあります。

 すでにたびたび紹介しているところですが、昭和44年から45年にかけて創価学会・公明党による言論出版妨害の対象となった『創価学会を斬る』の中で、著者の藤原弘達氏は、創価学会・公明党という宗教的ファッショと自民党の中の右翼ファシズム的要素が癒着・結合した場合、日本の議会制民主主義は終わりになると、その危険性に警鐘を鳴らしました。残念ながら今日の日本の政治状況は、まさに藤原氏の予測通りになってきています。

 一昨年から昨年にかけて、多くの国民の反対の声を無視して集団的自衛権の行使容認、安保関連法案の成立を図った安倍首相は、今夏の参院選で自公両党とおおさか維新の会などの改憲勢力で3分の2の議席を確保し、悲願の改憲に突き進もうとしています。そのために安倍政権は、自らにとって不都合な報道を規制するために、放送法を恣意的に解釈しての電波停止に言及。マス・メディアへの圧力を強めています。

 そして安倍政権を支える創価学会・公明党は、集団的自衛権の行使容認・安保関連法案への賛成や、本尊・教義の変更についての内外の批判をかわし、組織の求心力を高めるために、いま、元外務省の主任分析官で作家の佐藤優氏の著作物を教材にしての理論武装をはかり、レーゾンデートル崩壊の危機を乗り越えようと腐心しています。

「創価学会は日本発の初めての世界三大宗教になる」「創価学会は公明党首班政権をめざすべき」と、その内容は驚くべきものばかり。詳しくは特集記事をご参照ください。

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