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2023年4月  

4月号目次

 

閻魔帳

「翻訳不能な真理言語」に基づく創価の統一地方選の罪禍/乙骨正生

 

特集/高市放送法言論弾圧問題にみる自公ファシズム政権と創価学会

 

創価学会(公明党)の批判封殺法/佐高 信

「放送法新解釈」という名のメディア規制を下支えする「公明党=創価学会」の言論出版妨害体質/古川利明

官界に内在する「総体革命の使徒」の危険性/山田直樹

 

トピックス

政治と宗教の歪んだ関係を徹底追及/段 勲

トピックス

幸福の科学・大川隆法死去 後継者問題とメディアの歪み/藤倉善郎

 

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

「公明党と創価学会」を考える(第42回)

「平成の政治改革」と公明党・創価学会(11)/平野貞夫

ナニワの虫眼鏡(第46回)

統一地方選前半が終了 大阪維新の最強は今後も続くのか/吉富有治

ヨーロッパ・カルト事情(296)

「エホバの証人」の輸血拒否は自由意思の表明ではない/広岡裕児

執筆者紹介 編集後記

 

 

編集後記から

これも地球温暖化の影響なのでしょう。桜の名所である九段・千鳥ヶ淵にも近い小誌編集部近辺の桜は、3月14日に開花し22日には満開となりました。ところが、それ以後、東京は連日、冷雨となったためか桜は散りやらず、4月に入ってもまだ名残の桜が楽しめるという異常に長い開花期間となりました。

その桜の時期と重なって今年は統一地方選挙が始まりました。前半の知事・道府県議選・政令市長・市議選は4月9日、後半の一般市町村長・市町村議会選は23日投開票となります。

昨年7月の安倍晋三元首相の銃撃死亡事件を端緒に、クローズアップされた自民党と統一教会(世界平和統一家庭連合)の関係をはじめとする政治と宗教の歪んだ関係は、国政ばかりか地方政界にも広く及んでおり、多くの地方議会の議員が統一教会と関係を結んでいたため、統一教会の政治的主張が各地の議会で陳情・請願として採択されるケースも現出しています。

そうした日本政治の負の側面を清算し、政界を浄化する第一歩の選挙が今回の統一地方選ですが、統一教会と蜜月関係にあった自民党、そして創価学会を組織母体とする公明党は、政治と宗教の歪んだ関係の清算が争点となることを極力避け、風化することを目論んでいます。そして多くのメディアも、そうした自公政権・自民・公明両党の思惑に沿うかのように、政治と宗教の歪んだ関係に対する報道は縮小するばかりです。

そうした中、東京都東村山市では、宗教と政治を考える連続シンポジウムが開催され、昨年8月・11月に続いて3月には小誌の常連執筆者である鈴木エイト氏が、統一教会問題について講演。小誌編集発行人と朝木直子東村山市議は、東村山市政・市議会における公明党の問題を中心に、政治と宗教の闇を剔抉しました。

国政に比べ地方政治のニュースをメディアが届けることはほとんどないため、地方議会の実態はブラックボックスと化しており、大半の有権者は首長や地方議会に関する正確な情報を持たないまま、選択を迫られる異常な状態に置かれています。その結果、投票率は下がり続け、その間隙を縫って公明党が議席を占め、自民党とともに地方議会で与党を組み、行政や議会を壟断する事態が続いています。こうした悪循環を解消するためにも、小誌は今後とも地方議会での動きを含めて、宗教と政治・宗教と社会の事実と真実を追及し、情報発信を続けていく所存です。

特集/高市放送法言論弾圧問題にみる自公ファシズム政権と創価学会

 

創価学会(公明党)の批判封殺法

佐高 信

評論家

 

言論弾圧に足並み揃える自民・公明

「地上波で、いま、創価学会を批判するのはサタカさんくらいですよ」

もう、4、5年前になるのか、TBS系の「サンデーモーニング」で横にすわった常連のコメンティターに私はこう言われた。CMタイムにである。

「あなたも批判しろよ」

私より若い彼にそう言いたかったが、黙ってその言葉をのみこんだ。

すぎやまこういちや渡部昇一が名を連ねる「放送法遵守を求める視聴者の会」が『産経新聞』と『読売新聞』にTBS系「NEWS23」のアンカーだった岸井成格を名指しで批判する意見広告を載せたのは2015年11月である。そのころから政権による極端な言論弾圧が始まっていたわけだが、言うまでもなくそれは自民党だけの責任ではない。連立政権を組んでいる公明党(創価学会)にも同じ責任があるのに、なぜかそれが見逃されている。

「地上波」云々で言えば、テレビに「創価学会」や「聖教新聞」のCMが目立つ。その影響で学会批判がしにくくなっているのだろう。

不気味な岸井への個人攻撃広告が載ったのは『産経』と『読売』だが、政権に批判的な『毎日』と『朝日』には創価学会は取り込み作戦に出る。

田原総一朗の『創価学会』(毎日新聞出版)が出たのは2018年。『AERA』に連載された佐藤優の『池田大作研究』(朝日新聞出版)が出たのは2020年である。

共に批判的でなく、田原の本の売れ行きを見て佐藤の本は初版10万分部でスタートしたとか。

それかあらぬか、私は2014年に池田大作ビイキの『サンデー毎日』編集長から15年続いた連載を突如ストップされた。潟永秀一郎という編集長にとっては私の池田批判は仰天するものだったらしい。

私は最初、『毎日』が『聖教新聞』を印刷しているために学会に弱いのかと思ったが、潟永の個人的事情だった。私の連載打ち切りは波紋を呼んでメディア批評誌『創』が取り上げたが、インタビューに答えている潟永が終始「池田名誉会長」と尊称をつけているのに、私は「池田大作」と呼び捨てで対照的である。

掲載されなかった私の池田批判を次に掲げよう。

〈猪瀬直樹を自民党や公明党の議員が居丈高に追及しているのを見ると、いささかならずシラケる。お前たちがこの欠陥候補を(都知事に)推したことを忘れるなよと言いたくなるのである。その公明党の支持母体である創価学会を大きくしたのは池田大作だが、学会はいま、問題の徳洲会と似た構造的危機を抱えているといわれる。

徳洲会は“創業者”の徳田虎雄を擁する徳田ファミリーと、徳田の側近だった能宗克行をはじめとする官僚群に割れ、能宗がファミリーの乱脈を告発する形で腐敗が世に出た。“中興の祖”の池田をかつぐ池田ファミリーと、池田の手足となって学会を拡大させてきた“実力者”との間に葛藤がある点が似ているのである。

池田は学会の創設者ではない。学会の初代会長は牧口常三郎であり、牧口は戦争中に治安維持法違反と不敬罪で逮捕され、獄死した。二代目の戸田城聖もやはり投獄されている。そうした歴史を考えるならば、学会は当然、“平成の治安維持法”といわれる特定秘密保護法に反対すべきだったのに、三代目の池田(現名誉会長)の下、賛成してしまった。

池田について、『仁義なき戦い』の脚本家、笠原和夫がこんな証言を遺している(笠原『昭和の劇』太田出版)。

「ちょっと池田大作のことを調べたことがありましてね。そうしたら、かなりひどいことをやってるんですよ。池田大作は青年部にいた前、財務を担当してたんですね。そこで、苦しい商店街とかあるでしょ? そこに金を貸して、返せなくなると、即刻、土地を担保に取っちゃうんですよ」

取った後に、新しい職を見つけてやったり店を開かせたりして学会に取り込んでいく。池田より1歳上で、観念だけでは生きられないという同じ戦後的人間の笠原は、それを「偉い」と思って映画化しようとしたがダメだった。

「要するに、観念でもって今さら宗教だなんて言うやつはおらんと。金だと。食うためにやるんだと。じゃあ、それを誰がやるのかという時、俺がやってやるよと出てきたのが池田大作なんですよ。宗教家なんていうのはみんな金貸しなんてやりたくないわけでしょ?それで返せなくなったら土地を取り上げるなんてことは一番汚い。要するに手が汚れる話なんですよ。それを誰がやるのかという時に、俺がやってみせると。それが池田大作の今の出世の基なんですよ」

池田に対するホメ殺しのような笠原の「礼賛」だが、要するに池田が支配者となったのは、キレイゴトによってではないということだろう。しかし、こうした過去は完全に消されて、偉大なる池田大作という神話が完成されている〉

以下略とするが、池田があまり発信しなくなった現在、池田の著作に代わるように学会員の間で『池田大作研究』の佐藤の本が読まれているらしい。

 

“卑しい集団”守る“言論封殺魔”

しかし、『佐藤優というタブー』(旬報社)という私の本を訴えたことでわかるように、いまや学会の守護神となった佐藤も学会と同じように言論弾圧的である。佐藤と戦った漫画家の小林よしのりは、それで佐藤を“言論封殺魔”と名づけた。

2008年の夏から秋にかけて、小林と佐藤との間で激しい応酬があった。

まず、小林が『SAPIO』に連載中の『ゴーマニズム宣言』で佐藤を言論封殺魔と呼び、「あちこちの出版社に圧力をかけて、自分への反論を封殺している。ミニコミの編集部にまで弁護士とともに押しかけ、岩波書店の一社員の批判まで封じ込め、『AERA』に書かれた自分の評伝も、気にくわなかったらしく、執筆者をつるし上げ、やりたい放題」と批判した。そして、「わしが『ゴー宣』で批判を始めたら、わしに対してではなく、小学館に圧力をかけ、訴訟を臭わせ、版権引き揚げを口にし、同じ雑誌内で連載してる者を批判してはならないなどと勝手にルールを押し付け、『SAPIO』に反論を書けばいいのに、漫画は非対称だから議論にならないと逃げ、とにかく『ゴー宣』で自分の批判をさせるなと、ねじ込んでしまったのだ! それ以後、わしはその男の批判を編集部から禁じられてしまった! ところがその男は、以降、新聞という『公器』で、わしの批判を何度も行っているのだ!」と続ける。

『佐藤優というタブー』で、佐藤は原発の推進広告に出て1000万円もらったのではないか(佐藤の申告によれば130万円はもらった)と書き、旬報社とともに佐藤から訴えられた私としては、小林の指摘を「さもありなん」と思う。そして、小林が「『言論封殺魔』は言論戦が恐いのだ。論理がないことがバレるから裏から謀略で批判を封じる。沖縄においてもアイヌにおいても、そのインテリジェンスがデタラメであることを、『ゴー宣』で暴露されるのを恐れている。堂々と正面から論理で戦えないのだ。卑怯者の腰抜けめ!」と決めつけているのに同意したくなる。

佐藤は『潮』の2021年5月号に載ったインタビューで、元法相の買収代議士、河井克行を応援したと告白している。

「広島三区の河井克行議員が金権汚職で逮捕されたことには、私にも責任の一端があります。外務省時代から面識があった縁もあり、私は河井氏の選挙で推薦人を引き受け、応援演説に行ったことがあるのです。私は軽々には推薦人を引き受けないことにしているのですが、河井氏が権力の魔性に取りこまれつつあるのを見抜けませんでした。

その責任を痛感しているからこそ、政治腐敗には絶対手を染めない斉藤鉄夫さんをいま私は応援しているのです」

しかし、自分の不明を反省しているなら、しばらく「応援」は控えるのではないだろうか。ところが、公明党熱烈応援団の佐藤は、すぐに公明党の斉藤(現・国交相)に乗り換えた。これでは「責任を痛感している」とは言えないだろう。

よく、野党が弱いと言われるが、野党であるべき公明党が与党にいて甘い汁を吸っていることがおかしいのである。批判に耳を貸さず、権力のおこぼれをもらい続けている公明党(創価学会)は限りなく卑しい集団である。(文中・敬称略)

 

佐高 信(さたか・まこと)評論家。1945年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。高校教師、経済誌編集長を経て執筆活動に入る。著書に『逆命利君』(講談社文庫)『安倍政権10の大罪』(毎日新聞出版)『総理大臣菅儀偉の大罪』(河出書房新社)『自民党と創価学会』(集英社新書)『池田大作と宮本顕治 「創共協定」誕生の舞台裏』(平凡社新書)『佐藤優というタブー』(旬報社)。共著に『世代を超えて語り継ぎたい戦争文学』(澤地久枝・岩波現代文庫)『お笑い創価学会 信じる者は救われない』(テリー伊藤・光文社知恵の森文庫)など多数。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

  • 政教一体=統一地方選の勝利を宗教的勝利と鼓吹し会員を扇動し続ける創価学会

・3月16日付『聖教新聞』「座談会 広宣流布大誓堂完成10周年 創価の凱歌を轟かせ(以下・座談会)」「誓いの『3・16』から 栄光の『5・3』へ」

「梁島(男子部長)(池田大作)先生は、3・16とは、『広宣流布の闘魂』を継承する日、『正義の王者の誇り』に奮い立つ日、『師弟不二の完勝』へ出発する日であると教えてくださいました。私たち青年は、師弟勝利の広布史を心に刻み、本年前半の戦いも、断じて勝利してまいります。

原田(会長)御聖訓に『よき弟子をもつときんば、師弟仏果にいたり』と仰せです。弟子の勝利こそが、歴史を開きます。“最後は断じて勝つ”との強き一念で、勇気の大前進をしていきましょう。そして、対話の大波で、栄光の『5・3』に勇進していきましょう」

・3月23日付『聖教新聞』「『絶対勝利の信心』で立て 原田会長を中心に各部代表者会議」

「第26回各部代表者会議が22日、原田会長を中心に、東京・信濃町の広宣会館で行われた。池田大作先生はメッセージを贈り、(中略)『広宣流布の大責任に立って悩み、苦しみ、祈り、戦うならば、大聖人の、南無妙法蓮華経の御命が湧いてこないわけがない』──この燃えたぎる『絶対勝利の信心』で心を一つに、仏法即社会の仰ぎ見る金字塔を打ち立てようと呼び掛けた。原田会長は、いかなる困難があろうとも、“信心で勝つ”ことが池田門下の使命と責務であると強調。広宣流布とは仏と魔の戦いであるがゆえに、さまざまな策動やデマを砕き、己心の油断や慢心を排するには『信心の利剣』以外にない。どこまでも真剣な勤行・唱題を根本に、皆で祈りを合わせ、信心の団結で、学会創立100周年を開く勝利へ前進しようと訴えた」

・3月30日付『聖教新聞』「座談会」「未来を開く師弟誓願の『4・2』 強情な祈りで自身の壁を破れ」

「永石(女性部長)師弟誓願の『4月2日』が、目前に迫りました。いよいよの決意で、さらなる対話拡大に挑戦し、『5月3日』を立正安国の凱歌で飾っていきましょう。

原田 池田先生は、戸田先生から託された全ての構想を、不惜身命の闘争で、実現してこられました。世界広布への壮大な道を開き、弟子に戦いの範を示してくださいました。池田門下の私たちも、絶対勝利への決意を、ますます燃え上がらせていく、誓いの『4・2』にしていきたいと思います。

永石 いかなる困難に直面しようと、どれほど大変な戦いであろうと、私たちには『法華経の兵法』があります。『異体同心の団結』があります。ここからが、本番です。

原田 御聖訓には、『いよいよ道心堅固にして』、また『いよいよ強盛の御志あるべし』と仰せです。栄光を勝ち飾るために、乗り越えるべき“壁”は、自身の胸中にあります。だからこそ、強き祈りで満々たる生命力を湧きいだし、勇気と確信の対話で、果敢に勝ち進んでいきましょう」

 

※1970年5月3日開催の創価学会第33回本部総会の席上、池田大作会長(当時・現名誉会長)は、会員の政党支持の自由について次のように明言している。

「当然、学会員の個人個人の政党支持は、従来通り自由であります。学会は日蓮大聖人の仏法、三大秘法の御本尊を信奉する宗教団体であって、政党支持については会員の自由意思に任せ、全く干渉するものではありません」

だがこの建前とは裏腹に、創価学会は独善的な宗教イデオロギーに基づく「立正安国の戦い」とか「法戦」などと位置づける選挙闘争に、宗教的言語を駆使して学会員を駆り立て続けている。

4月実施の統一地方選挙は、戸田城聖2代会長が岸信介元首相を日蓮正宗総本山大石寺の大講堂落慶法要に招いた「広宣流布記念の日(3・16)」から、「戸田会長の命日(4・2)」を挟んで、「池田会長就任記念日(5・3)」の間に行われることから、創価学会は統一地方選に勝つことが、一連のメモリアルデーを記念し、創価学会創立100周年を開く戦いだとして、「信心の勝利」を強調している。

地方自治の本旨を実現するために実施される地方議会選挙を、教団の私的利益や宗教的正当性の根拠に利用しようとする創価学会の姿勢が、厳しく問われるべきは当然である。

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