Forum21

Read Article

2022年6月

6月号目次

 

閻魔帳

「拡大の新記録」鼓吹の裏にある厳しい組織実態/乙骨正生

 

特集/沖縄返還50年から透けて見える創価・公明の欺瞞性

 

沖縄の民に犠牲を強いる、「権力の魔性との闘争」を放棄した平和の党/山本栄美子

沖縄復帰50年で「口先だけの平和創出」を相も変わらず唱える「公明党=創価学会」の欺瞞/古川利明

本土復帰50年と創価学会の本性/段 勲

 

トピックス

迷走する神社本庁の役員改選/橋本征雄

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

「公明党と創価学会」を考える(第32回)

「平成の政治改革」と公明党・創価学会(1)/平野貞夫

ナニワの虫眼鏡(第36回)

これも維新のおかげ!? 「美しくなった」といわれる大阪の街を検証/吉富有治

ヨーロッパ・カルト事情(289)

フランス大統領選を透かして見るウクライナ軍事侵攻と民主主義の形/広岡裕児

執筆者紹介  バックナンバー一覧 編集後記

 

 

編集後記から

小誌の発行日は毎月10日です。6月号発行の12日後の22日には、この国の行方を左右する参議院選挙が公示となります。

『日本をダメにしたB層の研究』(講談社)などの著作で知られる作家・哲学者の適菜収氏は、最新刊『ニッポンを蝕む全体主義』(祥伝社新書)で、「20世紀のナチスやソ連、現代では中国などが全体主義国家として挙げられるが、むしろ日本の症状のほうが深刻」だと警鐘を鳴らしています。

適菜氏はすでに2012年に刊行した『日本をダメにしたB層の研究』の冒頭で、「もうダメです。手遅れです。わが国は完全に危険水域を突破し、崩壊への道を進んでいます」と憂いていましたが、『ニッポンを蝕む全体主義』においては、さらに全体主義の病理が進み、もはや私たちに残されているのは、「精神の健康の維持と、諦めずに徹底抗戦すること」だと結んでいます。

紙数・行数の関係でその内容を紹介することはできませんが、こうした状況を生み出した背景に、思考停止した「大衆」が全体主義を招来・涵養したことを、適菜氏は哲学者のニーチェやハンナ・アーレント、夏目漱石など多くの先哲の主張・学説を引用して論証しています。

全体主義化の過程では、ナチス宣伝相のヨーゼフ・ゲッペルスが「嘘も100回言えば真実になる」と語ったように、職業的デマゴギーがデマと嘘で大衆を欺罔し扇動するとして、「職業的デマゴーグは最初から言葉の価値など信用していません。彼らの行動原理は勝つか負けるかであり、そこにモラルは介在しません」とも書いています。

池田大作氏を「永遠の師匠」に戴く創価学会の決めゼリフも、「仏法は勝負」であり、勝つためには手段を選ばず、デマと嘘を繰り返してきたことは小誌が20年にわたって報じてきたとおりです。その池田氏が創立した公明党は「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」という池田氏の指針を党是とし、「大衆政党」「大衆福祉の公明党」を掲げています。

まさに大衆をデマと嘘で欺罔してきた事例の一つをここに見ることができます。

5月15日は沖縄返還50周年の節目でした。では、池田氏や創価学会は沖縄とどう向き合ったのか。その一事からも創価学会の体質が明らかです。特集記事をご参照ください。

日本の国と社会の将来を左右する参議院選挙。賢明な判断をする一助に小誌が役立てば幸いです。

特集/沖縄返還50年から透けて見える創価・公明の欺瞞性

 

沖縄の民に犠牲を強いる、「権力の魔性との闘争」を放棄した平和の党

山本栄美子

研究者(宗教学)

 

現在も、犠牲を強いられ続ける沖縄の人々

1945年3月~6月、沖縄諸島において、米軍を中心とする連合国軍約55万人を相手に、約20万人の日本人死者を出すに至る地上戦が行われたのが「沖縄戦」である。最終的に司令部が自決し、玉砕した同年6月23日をもって戦闘が終結したと見なし、沖縄返還後の1974年、沖縄戦等の戦没者を追悼する「慰霊の日」が制定された。1981年、明仁皇太子(現上皇)は、沖縄戦終結の「慰霊の日」は、終戦記念日、広島の原爆の日、長崎の原爆の日とともに、「どうしても記憶しなければならない」日と表明されている。

しかし、県民の約4分の1が亡くなった沖縄戦の終結をもって、県民の苦しみが終わったわけではない。敗戦後27年の間、アメリカの直接統治下におかれ、アイデンティティを揺さぶられる複雑な期間を過ごすことを強いられた。沖縄返還後の今なお、日本の国土面積のわずか0・6%にすぎない沖縄の地に、在日米軍基地の約70%が集中していることを筆頭に、終戦から約77年の時を経てなお、戦争による犠牲を沖縄県民が強いられ続けていることを我々は決して忘れてはならない。

基地負担に限らず、さまざまな苦を沖縄県民に強いるもとになっているのが、「日米地位協定」である。この協定を根拠に、米軍所属者が関与する、あるいは米軍基地内で起きた事件・事故には、日本の法律が適用されず、その処理に日本の警察など公的機関が介入できない事例が未だ少なくない。そもそも沖縄の米軍基地削減ならびに基地の県外移設を実行するには、「日米地位協定」の見直しが大前提となる。

しかも、同じ第二次世界大戦敗戦国のイタリアやドイツは、大使館の土地以外の管理権を自国が保持できるよう改定にこぎつけたのに対し、「日米地位協定」は1960年の締結以来、運用改善のみで一度も見直しが行われていない。協定の不平等を訴える声が国民からあげられてきたにもかかわらず、協定は一言一句たりとも改定されておらず、自国の民に復帰した沖縄県民に忍従を強い続けているのである。これは、まさに日本政府の怠慢以外の何物でもない。

 

小説『人間革命』書き始めの地である沖縄

沖縄の地で、創価学会員による折伏活動が開始されたのは、アメリカ統治下における1954年(昭和29年)とされている(沖縄創価学会公式HP)。それは、戸田城聖第二代会長の時代で、日蓮正宗の外護団体としての位置づけで、創価学会が、宗教法人として認証をうけてから約2年後にあたる。全国的な教線拡大とともに、沖縄でも日蓮正宗創価学会の信者が増大していった。

1995年3月、沖縄県国頭郡恩納村にある創価学会の沖縄研修道場で開催された第一回沖縄県記念総会の席上、池田大作SGI会長は、「沖縄戦ほど『日本の権力の魔性』を雄弁に証明したものはない」と断言した。「なぜ、あれほどの犠牲者が出たのか」といえば、「日本の本土を防衛するため」の「初めから」の戦略によるもので、「沖縄の国土は本土のために『捨て石』にされ、『盾』にされ、『手段』にされたのである」とも語り、創価学会員を前に、次の主張を展開している。

 

「『権力の魔性』は、残酷である。そのことを一番、心の奥底で、肌身で知っておられるのが、沖縄の皆さまである。私が小説『人間革命』をこの地で書き始めた理由も、沖縄が一番『権力の魔性』によって苦しめられた国土だからである。小説『人間革命』は、民衆による〝権力の魔性との闘争〟を描く小説だからである」(創価学会沖縄青年部編『未来へつなぐ平和のウムイ(思い)』第三文明社、2016年)

 

「日本の権力の魔性」とは、当時の日本の軍事政権ら為政者をさしていると思われる。沖縄がもっとも「権力の魔性」によって苦しめられた国土であるが故に、「権力の魔性」と戦う「民衆」の側の人間として、「権力の魔性との闘争」をテーマとする小説『人間革命』の書き始めの地として沖縄を選定したと、池田氏は言うのである。

後に創価学会の沖縄研修道場内に建立された「人間革命の碑」の碑文には、1964年(昭和39年)12月2日に旧沖縄本部の一室にて、「戦争ほど、残酷なものはない。戦争ほど、悲惨なものはない」との書き出しで始まる小説『人間革命』の執筆が開始されたことの詳細が刻まれている。沖縄創価学会の人びとが、『人間革命』執筆開始の地であることを誇りに思い、池田氏が提唱した「権力の魔性」と闘うという理念のもとで、創価学会の信仰活動に励んできたであろうことは想像に難くない。

また、『人間革命』の続編である『新・人間革命』第13巻(2004年)には、「核も、基地もない、平和で豊かな沖縄になってこそ本土復帰である」との沖縄の人びとの思いは、「伸一の信念であった」との記述がある。この「伸一」とは言うまでもなく、池田大作氏のことである。その同著では、「核兵器や基地を沖縄に背負わせるとするならば、かつて沖縄を本土決戦の〝捨て石〟にしたことと同様の裏切り」であるとも記されている。

そうした池田氏による沖縄への言及に期待を寄せてきたのであろうか、沖縄における創価学会員の比率が全国と比べて高いことを示唆する興味深いデータがある。

2021年10月の衆院選における沖縄比例区の公明党の得票が、前回選挙(2017年)から2万865票増となる、12万9467票を獲得、過去最高得票を記録し、都道府県別で日本一の得票率(20%超)を達成した。さらに、沖縄県内41市町村のうち18市町村で、公明党が「比例第1党」となり、中でも、北大東島は、公明党の得票率が50%を超え、市町村別の日本一となっている(公明党公式HP)。つまり、沖縄県内での公明党支持者の多いことが判明した最新の選挙結果から、沖縄における創価学会員の比率も高いことが容易に推測できるのだ。

 

「権力の魔性との闘争」を放棄した公明党

しかし、現在与党政権にいる公明党の動きをみると、かつて池田大作氏が提唱した「権力の魔性との闘争」とは、まったく真逆の方向に舵を切っていることは誰の目にも明らかである。非自民・非共産連立政権の細川内閣で与党になって(1993年)以降、新進党に分党した時期や、民主党政権時代に下野した時期はあったものの、長らく連立政権として与党の立場を保持してきた公明党には、「日米地位協定」の改定を働きかけるチャンスはいくらでもあったはずである。

その改定に向けて一歩も前進できていないのは、「大衆とともに」の立党精神をかかげる公明党が、「権力」と闘うどころか、「権力の魔性」にとりつかれ、民に苦しみを与え続ける「権力」側にまわってしまったことの証左である。

しかも、公明党の国土交通大臣が、辺野古新基地建設の片棒を担いでいる現実がある。表面的には「民衆に寄り添う」ことを掲げながらも、池田氏が創立した公明党はもはや「権力の魔性」と闘う姿勢すらなく、民衆に犠牲を強いる「権力」側であり続けることに日々奔走しているようにしか見えない。

創価学会の実践の指標は、「日蓮大聖人が示した『広宣流布』と『立正安国』という理念」にあるとされている(創価学会公式サイト)。そもそも創価学会が、末法の御本仏と仰ぐ日蓮大聖人は、災難の起こりきたる原因を宗教的に解明し、権力にまかれることなく、為政者を諌暁し、「立正安国」の正義を唱えていた。それは、災害や争い、貧困、飢餓などのあらゆる苦しみは、その国土に住まう人びとの考え方、物事の捉え方、判断の仕方など、世の中の思想全般の歪みに起因するとの指摘であり、人びとが宗教の正邪を見極めるべきとの信仰的理念に基づく主張であった。

「権力」側にまわった公明党のあり方は、日蓮大聖人が示した「立正安国」の理念、つまりは創価学会の理念と、あまりにもかけ離れているではないか。与党の立場を保持すべく、立党精神や理念を曲げてでも、「権力」の側に居座り続けようとする公明党の存在の仕方の矛盾に、沖縄創価学会をはじめ、創価学会関係者はそろそろ気が付かなくてはいけないように思われる。

「選挙」は、現在では最も大事な創価学会の信仰活動の一つとされているが、組織から指示されるまま、自らの身をすり減らしてまで、日々「選挙」闘争に明け暮れる価値は、はたしてあるのだろうか。理念を実行に反映させない公明党を与党のままにしておくことが、池田氏が提唱した「権力の魔性との闘争」に叶うことになるのだろうか。全国の創価学会関係者は、よくよく熟考されることを、お勧めしたい。

 

山本栄美子(やまもと・えみこ) 研究者(宗教学・死生学)、東京大学人文社会系研究科研究員、非常勤講師(岡山大学・埼玉県立大学・文教大学、他)。1977年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。文学博士。『よくわかる宗教学』(ミネルヴァ書房・分担執筆)「和辻哲郎における真理の実践と哲学」(『宗教と倫理』第19号・宗教倫理学会)など。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

 

  • 参院選に向けて選挙闘争のボルテージを上げる創価学会

・5月12日付『聖教新聞』「常勝関西が大躍進大会 京セラドーム大阪に10万人が参加 関西広布70周年を凱歌で飾れ」

「関西の負けじ魂が燃え続ける限り、広布の未来は明るい。さあ、師と共に、今再び、立正安国の凱歌を!関西広布70周年を記念する『常勝関西大躍進大会』が10、11の両日、昼と夜の計4回にわたって大阪市の京セラドーム大阪で開催された。これには原田会長、永石女性部長、池田主任副会長、金澤主任副会長らが出席。大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、福井の7府県から、10万人の誓いの友が意気高く集い合った」

 

※6月22日公示・7月10日投票で本決まりの第26回参議院選挙に向けて、公明党の組織母体である創価学会が、全国各地で熾烈な選挙闘争を繰り広げている。

5月10・11日には、大阪市の京セラドームで「常勝関西大躍進大会」を昼夜4回にわたって実施し、10万人の「誓いの友」を集めたとアピールした。集会の模様を報じる5月12日付『聖教新聞』には、「さあ、師と共に、今再び、立正安国の凱歌を!」とあり、「立正安国、立正安世界を実現しゆく決意」を込めた「常勝関西青年部宣言」を行っているから、同集会が参院選に向けた関西の総決起集会であることは明々白々。

今回の参院選で公明党は選挙区に7人の候補を立て、選挙区候補の全員当選と比例区800万票の獲得を目標としている。しかし前々回の24回選挙で24年ぶりに議席を獲得した兵庫選挙区の状況は極めて厳しい。そこで創価学会は、兵庫選挙区での公明候補の当選を勝ち取るために、関西の総力を結集するためのデモンストレーションとして、大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山・滋賀・福井から異例の10万人の学会員を結集し、危機感を煽り、士気を鼓舞したのだろう。

下火になりつつあるとはいえ、コロナ禍に10万人の大集会を実施すること自体、兵庫選挙区での公明党候補の当選についての創価学会の危機感の投影といえるが、同時に10万人の動員力の誇示は、宗教団体の集票力・動員力が低下する中で、隙間風も見える連立与党自民党・官邸に対するデモンストレーションの狙いも指摘できる。

・5月14日付『聖教新聞』「本陣総東京が誓願の幹部会」

「萩本総東京長は、人類の宿命転換の時である今こそ、立正安国の大闘争に挑み、拡大の新記録を打ち立てようと呼び掛けた」

・5月23日付『聖教新聞』「兵庫の黄金柱が立つ」「東中央 西神戸 壮年部 原田会長が激励」

「広崎総兵庫長が、新しい力を結集しながら、団結固く執念の大拡大をと訴えた。

原田会長は、常勝関西の地で師の薫陶を受けてきた精鋭こそ、兵庫・神戸の壮年部であると強調。広布の勇将の誉れも高く、今こそ『誠実』と『確信』の対話を貫き、民衆を見下す勢力を打ち破る正義の勝利を満天下に示そうと呼び掛けた」

・5月26日付『聖教新聞』「常勝埼玉が躍進」「原田会長、長谷川理事長が出席し支部長・女性部長会」

「本橋総埼玉長、塩野同女性部長が無敵の団結と勢いと執念で、拡大の新記録をと力説した」

 

※定数6の参議院選東京選挙区での公明党候補の当選は確実視されている。

だが当選確実ということで手綱を緩めることは危険であり、比例区票の上積みにとってもマイナス。そこで東京選挙区の公明党候補の得票数が、98年の第18回参院選で浜四津敏子候補が獲得した97万1185票以来、減少を続けていることを踏まえて、「拡大の新記録を打ち立て」るべく「立正安国の大闘争」に挺身しろと、萩本総東京長は檄を飛ばしているのである。

この萩本氏は、東京選挙区で初議席を獲得した柏原ヤス氏の後を継いで立候補して当選した北条浩創価学会理事長の女婿。その意味では参院選への縁は浅くない。しかも萩本氏は、すでに齢80を超え来年に任期切れを迎える原田稔会長が、次期会長として有力視される谷川佳樹主任副会長の対抗馬と目しているとも伝えられる人物。仮にじり貧傾向にある東京選挙区で浜四津候補の97万票を超え、初当選時80万、再選時70万票台の竹谷候補を100万票の大台に乗せることができでもすれば、その評価は格段にあがり、新たなステージが見えてくる。萩本氏は「人類の宿命転換の時である今」などと、誇大な表現を用いて「立正安国の大闘争」に会員を駆り立てるべく叫んでいるが、その底意は一皮剝けばそんなものだろう。

誇大なデマゴギーで選挙闘争に駆り立てられていることに、創価学会員は気付くべきである。もし上意下達の全体主義的組織の中で思考を停止し、唯々諾々とデマゴギーを受け入れて選挙闘争に挺身、結果的に格差を拡大し軍備増強を図る自公政権を支えるとすれば、それはナチスの全体主義を批判したユダヤ人の政治哲学者ハンナ・アーレントが指摘する「凡庸な悪」への加担にほかならないのでは。

 

  • 公明党秘書に有罪判決

・5月24日付『毎日新聞ニュースサイト』「公明党元秘書に有罪判決 コロナ融資を違法仲介 東京地裁」

「貸金業の登録なく日本政策金融公庫の新型コロナウイルス対策特別融資などの仲介を繰り返したとして、貸金業法違反(無登録営業)に問われた公明党元衆院議員政策秘書、渋谷朗被告(61)に対し、東京地裁(丹羽敏彦裁判長)は24日、懲役2年、執行猶予3年、罰金100万円(求刑・懲役2年、罰金100万円)を言い渡した。ともに同法違反で起訴されていたコンサルタント業、川島裕被告(79)は懲役2年、執行猶予3年、罰金200万円(求刑・懲役2年、罰金200万円)とした。

渋谷被告は公明党の太田昌孝元衆院議員(60)の政策秘書を務めた。起訴状によると、両被告は共謀して2019年6月~21年4月ごろ、コロナ対策特別融資を中心に融資を希望する企業や個人に公庫の融資担当者を計87回紹介したとされる。両被告とも起訴内容を認めて謝罪し、執行猶予付きの判決を求めていた。

検察側は公判で、依頼を受けた公庫側は支店の課長クラスが融資希望者に速やかに面会するなどの「特別な対応」をしていたと指摘。両被告の紹介で計約23億5000万円の融資が契約され、企業側から手数料として川島被告に約2900万円、渋谷元秘書に約1060万円が支払われたと主張していた」

・5月24日付『THE SANKEI NEWS』「公明・石井幹事長『深くおわび』党挙げ再発防止徹底」

「公明党の石井啓一幹事長は24日、貸金業法違反罪で前公明党衆院議員の元政策秘書に有罪を言い渡した東京地裁判決を受け『誠に遺憾であり、決して許されるものではない。心から深くおわびする』とのコメントを発表した。『再発防止の徹底に党を挙げて取り組み、党所属の全議員と秘書が自らを厳しく律して信頼回復に努めていく』と強調した」

 

※遠山清彦元公明党衆院議員・元財務副大臣の貸金業法違反事件での有罪判決に続いて、太田昌孝・前公明党衆院議員の元政策秘書で、長く漆原良夫元公明党国対委員長の秘書を務めていた公明党秘書会の中心的存在だった渋谷朗被告に対する判決公判が、5月24日に東京地裁で行われ、丹羽敏彦裁判長は「議員秘書の立場を悪用した」として、懲役2年、執行猶予3年、罰金200万円(求刑・懲役2年、罰金200万円)を言い渡した。

これによって公明党のホープと言われた遠山清彦元衆院議員と、公明党秘書会の中心人物が引き起こした悪質な違法行為に、執行猶予が付いたとはいえ厳しい有罪判決が下されたことになる。

判決を受けて公明党の石井啓一幹事長は、同日、「誠に遺憾であり、決して許されるものではない。心から深くおわびする」「再発防止の徹底に党を挙げて取り組み、党所属の全議員と秘書が自らを厳しく律して信頼回復に努めていく」とのコメントを発表したが、渋谷被告に有罪判決が下った事実と、石井幹事長が「お詫び」のコメントを発表したことを、公明党の組織母体である創価学会の機関紙『聖教新聞』は一行も報じていない。

遠山元衆院議員の判決の際は、ニュース面でその事実と石井幹事長のコメントを『聖教新聞』も掲載したが、議員ではなく秘書なら報じる必要はないということか。

公明党は「政界浄化」を旗印とする「清潔な党」、「平和の党」、弱者を守る「大衆福祉の党」であるなどとして、7月10日投開票の参院選に向けて創価学会は眦を決して選挙闘争を展開しているが、その姿勢がいかに欺瞞的かは、渋谷被告の有罪判決を報道せず、遠山元衆院議員の支援責任を等閑視するその姿勢からも明らかといえよう。

Return Top