7月号目次
閻魔帳
安倍銃撃事件から1年‼ 遅々として進まない政治と宗教の関係是正/乙骨正生
特集/安倍銃撃から1年──変わらぬ政治と宗教の現実
「岸田の広島サミット解散」を封印した「公明党=創価学会」の組織防衛最優先の論理/古川利明
LGBT法と統一協会の思惑 「権力をもてあそぶ」自公政権/柿田睦夫
自民党との選挙区決裂で、八方ふさがりの創価学会・公明党/段 勲
トピックス
カルト問題への取り組みと党派性問題/藤倉善郎/藤倉善郎
- 連載
信濃町探偵団──創価学会最新動向
「公明党と創価学会」を考える(第45回)
「平成の政治改革」を考える(2)/平野貞夫
ナニワの虫眼鏡(第49回)
先延ばしになった総選挙 維新の公明党支配はどうなるのか/吉富有治
ヨーロッパ・カルト事情(299)
セクト(破壊的カルト)対策の再出発──市民団体の役割と評価/広岡裕児
執筆者紹介&バックナンバー一覧 編集後記
編集後記から
6月21日に通常国会が閉幕しました。
G7サミットという政治ショーによって支持率を高めた岸田文雄首相は、衆議院の解散総選挙に向けて前のめりの姿勢を見せましたが、「権力の私物化」を窺わせる“バカ息子”の「悪ノリ忘年会」や、相次ぐマイナカードの不祥事等で支持率が急落。解散総選挙を先送りせざるを得ないところに追い込まれました。
そして解散延期の要因の一つに、衆議院の定数是正に伴う「10増10減」で新設される小選挙区への候補擁立をめぐる自公の軋轢があったことは間違いありません。
5月25日の「東京における自公の信頼関係は地に落ちたと言える。東京における自公間の協力関係は解消する」との石井啓一公明党幹事長の発言は、自民党を揺さぶりました。もっとも5月21日付『朝日新聞』は、候補者調整の主導権は公明党ではなく創価学会が握っているとして、「佐藤浩副会長」が直接、自民党と交渉している事実を報じています。
解散総選挙を先延ばししたい創価学会が、候補者調整で自民党にいちゃもんをつけ、選挙での支援を棚上げすれば、岸田首相の解散戦略が狂う。そうした思惑があったことは間違いないでしょう。
国会会期末での解散がなくなった後、自公は歩み寄り、国会閉会後の6月27日、両党は「東京除く全国、相互推薦」(6月28日付『公明新聞』)で選挙協力について合意しました。
これで元のサヤに収まるものと自公両党の首脳そして創価学会首脳部は考えているかもしれませんが、予断は許しません。というのも6月17・18日実施の「毎日新聞」の世論調査の結果、自公政権の継続を願う声は17%にとどまり、不継続の67%を大きく下回ったからです。特に自民党支持層では「続けるべきだとは思わない」が6割を超えており、公明党候補が立つ小選挙区で、自民党支持者が公明党候補に投票する確率は決して高くはないと考えられるからです。仮に公明党候補のいる小選挙区に統一地方選で躍進した維新が候補を立てれば、多くの自民党支持者は維新候補に投票する可能性があります。
安倍銃撃事件から1年。政治と宗教の歪んだ関係の是正は遅々として進まない一方で、20年余にわたる自公関係には明らかに地殻変動が生じ始めており、創価学会・公明党の足元は大いに揺らいでいます。
特集/安倍銃撃から1年──変わらぬ政治と宗教の現実
LGBT法と統一協会の思惑 「権力をもてあそぶ」自公政権
柿田睦夫
ジャーナリスト
宗教イデオロギーに翻弄されるLGBT
通常国会の会期末(6月21日)が迫りつつあった6月8日、岸田文雄首相が突然動いた。衆議院の委員会審議にすら入っていなかったLGBT理解増進法案についてである。自民党安倍派の会合に出席していた萩生田光一政調会長に電話を入れた。維新と国民民主を取り込んで成立を急げという指示だったという。自民・公明の与党単独でない形にして成立させろということだ。
法案はすでに、自民党を含む超党派議員連盟によって議員立法として出来あがっていた。しかし、自民党内の「保守派」から横ヤリが入り、タナ上げされてしまっていたのだ。岸田首相も杉田水脈衆院議員を政務官に起用するなど「保守派」に配慮し、自らも同性婚について「家族観や価値観、社会が変わってしまう、極めて慎重に検討すべき課題」(2月1日、衆院予算委員会)と消極姿勢を崩さなかった。
そこへ飛び出したのが首相秘書官の性的マイノリティや同性婚は「見るのも嫌だ。(官邸)秘書官室もみんな反対している」という差別発言(2月3日)。追い打ちをかけたのが間近に迫ったG7広島サミットだった。日本を除くG7各国にはLGBT「差別禁止」の法律があり、同性婚を認める法的保障もある。にわかに、この問題に対する首相官邸の姿勢に注目が集まる。
首相は一転、自民党に法案の準備を指示。こうして国会には元の超党派議連案(立民・共産・社民が提出)と自公与党案、それに助け船を出す形の維新・国民案の3案が提出され、与党と維新・国民による修正協議を経て賛成多数でLGBT理解増進法が成立した。
超党派議連案にあった「差別は許されない」の文言は「不当な差別はあってはならない」に変更された。禁止されるべき差別の対象が限定的であいまいなものにされた。「不当な差別」の語は安倍晋三元首相が言い出したものだそうだ。
さらに「全ての国民が安心して生活できることになるよう留意する」の文言が加わった。自公案と維新・国民案の合体によって、少数派である性的マイノリティの立場を擁護するための法律が、多数派の「安心感」に留意する法律へと変質させられたのだ。
すべてのメディアが「変質」の元凶は自民党「保守派」だと伝えているが、これは正確ではない。もちろん天皇制を基軸とした旧来型の家父長的家庭論という概念や因習にとらわれた勢力が反対の中核にいるのは事実だが、これとは別に、ジェンダー平等論を阻止すべく動き続ける勢力がいる。統一協会(世界平和統一家庭連合)と、これにつながる政治家たちである。ジェンダー平等が統一協会の教義の根幹にかかわる、つまり教団の存立にかかわる問題だからだ。
「祝福」教義に反するジェンダー平等
統一協会の教義の基本は「祝福」と「万物復帰」。後者は霊感商法や詐欺的伝道を合理化する教えであり、「祝福」は人類救済の教えである。韓国の土着宗教にある「血分け」教義の流れをくんでいる。
教理解説書『原理講論』によればアダムとエバの時代、エバの不倫によって人類はサタンの血統となり、原罪を負うこととなった。戦争、犯罪やいさかいなどすべての不幸の原因がそこにある。神は最初、人類救済のためにイエス・キリストを送った。だがキリストは救済の途中で天上に戻ってしまった。そこで送られたのが文鮮明=再臨のメシアである。
人類を救済するにはサタンの血統を転換しなければならない。どう転換するか。選ばれた女性が文鮮明によって清められ(血分けされ)、その女性が指名された男性と結婚すれば初めて原罪のない子を産むことができる。こうして「血統転換」がなされ人類は救済される――。
これが「祝福」であり、それを象徴化したのが集団結婚(合同結婚)である。集団結婚により「祝福」家庭になっても子が生まれなければ救済されない。そこで「養子縁組」問題が発生する。
ジェンダー平等はこの「祝福」教義と正面から対立する考え方である。清められた女性が男性と結婚し子を産むことが救いの絶対条件だから同性婚や性の多様化などあってはならないのだ。その「家庭」論も同じ。男女の婚姻があり出産がなければ「真(まこと)の家庭」にはなりえない。それが自民党「保守派」の“嫁が子を産み家系を継ぐ”という家父長的家庭論との共闘関係を生む。自民党の公約である家庭教育支援法制定や自治体での支援条例制定運動に、勝共連合や平和大使協議会がオルグを派遣しているのも、この「祝福」教義によるからである。
もっとも統一協会と並ぶ強固なLGBTQ(性的少数者)への反対勢力となっている神社本庁を基盤とする神道政治連盟(神政連)の反対理由の根幹にも、宗教的イデオロギーがある。神政連は、2022年6月に自民党の神政連国会議員懇談会で「夫婦別姓 同性婚 パートナーシップ LGBT」と題する小冊子を配布。そこに同性愛とは「後天的な精神の障害、または依存症」「同性愛行為の快感レベルが高くてなかなか抜け出すことができないのは、ギャンブル依存症の人が沢山儲けた時の快感を忘れられず、抜け出せないのと同じなのです」とする楊尚眞・弘前学院大学教授(当時)の講演録を載せていたことから、激しい反発や抗議を受けたが、その姿勢に変化はない。
というのも神政連は、今年4月の統一地方選でも、LGBTQへの理解増進や選択的夫婦別姓制度の導入に反対することなどを求める公約書(政策協定書)を各自治体の候補者に送っており、7項目にわたる公約では、神道教義の核心にかかわる女性(女系)天皇誕生につながる「女性宮家」創設への反対論が掲げられているからだ。神政連と統一協会の利害関係がこうして一致する。
統一協会と自民党は「反共」でつながっているように見えるが、教団にとって反共は政治権力につながる「手段」。一方、ジェンダー問題は教義に直結する。だからこそ政権政党とその議員とのつながりを絶つことはできないのだ。
この間、統一協会は「家庭連合との関係断絶決議をしない」ことを求める陳情を各地の自治体に提出、「関係断絶」決議をした自治体を提訴するなど、世論の“逆風”に抗する動きを活発化している。一方、国会では昨年の臨時国会で積み残した細田博之衆院議長の釈明を封じ込めるなど、統一協会問題の「幕引き」が図られている。いずれもLGBT理解増進法を巡る動きと連動したものなのだ。
「袋小路」にはまる自公政権
岸田首相は法案成立率96・7%を誇ってみせた通常国会について、いつもは政権に遠慮がちなメディアに注目すべき2つのことがあった。一つは朝日新聞がずばり「権力をもてあそぶような首相」と書いたこと(6月22日付)。野党の批判は「『ご指摘は当たりません』と淡々と受け流す」一方で「時に政権寄りの姿勢を見せる日本維新の会や国民民主党の提案は丸のみして巻き込む」。そんな政治手法は「果たして丁寧な国会運営と言えるだろうか」と指摘した。
もう一つはトラブルが続出している「マイナ保険証」について。「朝・毎・読・産」の全国紙4紙がそろって社説(主張)で異論を唱えたことだ。とりわけ、いつもは政権寄りの読売・産経の指摘が手厳しい。「見直しは、今からでも遅くはない」(読売6月7日付)、「政府は一度立ち止まって」(産経6月10日付)と迫った。
岸田政権はそれでも立ち止まることも見直すこともしない。敵基地攻撃能力保有を前提とした大軍拡の是非も原発依存の低減から「最大限活用」の大転換も、人権にかかわる出入国管理法もまともな議論もなく数の力で「粛々」と成立させ、場合によっては公明党の参院法務委員長の力を使って強行採決させたり、維新や国民案を丸飲みする。まさに「権力をもてあそぶ」手法である。
党内基盤の弱い首相にとっては、そんな手法でしか存在感を示し得ないのだろう。そして、政権がどんな状況になろうともつながり続けざるを得ないのが公明党である。衆院選をめぐり東京で自民党に決別宣言したものの、結局は元のサヤに戻らざるを得ない。そんな袋小路から逃れ出す術も、今のところ見当たらないのだ。
柿田睦夫(かきた・むつお)フリージャーナリスト。1944年生まれ。業界紙記者などを経て1979年から「しんぶん赤旗」社会部記者。退職後「現代こころ模様」シリーズなどで「宗教と社会」の関わりを取材。葬儀や戦後遺族行政に関わるレポートも多い。『霊・超能力と自己啓発─手さぐりする青年たち』(新日本新書、共著)『統一協会─集団結婚の裏側』(かもがわ出版)『現代葬儀考─お葬式とお墓はだれのため?』(新日本出版社)『宗教のないお葬式』(文理閣、共著)『これからの「お墓」選び』(新日本出版社)『自己啓発セミナー─「こころの商品化」の最前線』(新日本新書)『現代こころ模様─エホバの証人、ヤマギシ会に見る』(新日本新書)、新刊に『創価学会の“変貌”』(新日本出版社)など著書多数。
信濃町探偵団──創価学会最新動向
- 原田会長・谷川主任副会長が相次ぎ南米訪問=ブラジル・アルゼンチン
・6月6日付『聖教新聞』「ブラジル中央会議を開催」
「ブラジルSGIの中央会議が3日午後、ブラジル池田文化会館で開かれた。(中略)原田会長は御聖訓『大悪は大善の来るべき瑞相なり』を拝読。世界宗教として大きく飛躍するときは今であると確信し、ブラジルに幸福の大連帯を築こうと呼び掛けた」
・6月7日付『聖教新聞』「世界広布の王者ブラジルが総会」「原田会長、音楽家のビエイラ氏らが出席」
・6月13日付『聖教新聞』アルゼンチン国立ミシネオス大学が池田先生に名誉博士号」
・6月14日付『聖教新聞』「アルゼンチン池田青年文化センター研修棟が新たに完成」
「アルゼンチンのブエノスアイレス州カニュエラス市にある池田青年文化センターの敷地内に、新たな研修棟が完成した。開所式は10日正午、谷川SGI副会長らアルゼンチン訪問団が参加して行われ、各地から集った700人のメンバーが祝福した」
・6月15日付『聖教新聞』「アルゼンチン国立サルタ大学から池田先生に名誉博士号」
・6月16日付『聖教新聞』「アルゼンチン青年部が1万人の平和サミット」「池田先生がメッセージ 新たな『広宣流布』即『世界平和』の暁鐘を」
・6月19日付『聖教新聞』「アルゼンチン下院議会が池田先生を顕彰」「発議者のアロジョ下院議員、SGI訪問団が出席」「国会議事堂で盛大に授与」
「アルゼンチン共和国下院議会から池田先生に顕彰が贈られた。アルゼンチンSGIの地区結成60周年と池田先生の同国初訪問30周年を祝い、長年にわたる平和貢献をたたえたものである。(中略)谷川SGI副会長が池田先生の謝辞を代読した」
※G7広島サミット(5月19~21日)を受けて岸田首相自らが“解散風”を煽るとともに、衆議院の定数是正に伴う候補者調整のもつれから自公間の亀裂が露呈。公明党の石井啓一幹事長が「東京における自公の信頼関係は地に落ちたと言える。東京における自公間の協力関係は解消する」(5月25日)と発言するなど、5月末から国会の会期末(6月21日)にかけて政界は混乱、自公両党には激震が走った。
そうした混乱の渦中に、公明党の組織母体である創価学会の原田稔会長、そして谷川佳樹主任副会長が、相次いで日本を離れ南米を訪問していたことを聖教新聞が報じている。
今回の自公の軋轢の背景には、10増10減で新設される衆院小選挙区への公明党の強引ともいえる出馬があるが、そこには5月21日付『朝日新聞デジタル』が、「『軽く考えているのか』創価学会幹部が自民に迫る衆院選候補者調整」との見出しで報じているように、自民党に対する創価学会の強気の姿勢がある。同記事には原田・谷川体制下で、長く政治担当の任にある佐藤浩副会長の自民党に対する強面ぶりが次のように活写されている。
「石井氏の態度が物語るように、公明執行部に候補者調整の主導権はなく、支持母体の創価学会の強い意向を体現しているに過ぎないと自民党はみている。候補者調整の実権は、ある学会幹部が握っていると複数の自公議員が口をそろえる。
『佐藤浩副会長が交渉を進めている』
佐藤氏は、公明の選挙対策を実質的に取り仕切り、菅義偉前首相との間に太いパイプを持つことが永田町で知られている。公明幹部が『佐藤氏には逆らえない。言うことを聞かざるをえない』と語る存在だ。その佐藤氏が候補者調整の直接交渉に乗り出している。
2月上旬、東京都内のホテルで、佐藤氏と公明の西田実仁選挙対策委員長が、自民愛知県連幹部らと向き合った。議題は、新設される衆院愛知16区での候補者擁立についてだった。
『茂木さんとは年末に話がついている』
出席者によると、佐藤氏がそう切り出し、16区は公明が擁立することを認めるよう自民県連に迫った。
了承する意思のない県連幹部が『そうですか』と生返事を繰り返していると、佐藤氏は『愛知県連は公明党のことを軽く考えているんですね』。自民県連は、佐藤氏の要求をのまなければ、愛知の自民候補への公明推薦がなくなるという『脅し』と受け取った。
複数の自公幹部によると、佐藤氏は候補者調整の場で原田稔創価学会会長の名をあげて『会長の意向』『学会の総意』とも強調しているという。
2月下旬には、佐藤氏は茂木氏や自民の森山裕選挙対策委員長とも協議。茂木氏が『選挙区で擁立を進めても勝てなければ意味がないでしょう。自民党は号令を掛けたらみんなが動くという組織ではありません』と、各自民県連の納得や合意を得ながら候補者調整を進めることが必要だと説得したが、佐藤氏は16区と衆院埼玉14区で擁立を発表する方針だと伝えた」
佐藤副会長は「会長の意向」と発言しているのだから、上司にあたる原田会長に責任があるのは明白。にもかかわらず、自公の候補者調整・選挙協力の交渉が山場を迎える中で原田会長や谷川主任副会長が海外に出たのは、創価学会が直接、政治に容喙していることへの社会的批判や責任を回避する意図があると見られる。あるいは遠山清彦問題の処理過程で、佐藤副会長が定年を理由に本部職員を退職する形で責任をとったとされるように、仮に自公間の交渉が不調に終わった場合、その責任を佐藤副会長に押し付ける布石と見ることも可能だ。
もっとも原田会長は、5月には韓国を訪問している。「世界宗教」に向かって雄飛しているという創価学会だが、海外布教という点で一定程度の勢力を構築しているのは韓国とブラジルの二カ国のみ。原田会長の韓国訪問に次ぐブラジル訪問は、今秋に迎える総本部大誓堂創建10周年という佳節に向けて、「世界宗教」として発展しているというアリバイ作りの意味合いもあろう。
そしてSGI副会長の肩書でアルゼンチンを訪問した谷川主任副会長は、今年アメリカにも出張している。本誌325号は、今年1月26日の「SGIの日」に落慶したグアム池田平和文化会館の杮(こけら)落しに、原田会長・谷川主任副会長が出席する一方で、池田大作名誉会長の長男・博正主任副会長がSGI副会長であるにもかかわらず列席していないことなどを根拠に、SGIも原田・谷川体制で仕切るであろうことを示唆したが、その後の韓国・米国訪問と今回のブラジル・アルゼンチン訪問はその表れとも言える。
そして今年11月に任期切れを迎える創価学会会長職だが、今秋には衆院の解散総選挙が取り沙汰されていることから、不透明感が増している。参院選・統一地方選で得票数を減らし続ける創価学会が、自民党との軋轢を抱えたままで新人事に踏み切るとは考えにくい。おそらく緊急避難的に原田会長が続投するのが一番現実的ということなのだろうが、今回の谷川主任副会長のアルゼンチン訪問に責任回避の狙いがあるとすれば、仮に会長交代がある場合、谷川主任副会長が一番手であることをあらためて印象付けたといえるのでは。
- 「SPA!」を提訴
・6月21日付『聖教新聞』「『住民票移動』云々と事実無根の報道」「『週刊SPA!』を提訴」
「学会本部は20日、『週刊SPA!』が事実無根の報道で学会の名誉を著しく棄損したとして、同誌発行元の株式会社扶桑社と編集人らを相手に、損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて民事訴訟を提起した。
同誌6月13日号は『倉山満の知性のリング 言論ストロングスタイル』と題する記事の中で、“学会が会員に指示をして組織的に住民票を不正に移動させ、投票をさせている。学会には、『3カ月ルール』なるものがあり、住民票を移動した後、選挙権が生じるまでの3カ月間は連続して選挙をされては困る。そのため時の総理大臣が解散権を行使したければ、前の選挙から3カ月空けなければならない”などと全くの事実無根の報道をして、学会の名誉を棄損した」
・6月26日付『聖教新聞』「広宣流布大誓堂完成10周年 創価の凱歌を轟かせ 座談会」
「週刊誌を提訴『住民票移動』の悪質なデマ」
「田島(学生部長)さて学会本部は20日、“学会が会員に指示して組織的に住民票を不正に移動させ、投票をさせている”などと、事実無根の報道をした週刊誌を名誉棄損で訴えました。
西方(青年部長)過去にも、『住民票移動』云々の“作り話”を吹聴する人物やマスココミがいましたが、当然ながら、『いつ』『誰が』『どこからどこへ』移動したのかという明確な証拠を示せず、謝罪、撤回、訂正をしてきました。
“十年一日” どころか“六十年一日”の悪らつ極まりないデマです」
※創価学会が、『週刊SPA!』を名誉棄損で提訴し、謝罪広告と損害賠償の支払いを求めている。問題となっているのは同誌掲載の「『倉山満の知性のリング 言論ストロングスタイル』なる記事で、「学会が会員に指示をして組織的に住民票を不正に移動させ、投票をさせている。学会には、『3カ月ルール』なるものがあり、住民票を移動した後、選挙権が生じるまでの3カ月間は連続して選挙をされては困る」等と事実無根の虚偽報道で創価学会の名誉を傷つけたからだという。
創価学会は「住民移動」について、「事実無根」「作り話」と強調。「『いつ』『誰が』『どこからどこへ』移動したのかという明確な証拠を示せず」との主張を繰り返すが、1985(昭和60年)の東京都議会議員選挙では、定数減で自公が1議席を争う形になった中央区選挙区で、複数の江東区在住の創価学会員が東京都議選を前に中央区へ住民票を移動。中央区選挙管理委員会の調査で居住実態がないことが明らかになった20余名が選挙人名簿から削除された事実があることを指摘しておこう。