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2022年9月号

9月号目次

 

閻魔帳

憲法の『政教分離』の議論が急務‼ 予防線張る創価学会・公明党/乙骨正生

 

特集/カルト蔓延の日本の現状─統一教会そして創価学会

 

「カルトとしての創価学会=池田大作」を糊塗せんとする「NPT再検討会議への緊急提案」/古川利明

統一教会によるメディアへの圧力と自民党調査の欺瞞性/鈴木エイト

安倍氏暗殺事件の余波とカルト問題/藤倉善郎

旧統一教会の騒動で、宗教法人の「タブー」は破られるか/段 勲

 

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

「公明党と創価学会」を考える(第35回)

「平成の政治改革」と公明党・創価学会(4)/平野貞夫

ナニワの虫眼鏡(第39回)

日本維新の新代表が決定 代表選前からすったもんだの党内事情/吉富有治

ヨーロッパ・カルト事情(292)

安倍元首相射殺に考える、宗教・カルト・政治(2)/広岡裕児

執筆者紹介  バックナンバー一覧 編集後記

 

編集後記から

8月10日の内閣改造で、世界平和統一家庭連合(以下・統一教会)との関係を払拭したかのように装った第二次岸田内閣でしたが、統一教会と関係のあった閣僚7人を更迭したものの新たに任命した閣僚8人が統一教会と関係があることが発覚。

また内閣から外したものの自民党政調会長に横滑りさせた萩生田光一代議士が、先の参院選で東京選挙区から立候補して当選した元おニャン子クラブの生稲晃子参院議員を、公示直前に自らの地元である八王子市の統一教会施設に連れて行き、支援を要請したばかりか、過去に統一教会の「神の国」を作るために支援して欲しいと発言していたことなどが露顕。厳しい批判に晒されて内閣支持率が急落した岸田首相は、8月31日、統一教会との関係を「断絶」することを表明しました。

小誌は、安倍自公政権は創価学会と右翼系の宗教団体の集合体である日本会議、そして統一教会が下支えするいわば「カルト政権」であることを何度も指摘してきましたが、自民党は世論の統一教会への批判の高まりを受けて、その鼎(かなえ)の三本の足の一つである統一教会との関係を、とりあえずは見直すことになったわけです。

だが、その結果、招来される政治形態はどのようなものになるか。会員制情報誌『選択』9月号は、早くも「自民党で強まる『創価学会依存』『脱統一教会』で変わる自公連立」なる記事を掲載しています。

9月11日投開票の沖縄知事選に際して公明党は、辺野古新基地建設推進を明らかにした佐喜真淳前宜野湾市長を推薦。原田稔創価学会会長は告示5日前に沖縄入りし、佐喜真勝利を檄しています。統一教会との関係を断絶する自民党にとって創価学会への依存度は高まりこそすれ低下することはないようです。

その沖縄知事選で創価学会は、沖縄の国土を「三変土田」(娑婆を仏国土に変える意味)しようなどと訴えています。その意味は、自公と対立する「オール沖縄」が優勢な政治風土を変えようということと思われますが、この一事が示すように創価学会は、今後も自公連立体制維持のためになりふり構わぬ政教一致選挙を展開することでしょう。平野貞夫元参院議員は今号の連載で国葬の強行は亡国に繋がると喝破されていますが、自公の野合と癒着を看過することは亡国の道をひた走るに他なりません。

小誌は今後とも宗教と社会・宗教と政治の事実と真実を追究し続けます。

 

特集/カルト蔓延の日本の現状─統一教会そして創価学会

 

統一教会によるメディアへの圧力と自民党調査の欺瞞性

鈴木エイト

ジャーナリスト

 

安倍晋三元首相暗殺事件後、高まり続ける非難に対し統一教会(世界平和統一家庭連合)がメディアへの攻勢を強めている。一方、関係を持つ政治家が最も多い自民党の執行部は下がり続ける政権支持率を食い止めようと全所属議員へ調査用紙を配布。その欺瞞性を記す。

 

メディア報道に危機感

暗殺事件の背景に統一教会と政治家との関係があることが発覚して以降、メディア各局は連日、統一教会の起こしてきた社会問題や政治家との関係を報じられている。一連の報道に危機感を抱いた教団サイドが採った手段はメディアへの牽制・圧力だ。7月11日に行われた京王プラザホテルでの会見における田中富広会長の発言は、メディア報道の自粛を求めるものだった。

「メディアから心ない取材攻勢を受けている」

その後、各メディアは私が提供したデータや教団メディアの映像を独自に入手し放送。当初は黙認していた教団だが、ある映像が流れたことをきっかけとして著作権侵害を盾に映像などを使わないようメディア宛てに圧力をかけた。

その映像とは、昨年9月のUPF大規模オンライン集会への梶栗正義国際勝共連合会長による安倍晋三へのリモート登壇依頼だ。8月10日、TBS『報道特集』と『文藝春秋digital』が同時に放送・公開したのは、梶栗自身が安倍に直接暗殺のきっかけとなったビデオメッセージの出演依頼をしたことを明かしている昨年10月に撮影された動画だ。

UPFジャパンの説明は一貫して、安倍へのビデオメッセージはワシントンタイムズ及びUPFインターナショナルからの依頼とするものだった。それが覆ってしまう映像が公開されたことで、教団サイドは安倍暗殺の直接の原因が梶栗であり、日本の教団組織への更なる非難が噴出すると思ったのであろう。教団からのクレームは私にも及び、メディアへの教団映像提供について法的措置を取ると警告があった。

各メディアは著作権侵害を危惧しそれまで報じてきた教団映像を一切報じなくなった。報道目的での引用は何の問題もないはずが、メディアとしては一旦安全策を取ったということだ。

 

日本外国特派員協会での会見

それでもメディアの統一教会批判報道は収まる気配がなかった。次に教団サイドが行おうとしたのは海外メディアや国連を絡めた策動だ。

翌月、8月10日に統一教会は日本外国特派員協会(FCCJ)で会見。用意した文書を読み上げることに固執した田中富広会長への非難が噴出。質疑応答の時間が大幅に削られたことに各メディアからは不満の声が沸き起こった。

 

解散命令に及ぶことを危惧

田中会長には同情すべき面もある。というのも、この会見は韓国からの指示により行われたものだったからだ。指示を出したのは世界宣教本部の尹鍈鎬(ユン・ヨンホ)本部長。その狙いは、日本での統一教会に対する報道を止めさせ、日本法人の解散命令などに発展させないことだ。世界中に拡がる教団の摂理機関の運営資金はほぼ日本から収奪したお金で賄っており、解散命令にまで至ってしまうと資金調達が滞ってしまい、組織運営が成り立たなくなってしまうからだ。また尹は、国連に対し「日本の偏向報道により信者が深刻な人権侵害を受けている」と主張し、人権委員会から何らかのアクションを得ようとした。

宗教迫害を受けているとの支離滅裂な主張が通るとは思えないが、教団と国連には奇妙な関連がある。国連前事務総長・潘基文は統一教会に取り込まれており、2020年2月に韓国で行われたUPF主催国際サミットでは鮮鶴平和賞特別賞として5千万円が授与された。世界平和女性連合やUPFといった教団フロント組織が国連NGOの資格を有している背景には潘基文の影響があったと言われている。

韓国で日本人女性信者を中心に数百人が動員され、日本の「偏向報道」に抗議するデモ行進が行われたのも尹の指示によるものだ。

 

「異常な過熱報道に対する注意喚起」

次に教団が行ったのは「異常な過熱報道に対する注意喚起」なるプレスリリースを連発することだった。

8月21日の第一弾では、一連のメディア報道を「信教の自由を無視した魔女狩り」「名誉棄損」「人権侵害」と主張。信者が負った心的被害への謝罪を要求するという厚顔さを露呈した。メディアで報じられた元信者の証言への懐疑を示し、報道によって差別やヘイトが誘発され全国の教会への脅迫行為、信者の家庭では離婚騒動や親子断絶が起こっているという。政治家との関係においても「魔女狩り」「踏み絵」と非難。これまで各メディアが教団系イベントに密接にかかわってきたとし、「反社会的団体」として扱ってこなかったと主張。そしてやはり、法的手段を取ると警告している。

8月25日の第二弾では、「特定の報道機関による偏向報道が原因」として20代後半の女性信徒が自殺未遂を起こしたと発表。日本テレビの『24時間テレビ』において統一教会女性信者が「ボランティアスタッフとして関り、7年間番組ボランティアをまとめる中心的な立場で活躍」し、2014年には「世界基督教統一神霊協会能登教会」との番組テロップが流れたことを画像付きで示した。安倍元首相の暗殺事件までは「多くの報道機関から確かな信頼を受けて、番組つくりに協力し、密接に関わってきたことは疑いようのない事実」と鬼の首を取ったように主張するものだ。

これらの厚顔無恥かつ支離滅裂な主張に対して、各メディアは何ら動じる必要はない。これはそれだけ巧妙に教団サイドが近づき、工作活動を行ってきたという証左であり、各メディアはそれぞれ検証した上で、追及を続ければよいだけの話だ。

 

自民党の「点検・見直し」アンケート

この間、自民党でも様々な動きがあった。内閣支持率が目に見えて下落したことで危機感を抱いたのが自民党だ。それまで党としての組織的関与はないとして8月9日に各議員に通達を出し、個別に説明するよう求めるだけの対応しか取っていなかった自民党執行部が、ようやく8月26日になって動きを見せた。所属国会議員に対し『旧統一教会及び関連団体との関係について』と題した書面を配布したのだ。だがその内容を見てみると本気で調査する気が全くない代物だということが判った。

まず茂木敏充幹事長名で出された『旧統一教会及び関連団体との関係について』にはこうある。

「党として組織的な関係は一切ないことは確認済みでありますが、今後はこのような社会的に問題が指摘されている団体とは関係を持たないことを、当の基本方針として確認しております」

この『前提事項』によって、党の組織的関係を匂わすことは一切書けなくなる。暗に「書かないように」と圧をかけているのだ。さらに実際に書き込む用紙には、以下の8項目しかない。

「1.会合への祝電・メッセージ等の送付」「2.広報紙誌へのインタビューや対談記事などの掲載」「3.旧統一教会関連団体の会合への出席」「4.旧統一教会主催の会合の出席」「5.旧統一教会及び関連団体に対する会費類への支出」「6.旧統一教会及び関連団体からの寄付やパーティ収入」「7.選挙におけるボランティア支援」「8.旧統一教会及び関連団体への選挙支援の依頼、及び組織的支援、動員等の受け入れ」

本来は9、10、11の項目として「組織票依頼」「事務所スタッフ・秘書への統一教会信者登用」「教団への便宜供与・体制保護」といった項目がなく、設問自体が不十分だ。

そしてなによりこの8項目の設問からは「此処に書いてあること以外の関係については一切書かないように」との圧が感じられる。あらゆる面で欺瞞的な調査内容だ。

これで形だけ調査を行ったとして発表し幕引きを図るようでは国民の納得は得られず、支持率も回復しないだろう。

8月31日、新型コロナ感染の療養期間から回復した岸田首相は会見で統一教会と自民党議員との関係について陳謝したものの、安倍元首相関係者への調査については消極的な姿勢を示した。疑惑の中心である安倍周辺に切り込む意思はないということだ。これでは、最も統一教会との関係性が濃い安倍派にメスを入れるということも期待できず、表面上の調査で済ませることが明白となった。(文中・一部敬称略)

 

鈴木エイト(すずき・えいと)フリージャーナリスト。滋賀県生まれ、日本大学卒。2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表、主筆を歴任。統一教会問題をはじめとする宗教と政治というテーマのほかに、カルト宗教の2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行なう。著書に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書・共著)、『日本を壊した安倍政権』(扶桑社・共著)最新刊『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)など。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

 

  • 沖縄県知事選―池田沖縄返還提言を矮小化&現地入りする原田会長

・8月21日付『聖教新聞』「原田会長が沖縄へ」

「沖縄各地で20日、民衆勝利を誓い合う集いが行われた。(中略)原田会長は、激動の社会情勢の中で、人心が揺れ動く今こそ、“どんな広布の戦いも断じて信心で勝つ”との不動の一念が重要と強調。剣難の道を歩むからこそ自らを鍛え、沖縄を三変土田させていけるとの確信を胸に、勝利へ大前進しようと訴えた」

・8月22日付『聖教新聞』「沖縄健児の底力を今こそ 原田会長と共に壮年・男子部が総立ち」

「沖縄の壮年・男子部の集いが21日、2会場で開催された。(中略)両会合では、安田沖縄総県長が、今こそ沖縄健児の底力を発揮し、未聞の大激戦を勝ち抜こうと訴えた。

原田会長は『教主釈尊の出世の本懐は人の振る舞い』を拝し、誠実の行動と対話こそ、真の味方を広げる要諦であると強調。目の前の友に学会の正義を語れるのは“私しかいない”との確信で勇敢に語り、断じて勝利の突破口を開く拡大をと呼び掛けた」

・8月23日付『聖教新聞』「平和と幸福の楽土をここに」「あす池田先生の沖縄本土復帰提言55周年」

「池田大作先生が行った沖縄本土復帰の提言から、あす24日で55年を迎える。1967(昭和42)年の8月24日、沖縄の米国統治終結への道筋が見えない中で、先生は沖縄返還を求める提言を発表した。この5年後の72年(同47年)5月15日、沖縄の人々の悲願であった『祖国復帰』が実現する」

 

※今年は沖縄の本土復帰50年の節目の年。その節目の年の政治決戦となる沖縄県知事選が8月25日に告示、9月11日投票で実施された。

本誌発行日の翌日には結果が出ているが、今回の知事選も前回同様、当初は辺野古新基地建設反対を掲げ、「オール沖縄」が推薦する現職の玉城デニー候補と、前回は建設推進であるにもかかわらず旗幟鮮明は選挙戦術上不利との判断から控える作戦をとり、今回は「台湾有事」が取りざたされていることから、むしろ追い風とばかりに建設推進を明確に掲げた自民・公明両党が推薦する佐喜真淳前宜野湾市長の一騎打ちと見られていた。だが、下地幹郎前衆院議員が無所属で立候補したことから、知事選は三つ巴の争いとなった。

下地氏の立候補によって保守分裂は必至となったものの、「オール沖縄」側も、まとめ役の新里米吉元県会議長の死去。さらには政府の沖縄振興予算の減額という恫喝的手法が奏功し、「オール沖縄」を支えていた有力経済人の「金秀グループ」の呉屋守将会長や「かりゆしグループ」の平良朝敬会長が離脱するなど、厳しい状況が続いており、7月の参院選では「オール沖縄」が推した現職の伊波洋一候補が、自民党新人の古謝玄太候補に2888票差まで追い上げられる辛勝だった。

こうした政治状況を踏まえて自民党なかんずく公明党・創価学会は、「オール沖縄」の牙城を崩せると判断したのだろう。前回は告示3日前に沖縄入りし、佐喜真候補を支援したものの、玉城候補に8万票もの大差をつけられたにもかかわらず、原田会長は懲りもせずに告示5日前に沖縄入り。各種の幹部・活動家を集めて佐喜真必勝に向けて檄を飛ばしている。

8月21日付『聖教新聞』によれば、原田会長は「激動の社会情勢の中で、人心が揺れ動く今こそ、“どんな広布の戦いも断じて信心で勝つ”との不動の一念が重要と強調。剣難の道を歩むからこそ自らを鍛え、沖縄を三変土田させていけるとの確信を胸に、勝利へ大前進しよう」と訴えたとある。ここにある「三変土田」とは、法華経見宝塔品に説かれる娑婆世界を仏国土に変えるという「法理」だが、実は昨年10月の衆院総選挙に際しても創価学会はこの「三変土田」を選挙闘争で学会員の士気を鼓舞するために使っている。

その意図は、19年参院選での悪質な買収で有罪となった河井克之元法相の選挙区に、公明党の斉藤鉄夫国交相が立候補し、当選を期す文脈の中で使われていることから、おそらくは斎藤候補が勝ち、公明党が広島3区の議席を奪うことが、金権選挙区を浄化する「三変土田」に通じると意義づけて、会員を熾烈な選挙闘争に駆り立てたのだろう。

今回、沖縄県知事選での勝利が「沖縄を三変土田」させることになるとの原田会長の主張は、「オール沖縄」が勝利する政治風土の転換を企図するものであることは明らか。しかし辺野古新基地建設推進を掲げる佐喜真候補への支援は、沖縄には「核も基地もいらない」とする創価学会の「永遠の師匠」である池田大作名誉会長の意思とは逆行する。だが、原田会長らはそうした事には頓着しない。

というのも8月23日付『聖教新聞』は、「あす池田先生の沖縄本土復帰提言55周年」との見出しで、提言の内容と意義、そして沖縄での池田氏の動静を伝え、いかに池田氏が沖縄を「平和と幸福の楽土」とすべく心血を注いだかをアピールしているが、そこに卑劣な底意が見えるからだ。

同記事では提言内容を、「講演で先生は、圧倒的多数の現地住民が熱望している事実を踏まえ、沖縄の『即時全面返還』を求めた。続いて、核兵器の製造、実験、使用は人類の生存権を否定するとの立場から、沖縄の基地にある核弾頭、発射装置、格納庫等の一切の撤去を訴え、さらには、長期的な視点に立った産業振興、教育格差解消、社会福祉の増進などに言及した」と紹介している。

だが、この記事には重大な欺瞞がある。というのも67年8月24日に創価学会の第10回学生部総会において、池田氏が発表した沖縄の本土復帰に関する提言では、「沖縄における米軍施設権の即時全面返還」に加え、「核基地の撤去」と「通常基地の全面撤去」を強調しているからだ(273号=2018年10月号特集記事「池田大作『沖縄返還』提言への背信と『造反有理』」参照)。このうち「通常基地の全面撤去」について、池田氏は次のように主張している。

「第三に、通常基地の問題である。この通常基地も、第二の核基地と同様、全面撤去をめざしていきたい。核弾頭、各発射装置、核兵器格納庫等々、いっさいの核兵器を撤去した後の通常基地、これには、訓練基地、作戦および発進基地、補給基地等が考えられるが、これらの基地は、本土返還時に、まず大幅に縮小撤去し、そのあと、残務整理の移行措置のため、やむをえぬ基地として残る輸送中継、通信中継等の残存基地は、日米安保条約にもとづく施設区域として、本土の基地と同様の取り扱いをし自由使用は認めない。しかも、その残存基地も、返還後五年間をメドとして、全面撤去をめざしていきたいと考えるけれども、いかがでありましょうか」(1967年8月25日付『聖教新聞』)

池田氏は沖縄返還に関する提言で、「沖縄の基地にある核弾頭、発射装置、格納庫等の一切の撤去を訴え」たのではない。「沖縄における米軍施設権の即時全面返還」と「核基地の撤去」に加え、「通常基地の全面撤去」を具体的かつ現実的に求めている。

池田氏の沖縄返還についての提言を矮小化し、「米軍施設権」と「通常基地の全面撤去」を求めた事実を隠蔽し、通常基地の全面撤去どころか、新基地の建設を推進する候補の当選を目論む原田会長ならびに創価学会・公明党に、学会員そして沖縄県民がどのような審判を下すかが注目される。

 

  • 入信記念日―近影写真なし

・8月24日付『聖教新聞』「きょう池田先生の入信75周年」「8・24を記念し全同志に和歌」

「きょう8月24日、池田大作先生の入信75周年を迎えた。『8・24』は『聖教新聞創刊原点の日』であり、『壮年部の日』でもある。池田先生は恩師である第2代会長・戸田城聖先生と師弟不二の大闘争へ出発したこの日を記念し、全国・全世界の同志に3首の和歌を詠み贈った」

 

※8月24日は池田大作創価学会名誉会長の入信記念日ということで、『聖教新聞』が池田氏が詠んだとする和歌三首を掲載するとともに、池田氏の随筆「八月二十四日!それは、創価の師弟が、偉大な『人間革命』の旅に出発する原点の日だ。決意新たに、広宣流布の戦いを奮い起こす日だ!」を引用し、「次なる勝利の峰へ」進もうとの記事を掲載した。

だが、この日ならびに前後の紙面にも池田氏の近影写真はなく、池田氏の健康状態が写真撮影も厳しい状況にあることが、入信記念日を慶祝する紙面からも読み取れる。

池田氏が大衆の前から姿を消してすでに満12年余。前項の沖縄知事選をめぐる動きの中で、55年前に行った池田氏の沖縄返還に関する提言内容を矮小化している事実が示すように、原田会長を中心とする現創価学会執行部は、池田氏を都合よく利用し続けている。

果たして池田御輿を担ぐ創価学会は、今後、どこに漂流していくのだろうか。

 

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