12月号目次
閻魔帳
衆院・広島3区に公明党が副代表の斉藤鉄夫氏を公認した意味/福本潤一
特集/世界宗教の論拠を佐藤優に依存する創価学会
“世界宗教”の理論的根拠を教示する“諸天善神”/乙骨正生
虚偽を前提にした論理の構成 学会文書以外は切り捨て対象/柿田睦夫
創立90年──佐藤優と朝日新聞の全面協力による「池田本仏論の再強化」で生き存える創価学会/古川利明
創立90周年──創価学会が背負った“業”と“十字架”/段 勲
- 連載
信濃町探偵団──創価学会最新動向
「公明党と創価学会」を考える(第14回)
前尾衆議院議長と公明党(5)/平野貞夫
ナニワの虫眼鏡(第18回)
民意無視‼ 3度目を狙う維新の狡猾/吉富有治
新・現代の眼(第52回)
唇亡びば則ち歯寒し/菅野 完
ヨーロッパ・カルト事情(271)
無理解と軽率がテロを助長/広岡裕児
執筆者紹介 編集後記
編集後記から
コロナ禍で迎えた創価学会の創立90周年は、めだった行事もありませんでしたが、90周年を記念する本部幹部会で、池田大作名誉会長や原田稔会長が強調したのは、創立100周年にむけての向こう10年の戦いが重要ということでした。
それもそうでしょう。100周年に向けて「創価の大心」で前進しろとのメッセージを出した「永遠の師匠」である池田氏は、10年後には102歳。すでに10年以上にわたって大衆の前に姿を見せない池田氏の物理的生命がそこまで持つとはとうてい考えられず、池田氏の死去による創価学会の混乱と混迷は不可避と思われるからです。
もっとも朝日新聞出版発行の週刊誌『AERA』の長期連載をまとめた『池田大作研究 世界宗教への道を追う』を執筆・出版した作家の佐藤優氏は、創価学会は世界宗教となる条件を備えており、50年・100年の長期スパンで考えれば、創価学会はキリスト教・イスラム教と肩を並べる「世界3大宗教」になると強調、いわば心配ないとエールを送っています。
50年・100年後のことは誰にも分りません。果たしてどうなるか興味は尽きないところですが、すでに創立90年を迎えた創価学会の将来を保証しているのが、プロテスタントの「神学の専門家」である佐藤氏であるというところに、「仏意仏勅」に基づく正当な日蓮教団だという創価学会の混乱と混迷の予兆を垣間見ることができます。
その佐藤氏には、今年、文藝春秋社が菊池寛賞を贈りました。佐藤氏はすでにメディアの寵児でしたが、朝日新聞出版から池田氏と創価学会を礼賛する本を出版する佐藤氏に、文春が菊池寛賞を贈ったということは、左右いずれのメディアも、佐藤氏に対する批判を放棄したことを意味します。当然、佐藤氏の池田礼賛・創価学会礼賛を、メディアが批判することはないでしょう。
ところで、来年は秋に任期の切れる衆院選と東京都議選が行われることから、コロナ禍であるにもかかわらず、創価学会は早くも選挙闘争に突入。衆院選では比例区800万票の回復などと選挙闘争を煽っています。年末恒例の財務も実施されますから、コロナ禍でも、学会員は、集票と集金に勤しむことになるのでしょう。
小誌は宗教と社会・宗教と政治の事実と真実を追究し続けます。
特集/世界宗教の論拠を佐藤優に依存する創価学会
“世界宗教”の理論的根拠を教示する“諸天善神”
乙骨正生
ジャーナリスト
「仏・菩薩」と「世界3大宗教」
創価学会総本部の玄関口となるJR中央総武線・信濃町駅の改札口前には、創価学会の外郭企業の一つである株式会社・東西哲学書院が経営する博文堂書店本店がある。この書店の最大の売りは、池田大作本をはじめとする創価学会関連書籍の品揃えが豊富なことだ。
昨今は、コロナ禍の影響もあり、学会本部詣でが中止されていることから、訪れる人もまばらだが、以前は会合や本部詣でなどで信濃町を訪れた学会員で賑わい、学会関連書籍が飛ぶように売れていた。
そんなちょっと寂しい佇まいの博文堂本店でいま、大量に販売されているのが、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏の週刊誌『AERA』(朝日新聞出版)の連載をまとめた『池田大作研究 世界宗教への道を追う』(10月30日刊)である。店頭そして店内に平積みされた同書の売り場に、佐藤氏直筆のこんな色紙が飾られていた。
「博文堂書店 信濃町店様へ 池田名誉会長について 執筆することは、私にとって 至福の時間です。 ぜひ、ご一読ください。 佐藤優」
自らを「キリスト教神学の専門家」(創価大学での講演)と称するプロテスタントの佐藤氏が放つ、池田氏について「執筆すること」は「至福の時間」だとの“決め台詞”。おそらく池田氏を「永遠の師匠」(会憲)として尊崇する学会員は、「佐藤さんはこんなに池田先生を尊敬しているんだ」と感激して、喜々として『池田大作研究』を購入。「一読」することになるのだろう。
もっとも創価学会をターゲットにする佐藤氏のセールストークはこの程度ではない。キリスト者であるにもかかわらず佐藤氏は、池田氏を①「仏・菩薩」「偉大な宗教改革者」と絶賛するとともに、創価学会を②キリスト教・イスラム教と並ぶ「世界の3大宗教になる」と予言しているからだ。
このうち①は、佐藤氏が創価学会の外郭である潮出版社発行の月刊誌『潮』に連載した、「激動の世界と日本――池田・トインビー対談から現代を読み解く」(2010年10月号~13年2月号)をまとめて、14年2月に出版した『地球時代の哲学 池田・トインビー対談を読み解く』の一節なのだが、佐藤氏はこの池田認識を自らにとどめるのではなく、次代を担う創価大学の学生に説示するなど、創価学会内外への扶殖・拡散を図っている。その一例として、14年7月10日に創価大学で行った「池田大作先生の理念と行動」と題する特別講演での佐藤発言を紹介しよう。
〈私は『地球時代の哲学』の中で、こういった結論を付けました。
「池田氏は柔軟であるが、確固たる信念をかなり若い時期に確立している。キリスト教神学の言葉を用いるならば、この信念は神に呼ばれた召命(ドイツ語のBeruf、英語のCalling)と親和的だ。仏教は神の存在を認めない。筆者はプロテスタント教徒で仏教については外部からの観察者であるので適切な言葉を見いだすことができないが、あえてこの場で率直な認識を述べることにする。池田氏は悟りを得たという点では仏であるが、すべての衆生を救うためにわれわれの世界にとどまっている菩薩なのである。20~21世紀に、池田氏は、救済宗教であるという仏教の本質を復興させた偉大な宗教改革者だ。これがプロテスタント神学徒である筆者の池田大作氏に対する率直な認識である。宗教は異なるが、筆者は1人の宗教人として池田大作先生を心の底から尊敬している」
これが、今日私がこの講義で伝えたかった一番大事なメッセージなのです〉
そして②の創価学会が世界3大宗教になるとの“予言”は、『創価学会を語る』(第三文明社15/11)や、『世界宗教の条件とは何か』(潮出版社19/10)に見ることができる。このうち『創価学会を語る』は、創価学会の外郭出版社である第三文明社発行の月刊誌『第三文明』15年2月号~16年1月号掲載の、佐藤氏と創価大学出身で元日蓮正宗僧侶の松岡幹夫東日本国際大学教授の対談をまとめたもので、そこで佐藤氏は〈日本の小さな枠を考えてはいけません。創価学会は、これから日本発の初めての世界宗教になっていきます。将来、世界の3大宗教はキリスト教・イスラム教・創価学会になるでしょう〉と語っている。
一方、『世界宗教の条件とは何か』は、佐藤氏が17年9月から12月にかけて創価大学で行った10回にわたる課外連続講座の内容をまとめたもの。そこではキリスト教とのアナロジー(対比)を用いて、世界宗教の条件として、①宗門との決別、②世界伝道、③与党化の三つを挙げ、創価学会は、❶日蓮正宗との決別、❷創価学会インタナショナルによる世界布教、❸公明党の自公連立政権参画をもって、この条件を満たしているとして、将来、創価学会は世界宗教、それもキリスト教・イスラム教とならぶ世界3大宗教になると、次のように託宣している。
〈たとえば、いまから一〇〇年後、ひいては五〇〇年後くらいの歴史教科書には、「世界三大宗教」として、「キリスト教・イスラム教・仏教」ではなく、「創価学会・キリスト教・イスラム教」と書かれているかもしれません。(中略)半世紀、一世紀という長いスパンで見るなら、「創価学会が世界三大宗教の一つとなる時代」が必ずやってくると、私は本気で考えているからです。なぜなら、現在の創価学会は「世界宗教となるための条件」の数々をきちんと備えているからです〉
『AERA』の連載をまとめた『池田大作研究 世界宗教への道を追う』は、『世界宗教の条件とは何か』で提示した世界宗教の条件に、池田氏ならびに創価学会の宗教的・政治的活動の軌跡は合致すると論証し、その正当性をアピールするものとなっている。
もっともその論拠は、すべて『新・人間革命』をはじめとする創価学会の公式刊行物であり、池田氏や創価学会にとって不都合な事実や真実を示す資料はひとつも使われていない。
創価の宗教的正当性を補強する佐藤理論
ところで、池田氏を「仏・菩薩」「偉大な宗教改革者」とし、創価学会の宗教的・政治的活動は、世界宗教の条件に合致するという佐藤氏の主張は、91年に日蓮正宗から破門されたことを、「魂の独立」「平成の宗教改革」と呼び、日蓮正宗という伝統教団の軛(くびき)を離れて世界広布をめざすという創価学会にとって歓迎すべき内容。それだけに創価学会は、佐藤氏の主張を創価学会の宗教的・政治的正当性を証明する論拠としてさかんに利用している。
例えば、創立90周年の幕開けとなる今年1月、原田稔会長は全国総県長会議の席上、21世紀に求められているのは、池田氏の「人間主義の宗教」「人間革命の宗教」だと強調。その論拠として佐藤氏の『AERA』連載に言及した(1月12日付『聖教新聞』)。
〈今、作家の佐藤優氏が週刊誌「AERA」誌上で始めた連載「池田大作研究――世界宗教への道を追う」が好評を博しています。
“池田大作氏について知ることが、現下の日本と世界を理解する上できわめて重要。間違いなく、私にとっての大きな仕事になる”。この言葉に、佐藤氏の強い意気込みが表れていますが、その第1回には、こうつづられていました。
「創価学会は現在、世界宗教に発展しつつある」「重要なのは、池田の主導で創価学会の世界宗教化が始まったという指摘だ。日蓮仏法の思想を普遍的なヒューマニズムの哲学に転換するというアプローチを池田は取り、今日に至っているのである」と、先生が世界に広げてきた人間主義の哲学を正視眼で評価しています〉
同様に、創立90周年を記念した「魂の独立から世界宗教に飛翔」と題する11月23日付『聖教新聞』掲載の幹部座談会では、日蓮正宗からの破門通告書が届いた翌日に、在京アフリカ外交団から池田氏に「教育・文化・人道貢献賞」が贈られたことを評価する『池田大作研究』での佐藤氏の言説を引用して、日蓮正宗との決別こそが世界宗教へと飛翔する転換点だったと次のように強調している。
〈原田(会長)作家の佐藤優氏は近著『池田大作研究』で、このことについて触れ、「SGIの価値観はアフリカ諸国で受け入れられた。『魂の独立』が創価学会の未来を切り開くために不可欠であることを再認識させる出来事だった」と述べています〉
創価学会は、14年に会則の教義条項を改変し、日蓮正宗の本尊と教義を否定し、池田氏を中心とする「三代会長」を教義・信仰の根幹である「永遠の師匠」とし、17年には会憲を制定し、「永遠の師匠」である三代会長を貫く師弟不二の「学会精神」を規範にした「日蓮世界宗創価学会」として、世界宗教を目指すことを闡明化したが、時系列的に見ると、佐藤氏が池田氏を「仏・菩薩」「偉大な宗教改革者」と讃え、創価学会は世界宗教の条件を備えているとして、将来、「世界3大宗教となる」と強調し始めた時期は、会則改変や会憲制定とほぼ時を同じくしており、佐藤氏の主張は会則改変や会憲制定の地ならしや敷衍に寄与していることが分かる。
前述のように創価学会は、日蓮正宗からの破門を、「創価ルネサンス」「平成の宗教改革」と主張し、教学理論誌「大白蓮華」91年4月号「巻頭言」で秋谷栄之助会長(当時)が、〈今日、キリスト教が、世界宗教となりえたのは、現実の生活に閉鎖的な教義に対して生き生きとした人間性回復を目指したルネッサンスの運動があり、そして聖職者の腐敗を糺し、原点たる聖書に戻ろうとした宗教改革など、数え切れないほどの歴史的な試練を経てきたからに他ならないのであります〉などと、自らを聖職者の腐敗を糾弾したプロテスタントに擬して、宗教的正当性を強調してきた。しかしプロテスタントを気取ったものの、創価学会は世界宗教化の条件やプロセスを構築することができず、教義的にも混乱を来し、いわば看板倒れの状況にあった。
そうした時にキリスト教とのアナロジーをもって、世界宗教化の条件やプロセスを提示し、池田氏を「仏・菩薩」「偉大な宗教改革者」と位置付けたのが佐藤氏だった。先の『創価学会を語る』の中で、対談者の松岡氏は、佐藤氏を「創価学会から見て、佐藤優氏は21世紀に現われた人間の諸天善神(※「諸天善神」とは、法華経の行者を守護する善神のことです。創価学会公式サイト)」と評したが、松岡評は創価学会執行部の本音を表していると見て間違いあるまい。
『新・人間革命』 を聖書と位置付け
その佐藤氏はいまや創価学会のブレーンないしはアドバイザー的役割も果たしているようだ。というのも佐藤氏と対談した松岡氏は、昨年4月「信仰と理性の統合を目的に掲げ、創価学会の信仰の学を探究する研究機関」だという「創学研究所」を開設したが、その開所式に出席し挨拶した佐藤氏は、こんな発言をしているからだ。
〈創価学会の内部にいながら、「ポスト・池田時代」といった表現を用いて、創価学会の行く末を論じる者がいます。しかし、それ自体が創価学会の内在的論理に違背していると思います。なぜなら、2017年に発表された『創価学会会憲』では「三代会長の永遠性」が定められており、師匠から逸脱した信仰上の論理が成立しないことは明白だからです。それにも関わらず、「ポスト・池田時代」などと言う学会員が、ごく一部にですが、いるのです。これは「池田先生の次がある」という意味になり、創価学会の内在的論理に反するものと私は考えます。
また、「池田先生は正しいけれども、現在の執行部は間違っている」といったレトリックで批判を展開する者も出てくるでしょう。「そういう意見も認めないといけない」などと寛容性を強調する人がいるかもしれません。たしかに現代人にとって、寛容性と言えば、聞こえは良いでしょう。けれども、会員に大きな混乱をもたらしかねないような寛容性は認めるべきではありません〉
おそらく佐藤氏は、創価学会を掌の上で転がしている気分なのではないか。佐藤氏が池田氏(創価学会・公明党を含む)について書くことを、「至福の時間」とするのは、政権与党・公明党の組織母体として、日本の政界・宗教界に多大な影響力を持つ創価学会を自家薬籠中の物としている快感なのだろうか。
もとよりそこには経済的利益も付帯する。『池田大作研究』は、定価2420円。仮に10万部(田原総一朗氏の『創価学会(毎日新聞出版)』の売り上げは11万部といわれるので)売れたとすれば、印税収入は10%で2420万円、5パーセントでも1210万円となる。同書は、11月末現在、アマゾンの「宗教の伝記・評伝」部門で売れ筋ランキング第1位だから、部数はもっと伸びる可能性がある。そして『AERA』での43回にわたる原稿料も支払われたことだろう。その意味では、書けば売れる池田礼賛本の執筆は、佐藤氏にとって笑いのとまらない収入源となっているはずだ。
だが、こうした佐藤氏の論考に批判的な意見もある。創価大学の中野毅名誉教授は、自身の19年1月20日付ツイッターに、「佐藤優『新・人間革命』完結にみる創価学会のゆくえについて ―」と題する一文をアップ。佐藤氏がキリスト教的アナロジーに基づいて、〈日本国内における活動を描いた『人間革命』はイエス・キリスト誕生以前の出来事が記された『旧約聖書』、池田会長による世界宗教化の基盤を整える『新・人間革命』が『新約聖書』で、イエス・キリストの言行録である「福音書」に相当するという。ご丁寧に、今後は弟子たちの信仰継承を描いた新約聖書の使徒言行録のようなものが、創価学会によって編纂されていくことになろうと予見〉していることを、〈少なくとも上記のアナロジーはあまりいただけない。これでは池田会長が「神の子・イエス=神」になってしまう。また最近、『(新・)人間革命』を現代の法華経だと評した方がいたようだが、このような捉え方が今後増えるのかもしれないが、慎重に考えたいものである〉と批判している。
世界宗教として飛翔し続けているとする創価学会は、世界宗教の理論的根拠を「キリスト教神学の専門家」である佐藤氏に依存している。その佐藤氏は「半世紀、一世紀」というスパンで見れば創価学会は「世界三大宗教の一つとなる時代が必ずやってくる」というが、池田Xデーという最大の危機に直面する創価学会は、当面の目標である創立100周年すら無事に迎えられるかどうか。むしろ混乱と混迷は深まりそうだ。
乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』『司法に断罪された創価学会』(かもがわ出版)など。
信濃町探偵団──創価学会最新動向
- 選挙準備に余念のない創価学会
・11月5日付『聖教新聞』「座談会 皆が前進!皆が人材!」「新型コロナ 公明がワクチン確保に全力」
「長谷川(理事長)今後、コロナ禍を乗り越えるため、一つの鍵となるのがワクチンの開発確保です。ワクチンについて政府は、来年前半までに国民全員分を確保できるように取り組んでいます。この対策を一貫してリードしてきたのが公明党です。(中略)
原田(会長)まさに公明党らしい貢献です。これからも、公明党には『民衆とともに』との立党精神を根幹に、生命尊厳の政治を全力で前に進めてもらいたい」
・9月23日付『聖教新聞』「座談会 皆が前進!皆が人材!」
「長谷川 新政権がさまざまな重点政策に取り組んでいます。その一つ、不妊治療の保険適用拡大にも期待が高まっています。(中略)実は、公明党は1988年に『保険適用の実現』を盛り込んだ基本政策大綱を採択しています。以来、国会質問などでも粘り強く主張してきました。
原田 1999年10月に公明党が与党になったあと、こうした医療の分野でも『がん対策基本法』の制定や『ピロリ菌除菌の保険適用拡大』『ドクターヘリの全国配備』など、数多くの実績を残しています。私がお会いする各界の識者の方々も、国民の健康と生命を守る公明党の活躍を高く評価し、期待しています。(中略)
長谷川 また、各地の公明議員が自治体独自の助成拡充を推進しています。東京都は昨年4月から特定不妊治療の費用助成の対象を拡大。所得制限を夫婦合算で730万円から905万円に緩和しています。
永石(婦人部長)これも、都議会公明党が不妊で悩むご夫婦の声を、直接、都知事に訴え、実現したものです」
※前回の衆院総選挙は2017年10月。来年10月には4年の任期が満了するから、21年には衆院総選挙が確実に実施される。そんな政治状況下で、創価学会首脳らが、早くも衆院選と来年夏実施の東京都議会議員選挙を視野に、公明党の実績礼賛を続けている。
もっとも今年7月に東北の創価学会組織で配布された「次期衆院選・比例拡大の取り組み」と題する「内部討議資料」には、「『全国どこでも公明党』で比例800万 東北50万・宮城13万で断固『2議席』奪取!」との見出しのもと、「次期衆院選では9S完勝はもちろん、比例区でも圧倒的な拡大の結果を打ち立て、東北2議席を奪還し、満天下に勝利を示してまいりたい」と、9小選挙区完勝などと選挙闘争を煽っている。
同様に九州の創価学会組織で配布された内部文書には、「10月!先手必勝!」「九州100万 鹿児島12万 大対話運動!」「『いよいよです!』(公)をよろしく」などとあり、全国各地で比例区800万票を目指して、「東北50万」とか「九州100万」とあるように具体的な得票数の目標を掲げての選挙闘争に突入し始めている。
『聖教新聞』幹部座談会は、こうした票取りのための「対話」活動の際に、公明党の実績をアピールするネタなのである。昨年の参院選における公明党比例区票は654万票であり、800万票を獲得するには146万票も上積みする必要がある。財務に選挙と、コロナ禍でも学会員は使役され続けるのだ。