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2021年1月号

1月号目次

 

閻魔帳

創立100周年に向かう創価学会の“9大危機”/段 勲

 

特集/2021─勝負の10年の開幕! 選挙に血道あげる創価学会

「都議選&衆院選」を迎える「公明党=創価学会」のの願望は「任期満了解散」か/古川利明

コロナ禍でも「立正安国の勝利劇」目指す異常なメンタル/乙骨正生

 

トピックス

自公税制に対して「目に物見せる」/浦野広明

トピックス

安倍内閣より強化された菅内閣のカルト団体との関係性/藤倉善郎

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

「公明党と創価学会」を考える(第15回)

公明党の自立路線時代(1)/平野貞夫

ナニワの虫眼鏡(第19回)

コロナに都構想 まだ消えぬ大阪の憂い/吉富有治

新・現代の眼(第53回)

などて猶予う事やある/菅野 完

ヨーロッパ・カルト事情(272)

「反分離主義」法提案/広岡裕児

執筆者紹介 編集後記

 

 

編集後記から

おかげさまで小誌は、今号をもって300号を数えることとなりました。

2002(平成14)年3月1日号の創刊から19年目の新春を迎えましたが、この間、小誌の発行と継続にご協力・ご支援をいただいた読者や執筆者をはじめとする関係者の皆様に、あらためて感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。

長引く不況にコロナ禍が加わり厳しさを増す経済環境、またインターネットやSNSの普及で紙媒体の需要が落ち込み、多くの出版社が廃業する中で、19年にわたって小誌の発行を続けてこられたことは、ひとえに皆様のご支援とご協力の賜物にほかなりません。重ねて御礼申し上げます。

小誌を取り巻く環境も非常に厳しいものがありますが、国政では自民党に、東京では小池都知事を中心とする政治勢力に、大阪では維新と手を結ぶという無節操な事実が示唆する通り、政治を自らの組織防衛と延命のために悪用する創価学会が、日本政界に悪影響を及ぼす限り、小誌の発刊を続けていきたいと考えていますので、どうぞ、倍旧のご支援をお願いする次第です。

それにしても変異種ウィルスが流入するなど、年が改まってもコロナ禍はいっこうに収束する気配が見えませんが、そんな状況下でも創価学会は、今年を2030年の創立100周年に向かう「勝負の10年」の大事な初年度だとして、予定されている東京都議選と衆院選に向けて組織あげての選挙闘争を行う構えを見せています。

創価学会の内部文書によれば公明党比例区票の目標は800万とか。一昨年夏の参院選での公明党比例区票は653万票ですから、なんと150万票の上積みをはかろうとの思惑のようです。

もっとも05(平成17)年以来、「広宣流布のバロメーター(公明党比例区票)」は下がりっぱなし。おそらく次期衆院選でも800万票はおろか、コロナ禍で活動力が低下している現状を鑑みれば、600万票台を維持することさえ厳しいのではないでしょうか。

宗教活動に名を借りた戸別訪問を繰り返してきた創価学会の選挙戦術が、コロナで破綻をきたすとすれば、現世利益を“ウリ物”にしてきた創価学会もパンデミックには勝てなかったということでしょうか。

300号の節目にあたってあらためて、小誌は宗教と政治・宗教と社会の事実と真実を追究し、報道し続ける存念です。

特集/2021─勝負の10年の開幕! 選挙に血道あげる創価学会

「都議選&衆院選」を迎える「公明党=創価学会」のの願望は「任期満了解散」か

古川利明

ジャーナリスト

 

コロナ禍の直撃受ける創価学会

年が明けて2021年を迎え、この1月2日で、創価学会名誉会長で公明党創立者である池田大作は満93歳となった。

折しも、昨年11月16日付聖教新聞で池田が書いたことになっている随筆「『人間革命』光あれ」に、その2日前、東京・神宮外苑でカメラ好きの池田自身が撮影したという、金色に染まったイチョウの写真を載せている。もし、これを額面どおりに受け止めるなら、推測するに、池田が自宅としている信濃町の第2別館からクルマで、すぐ近所の神宮外苑に出かけて、散策したものと思われ、ゆえに、まるっきりの寝たきりではないことが窺える。しかし、本当に頭がしっかりとしていれば、元外務省主任分析官で作家の佐藤優がアエラで連載していた「池田大作研究 世界宗教への道を追う」で単独会見に応じているはずである。「それ」がないこと自体、この10年あまり、不特定多数を前にした公の場で、リアルタイムでの自らの肉声を発することができていない「池田大作の真の動静」を如実に表しており、筆者はかねてから指摘しているが、「少なくとも認知症の初期段階」を疑っている。

聖教新聞をめくりながら、「おや?」と気づいたことに、昨年11月18日で創立90周年を迎えた創価学会だが、例年であれば、広宣流布大誓堂で創立記念勤行会を執り行っているところ、キリのいい節目であるのに、もろにコロナ禍の影響で実施されず、代わりに11月1日に「そこ」で本部幹部会が開かれている。翌日付同紙には、壇上で会長の原田稔が何やらしゃべっている写真が載っているが、例の「3密を避ける」ということで、会場の全席には飛沫を防ぐためのアクリル板が設置され、参加者も必ず1席ずつ距離を置いて座らされていることから、やはり閑散としている。このように「人を集められない」うえ「御題目も上げれない」と、なかなか意気が上がらないだろうというのは、想像に難くない。

とはいえ、それにこまねいてはいられないのだろう、創立90周年にかこつけて、「『新・人間革命』世代プロジェクト」なるものをおっ始めている。あくまで主体は青年部だが、2年後の23年が「小説『新・人間革命』完結5周年」「広宣流布大誓堂完成10周年」であることから、これに向けて、青年部にさらにもっと『新・人間革命』を読み込ませていくというもので、昨年12月14日から聖教新聞電子版で、池田大作の長男で主任副会長の博正が、これについてアレコレとしゃべっている学習教材の配信を新たに始めるなど、相当、熱がこもっている。その佐藤優の単行本発売と相まって、まさに『新・人間革命』を「現代の御書」に擬(なぞら)え、「池田本仏論」を青年部にきっちりと注入することで、集票活動の際のエネルギー源にしようと必死であることが、よく分かる。

 

首尾一貫しないコロナ禍対策

そこで、新型コロナ対策に関してだが、そもそも「Go to キャンペーン」とは、緊急事態宣言の解除を受けて、コロナ禍によって落ち込んだ消費を下支えするため、国が民間に補助金を投入するもので、うち、予算総額1兆3500億円も計上した国交省の外局である観光庁が所管する「Go to トラベル」がメインとなっている。国交相が公明党の赤羽一嘉ということもあって、機関紙の公明新聞ではさんざんこの利用を煽っていた。それゆえ、東京都を中心に感染が拡大していた昨年11月24日の時点では、会見した同党代表の山口那津男は「基本的には、感染拡大防止策を徹底したうえで、事業を進めるべきだ」と発言しており、首相の菅義偉と自民党幹事長の二階俊博が主導するこの「Go to トラベル」の推進を全面的に後押ししていたのである。

というのは、「Go to トラベル」を運営する旅行業界でつくる「ツーリズム産業共同提案体」に、二階が非常勤ながらも90年から会長を務めている一般社団法人「全国旅行業協会」も入っており、要は「旅行業界は二階派の票田」なのである。ところが、官邸内では、昨春以降、経産省出向で安倍晋三の首相補佐官だった今井尚哉が、学校への一斉休校要請や布マスクの全国民への配布といったコロナ禍対策を取り仕切り、官房長官だった菅は蚊帳の外に置かれていた。昨年4月16日、安倍が緊急事態宣言の全国拡大を決めるにあたって、事前に協議した際、菅は「経済への影響」を理由に反対したが、というのも、これは菅の政治的な信念というより、「コロナ禍対策」という重要な意思決定から外されていたことへの意趣返しだったのでないだろうか。

菅が昨年9月の自民党総裁選を勝ち抜くにあたって、真っ先に二階が「菅支持」を表明したことで、一気に流れが固まったことからも分かるように、自前の派閥を持たない菅にとって「二階を抱き込み続ける」ことが、政権運営の要であるため、「Go to トラベル」の継続に固執したのである。しかし、昨年12月13日付毎日新聞朝刊が、最新の内閣支持率が前月より17ポイントも下落して40%となり、うち、「コロナ禍対策を評価せず」と回答したのが62%に上っていたことを報じると、菅は「ギブアップ」を宣言する格好で、翌日、「Go to トラベル」の全国一斉での一時停止に追い込まれた。

筆者はこの新型コロナについては「騒ぎ過ぎ」と考えており、「何としてもワクチンを普及させたい製薬業界の意向に沿った感染症の専門家集団による恫喝」と捉えている。しかし、その「Go to トラベル」は煽りながらも、飲食店や居酒屋を始めとする営業には自粛を要請し、さらにはテレワーク(在宅勤務)は推進しろと、政府のコロナ禍対策に首尾一貫さはまるでなく、むしろ「これ」に多くの国民が呆れているというのが、実情ではないだろうか。

 

創価学会のホンネは「任期満了解散がベスト」

そこで、「選挙イヤー」の今年は、「公明党=創価学会」が国政選挙同様に全力を挙げる東京都議選(任期満了日7月22日)と、さらには、衆院選(同10月21日)を控えている。「政界は一寸先は闇」の格言の通り、もちろん、解散総選挙がいかなるタイミングであるかは分からないが、信濃町のホンネは、ズバリ、「任期満了解散」だろう。

信濃町の選挙戦術は、極めてシステマティックにでき上がっており、選挙戦本番に入る前に、座談会や聖教新聞の拡張といった日常の活動を通じて、休眠中の学会員を起こしたり、新規会員を獲得するなかで、組織の内部を固め、そこから、地区幹部らの活動家が「F(フレンド)票」と呼ばれる外部の非学会員に投票を呼びかけていくのである。特に都議選は学会の全国組織をフル稼働させ、例えば、札幌市の学会員が都内在住の知人がいれば、電話やメールをするなり、さらには直接、訪ねて公明党候補への投票を呼びかける。それで言うと、公明党は国会議員(=衆院議員)と地方議員(=都議)との間には、何のつながりもないため、創価学会にとっては「都議選と衆院選は全く別物」ゆえ、一番困るのが「都議選と衆院選のダブル」なのである。

折しも、公選法違反事件で起訴され、自民党を離党した元法相の河井克行の地盤である衆院・広島3区に、公明党の中央幹事会は昨年11月19日、前幹事長で副代表の斉藤鉄夫(衆院・比例中国)を公認候補として擁立することを決めたことで、永田町には激震が走った。ところが、19年の参院選で広島選挙区を担当していた斉藤は、このとき、克行の妻・案里を全面支援しており、そこからして「マンガ」そのものだが、それはともかく、敢えて先出しジャンケンで「斉藤カード」を切ったのは、まずは「解散権のコントロール」である。コロナ禍による活動自粛の煽りで、信濃町もエンジンが十分にかかっておらず、とにかく、今年前半は都議選に集中しないとで、とはいえ、さすがに「衆院議員の任期延長」は不可能ゆえ、消去法ではあるが「今年9月以降の任期満了解散がベスト」との判断ではないだろうか。

しかし、地元の自民党広島県連はこれに猛反発しており、昨年12月8日、同県議の石橋林太郎を広島3区の支部長候補に決め、党本部に公認申請をするが、派閥創立者の池田勇人以来、広島県を金城湯池とする宏池会の会長・岸田文雄(衆院・広島1区)が、昨年9月の総裁選に出馬したことに菅が逆恨みを抱いているせいか、自民党本部はこれを却下する可能性があり、朝日新聞(昨年12月17日付朝刊)は「広島3区、公明支援で調整 自民、公認候補見送りへ」と報じている。

ただ、それだと、県連は収まりがつかないだろうから、その場合、石橋が「保守系無所属での出馬」となれば、「自公股裂き」となって、既に出馬表明している立憲民主党公認の元会社役員、ライアン真由美が「漁夫の利」で当選する可能性が、俄然、高まる。そこで「永田町の巨大コウモリ」こと公明党(=創価学会)が、どういう反応をするか、本気でケンカを仕掛ける気はあるのか、成り行きが注目される。(文中・敬称略)

 

古川利明(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『デジタル・ヘル サイバー化監視社会の闇』『日本の裏金(上、下)』『ウラ金 権力の味』『「自民党“公明派”」10年の功罪』『「自民党“公明派”」15年目の大罪』最新刊『自民党“公明派”20年目の大失敗』(いずれも第三書館刊)など著書多数。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

  • 選挙準備に余念のない創価学会

・11月5日付『聖教新聞』「座談会 皆が前進!皆が人材!」「新型コロナ 公明がワクチン確保に全力」

「長谷川(理事長)今後、コロナ禍を乗り越えるため、一つの鍵となるのがワクチンの開発確保です。ワクチンにつ

 

 

  • 箱根駅伝―創価大学「往路優勝」「総合2位」を大喧伝

・1月4日付『聖教新聞』「箱根駅伝 創価大学が往路優勝」「総合2位 開学50周年飾る快挙」「創価旋風 箱根路を席巻 大躍進に喝采」

「おめでとう!開学50周年を飾る歴史的快挙!第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)が2、3日に行われ、創価大学が同校初の『往路優勝』を成し遂げ、堂々の総合2位に輝いた(復路は5位)。4度目の出場での往路制覇は戦後最短の偉業。総合タイムは10時間56分56秒だった」

 

※新春恒例の箱根駅伝で、ダークホース的存在の創価大学が往路初優勝。復路でも総合優勝目前の10区21㌔まで首位を守り、最後に駒澤大学に抜かれたものの総合2位と健闘したことを『聖教新聞』が3ページにわたり大々的に報じている。

たしかに眼を見張るような大健闘だったことは間違いない。今回の箱根駅伝では、青山学院大・駒澤大・東海大・明治大が四強といわれており、創価大学の前評判はそれほど高いものではなかった。しかし『NEWSポストセブン』(1月1日付)は、創価大には昨年の箱根駅伝で10区を区間新記録で走り、初シードを獲得する立役者となった嶋津雄大選手(4区)や、10月の多摩川5大学対校長距離競技会(駒澤・明治・国学院・帝京・創価)の1万メートルで優勝している留学生フィリップ・ムルワ選手(2区)、昨年11月に「激坂最速王決定戦2020@ターンパイク箱根」で優勝し、「激坂最速王」の異名をもつ三上雄太選手(5区)などがいることから、「4強の戦いと見られているが……大混戦の2021箱根駅伝のダークホースに創価大が浮上!」なる記事を掲載していた。

結果は『ポストセブン』の予想通りになったわけだが、内部情報によると今回の箱根駅伝に出場した選手10人のうち創価学会員は3人だけだったという。非学会員の選手の活躍は、今後、創立者の池田大作氏の死去と共に、創価大学も仏教系でいえば優勝をさらった駒澤大学や立正大学、あるいは大正大学や大谷大学、さらにはミッション系の青山学院や立教大学などのように、宗教者や宗教団体を創立者や母体とするものの、一般の大学と化している大学へ変わっていく前兆となれば幸いだが、創価大学駅伝部の活躍を、創価学会本体が「勝利の年」を飾る快挙などとしているようでは、まだまだ道は遠そうである。

それにしても、創価大学の往路初優勝を報じる1月4日付『聖教新聞』には、創立者である池田氏のコメントが一つもない。2010年に関東学連選抜のメンバーとして、創価大学の2選手が、箱根駅伝に出場した際の1月4日付『聖教新聞』には、本誌の169号で詳報しているように、「創大創立者の池田名誉会長は2選手の健闘を称え、『テレビを見ていたよ。本当に頑張ったね!ご苦労様!皆で応援したよ』と真心の伝言を贈った」とあるが、自らの誕生日に往路優勝という快挙をなしとげたにもかかわらず、池田氏はなんら祝福のメッセージを出していないのである。

この事実は、池田氏がすでに箱根駅伝を見ることができる状態にないことを示唆している。また10年に箱根駅伝を走った2選手に対して創価学会は、1月度本部幹部会の席上、「広布旭日賞」を贈り、池田氏が直接祝福したが、今回、箱根駅伝を走った選手の大半は非学会員。創価学会や池田氏が祝福し栄誉を与えることは憚られるという内情があるのかもしれない。

いずれにせよ創価大学の健闘を、創価学会創立100周年の開幕を告げる壮挙などと、創価学会が利用しないことを願うばかりだが、12月21日付『聖教新聞』の座談会記事で、創価学会PR動画のコンテンツの一つとして、「箱根駅伝に出場する創価大学駅伝部の特別映像も配信」(志賀青年部長)などと言っているから、見通しは暗い。

 

  • 衆院選・東京都議選を視野に公明党を顕揚

・12月17日付『聖教新聞』「ワクチン確保へ 公明がコロナ対策をリード」

・12月21日付『聖教新聞』「都議会公明党 医療従事者の手当て増額を推進」

・12月24日付『聖教新聞』「公明党 赴任治療の支援に全力」「生活者の目線の政治」

「西方(男子部長)『人生100年時代』の到来を見据え、政府は今月15日に全世代型社会保障の改革案を閣議決定しました。その柱の一つが、不妊治療への支援策です。

長谷川(理事長)今回の内容は、11月に公明党が、菅首相に提言した支援策の案がほとんど反映されています。―中略―

原田(会長)それこそ『大衆とともに』という公明党の真骨頂です。こうした、生活者目線の政治が今、求められています。これからも公明党にはあらゆる世代を支援する政策をどんどん実現していってほしい」

 

※今年2021(令和3)年は、東京都議選・衆院選と大型選挙が予定されている選挙の年。創価学会は今年の年間テーマを「希望・勝利の年!」とし、年間活動のメインに「希望の語らい――『私の対話拡大』で立正安国の勝利劇を!」を据えている。「立正安国の勝利劇」とは選挙の勝利にほかならず、「私の対話拡大」とは、対話によってF(フレンド)票を獲得することを意味している。

その際の公明党への支援を呼びかけるPRとして、創価学会の首脳が『聖教新聞』の座談会記事で、公明党の“実績”や“政策”を強調している。その内容はいつもながらのさながら“毛鉤”のような小手先かつ目先の利益の宣伝であり、姑息な創価学会・公明党の手法には、呆れるばかり。

公明党は2014年に結党50年を記念して、『大衆とともに――公明党50年の歩み』を刊行した。そこには〈「政界浄化の公明党」の真価発揮〉と題する項目があり、公明党は結党以来、金権政治や不正選挙などの追放に尽力してきたと強調。山口那津男代表も巻頭の「はじめに」において、〈政党として、掲げる理想や政策実現のためには存続が必要だ。ただし党歴の長短自体に意味があるのではない。長く存続しても、旧社会党のように、野党第1党の地位に安住することを自己目的化し、健全な民主主義発展に不可欠な与野党政権交代実現を阻害し、戦後の日本政治を歪めてきたとの責めを負っている例もある。歴史の裁きとして、政党も政治家も、国や国民のために何を成し遂げたかが問われ、結果責任を負わねばならない。政治の本質的属性は権力であり(マックス・ウェーバー)、その権力を行使して、国家や国民のために、何をしたか、何をしようとしているかが重要である。公明党はその点で、今に限らず「平和の党」「福祉の党」「環境の党」「クリーン政党」…としての世評が高い〉と、公明党の存在意義を自画自賛した。

だが公明党の実態はこうした自己評価とは180度異なる。その一端を示すのが暮も押し詰まった12月25日に、国権の最高機関である国会で虚偽答弁をくり返してきた安倍晋三前首相が行った、桜問題についての釈明を評価し、庇う山口代表の政治姿勢である。

〈公明党の山口那津男代表は25日、安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会の費用を補填(ほてん)した問題をめぐり、安倍氏が衆院議員を辞職する必要はないとの認識を示した。「首相として政策を作って実行し、国際社会で日本の存在感を示した大きな功績があった。(今後も)国会議員として果たせるものがある」と述べた。国会内で記者団に語った〉(12月25日付『産経ニュース』)

桜を見る会の壇上で、乾杯の音頭をとった安倍前首相と山口代表の映像は記憶に新しいところだが、公明党そして創価学会が視野に入れ、尻尾を振っているのは、大衆や庶民・生活者ではなく、安倍前首相をはじめとする権力にほかならない。公明党が大衆や生活者の党だというのは、創価学会という組織を守るために票を釣ろうという“毛鉤”であることを、有権者は知る必要がある。

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