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2024年5月号

5月号目次

 

閻魔帳

“御都合主義”──創価学会・公明党の素顔/段 勲

 

特集/政教分離とシビリアンコントロールの危機招く宗教勢力

 

真っ黒な自民党を支えるタカ派公明党=創価学会/佐高 信

「文民統制」のキモにある憲法の破壊に手を貸し続ける「カルトとしての創価学会=公明党」/古川利明

自公政権下で進む「戦死」の準備 靖国神社と自衛隊の濃密関係/柿田睦夫

自衛隊OBが靖国宮司に就任 その背景にある神社界の混乱/伊藤博敏

 

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

「日本の議会政治」を考える(第5回)

「議会開設運動」の始まり(5)/平野貞夫

ナニワの虫眼鏡(第59回)

「出禁」と「犯行は反対派の可能性」という発言 吉村知事の無責任さに辟易/吉富有治

ヨーロッパ・カルト事情(309)

精神操作(マインド・コントロール)罪の難しさ/広岡裕児

執筆者紹介&バックナンバー紹介 編集後記

 

 

編集後記から

元日早々の能登半島地震で幕をあけた2024(令和6)年ですが、すでに3分の1を過ぎました。しかし支援と復興は遅々としており、4月に発生した台湾東部沖地震での台湾当局の素早い対応や、地震多発国であるイタリアでの被災者支援の取り組みと比較すると、阪神淡路大震災や東日本大震災・熊本地震と立て続けに大地震に見舞われている“地震大国”日本の取り組みは実にお粗末としかいいようがありません。

しかも能登半島地震における支援と復興の遅れの一因には、財政上の理由から地方・過疎地を斬り捨てる「棄民」政策が影響しているとの指摘まで出ており、1月11日付『プレジデント・オンライン』で鈴木洋仁神戸学院大学准教授は、「『地方を見捨てる』という悪魔の選択が始まった……『能登半島地震』で露呈した日本社会の重苦しい未来」と題して、「誰も責任を取らない形で、なし崩しに『地方が見捨てられる』という状況が生まれつつあるのではないか」と警鐘を鳴らしています。

少子高齢化や政権維持を目的としたアベノミクスの失政の下で日本社会は急速に衰亡・衰退しつつあり、民間の研究者などの有識者で構成する「人口戦略会議」は、4月24日に発表した報告書で、全国の744の市町村が将来的に「消滅の可能性がある」と指摘しています。

こんな「亡国」としかいいようがない政治状況を生んだ自公政権には厳しい審判を下す必要がありますが、「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」との諺があるように、こうした政治を招いた責任は私たち有権者にあります。その意味で、4月28日投開票で実施の衆院3補欠選挙で、自民党が裏金問題への国民の怒りの前に2選挙区で不戦敗となった事実は重要です。今後も厳しい審判を加える必要があるでしょう。

ところでこうした政治状況を招いた重大な責任を持つ公明党の組織母体である創価学会が、組織の維持・延命のために「10人の下種拡大」なる折伏行進(勧誘)を始めています。多くの庶民が自公政権の失政に基づく生活苦に呻吟する中で、むしろそうした経済状況を利用する形で、こうした政治状況を招いた自己責任を顧みずに会員獲得に腐心する創価学会の厚顔無恥さには呆れるしかありません。小誌は今後とも厳しく創価学会問題を追及していく所存です。

特集/政教分離とシビリアンコントロールの危機招く宗教勢力

 

真っ黒な自民党を支えるタカ派公明党=創価学会

佐高 信

評論家

 

戦争体制を推進する“自民党公明派”

4月17日夜、田原総一朗の卒寿と『全身ジャーナリスト』(集英社新書)の出版を祝う会があった。

小泉純一郎の乾杯で始まり、菅直人などもあいさつした後、石破茂に続いてスピーチを求められた私は、出席していた創価学会の副会長や芸能部門の幹部らしい山本リンダを前に直言した。

「田原さんはタブーを破るジャーナリストなどと言っているが、創価学会に対しては甘い。いまの政治の糞詰まり状況を打破するには、公明党が野党になるしかないのだ」

友人の記者からは「よく言ったね」と感心されたが、裏金で真っ黒の自民党を公明党が支えてしまっているのだから、当然だろう。

遠藤誠という怪物弁護士がいた。彼は釈迦とマルクスを信奉する“釈迦マル主義者”と自称していたが、1996年春に「ニセ宗教を見分ける10項目」を挙げている。

1、信者から最大限の財産を寄付させるか否か。させている教団はすべてニセ。

2、死後のことばかり説いて「いかに生きるべきか」を説かない教団。これもニセ。

3、終末論を説いて「うちの教団に入った者だけが救われる」と説く教団。これもニセ。

4、権力を志す教団。これもニセ。

5、出家者。つまり人間のあいだに上下の差別を認める教団。これもニセ。

6、自分の、「うちの宗派によらなければ救われません」と説く教団。これもニセ。

7、教祖自ら「わしは悟った」とか「私は仏陀の生まれ変わり」とか「私は釈迦の生まれ変わりである」と公言する集団。これもニセ。

8、教祖自らは信者に対して修行生活を要求しながら、教祖自らはその修行生活を実践していない教団。これもニセ。

9、世の不幸を救うための行動を起こさない教団。これもニセ。

10、世の不幸を己れ自らの責任として自覚しない教団。これもニセ。

ついでに付け加えれば、「戦争推進党」なのに「平和の党」と自称する教団。これもニセとなるだろう。

「平和」の制服は完全に合わなくなっているのに、公明党はその制服を着続けている。

それは、かなりの年増女がセーラー服を身につけているような卑猥な感じを与える。いま、それでも公明党は平和の党だと強弁するのは、狂信的な創価学会信者以外いないだろう。

小田実に関連して、かつて私はこんなコラムを書いたことがある。

〈そのとき私は20歳だった。そして、『展望』を片手にまくしたてる講師は32歳。1965年春のことである。学習院大学の何番教室だったか、小田実という名のその講師は恐ろしく勢いがよかった。やはり学習院で教えていた久野収が引っ張ったのだというが、小田は『文藝春秋』の1964年10月号に書いた創価学会批判(「絶対帰依の美しさのなかで」)で、信者たちから、ミカン箱3つにもなるような抗議の手紙をもらったと話していた。いわゆる折伏運動の激しかった当時、それはよほどの勇気の要ることだったのである。

私はそれをテリー伊藤との共編著『お笑い創価学会──信じる者は救われない』(光文社知恵の森文庫)に収録し、テリーとの対談で、「小田さんの作品の中に、昔からいかに自民党が創価学会を大事にしていたかが分かる話が出てくる。池田勇人、佐藤栄作、中曽根康弘というように総理大臣になった人物が、学会を持ち上げているんだ。そのころから、学会の組織票に自民党は注目していた。佐藤栄作は、学会が人類の危機を救うとまで言っているし、中曽根康弘は青年部の会合に出席して涙が流れたという」

と言ったら、テリーは、

「そんな話を聞くと、こっちのほうが悲しくて涙が出てくる。票になればなんでもいいというのは、いまも昔も同じなんですね」

と応じた。

小田は「不安定と絶対者がないことが結びつくとき、そこにもう一つ、繁栄からとり残されて行くという状況が結びつくとき、人は新しい絶対者を待望するのだろう」と指摘しているが、票として求められた創価学会(公明党)は、自民党が自らの票の増殖器とならなくなったとわかった時、今度は自民党を捨てるのだろうか〉

維新が自らを「第2自民党」と位置づけたが、現在は、むしろ公明党が「第2自民党」だろう。もしくは“自民党公明派”ともいうべき自民党の中の一つの派閥である。

 

統一教会と創価学会の共通点

私は4月に、「自民党は統一教会と創価学会に侵食されている」という問題意識をもって『統一教会と創価学会』(旬報社)を出した。

そこで、統一教会と創価学会の共通点を、

1、寄付と信仰の押し付け

2、自民党安倍派(清和会)との結合

3、反共ウィルスの散布

の3つとして、自民党や統一教会はもちろん、創価学会も太陽の光に照らして虫干しする必要がある、と指摘した。

もともと公明党はもう「平和の党」などとは言えないと私は断罪してきたが、敵基地攻撃能力容認にまで踏み切って、いよいよ理念なきフラフラ党の正体が露わになった。それも、統一教会による被害者救済のための寄付規制を骨抜きにするために自民党と取引したと噂されたのだから、統一教会より先に公明党の解散を請求したいくらいである。

これまでも公明党はネタのばれた茶番劇を演じてきた。

たとえば2003年の自衛隊のイラク派兵の時、公明党代表(当時)だった神崎武法は、あわただしい日程でイラクのサマワを数時間視察し、安全であることを演出するという“猿芝居”をやって、派兵に賛成した。そして2004年には基本計画を変更して派遣期間の1年延長に賛成し、見返りに、公明党が主張していた所得税率定率減税の縮減を自民党に呑ませたのである。

公明党支持者、すなわち創価学会員にとって所得税の定率減税の廃止は経済的に影響が少なく、縮減による財源は年金に充てられるという主張だった。

イラク特措法は2003年7月に成立していたが、実際の派兵には国会の承認が必要とされていた。この時の自民党総裁が小泉で、幹事長が安倍晋三である。八百長的に賛成した公明党と違って、自民党では3人の大物がこれに反対した。ハト派で元幹事長の加藤紘一、同じく古賀誠、そして元政調会長の亀井静香だった。

「私はブッシュのイラクの戦いや大量破壊兵器に関する説明にかねがね疑念を持っている。やはり自衛隊派遣は反対だ」

と加藤が言えば、古賀も、

「私にも今まで歩いてきた歴史がある。そこを踏まえて政治家として信念と良心で決めることですから」

と応じ、亀井は、

「これは政治家としての信念だ。処分するならしたらいい。打ち首、獄門何でもどうぞだ」

と開き直った。

そして翌2004年1月31日未明、派遣承認案を採択する衆議院本会議に亀井は欠席し、加藤と古賀は採決前に本会議場を出て棄権した。反対を貫いたのである。

それに対して、公明党は一致して賛成にまわった。その結果、加藤や古賀よりも公明党が“戦争の党”であることが明らかになる。

タカ派の清話会が主流だった当時の自民党に「公明党への手前、3人にペナルティなしというわけにはいかない」という声が強くなった。

それで安倍は何とか3人に「戒告」という処分を下す。党則では「勧告」に次ぐ軽い処分だった。

公明党が“平和の党”でなくなったという証拠として、もう一つ“創価学会婦人部(現女性部)”がかつぐシンボル的存在が浜四津敏子から小池百合子に代わったことを挙げておかなければならない。

自民党との連立にも反対だったハト派の浜四津と違って、日本会議系で防衛大臣もやった小池は強烈なタカ派である。また、朝鮮人虐殺追悼記念式典への都知事としてのメッセージを送るのをやめたことでもわかるように典型的な差別主義者である。そんな小池に乗り換えられては浜四津も浮かばれないだろう。だまされやすい学会女性部はタカとハトの区別もつかないのかもしれない。(文中・敬称略)

 

佐高 信(さたか・まこと)評論家。1945年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。高校教師、経済誌編集長を経て執筆活動に入る。著書に『逆命利君』(講談社文庫)『安倍政権10の大罪』(毎日新聞出版)『総理大臣菅儀偉の大罪』(河出書房新社)『自民党と創価学会』(集英社新書)『池田大作と宮本顕治 「創共協定」誕生の舞台裏』(平凡社新書)『佐藤優というタブー』(旬報社)。共著に『世代を超えて語り継ぎたい戦争文学』(澤地久枝・岩波現代文庫)『お笑い創価学会 信じる者は救われない』(テリー伊藤・光文社知恵の森文庫)『統一教会と創価学会』(旬報社)など多数。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

  • 青年層への浸透を企図する創価の下種拡大戦略に見える焦慮

・4月13日付『聖教新聞』「総県長会議での原田会長の指導(要旨)」「『下種の拡大』『後継の育成』に全力」

「本日は、池田先生が手作りで築かれた常勝の師弟城・関西の地に、全国の方面長・方面女性部長、県長・県女性部長が一堂に会しての総県長会議となりました。(中略)師弟の魂魄がとどめられた関西で、改めてこの原点を確認するとともに、全ての方面・県が、新たな広布拡大・人材拡大の実証をもって報恩の誠を尽くす。この決意も新に、『5・3』から『いざや前進』を開始したい」

「栄光の『5・3』から師弟の『7・3』へ、これまで進めてきた『友情・下種の拡大』と『後継・青年の育成』に、さらに力を入れてまいりたい。創立95周年から100周年への広布前進のためにも、この5、6月に、どこまで人材を育成し、弘教を進めて対話を広げることができるか。その土台があってこそ、勝利が開かれていきます」

・4月21日付『聖教新聞』「第2回本部幹部会・関西総会から(要旨) 原田会長」「一人を大切にする座談会、訪問・激励を 等身大の言葉で共感広げよう」

「栄光の5・3『創価学会の日』『創価学会母の日』を祝賀する、第2回本部幹部会ならびに関西総会の開催、誠におめでとうございます」

「今まさに青年時代の育成と拡大において学会伝統の座談会と訪問・激励を、どう『カスタマイズ』――すなわち、必要に応じて変化させられるのか。時代からの“挑戦”に対する、私たちの“応戦”がここにあります。(中略)

今の青年世代を特徴づけるものとして、人物や企業などを評価する際に“ホンモノ感”があるのか――言い換えると、“ありのままが伝えられているか”“表裏がないか”に重きを置く傾向性があるといわれています。

だからこそ、100点満点の完璧な『ストーリー』よりも、弱さも失敗も、ありのままにさらけ出しながら、それでもなお、その人ならではの、等身大の物語を紡ぐ『ナラティブ』のほうが、ホンモノ感を重視する青年世代には、“刺さる”といもいわれています。(中略)

今後も青年世代の知恵に学び、積極的に取り入れながら、工夫を重ねていきたいと思います」

「私たち池田門下が、異体同心の団結で、さらなる広布推進と人間革命を誓い合うなかに、『5・3』は永遠ならしめられる。そしてそれが先生の願いであり、祈りなのであります。御聖訓にいわく『仏弟子は必ず四恩をしって知恩・報恩をいたすべし』。さあ、池田先生への大恩に報いるべく、一人一人が下種拡大の対話へ、勇んで飛び出していこうではありませんか」

 

※今年1月7日付『聖教新聞』は、前日の6日に行われた創価学会全国総県長会議での原田稔会長発言を、「10人の下種拡大、青年世代の励ましに総力」と題してこう報じている。

「これまで私たちは、『10人の本当の友人づくり』を合言葉に友好対話を進めてきました。本年は、それをさらに推し進め、各人が『10人の下種拡大』に挑戦したい。『下種』といっても、難しく考える必要はありません。学会員としての生活、活動や考え方をありのままに語る。学会に縁させていく。その全てが下種です」

その8日後の1月15日付『聖教新聞』掲載の「10人への下種拡大」に挑戦! 心軽く自身の生き方を語る」でも、原田会長は、次のように「10人の下種拡大」を強調している。

「原田 私たちは本年、『10人への下種拡大』を挑戦テーマに掲げました。静岡の取り組みを例にしても(編集部注・勧誘対象の友人の名簿カードを作り、接触の過程を記録する活動)、『下種』を難しく考えるのではなく、学会員としての活動や生き方をありのままに語ることが大切です。『現証を引いて申すべし』です。学会に縁することは、全て「下種」なのです」

本誌でたびたび報じているように、創価学会は公明党の国政選挙比例区票を「広宣流布のバロメーター」(秋谷栄之助会長発言)と位置づけており、小泉郵政選挙と呼ばれた2005年の衆議院選挙で898万票を獲得した頃には、「目指せ広布の一千万!」などと豪語、創価学会の勢力が1000万に達したと気勢をあげていた。

だが一昨年7月の参院選における公明党の比例区票は618万票。少子高齢化や求心力の要である池田大作名誉会長の表舞台からの退場と死去に見舞われた創価学会は、05年以後、坂道を転げ落ちるかのように勢力を後退させていることを「広宣流布のバロメーター」は如実に示している。

創価学会は今日なお公称世帯数を「827万世帯」などと公表しているが、誤魔化しのきかない比例区票の数字は冷厳。すでにその勢力は05年と22年との単純比較だけで280万票、32%もの減少率を示している。

もっともこの「10人の下種」作戦は、静岡の例が示すように昨日今日始まったものではないようだ。というのも2019年5月13日付『聖教新聞』掲載の座談会記事にも、「一人が10人の本当の友人をつくろう!『自他共の幸福』へ仏縁を拡大」なる見出しがつけられ、そこで原田会長はこんな発言をしているからだ。

「原田 池田先生はかつて『一人が、十人の本当の友人をつくっていこう! そこに実質的な広宣流布がある』と随筆につづられました。今、各地を訪問する中で、どの地でも、この指針を胸に友好拡大に先駆ける同志に出会います」

「原田 日蓮大聖人は『始より終りまで弥信心をいたすべし』、また『いよいよ強盛の信力をいたし給へ』等、壁にぶつかればぶつかるほど、信心の炎を燃やし、挑戦し続けることの大切さを教えてくださっています。今再びの決意で戦い抜き、新しい勝利の道を切り開いていきましょう」

しかし同年7月に行われた参院選での公明党の比例区票は653万票。おそらく19年5月13日付聖教座談会記事で原田会長が、「10人の本当の友人をつくろう」と語ったのは、5年前の14年衆院選では731万票だった公明党比例区票が、17年衆院選では700万の大台を割る697万票に落ち込んだことに危機感を抱き、なんとか700万票台を回復すべく檄を飛ばしたものと考えられる。だが結果は653万票と、3年前の16年参院選の757万票を大きく下回ったばかりか、17年衆院選の697万票にも及ばなかった。

その後も「10人の本当の友人をつくろう」作戦は奏功せず、「広宣流布のバロメーター」は22年には618万票にまで落ち込んだ。

それだけに執行部の焦慮も深いようだ。今年2月5日付『聖教新聞』は、またもや「仏の種を蒔く『下種』の拡大を」なる座談会記事を掲載。記事中での原田発言のボルテージは上がる一方だ。

「原田 御聖訓に『「大願」とは、法華弘通なり』と仰せです。池田先生は『創価学会は、永遠に「折伏」の団体である』と宣言され、『日蓮仏法は「下種仏法」であり、仏法対話をして、自他共の“心の田”に仏の種を蒔く「下種」が一切の出発点である』と強調されています」

「原田 『道理・証文よりも現証にはすぎず』です。信仰によって得た歓喜や感動を伝えることこそ、下種の拡大です。私たちは『広布拡大こそ報恩の道なり』と一重深く命に刻み、心軽やかに10人の下種の拡大に挑戦していきましょう」

だが檄は飛ばせど結果は空回りするばかり。というのも地方議会選挙での公明党の得票数は減少の一途をたどっており、組織衰退の厳しい現実を映し出しているからだ。

その実例として、直近の地方市議選を見てみよう。たとえば4月14日投開票の鹿児島市議選での公明党の得票数は、前回比で1914票のマイナスとなっており減少率は8パーセント。同様に広島県福山市議選も前回比で1946票減、減少率は9パーセントとなっている。

4月21日には、「常勝関西」のエリア内の大阪府大東市議選が投開票されたが、同市議選でも公明党は、前回比で560票のマイナス、減少率は7パーセントを示した。

7・8・9パーセントの減少率はたいした数字に見えないかもしれないが、前回の参院選の公明党比例区票618万にマイナス7パーセントをかければ575万、9パーセントとなれば563万となり、600万の大台を割ることとなる。

公明党の比例区票が500万票台というのは昭和40年代の数字である。しかも池田大作氏のカリスマの淵源となった「常勝関西」の大阪の衆院小選挙区では、次の選挙で公明党の全敗が予想されており、創価学会の危機感は強い。今回、池田氏の会長就任記念日を祝賀する5・3記念の本部幹部会を大阪総会と兼ねて開催したのは、全敗を免れるために士気を鼓舞する狙いがあるのだろう。その本部幹部会での発言で原田会長は「青年に刺さる『ナラティブ』」の活用を推奨するなど、青年世代への食い込みを図ることを強調している。だが「自らの弱さも失敗も、ありのままにさらけ出し、表裏がない」という「ナラティブ」を、自らの過ちを一切認めず“無謬”を強調してやまない創価学会が使えるはずもない。

急速に衰退する組織を延命維持するために、創価学会は必死であがいているが、徒労に終わるのは火を見るよりも明らかだろう。

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