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2021年2月号

2月号目次

 

閻魔帳

遠山清彦─高転びした「平和学博士」をウリにした増上慢/乙骨正生

 

特集/コロナ禍でのSGI提言&立正安国の大対話運動

 

具体策のない「提言」と政権との関わり避けた論述/柿田睦夫

「新型コロナ全体主義」の構築に血道を上げる「公明党=創価学会」の断末魔の悪あがき/古川利明

 

トピックス

幸福の科学の“成人式ジャック”をめぐる政教分離問題と2世問題/藤倉善郎¥

トピックス

裁判所から集金手法が違法認定された統一教会、組織改編に見える権力図/鈴木エイト

 

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

「公明党と創価学会」を考える(第16回)

公明党の自立路線時代(2)/平野貞夫

ナニワの虫眼鏡(第20回)

都構想の次はカジノ? 導入の是非は住民投票で決めるべき/吉富有治

新・現代の眼(第54回)

相煎ること何ぞはなはだ急なるぞ/菅野 完

ヨーロッパ・カルト事情(273)

戦前・戦後を繋ぐ自公政権の弊害/広岡裕児

執筆者紹介 編集後記

 

 

編集後記から

10都府県に対する緊急事態宣言は、節分の2月2日に3月7日まで1カ月、延長されました。その世界的パンデミックについて、恒例の「SGIの日」記念提言で池田大作SGI会長が、「国連中心の協力体制を強化」などと提案しています。

齢93歳の池田氏が長大な論文を書くことなど考えられませんが、すでに1月の本部幹部会の席上、原田稔会長が「日蓮大聖人」が「立正安国論」を執筆したのは「伝染病蔓延」のさ中だったなどと語っていたことから、創価学会が「日蓮大聖人」と比肩する偉大な宗教指導者と位置付ける池田氏の名で長大論文を発表することは確実とみられていました。詳しくは特集記事をご参照いただきたいと思いますが、その内容が例年以上に浅薄だったのは、池田氏の名で論文を発表することの無理が限界に達していることを示唆しているといえるのでは。

ところで2月1日、公明党の遠山清彦代議士が緊急事態宣言のさ中に銀座のクラブを訪れていたことや、福岡県・中洲のキャバクラなどに政治資金を支出していたことが露見し、衆院議員を辞職しました。国民に自粛を強いる中で国会議員が深夜まで銀座のクラブ通いをしていた責任は重大ですが、遠山氏の議員辞職は、やはり銀座のクラブで酒食に耽っていた3人の自民党代議士の離党と差別化をはかり、7月の都議選や衆院選へのダメージを最小限に抑えようとの公明党そして創価学会の姑息なパフォーマンスに過ぎません。遠山氏とはいかなる人物かは閻魔帳をご一読ください。

その都議選・衆院選の前哨戦とされた1月31日投開票の北九州市議選で公明党は、自民党が大敗する中で13人全員が当選し、現有議席を守りました。その要因は、期日前投票の活用とみられており、遠山問題がもう少し早く露見していれば結果は違ったのかもしれません。というのも政令指定都市である北九州市議選よりも期日前投票の期間が短かった埼玉県戸田市議選では、公明党候補1人が落選しているからです。

コロナ禍によって宗教に名を借りた戸別訪問を中心とする創価学会の選挙闘争に足止めがかかる上に、大逆風となることが予想される遠山問題。昨年の沖縄県議選で公明党は擁立していた公認候補2人を、当選が難しいことから選挙前に撤退させるという異例の措置をとりましたが、都議選でも当選が厳しい候補の撤退という“異常事態”が現出するかもしれません。

特集/コロナ禍でのSGI提言&立正安国の大対話運動

具体策のない「提言」と政権との関わり避けた論述/

柿田睦夫

ジャーナリスト

 

菅流「強権」手法を後押し

毎度のことだが、「SGI提言」は本当に池田大作氏による池田大作氏の提言なのか。多くの新聞は今年も、「創価学会の池田大作名誉会長が提言をまとめて発表」としたが、まずこれが間違いである。発表者名は名誉会長ではなく「創価学会インタナショナル会長 池田大作」である。

正確に伝えるならやはり、「創価学会は提言をつくり、池田大作SGI会長名で発表した」であろう。つまり池田氏の名を借りた創価学会の「提言」だということだ。だから当然、そこには池田氏抜きの学会執行部の思惑が反映する。今年はその印象がより強いように思われる。理由は後述する。

いま世界も日本もコロナ禍に直面している。だから当然だろう、「SGI提言」は聖教新聞で9ページという長大論文のうち、実に6ページ半を使ってこの問題に言及している。その中味はどうか――。

感染症対策の要諦は第1に感染者の発見、隔離であり、第2に医療体制の整備・強化である。ノーベル医学・生理学賞を受賞した大隈良典、大村智、本庶拓、山中伸弥の4氏が発表した声明(1月8日)もまず「医療機関と医療従事者への支援を拡充し、医療崩壊を防ぐ」ことと「PCR検査能力の大幅な拡充と無症候感染者の隔離を強化する」ことを求めている。

そのうち、コロナ治療効果が注目される抗寄生虫薬イベルメクチンを開発した大村氏は次のように述べている。

「この感染症の特徴は、実は無症状感染者が感染を広げていることです。本人が気がつかないまま、ウイルスをまき散らすことが分かってきています。だから、もっとPCR検査を増やし、無症状感染者を見つけ、保護し、どこかでちょっと休んでもらう。これが私たち4人の議論の中で一番大事なところだと思っています」(「赤旗」日曜版1月24日号)

同じく本庶氏もこう指摘する。

「(日本の検査数は)いまだに少ない。感染者の早期発見と隔離は医学の公衆衛生の教科書に書いてある。なぜ厚労省が医学の教科書に書いてあることをしないのか理解に苦しむ」(テレビ朝日・1月14日)

早くから指摘されていたことだ。主な野党も昨年前半から要求している。だが安倍前政権も菅現政権もこれに背を向けてきた。PCR検査数は主要国で最下位クラスである。医療機関や高齢者施設での一斉・定期検査(社会的検査)を目指した東京・世田谷区などの自治体には冷たい視線を送り続けてきた。

この間の新自由主義路線の下で保健所の体制は半減し、公立公的療院は統廃合されているにもかかわらず、その見直しすらしようとはしていない。ボーナスカットにまで追い込まれている医療機関の減収補塡にも応じる気配を見せていない。

そのあげく、いま入院にも宿泊施設にも入れず在宅医療となっている人が4万人に迫ろうとしている。それに加えて「入院等調整中」の人もいる。そもそも、感染症に「自宅療法」などあってはならないのだ。専門家は、たとえばオリンピック選手村を臨時の「宿泊施設・待機所」として活用することを提案しているが、政府も都も耳を貸そうともしない。

背を向けるだけではない。これに逆行するGoToトラベルには固執し続けている。しかもその推進役を担っているのが公明党の国土交通相。「永遠の師匠」たる池田大作氏の「弟子」なのである。

無為無策、手遅れという批判は国中に溢れている。だが菅義偉首相はこれにも向き合わない。緊急事態宣言の遅れには「コロナの知見が私にはない」から専門家の意見に従ったと答え、コロナ特措法や感染症法への罰則導入は「全国知事会の緊急提言を踏まえた」からだという。すべて責任転嫁なのだ。

菅首相の政治手法は「強権」である。内閣人事局で官僚の強権支配をはたし、学術会議を突破口に学術界への介入支配を図る。コロナ禍に乗じて企てたのがこの罰則規定の導入だろう。感染者や自粛に従えないほど追い詰められた業者を犯罪者のごとくに扱い「自己責任」を迫るという手法である。

与野党協議で刑事罰は修正削除されたけれど、罰則規定導入という目的は実現した。刑事罰という高目のハードルは罰則規定導入のため妥協するための「のりしろ」だったという説は大筋で間違っていないだろう。しかもあろうことか、公明党の山口那津男代表がそれを後押ししているのだ。

「自粛要請を守らなかった人が得をするのは国民も理解し難い。支援策と併せた罰則で、要請に実効性を持たせることが大事だ」(1月10日・NHK日曜討論)

その発言後に自公両党幹部が深夜に銀座のクラブに行っていたことが発覚した。両党がこれを、当初は役職辞任と謝罪だけですませたことの方こそが「理解し難い」というべきだろう。

 

にじみ出る政権への「遠慮」

そこで肝心の「SGI提言」である。驚いたのは、現実に直面しているこれらの「この国のこと」についての言及がまるでないことだ。そしてコロナ克服についての具体的な「提言」が見当たらないことである。

国内ではなく世界を見ているのだと言うかもしれない。だが世界には、大規模なPCR検査で感染拡大を押さえた台湾や、公共施設や大企業施設を利用して「宿泊療養施設」を確保した韓国のような例もある。そんな先進例にも目を向けず、ひたすら「連帯して危機を乗り越える意識」や「人権文化」建設を促しているのだ。そしてこんな警告もしている。

「感染症に苦しむ人や家族をさらなる窮地に追い込むような事態を招いたり、以前から根強い差別や偏見にさらされてきた人々に対して、感染拡大の責任を転嫁したりするような空気が強まることです」

ちょっと待ってほしい。コロナ特措法などへの罰則規定導入を後押しする公明党の山口代表の前記発言とどう整合するのだろうかと思ってしまう。

数少ない具体的な「提言」は、ワクチンについてである。冷戦時代に、ポリオワクチンで旧ソ連が米国に手を差し伸べて協力した史実などをあげて、「資金力のある国とない国との間でワクチンの確保に深刻な格差が生じたり、ワクチンの価格が高騰したりすること」への懸念を述べ、ワクチン供給の「国際的枠組みを」と提言する。

そのこと自体に異論はない。そこで避けて通ることのできないのがオリンピックである。開催するためには選手、役員らへの大量のワクチンが必要となる。感染状況やワクチン確保についての国別格差のままで「フェアな大会」が可能かどうかという問題もある。せめてそこまでは言及してほしかったと思うのだ。

6ページ半に及ぶ「提言」の結論部分は、国連が「コロナ危機を巡るハイレベル会合」を開き「パンデミックに関する国際指針」を採択せよとの提案である。日本も世界も危機の只中にあるいま、これでは能天気すぎないかと感じるのは筆者だけだろうか。

「提言」は後半部分で1月22日に発効した核兵器禁止条約や核拡散防止条約(NPT)再検討会議に言及している。ここにも黙視できない記述が少なくないが、紙数の関係もあるので一点だけ指摘しておきたいのは、創価学会の核兵器廃絶・平和運動の原点は、戸田城聖二代会長の「原水爆禁止宣言」であり、核兵器を“絶対悪”と位置づけることで、「世界の民衆の生存権を守ること」にあったと強調していることである。にもかかわらず、核兵器禁止条約に反対し、批准を拒んでいる日本政府(自公政権)に対する姿勢があまりにも生ぬるいという事実である。

「提言」は、「日本は締約国会合に参加し 被爆国として議論に貢献を」との見出しをつけたうえで、1年以内に開催される最初の締約国会合に対して「唯一の戦争被爆国である日本は、他の核依存国に先駆けて締約国会合への参加を表明し、議論に積極的に関与した上で、早期の批准を目指していくべきではないでしょうか」と述べている。そこには政権への遠慮がにじみ出ているのだ。池田氏は政権与党公明党の創立者であり、創価学会は公明党の組織母体である。そしていまや自民党最大の支持団体でもある。核兵器廃絶を創価学会は、自らの社会的使命とまで強調しているのだから、せめてこの問題くらいは、政権に対して正面からもの申す姿勢を示してもいいのではないか。

それができないのは、実際の執筆者である創価学会執行部の思惑が影を落としているからにほかならない。創価学会執行部は17年制定の「会憲」路線を進めつつある。池田氏を教祖的存在に位置付けることで学会員の求心力の維持を図りつつ、“池田後”の組織をどう作り、運営するのかという課題である。

そのためには当面、政権の力を借りるしかないという現実に直面している。そんな中で組織のメッセージとして発する「提言」では、政権との関わりで差しさわりのない部分を選んで論及し表現せざるを得ない。そんな印象が今回の「提言」にもにじみ出ていると思えるのだが、どうだろうか。

 

柿田睦夫(かきた・むつお)フリージャーナリスト。1944年生まれ。業界紙記者などを経て1979年から「しんぶん赤旗」社会部記者。退職後「現代こころ模様」シリーズなどで「宗教と社会」の関わりを取材。葬儀や戦後遺族行政に関わるレポートも多い。『霊・超能力と自己啓発─手さぐりする青年たち』(新日本新書、共著)『統一協会─集団結婚の裏側』(かもがわ出版)『現代葬儀考─お葬式とお墓はだれのため?』(新日本出版社)『宗教のないお葬式』(文理閣、共著)『これからの「お墓」選び』(新日本出版社)『自己啓発セミナー─「こころの商品化」の最前線』(新日本新書)『現代こころ模様─エホバの証人、ヤマギシ会に見る』(新日本新書)、新刊に『創価学会の“変貌”』(新日本出版社)など著書多数。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

  • 核兵器禁止条約と創価学会&SGI提言

・1月22日付『聖教新聞』「きょう核兵器禁止条約が発効」「廃絶への大きな一歩」「師弟を貫く目標実現へ 草の根の歩みをさらに」

〈「核兵器禁止条約」が、きょう22日に発効する(中略)発効に寄せて、創価学会の原田会長は談話を発表。また同日、SGI(創価学会インタナショナル)は「核兵器を憂慮する信仰者のコミュニティー」として共同声明を発表した〉

〈原田会長の談話 1月22日、「核兵器禁止条約」が国際法として発効したことを、創価学会を代表して心から歓迎いたします。(中略)核兵器の禁止と廃絶は、創価学会の社会的使命です。その源流は、第2次世界大戦中、軍部政府の弾圧に屈せず、平和と人権のために信念を貫き通し、獄中で殉教された初代会長・牧口常三郎先生のご意思を継ぎ、第2代会長に就任された戸田城聖先生が、1957年9月8日、核兵器を人類の「生存の権利」を脅かすものと断じられた「原水爆禁止宣言」にあります。

そして、その「宣言」の思想性を継承し、核兵器を「絶対悪」と訴え、恒久平和への命懸けの行動を貫いてこられたのが、第3代会長・池田大作先生です。私たちは、「核兵器なき世界」という師弟誓願の目標実現へ、その歩みをさらに力強くしていきたい。(中略)

どこまでも「民衆の側」に立つことに主眼を置く創価学会は、唯一の戦争被爆国である日本が、自らも核兵器禁止条約を批准できうる状況をつくることを視野に締結国会議にオブザーバーとして参加すること、そして、いまだに条約への反対の姿勢を示す核保有国および依存国と、非核保有国との「橋渡し」役を担って、核兵器の禁止、そして廃絶へのリーダーシップを発揮することを念願したい〉

・同「学会提供の番組『核兵器なき未来へ』TOKYO MXで24日午後8時から」

〈創価学会提供の番組「核兵器なき未来へ」が24日午後8時から約30分間、地上波の「TOKYO MX」(東京都のほか首都圏の一部で視聴可能)で放送される。……被爆者の思いに迫るとともに、創価学会の平和運動の歩みにも触れている〉

・1月27日付『聖教新聞』「第46回『SGIの日』記念提言」「核兵器禁止条約が発効」「日本は締約国会合に参加し 被爆国として議論に貢献を」

〈唯一の戦争被爆国である日本は、他の核依存国に先駆けて締約国会合への参加を表明し、議論に積極的に関与する意思を明確に示した上で、早期の批准を目指していくべきではないでしょうか。

“同じ地球に生きるすべての民衆の生存の権利”を守り、“これから生まれてくる将来世代の生存基盤”を守り続けるという条約の精神に照らして、被爆国だからこそ発信できるメッセージがあるはずであり、その発信をもって締約国会合での議論を建設的な方向に導く貢献を果たすべきだと思うのです〉

〈新型コロナのパンデミックによる深刻な医療機器と経済的な打撃が各国を襲い、その立て直しに数年かかることが見込まれる中、「核兵器による安全保障」のために巨額な軍事費を投じ続けることの意味を、再考すべき時を迎えているのではないでしょうか〉

 

※2017年7月の国連総会で122カ国の賛成で採択された、核兵器の開発・製造・保有・使用を禁じる核兵器禁止条約が、発効に必要な50カ国の批准を経て1月22日に国際条約として発効した。

これを受けて創価学会は、原田稔会長が歓迎の「談話」を発表し、核廃絶は創価学会の「社会的使命」であり、核兵器廃絶という「師弟誓願」の目標に向けて、さらに歩みを強くすると決意表明。池田SGI会長も恒例の「SGIの日」記念提言で、条約発効を評価するとともに、日本も締約国会合に参加を表明するとともに、早期の条約批准を「目指すべき」と主張した。

こうした創価学会の核廃絶を求める平和運動は、戸田城聖二代会長の「原水爆禁止宣言」を端緒とし、「その思想性を継承し、核兵器を『絶対悪』と訴え、恒久平和への命懸けの行動」をしてきた池田三代会長の賜物であるとPRする、「核兵器なき未来へ」と題する創価学会提供の30分番組を、TOKYO MXが1月24日午後8時から放送した。

番組内では、戸田二代会長と池田三代会長そして原田現会長の肉声が流れ、創価学会がICANと連携して核廃絶運動に挺身していることをアピールした。

おそらく創価学会は、内閣支持率の下落によって厳しい政治状況に立たされている中で、創立100周年に向けての「勝負の10年」の緒戦となる都議選・衆院選を勝ち抜くためのイメージアップ戦略として番組を制作し、TOKYO MXで放映させたのだろう。

その狙いは、1月22日に核兵器禁止条約が発効するのを契機に、自らが核廃絶に貢献していることを内外に広くPRし、公明党と創価学会執行部の集団的自衛権の行使容認に賛成して以来の政治路線に不信を抱く幹部・活動家や、創価学会・公明党の平和路線を支持していたシンパを懐柔するためのアリバイ工作にあると見ることが可能だ。同番組はSNSで全国視聴が可能だが、おそらく今後、全国各地のローカル局で後追い放送がなされるのでは。

すでに本誌では繰り返し指摘していることだが、政権与党・公明党の組織母体で、いまや自民党の最大の支持団体である創価学会に求められるのは、単なるお題目としての「核廃絶」を唱えることではなく、核廃絶を実効あらしめるための行動である。具体的には日本政府(自公連立政権)に核兵器禁止条約を直ちに批准し、唯一の戦争被爆国として核廃絶に積極的に取り組むことを強く要請するとともに、その要請が受け入れられなければ連立を離脱し、核兵器禁止条約の批准に難色を示す議員を落選させる意思を示すことなのでは。それが創価学会の「社会的使命」を果たすことであり、「核兵器を『絶対悪』と訴え、恒久平和への命懸けの行動」をしてきた池田氏との「師弟誓願の目標」を実現することにつながるのではないか。

 

  • 「勝負の10年」の先駆けの帰趨

・2月2日付『聖教新聞』「北九州市議選 公明党、13人全員当選」「厳しい攻防戦勝ち抜く 本年政治決戦の緒戦飾る」

 

※「北九州が勝てば全国が勝つ!」(創価学会内部文書)として、創立100周年の勝利を開く緒戦と位置付け、コロナ禍の中、九州の組織あげての支援活動が繰り広げられた1月31日投開票の北九州市議選。菅内閣の支持率が急落する中で、自公連立を組む自民党が現職6人を落したものの、公明党はしぶとく13人全員が当選した。

これを受けて『聖教新聞』は、「全員当選」と欣喜雀躍しているが、勝因は40・2パーセントの低投票率と、遠山問題が露見する前に投票が済んでいる期日前投票をフル活用した結果と見られている。もっとも選挙結果を子細に見ると、前回比で総得票数は5853票のマイナス。個別には得票を微増している候補もいるが、候補を擁立した全選挙区で得票を減らしている。

また北九州市議選に次ぐ重要選挙と位置付けられていた埼玉県戸田市議選(1月31日投開票)では、5候補のうち1人が落選。総得票も前回比で1106票のマイナスとなっており、「北九州が勝てば、全国が勝つ!」とはならなかった。

公明党は世論の猛反発を受けて、当初は役職辞任でお茶を濁そうとした遠山代議士を議員辞職させ、立候補する予定だった神奈川6区からも撤退したが、これは離党で逃げのびようとする自民党との差を見せつけることで都議選・衆院選への悪影響を防ぐためのパフォーマンスに過ぎず、本気で反省していなかったことは、すぐに議員辞職させなかったことからも明らか。自民党と離党した3代議士のお粗末さはひとまず措いて、自民党と公明党の差は、個人の意思よりも組織の論理が優先される“組織本仏論(組織至上主義)”に裏打ちされた全体主義的体質の創価学会・公明党の実態をよく示していると見ることができる。

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