Forum21

Read Article

2020年7月

7月号目次

 

閻魔帳

河井案里氏当選の鍵はカネと創価学会票だった/柿田睦夫

 

特集/河井夫妻逮捕──創価・公明の支援責任

 

金権・河井案里を当選させた創価学会・公明党の責任とは/乙骨正生

『「自民党“公明派”」20年目の大失敗』を象徴する「河井夫婦逮捕」と「沖縄県議選不戦敗」/古川利明

河井議員夫婦の逮捕とあきれた公明党の見解/段 勲

 

トピックス

神社本庁の田中総長が背任罪で刑事告発される/橋本征雄

 

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

「公明党と創価学会」を考える(第9回)

田中政権出現と創価学会・公明党の動き(3)/平野貞夫

ナニワの虫眼鏡(第13回)

間近に迫る都構想の実現 維新・公明に自民は勝てるか/吉富有治

新・現代の眼(第47回)

初め有らざるなし、克く終わりあるは鮮なし/菅野 完

ヨーロッパ・カルト事情(267)

ライシテの地平に生じる差別と暴力/広岡裕児

 

執筆者紹介 編集後記

 

 

編集後記から

コロナ禍による緊急事態宣言・自粛の影響で、上映開始が大幅に遅れたものの、「花のあとさき ムツばあさんの歩いた道」が、6月に入って無事に上映されるようになりました。

以前、小誌の「閻魔帳」でも取り上げたことがありますが、埼玉県秩父市太田部楢尾という山深い集落に住む小林ムツさん・公一さん夫妻が、先祖代々受け継いできた山の段々畑を閉じて、そこに感謝の意を込めて1万本もの花木を植えて山に返そうとする姿を中心に、消えゆく過疎の集落の姿を18年にわたって丹念に撮影したNHKのBSドキュメンタリー番組「秩父山中 花のあとさき」の7回のシリーズに、未公開映像を含めて集大成したのが、映画「花のあとさき ムツばあさんの歩いた道」です。

すでにムツさんは2009年に亡くなり、ムツさんが植えた花木を守っていた集落の人々も亡くなったり集落を離れたりと、2017年に無人となった楢尾集落。しかしそれでもムツさんが植えた桜や桃は春には花を咲かせ、秋には紅葉が訪れた人を癒してくれている事実を、映画は静かに伝えています。

ムツさんが亡くなってからすでに11年になるにもかかわらず、「秩父山中 花のあとさき」が映画化され、多くの人々の心を引き付けるのは、コロナ禍で懊悩する現在の日本社会と日本人に欠けているなにかがそこに投影されているからでしょう。

いま昨年7月の参院選・広島選挙区での、河井克行前法相と案里参院議員の金権選挙の実態が明るみに出始めていますが、この公職選挙法違反事件をはじめ、モリカケ問題に桜を見る会、持続化給付金の中抜き問題などなど、安倍自公政権は、「美しい国、日本」を政治スローガンとしていながら、やっていることは政治の私物化に議会制民主主義の破壊と、「醜悪な国、日本」の国造り。呆れるばかりです。

そしてそんな安倍自公政権を構成し、支える創価学会の「永遠の師匠」は、2010年5月以降、10年にわたって大衆の前から姿を消しているにもかかわらず、創価学会は「お元気」「健在」であるとして、その“偉大さ”を金にあかせて内外にアピールし続けています。しかし世間に損得を抜きにして池田大作氏を評価する人はほぼ皆無といえましょう。

一方、無名の老婦は、亡くなってから11年の歳月を経てなお、多くの人々がその無私・無欲な姿に心を寄せています。

コロナは収束の傾向を見せていますが、油断できません。皆さま十分にご注意の程を。

特集/河井夫妻逮捕──創価・公明の支援責任

金権・河井案里を当選させた創価学会・公明党の責任とは

乙骨正生

ジャーナリスト

 

“決定打”となった創価学会票

「そして思わぬご支援をいただいた公明党の先生方、特に山口那津男先生、広島で『どうか河井案里に力を貸してやってくれ』と、私のために頭を下げてくださったこと、遠くからですけれども本当に心から御礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました」

2019(令和元)年7月21日夜、参院選挙で初の当選が決まった河井案里(以下・案里)は、当選御礼の挨拶の中で山口那津男公明党代表にこう謝意を表した。

ここで案里が述べているように、山口代表は選挙戦最終盤の7月17日に広島入りし、案里への熱烈な支援を呼び掛けている。19年参院選比例区における広島県の公明党の得票は約14万。その大半は案里に投じられたと見られ、各種マスコミは公明党の全面支援=創価学会票が案里当選の「決定打」となったと報じている。

例えば選挙直後の7月24日付『NHKマガジン』の「“仁義なき戦い” 敗者は誰か」と題する特集記事にはこうある。

〈公明が、舵を切った。

勝敗のカギを握ったのが連立与党の公明党だ。

公明党は、溝手、河井の双方を推薦していたが内実は違った。

取材のなかで「公明党は、河井を支援する」との1報が飛び込んできた。

確認を進めると“全国規模のバーター”の情報が伝わってきた。

「苦戦が見込まれる兵庫の選挙区の公明党の候補を自民党本部が全面支援。かわりに広島選挙区で、公明党は、河井支持に舵を切る」

河井に多く票を向ける動きが加速していった。溝手陣営に、はっきりとした焦りが見え始めた〉

そうした公明党の案里支援の背景にある創価学会の思惑と動静を詳述しているのは、講談社発行の19年10月18日付『現代ビジネス』掲載の「首相のイスは見えた…菅官房長官がふるう『圧倒的権力の全貌』」なる記事。そこには公明党の案里支援は創価学会の主導であったことが、次のように書かれている。

〈菅は今夏の参院選で、岸田文雄の力を削ぐために力を注いだ。その際、威力を発揮したのが、菅が太いパイプを築いている創価学会だった。

改選2の広島選挙区の自民党現職は、岸田派最高顧問の溝手顕正だった。菅は「広島では自民党が2議席独占できる」として、2人擁立を主張した。自民党選対に働きかけ、自らに近い広島3区選出の衆院議員・河井克行(現法相)の妻で、県議会議員の河井案里を2人目の候補として擁立したのだ。

これには、岸田系が大多数を占める広島県連が猛反発。自民党系県議のほとんどが溝手陣営についた。

菅は事態打開のため、この6年で太いパイプを築いてきた、創価学会の選対責任者である副会長の佐藤浩に河井の支援を要請。佐藤は広島の学会及び公明党に、河井を支援するよう指示を出した。

当初、公明党の地方議員の中には「河井夫妻は地元で評判が悪い」として、佐藤の指示に抵抗を示す者もいた。だが佐藤は、そうした地方議員にまで個別に電話をかけ、河井を全面的に支援するよう説得。

「今回の参院選で、公明党は兵庫選挙区で大変な苦戦を強いられている。そこでは菅さんの支援が不可欠なのだから、河井案里がどんな候補者かなど関係ない。広島では、菅さんの要請通りやるしかないんだ」とまくし立てたという〉

ここにある通り創価学会は、参院選兵庫選挙区に擁立した公明党新人候補の当選を、「立正安国の戦い」という宗教的意義付を冠した参院選での「完勝」を果たすための最重点選挙区と位置付け、自民党に強力な支援を要請。これを受けて安倍晋三首相や菅義偉官房長官が公明党新人候補の応援に駆けつけ、従来は自民党を支持していた企業や団体票までを公明党に割いた。

特に菅官房長官は3回も兵庫に入って公明党候補を応援。その結果、公明党新人候補は2位で当選(3人区)。その煽りを食って自民党候補は次点候補に肉薄され薄氷の最下位当選となったため、菅氏の公明党支援には自民党兵庫県連内からも怨嗟の声が出る始末だった。

激戦の兵庫選挙区を制し、公明党選挙区7候補が全員当選したことから創価学会は、参院選を「歴史的な大勝利」「完勝」(19・7・28付『聖教新聞』)と大々的にアピールしたが、同選挙で公明党は比例区票を大幅に減らしており、選挙区の「完勝」は、原田会長を中心とする執行部の面目を保つための命綱に他ならなかった。

信徒団体として所属していた日蓮正宗に破門(1991年)されて以降、また池田大作名誉会長が大衆の前から姿を消して(2010年)以降、創価学会はポスト池田時代を視野に入れて、本尊・教義・政治的スタンスの改変・変更を急速に進めている。しかし従来の教義や政治的主張と乖離・背反する執行部の判断・主張に対して、多くの幹部・活動家をはじめとする学会員からは疑問や不信・批判の声があがっている。こうした内部批判を封殺するために執行部は、査問・処分などの強行姿勢で反対分子を排除し、組織を引き締めているが、その執行部の宗教的・政治的正当性や権威の証明として、不可欠となっているのが国政選挙をはじめとする各種選挙での勝利なのである。

しかも19年参院選は、創価学会創立90周年と池田名誉会長の会長就任60年の節目の年である2020年を、勝利で飾るためのプロローグとして執行部にとって絶対に負けられない選挙だった。

その絶対負けられない選挙で、当落線上にある兵庫選挙区の公明党新人候補への自民党なかんずく官邸の強力な支援を受けるための見返りとして、公明党・創価学会は案里当選のために全力を傾注したのだった。

〈結局、広島の創価学会は票を河井に集中させた上、河井の街頭演説に地元の公明党県議や市議を同行させるなど全面協力。報道各社の期日前出口調査によれば、公明党支持者の70~80%が河井に投票した。これが河井当選の決定打となった。

溝手陣営は投票日の数日前になって、岸田や元県議会議長らが創価学会の総広島長・塩出大作に「溝手にも半分は票を回してほしい」と懇願したが、手遅れだった〉(同)

今日、案里と前法務大臣で夫の河井克行が、公職選挙法違反で逮捕され、その金権にまみれた異常な選挙の実態がクローズアップされているが、カネのバラまきと並行して案里当選の「決定打」「勝敗のカギ」となったのは、創価学会の全面支援だったことは強調しても強調しすぎることはない。

 

公示直後に原田会長が広島入り

『現代ビジネス』では、佐藤浩副会長の関与を詳述しているが、実は、広島選挙区からは公明党候補が立候補していないにもかかわらず、公示直後に原田会長自らが広島に乗り込んでいる事実がある。公示翌日の7月5日、創価学会は総広島の代表幹部会を開催したが、これに原田会長がわざわざ出席しているのだ。

「広島 代表幹部会行う 原田会長が出席」なる7月6日付『聖教新聞』記事によれば、幹部会の席上、塩出総広島長は「折伏精神で真実を語り抜き、弟子の誓いを果たす立正安国の怒涛の大前進を」と訴え、原田会長も「いかなる戦いも、勇気と勢いのある方が勝つと強調。一切の油断を排しながら、一人一人が広布の主体者として立ち上がり、師弟勝利の金字塔を打ち立てよう」と檄を飛ばしている。

ここで強調された「立正安国の怒涛の大前進」「師弟勝利の金字塔」とは、もちろん公明党比例区票獲得の意味合いもあるだろうが、それ以上に重要だったと思われるのが、安倍首相と菅官房長官という政権トップのリクエストに全力で応えて案里を当選させることで、恩を売ることだったことは想像に難くない。

『週刊文春』19年6月27日号掲載の「安倍は広島の仇敵を許さない 岸田が悩む“仁義なき戦い”」には、自らに批判的な岸田派重鎮の溝手候補を安倍首相は毛嫌いしており、安倍首相側近で総裁外交特別補佐を務める河井克行代議士の妻・案里を擁立したのは、溝手候補落選のためのいわば刺客であり、それはポスト安倍のライバルである岸田文雄政調会長の影響力を削ぎたい菅官房長官の意向でもある旨が書かれている。

いまや買収の原資と見られている1億5000万円の選挙資金が自民党本部から案里陣営に提供されていた事実や、安倍事務所の4人の秘書が案里陣営の選挙スタッフとして送り込まれていた事実は、そうした背景を物語っているが、『週刊文春』がここまで書いている以上、創価学会・公明党が安倍首相や菅官房長官の意向を知らなかったはずはない。否、安倍首相や菅官房長官が案里当選=溝手落選を望んでいることを知っていたからこそ、原田会長自らが広島に足を運び、案里当選に力を貸したのではないか。

だからこそ『現代ビジネス』に、広島の公明党地方議員が、「『河井夫妻は地元で評判が悪い』として、佐藤の指示に抵抗を示す者もいた」とあり、前出の『週刊文春』(19・6・27)にも、〈ただ案里氏も盤石ではない。夫は16年、『週刊文春』で秘書への暴力や女性記者へのセクハラ問題を報じられ、地元でも評判が悪い。昨春、岸田文雄政調会長の県連会長退任に伴って後継かと目されたが、県議らが宮沢洋一参院議員を推し『河井会長』を必死で阻止したほどで、温厚で知られる岸田氏も『嫌い』と公言する。案里氏の評判も芳しくない。『国政に出ることばかり考えている野心家だが県議4期でさしたる実績はない』(地元政界関係者)〉と、地元広島での河井夫婦の評判は悪いとあるにもかかわらず、案里への支援をゴリ押ししたのだろう。

2008年9月29日付『聖教新聞』掲載の「学会の支援は人物本位」との見出しの座談会記事で、原田会長と正木正明理事長(当時)は、創価学会の選挙支援は「人物本位」であるとこう公言している。

〈原田(会長)改めて確認しておくが、学会の選挙支援は一貫して『人物本位」だ。

正木(理事長)その通りだ。戸田先生は『選挙というのは、自分たちの最も信頼する人を、自分たちの力で選出するのが本当である』と指導された。信頼できる政治家とは連帯していく。信頼できない、悪い政治家は支持しない。これが学会の支援活動の根本であり伝統だ〉

もっとも創価学会の「人物本位」における「信頼できる政治家」の基準には、金権腐敗は含まれていないようである。そのことは河井夫婦が選挙前から悪評ふんぷんであるにもかかわらず、全面支援した事実や、河井法務大臣の辞任と同時期に公職選挙法違反容疑で経済産業大臣を辞任した菅原一秀代議士(東京9区)や、IR事業をめぐる汚職で逮捕・起訴された秋元司代議士(東京15区)を、公明党が推薦していることからも明らかだ。

それゆえ金権政治家を推薦ないしは支援した責任をとろうという殊勝な思いもないのだろう。会長自らが広島まで足を運んで支援したにもかかわらず、創価学会は河井夫婦の逮捕にダンマリを決め込み、なんのコメントも出していない。機関紙『聖教新聞』にもコメントや論評の類はいっさいなく、社会面に「河井前法相夫妻を逮捕 昨年7月、参院選での買収容疑」との通信社の通り一遍の配信記事を載せているだけである。

公党である公明党は、さすがにダンマリを決め込むわけにはいかず、河井夫婦の逮捕を受けて6月18日夕、斎藤鉄夫幹事長が次のようなコメントを発表した。

〈一、すでに案里氏の公設秘書が有罪判決を受けた事案に関わる容疑での逮捕だと思う。そうした意味で、もっと早くから説明責任を果たすべきであった。国民の政治不信を招いたということで甚だ遺憾に感じる。

一、自民党の依頼に基づき、昨夏の参院選で党として案里氏を推薦したが、結果として政治不信を招いたことは極めて残念だ。徹底した捜査で真実を明らかにしてもらいたい。

一、河井夫妻は説明責任が不十分だった。捜査に協力し、真実を明らかにしてもらいたい。容疑が真実なら、政治不信を大きく招いた観点から許されざることで議員辞職に値する〉(6月19日付『公明新聞』)

「甚だ遺憾」「議員辞職」などの強い言辞はあるものの、その内容は「説明責任を果たすべきであった」などとまるで他人事。まして「自民党の依頼に基づき、昨夏の参院選で党として案里氏を推薦したが、結果として政治不信を招いたことは極めて残念」などと、責任を自民党に転嫁し、被害者面する姿勢は姑息極まりない。

1955年に「王仏冥合」と「国立戒壇の建立」を理念・目的として政界に進出した創価学会は、61年に公明政治連盟(公政連)を結成したが、その公政連は「公明選挙、政界浄化」を目標・基本政策に掲げていた。公政連は64年に池田会長(当時)の提案で公明党へと発展したが、公政連以来の「政界浄化」の基本方針は受け継がれ、結党した公明党の綱領には「腐敗選挙を徹底的に追放し、腐敗政治と断固戦い、公明なる議会制民主主義の確立」を目指すことが謳われていた。

2014年、結党50年の節目に公明党が発行した「公明党50年の歩み」には、「『政界浄化の公明党』の真価発揮 ──国、地方で金権腐敗政治の一掃に総力」なる一項目が設けられ、公明党は各種の金権腐敗政治の一掃に尽力したとして、「『清潔な政治』は党のスローガンであり、『政界浄化の公明党』は自他共に認める金看板」と大見得を切っている。

だが、今日、公明党は、結党綱領の「腐敗選挙を徹底的に追放し、腐敗政治と断固戦い、公明なる議会制民主主義の確立」とは正反対の政治姿勢をとり続けており、組織母体の創価学会もこれを批判し、是正する姿勢を見せようとはしない。

矢野絢也元公明党委員長は、自公連立政権成立の動機を「そもそも連立政権誕生の動機が、税務調査逃れと国税交渉のトラウマにあったことを確認しておく必要がある」(『乱脈経理』)と指摘しているが、巨大な利権を生み出す宗教コングロマリットに寄生する一部の特権的立場にいる職業幹部の、利権構造を維持・延命しようとする我欲と妄念が連立を支えており、それが日本の政治の劣化を促進している。今回の案里当選をめぐる一幕は、その氷山の一角なのである。    (文中・一部敬称略)

 

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』『司法に断罪された創価学会』(かもがわ出版)など。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

  • 河井克行・案里逮捕に口噤む創価学会

・6月17日付『聖教新聞』「河井案里氏秘書に有罪 議員失職の可能性高まる 広島地裁」

「昨年7月の参院選で車上運動員に法定上限を超える報酬を支払ったとして、公選法違反(買収)罪に問われた自民党の河井案里参院議員=広島選挙区=の公設第2秘書・立道博被告の判決が16日、広島地裁であった。富田敦史裁判長は、『主体的、積極的に関与した』とし、懲役1年6月、執行猶予5年(求刑懲役1年6月)を言い渡した」

・6月19日付『聖教新聞』「河井前法相夫妻を逮捕 昨年7月、参院選での買収容疑」

「昨年7月の参院選広島選挙区を巡り、地元県議らに票の取りまとめなどを依頼し現金を配ったとして、東京地検特捜部は18日、公選法違反(買収)の疑いで前法相の衆院議院河井克行容疑者(57)=広島3区=と妻の参院議員案里容疑者(46)を逮捕した。2人の買収容疑は総額約2570万円に上る。現職国会議員夫婦の逮捕は初めてとみられる。

広島地検が摘発した車上運動員への違法報酬事件は、東京地検が捜査に加わり、法務行政トップ経験者に巨額の買収事件に発展した。克行前法相は首相補佐官を務めるなど安倍晋三首相に近く、案里議員の参院選出馬は官邸、自民党本部が主導していた」

 

※昨年7月の参院選・広島選挙区に自民党公認・公明党推薦で出馬し当選した河井案里容疑者と、夫で前法務大臣の克行容疑者を、6月18日、東京地検特捜部が、公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕した金権選挙事件。

詳しくは本誌今号の特集記事を参照していただくとして、この事件の底流には、官邸と創価学会の思惑と打算が渦巻いている。

特に創価学会は、7月は宗祖と仰ぐ「日蓮大聖人」が、鎌倉幕府に国家諌暁の書「立正安国論」を上程した月であること。また創価学会の「永遠の師匠」(会憲)とされる戸田城聖2代会長と池田大作3代会長が、「出獄」と「入獄」という国家権力の弾圧を受けた因縁の月だとして、7月に実施される参院選は、戸田・池田両会長の仇を討つ重要な政治決戦であり、なにがなんでも勝たねばならぬ選挙と位置付けてきた経緯がある。それだけに選挙区での「完勝(全員当選)」は至上命題とされ、当選が危ぶまれた激戦区の兵庫選挙区での公明党新人候補への支援と、広島選挙区の河井案里候補への支援を創価学会はバーターしていたのである。

その河井案里容疑者と克行容疑者による常軌を逸した金権選挙の実態が露見し、いま二人は司直の手に落ちたが、学会員に河井案里候補への支援を呼び掛けた創価学会は、事件に対して頬被りを決め込んでおり、機関紙『聖教新聞』にも通信社の配信記事を掲載するのみである。

「政界浄化」を創価学会・公明党は政界進出の一つの旗印とし、自らを「清潔な党」などとアピールしてきただけに、無責任極まりない対応である。

 

Return Top