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7月号

7月号目次

閻魔帳

民主主義がアウトになる公明党の存在/段 勲

特集/共謀罪を強行した公明党&創価学会の無間地獄

地獄への“釜の蓋”開く創価・公明の罪深き所業/溝口 敦

許されぬ戦後最悪の治安立法 異常だった“共謀罪”の強行採決/有田芳生

共謀罪法案強行採決で議会制民主主義を破壊する「公明党=創価学会」を斬る/古川利明

安倍首相は退陣せよ 口先だけの謝罪で「居直り」策す/川﨑泰資

自公共謀で成立した共謀罪法 公明・法務委員長が採決放棄/柿田睦夫

国際的信用失う右翼政権 右翼反動を糊塗する創価・公明/広岡裕児

●連載

信濃町探偵団

──創価学会最新動向

新・現代の眼(第11回)

歩く敗因/菅野 完

執筆者紹介  編集後記

編集後記から

 注目の東京都議会議員選挙。結果は小池百合子都知事率いる都民ファーストの会が大勝し、自民党が惨敗しました。そして昨年の都知事選では小池候補の対抗馬を自民党とともに推薦・支持しながら、小池候補が当選するや豹変して都議会自民党と手を切り、小池知事に擦り寄った公明党は、小池旋風の追い風も受けて、候補23人が全員当選。ほとんどの選挙区で得票数も伸ばしています。

 小誌のコラム「信濃町探偵団」で毎号、詳報してきたように、創価学会は今回の都議選を創価学会の「永遠性の確立」と、池田大作名誉会長の「総仕上げの戦い」と位置づけて組織あげての熾烈な選挙闘争を展開しました。換言するならばそれは、生けるカリスマ・池田名誉会長のXデーを視野に入れての組織延命と保身の闘争、昨年11月に会則を変更して制定した池田カリスマの代替である「創価学会仏」という組織カリスマの正当性を証明するための闘争だったといえるでしょう。

 一応、都議選では全員当選を勝ち取りましたが、全国の活動家を動員しての無理に無理を重ねての選挙戦だっただけに、そのヒズミは着実に創価学会にダメージとして蓄積されるはずです。今後、政局の流動化は確実であり、衆議院の任期が明年末であることから、早晩、衆院選の実施も予想されており、ますます難しい舵取りを余儀なくされることでしょう。

 それにしても恐ろしいのは宗教的マインド・コントロールです。稀代の悪法といわれる治安維持法の現代版と批判される共謀罪の成立過程で、公明党はシドロモドロの答弁を繰り返した金田法相を「誠実」などと擁護し、衆院の強行採決に続いて参院では、公明党の法務委員長が、採決を省略して中間報告という奇策を用いて本会議採決に持ち込み成立させました。また森友問題・加計問題でも公明党は疑惑や不正を追及するどころか、政権の防波堤を務めています。

 今回の都議選でのマスコミによる出口調査では、多くの自民党員や支持者が都民ファーストの会に投票したことを明らかにしていますが、創価学会員は、牧口・戸田の両会長を獄に繋ぎ、牧口会長を獄死せしめた治安維持法の現代版を、唯々諾々と成立させた公明党のために選挙闘争に挺身したのですから、宗教的呪縛による選挙闘争がいかに危険なものであり、デモクラシーを破壊する阻害要因となっているかがわかります。詳しくは特集記事をご参照ください。

 都議会でのキャスティングボートを確実なものとし、国政では選挙協力を武器に都議選惨敗の自民党の創価・公明への依存度を高めさせる。創価・公明が政界のヘゲモニーを握る危険性はいまだ解消されていません。

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特集

特集/共謀罪を強行した公明党&創価学会の無間地獄

地獄への“釜の蓋”開く創価・公明の罪深き所業

溝口 敦

ノンフィクション作家

ゾンビ的政治に奉仕する我利集団

 戦後72年経った今なお日本を戦前の軍国主義時代に戻し、再び海外で戦争できる国にしようというのは、まるでゾンビの発想である。歪んだ秘教的な妄想さえ感じさせる。

 今年5月3日の憲法記念日に安倍首相は2020年と期限を区切った上、「憲法9条1項、2項を維持しつつ、3項に自衛隊の存在を明記する」という加憲案を示したが、これは歴史修正主義的な極右団体「日本会議」のシナリオに乗った発言である。

「日本会議」系のシンクタンク「日本政策研究センター」はこの5月、「これがわれらの憲法改正提案だ」を刊行した。同書には9条加憲案について、おおよそ次のような理由づけが記されている。

〈憲法9条2項を削除し、自衛隊を世界の国々が保持している「普通の軍隊」として位置づけることが最もストレートな解決方法だが、70年間にわたって浸透してきた国民の「9条平和主義」は根強いから、2項はそのままにして、9条に新たに第3項を設け、第2項が保持しないと定める「戦力」は別のものであるとして、国際法に基づく自衛隊の存在を明記する〉

 安倍はこうしたシナリオに基づき、日本会議の改憲集会で右記のようなことを声明、提案した。安倍がゾンビ集団、日本会議の忠実なメンバーだからだ。現在、閣僚の4分の3が日本会議に所属しているというから、いかに日本会議が国政を動かしているか、恐ろしいほどである。

 対して公明党は創価学会・池田教に属している。使命とするところは政権与党に付着し、創価学会公明党のために利益をより多く確保することである。公明党の扱い商品は学会員票であり、選挙の度に自民党に売り捌いて来た。自民党は公明党を与党の一角として遇し、公明党にとっては上得意、もしくは大旦那といって過言ではない。

 公明党は大旦那の機嫌を損ねたくないから、安倍内閣が日本会議の教えを信奉していても、とやかくは言わない。戦前、創価教育学会の初代牧口常三郎、その幹部だった戸田城聖が治安維持法で獄につながれ、牧口は獄中死している。

 その現代版である共謀罪(組織犯罪処罰法改正案)でも、自民党が委員会での強行採決時に混乱がテレビニュースに報じられないよう「中間報告」で行くことを提案すると、渡りに船とばかりに賛成した。創価学会のご先祖が戦前、法のため悲惨な目に遭おうと、今現在には関係ないとあえて目をつぶった。

 また池田先生そのものがいわばゾンビだから、共謀罪が成立しても、ご迷惑はお掛けしないと信じ切っている。それに目の前に都議選が迫っているから、共謀罪の強行採決で自民党の片棒を担いだことが学会員の前に目立たないことが何よりである。

 その都議選では豊洲市場への移転などで評判が悪すぎる自民党と一時的に別れ、小池百合子都知事の都民ファーストの会と手を結んだ。創価学会のお膝元、東京都の都議選で手痛い敗北を喫すると、公明党の衰弱した実勢が白日下に晒されてしまう。つまり公明党は都議選では、臨時的に学会員票の大旦那への専売を断り、都民ファーストの会に小売することにしたわけだ。

 が、公明党の一時凌ぎが成功するかは保証の限りではない。小池都知事も豊洲移転を打ち出す一方、築地市場の活用を図ると言い出すなど、政策が迷走し、しょせん本籍が自民党であることを語っている。都民の小池知事への信頼が長く続くとは考えられない。

 公明党が何より敵視しているのは共産党に対してである。公明党広報は6月20日付のツイッターで「3つのKでわかる共産党」と題する悪質なデマを飛ばした。私立高校授業料の実質無償化について、共産党は実績取りのハイエナ政党だ、共産党は「汚い!」「危険!」「北朝鮮!」とネトウヨまがいの悪罵を投げつけている。

 これに対し、共産党の小池晃書記局長は22日の記者会見で「事実無根なだけでなく、極めて下品で低レベルだ」と次のように反論した。

「事実と言うなら、私立高校授業料無償化、負担軽減の問題では、共産党都議団は4年間で17回都議会で質問している。一方、公明党は、父母の皆さんが一生懸命集めてこの4年間で4回提出した『授業料や入学金の支援と私立学校への助成の充実を求める請願』に3回反対し、否決した。今年2月になって、初めて賛成した。まずは、自分の胸によく手を当てて反省した方がいい」

 公明党は私立高校の授業料無償化などに真剣に取り組んでいないから、こうした早とちりや勇み足、挙げ句の果ては真逆の悪罵を投げつけて、自ら恥をかくことになる。日本在住の韓国人にヘイトスピーチをがなり立てる連中と気分は一緒である。

マフィア化した自公政権

 朝日新聞6月19日付は「身内かばい合い・外には恫喝的……安倍政権『マフィア化』」という記事を掲載した。長谷部恭男早大教授と杉田敦法政大教授の対談であり、対談中、二人は次のように語っている。

〈杉田 「1強」なのに余裕がない。これが現政権の特徴です。軽々に強硬手段に訴える。圧倒的な議席数を有しているのだから、国会会期を延長して、見かけだけでも整えればいいし、都合の悪い文書が出てきても「怪文書」などとせず、調査中と言えばいいのに、恫喝的な態度をとる。森友学園や加計学園をめぐる疑惑と重ね合わせて考えると、政治のあり方が、一種マフィア的になっているのでは。身内や仲間内でかばい合い、外部には恫喝的に対応する。……

 長谷部 公が私によって占領されている。濃密な人間関係で強く結ばれた集団が、官僚機構や一部マスコミも縄張りにおさめ、社会一般に対して説明責任を果たそうともしないで権力を行使するとき、公権力は私物化され、個人間の私的な絆をテコに政治が行われる。社会全体に何が利益かを丁寧に説明し、納得を得ることで権力は民主的な正当性を獲得しますが、現政権はそんなものは必要ない、反対するやつは切り捨てればいいと。まさにむき出しのマフィア政治です〉

 自公政権そのものがマフィア化している。つまり自公は共謀罪の対象である組織犯罪集団そのものである。たとえば奴を殺せと親分は命令、指示できないから、子分が敵のタマ取りを「忖度」し、ヒットマングループを組織した上、つけ狙い、その生命を奪う行為である。忖度は親分を殺人の教唆からガードするマフィアの手法でもあるのだ。

 公明党議員は若いころ創価学会の教学を履修しているはずだが、そんなものはマフィア化に対して何の抵抗にもならない。逆に池田教学によりマフィア化には早くから習熟している。

 早い話、公明党が説得したい相手は自ら票を投じ、また他人に票を投じさせる学会員たちだけに限られるから、話す言葉の一般的な真実性は問題にならない。学会員たちが一時的にでも信じてくれる限り、デマもウソも大いに結構、その場かぎりで有用ということだ。

 彼らはハナから社会正義の実現や公平性の確保などを目的にしない。議会制民主主義などもゴミ箱に捨てて顧みない。単に我利、つまり己の利益だけが大事なすれっからしだから、善導することなど、できるわけがない。

 よって学会員大衆の覚醒に期待せざるを得ないわけだが、その学会員大衆は実質的な教組である池田大作がゾンビであることにさえ気づこうとしない。先生からのお手紙である聖教新聞に注意深く目をさらせば、「池田先生がおかしい。ことによったら、私たちはゾンビをご本尊にして拝む邪宗になってるのかも」と気づくはずだが、気づきたくないから気づかない。気づけば自分の行動を見直し、改めなければならない。それが面倒だから、これまでの習慣を続ける。

 よって牧口、戸田先生の仇である共謀罪の強行採決で、公明党が自民党の片棒を担いでも何も思わない。学会員大衆は観察力も思考力も失い、半ばゾンビ化している。さらに本格的なゾンビに仕立てるべく安倍首相や日本会議が戦前型の強烈な軍国主義や警察社会化の型に押し込めようとしても、唯々諾々と、その行列に並ぶだけである。

 まことにこの世で自分なりに考えないことの罪は重く、深い。自分ばかりか他人まで地獄の道連れにするからだ。(文中・一部敬称略)

溝口 敦(みぞぐち・あつし)ノンフィクション作家。1942年生まれ。早稲田大学政経学部卒。出版社勤務などを経てフリーに。宗教関係をはじめ幅広く社会問題を扱う。『食肉の帝王』(講談社プラスα文庫)で第25回講談社ノンフィクション賞、日本ジャーナリスト会議賞、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞の3賞同時受賞。『堕ちた庶民の神』(三一書房)『歌舞伎町・ヤバさの真相』(文春新書)『パチンコ「30兆円の闇」』『生贄の祀り』『あぶない食品』(小学館文庫)『武富士 サラ金の帝王』『池田大作「権力者」の構造』『中国「黒社会」の掟』『細木数子 魔女の履歴書』(講談社プラスα文庫)『暴力団』『続・暴力団』(新潮新書)『抗争』(小学館新書)『やくざの経営戦略』(文春新書)など著書多数。

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信濃町探偵団

信濃町探偵団──創価学会最新動向

●東京都議選―異常な創価学会の選挙闘争

※7月2日投開票で実施された注目の東京都議会議員選挙は、小池百合子知事率いる都民ファーストの圧勝、自民党の大惨敗となり、小池知事に擦り寄って候補23人の全員当選をめざした公明党も、創価学会のなりふり構わぬ選挙闘争と、小池ブームに後押しされて全員当選を果たした。

 都議選の結果分析は次号で詳報するが、とりあえず今号では、都議選を創価学会の「永遠性の確立」と、池田大作名誉会長の「総仕上げの闘争」と鼓吹して、組織あげての熾烈な選挙闘争を繰り広げた創価学会の動静を、機関紙報道に基づき検証してみたい。

 まずは告示を間近にした6月1カ月間の「聖教新聞」1面掲載の一言コラム「寸鉄」。「寸鉄」は一言コラムだけに、創価学会がその時点、時点で会員に強要したい活動目標・実践目標がアピールされている。6月は、告示日を除く全日、公明党が候補者を立てている選挙区の地域組織に激しい檄が飛ばされており、創価学会が都議選に血道をあげていたことが分かる。

・6月1日付「東京・世田谷が一気呵成の猛攻。嵐に挑む勇気が友の誉れ。勝利の大旗を」

・2日付「杉並よ好機は今!縦横無尽に動き、語り捲れ。東京凱歌の突破口を断固開け」

※ここに登場する「東京凱歌」とは、本誌前号の「信濃町探偵団」でも紹介したとおり、池田大作名誉会長がかつて東京のために揮毫した言葉だが、それを創価学会は、「凱歌とは、戦いに勝った時に歌う喜びの歌」(5月25日付「聖教新聞」長谷川重夫理事長)だと強調し、都議選勝利のスローガンとした。

・3日付「練馬の同志が奮闘。東京の要の闘士よ。模範の団結で栄光の暁鐘鳴らせ!」

・4日付「板橋が乾坤一擲の拡大。大東京の錦州城は不滅!断じて常勝の歴史つづれ」

・5日付「東京・葛飾が『勝つしかない』を合言葉に猛進撃。勝利の峰へ勇敢に進め」

・6日付「『すべてに第一』の江戸川が総立ち。信心の横綱よ東京凱歌へ猛然と進め!」

・7日付「東京・八王子が力闘。勝ってこそ世界の本陣!誉れの人材城から決定打放て」

・8日付「東京・荒川が猛追。ドラマはここから。断固怯まぬ拡大で感激の逆転勝利を」

・9日付「東京・足立が猛撃。戦いは攻め抜いたほうが勝つ。庶民の王者よ見事凱旋を」

・10日付「東京の調布・狛江の友が怒涛の行進。正義の電源地から勝利の先陣切れ」

・11日付「東京・目黒よ限界突破の拡大を!栄冠は強気で攻めたところに。大逆転劇必ず」

・13日付「東京・北区よ逆転勝利へ攻め上がれ。総力の拡大で喜び多き万歳を断じて」

・14日付「東京・豊島が執念の猛追。ここからが正念場。正義の言論戦で栄光の扉開け」「太田が勇戦。破れぬ壁はない。今こそ爆発的拡大で東京凱歌の先陣を断固」

・15日付「東京・中野が猛進撃。痛快に逆転を!徹底した攻めと粘りと団結で勝利掴め」「新宿よ強気で押しまくれ。常勝が本陣の使命なり。獅子となって勝ち進め」

・16日付「東京・品川が急追。勇敢に語り断固攻め勝て!民衆の底力奮い起こし勝鬨を」「特区・町田が激闘。決戦の時は今。限界突破の拡大で栄光の峰へ突き進め!」

・17日付「東京・江東よ、大逆転を!庶民の力は偉大なり。勇気と団結で栄冠をつかめ」「墨田が気迫の大攻勢!渾身の対話で混戦突破を。総立ちで勝利へ押し捲れ」

・18日付「東京・荒川よ頑張れ。疾風怒涛の反転攻勢で勝利の旗立てよ。全国が大声援」「足立が総立ち。何ものをも勝ち越えるのが王者。獅子奮迅の大闘争今こそ」

・19日付「調布・狛江よ強気でいけ。対話の大旋風で逆転を!新時代の東京凱歌を共に」「中野が力闘。破竹の勢いで反撃だ。激戦勝ち抜け。皆で勝利と歓喜の万歳を」

・20日付「東京・北が猛追。燃え立つ民衆パワーで攻め捲れ!歴史開く大金星をつかめ」「豊島よ不屈の魂で進め!執念の拡大で追い上げよ。ついには感激の凱旋劇を」

・21日付「東京・目黒が総反撃。大胆に攻め入り正義を語り抜け!勇将よ堂々の勝鬨を」「品川が猛追!真剣さと勢いで勝れ。言論の剣鋭く。皆で誉れの大勝旗掲げよ」

・22日付「東村山・東大和・武蔵村山よ常勝軍の真価を!鉄の団結で新たな勝利史刻め」「町田が一瀉千里の力走。炎となって語りまくれ!東京凱歌の夜明けを断固」

※告示日の23日こそ地名表記はなかったものの、連日、繰り返された悲壮感漂う檄文。最終盤の26日からは一度に3選挙区にムチが入れられた。

・24日付「東京・豊島が乾坤一擲の猛攻撃!獅子となり走れ。断じて勝利の鐘を鳴らせ」「品川よ爆発的な拡大で限界破れ!前進また前進。あっと言わせる逆転劇を」

・25日付「中野が大激戦。総攻撃でせり上がり、堂々たる凱歌を。全国の同志が声援」「調布・狛江が果敢に追い上げ。ここから猛反撃だ。最後は感激の勝利の万歳」

・26日付「北区の勝利が東京の勝利だ。執念の攻勢で大逆転を!全国の友が祈り声援」「荒川が怒涛の追い上げ!戦いは勢い。民衆パワー全開で見事な凱旋行進を」「足立よ負けじ魂の見せ所は今だ!気迫の拡大で押し捲れ。総力で栄冠掴め」

・27日付「調布・狛江よ突き進め!最後に勝つのが我らの真骨頂。新たな常勝譜刻め」「中野が猛進撃。歴史的闘争だ。強気の反転攻勢で栄光の峰へ駆け上がれ!」「勇将・目黒が獅子奮迅。執念、団結、雄弁で壁破れ!痛快なる大逆転劇を」

・28日付「勇気の豊島が奮戦。あと一歩、もう一押しと気迫で勝ち上がれ!凱歌轟け」「東京革命は江東から!民衆の力が時代を変える。逆転勝利で栄光の旗振れ」「品川よ激戦制せ!常勝不敗が我らの誉れ。必ず勝つと強く攻め抜き凱旋を」

・29日付「調布・狛江から反転攻勢の火の手上げよ!正義は勝ってこそ。執念で進め」「北区が渾身の猛追。限界突破の拡大で逆転劇を!東京凱歌の決定打を必ず」「中野よ!正念場の今こそ開拓精神を燃やせ。気迫の闘争で勝利の夜明けを」

・30日付「目黒がラストスパート。激戦制する猛攻今こそ。見事な逆転勝利の万歳を」「豊島よ断固、競り勝て。庶民の偉大な底力を満天下に!栄光の歴史断じて」「江東よあと一歩だ。圧倒的な勢いで勝ち上がれ!誉れの民衆城を皆で荘厳」

※連日、「寸鉄」には、選挙区名が登場するが、その頻度で選挙区の情勢分析が可能だ。すなわち複数回にわたって登場する選挙区は、激戦区ということである。「寸鉄」登場の頻度からは、荒川・足立・北・豊島・北多摩3区(調布・狛江)、中野・目黒・品川・町田の各選挙区が激戦区だと分かる。この9選挙区中7選挙区を公明党は最激戦区としていた。

 ところで今回の都議選でも、創価学会は都議会公明党の実績をくり返しアピールした。公明党は、多年にわたって都議会自民党と組んで都政を壟断していたが、そうした事実には全く触れず、公明党こそが「東京改革」の尖兵であるかのような主張を繰り返す創価学会。その典型例が告示前日の6月22日付「聖教新聞」掲載の座談会記事。そこでは公明党が「東京改革の原動力」だと次のようにアピールしている。

・6月22日付「聖教新聞」「座談会 栄光の峰をめざして」

「志賀(男子部長)いよいよ明日、東京都議選の告示を迎えます。公明党は21選挙区で予定候補23人の全員当選に総力を挙げています。

 宮尾(総東京男子部長)今回の都議選は、小池都知事の『都政改革』の是非を問う選挙です。改革を進めるには、知事と議会が『車の両輪』となる必要があります。知事を支え、時には政策を競い合い、安定した都政運営を担うことができる政党・政治を選ぶのが、今回の選挙といえます。

 伊藤(女子部長)その小池知事が『都政の頭脳』として強い期待を寄せているのが都議会公明党ですね。確かな経験と抜群の実績が光っています。公明党こそ『東京改革』の要、原動力です」

※こうした一方で創価学会そして公明党は、当面の敵である共産党を激しく攻撃。ことに公明党は、共産党を「3つのKでわかる共産党ってどんな党?」との見出しで、「汚い! 実績横取りのハイエナ政党」「危険! オウムと同じ公安の調査対象」「北朝鮮! 『危険ない』と的外れな発言」と誹謗中傷する広報のツイートを「公明新聞」(6月20日付)に掲載した。このツイートならびに「公明新聞」記事に対しては、ネット上で「ヘイト並」「下品」などの批判が相次いだが、公明党広報は、ウェブサイトニュースの「BuzzFeed News」の取材に対して、共産党批判は毎度のことであり、言葉が強烈との批判についても、表現を訂正する気は「ないですね」と答えている。

 共産党を誹謗中傷し、批判されても開き直る公明党のメンタリティを支えているのは創価学会の激しい反共意識。裁判所が創価学会の組織的犯行と認定した共産党宮本委員長宅盗聴事件が象徴するように、創価学会は、選挙で競合する共産党を激しく憎悪してきたが、公明党を「東京改革の原動力」と強調した6月22日付「聖教新聞」掲載の座談会時期でも、公明党同様、共産党を実績を「横取り」する「道徳的に低劣な」政党だと激しい非難を加えている。

「志賀 一方で、『私立高校授業料の実質無償化』をはじめ、公明党の実績を臆面もなく『横取り』しているのが共産党です。

 宮尾 共産党は『この4年間で5万人分の認可保育所を増やした』と喧伝していますが、これも全くの大ウソです。共産党は、この4年間、認可保育所を増やすための財源を含んだ予算に全て反対してきました。(中略)

 志賀 それにもかかわらず、反対し、批判してきた政策が実現すると、手のひらを返したように“実現した”と、まるで自分たちの手柄のごとく喧伝するのが共産党の手口です。

 宮尾 『実績横取り』『反対だけが実績』に加え、『反対しても実績』という卑劣なやり方に各地から怒りの声が上がっています。

 志賀 政治評論家の森田実氏は、『共産党は、政治的のみならず道徳的に見ても低劣な独善的政党』と指摘しています。

 宮尾 翻って、森田氏は公明党に対して、『倫理を遵守して地道に政治活動を展開されている』『こうした道徳的な政治家によって、平和な社会が構築されていくことを心から期待しています』と高く評価しています」

※公明党の誹謗に対して共産党の小池晃書記局長は、6月22日の記者会見で、「私立高校授業料無償化、負担軽減の問題では、共産党都議団は4年間で17回都議会で質問している。一方、公明党は、父母の皆さんが一生懸命集めてこの4年間で4回提出した『授業料や入学金の支援と私立学校への助成の充実を求める請願』に3回反対し、否決した。今年2月になって、初めて賛成した。まずは、自分の胸によく手を当てて反省した方がいい」と反論している。都合の悪い事実は隠蔽し、評論家の言まで借りて共産党を批判し、公明党を礼賛する創価学会。安倍首相の言を借りれば「印象操作」ということだろうが、厚顔無恥も甚だしい。もっともこうした手法を駆使して、会員の政党支持の自由や投票行動の自由を阻害するのは公明党の常套手段。

 同様に、そもそも都議選は、都民が地方自治の本旨に基づいて、自らの手で議会の代表を決める選挙。その都議選に、「全国の同志」「日本中の友」らが「声援」と書いている事実が示すように、創価学会は全国の学会員に指示して、都議選への応援を強要した。今回の都議選でも多くの地方組織の幹部・活動家が組織的指示で上京し、公明党支援の選挙活動を行ったが、これは地方自治の冒瀆にほかならない。許されるべき行為ではないだろう。

 宗教的呪縛と印象操作で会員を選挙闘争に駆り立てる創価学会。日本のデモクラシーにとって一大阻害要因であることは明らかだ。

●核兵器禁止条約交渉会議をめぐる欺瞞的動き

・6月16日付「聖教新聞」「核兵器禁止条約採択へ 第2期交渉会議始まる SGIの作業文書国連ウエブサイトに掲載」

「核兵器禁止条約制定に向けた交渉会議の第2会期が15日、アメリカ・ニューヨークの国連本部で始まった。先月22日に発表された同条約の草案をもとに議論が行われ、最終日に条約文書が採択されることが期待されている。市民社会の一員としてSGIの代表も参加し、第1会期に引き続いて2度目の作業文書を提出。国連文書として国連のウェブサイトに掲載されている」

・6月18日付「聖教新聞」「核禁止条約交渉ニューヨークの国連本部で開催 SGIが発言生命の権利に言及を」

「会議2日目の16日午後には、条約の前文に関し議論が進められた。市民社会の一員としてSGIに発言の機会が与えられ、河合SGI平和・人権部長が登壇した。

 草案前文には核兵器がもたらす壊滅的な人道上の結末に対する深い懸念が記された。核兵器は人権、とりわけ尊厳なる生命に対する最大の脅威といえる。ゆえにSGIは世界人権宣言などが掲げる『生命に対する権利』に言及するよう提案。また、核兵器は希望ある未来を想像することを不可能にし、国際人道法における主要な保護の対象の一つである『人間の尊厳』を脅かす存在であると明文化するよう求めた」

・6月22日付「聖教新聞」「米ニューヨーク国連本部での核兵器禁止条約交渉会議 軍縮教育の 重要性を強調 SGI代表」

「4日目となる20日午前に始まった討議は、核兵器の使用や実験などにより影響を受けた人・地域への援助に関する議論が行われた。各国政府代表に続いて、市民社会に意見表明の機会が与えられ、SGI国連事務所ジュネーブ連絡所のヘイリー・ラムゼイ=ジョーンズ所長が発言した」

※国連本部で開催中の核兵器禁止条約交渉会議で、国連NGOのSGI代表が発言の機会を与えられていることを連日のように報じる聖教新聞。あたかもSGIが核兵器禁止条約の締結に尽力しているかのごとき報道だが、周知のように日本政府は唯一の戦時被爆国であるにもかかわらず、多くの被爆者の願いを無視して核兵器禁止条約交渉会議の設置に反対したばかりか、交渉会議への参加も見送った。だが公明党はこうした政府の態度を批判せず、核兵器廃絶を唱える創価学会も抗議することも批判することもない。

 創価学会そして公明党がまず取り組むべきは、日本政府をして核兵器禁止条約交渉会議に参加させることにあるのではないか。

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