7月号目次
閻魔帳
将来世代への“使命”果たす時/乙骨正生
特集/年金2000万円問題から見える創価・公明+自民政権
「老後2千万円問題」の火消しに奔走する「公明党=創価学会」の欺瞞の極み/古川利明
止まらぬ安倍政権の隠蔽と虚言 原作は公明党の「年金プラン」/柿田睦夫
「年金、100年安心」と言い切っていた公明党の厚顔無恥/段 勲
トピックス
2019参院選、統一教会の組織票はどの候補者に
参院選で振り返る統一教会と自民党政治家の蜜月関係/鈴木エイト
- 連載
信濃町探偵団──創価学会最新動向
新連載・ナニワの虫眼鏡(第1回)
現代日本の縮図「大阪」/吉富有治
新・現代の眼(第35回)
小人の過つや、必ず文る/菅野 完
ヨーロッパ・カルト事情(255)
カルト化している日本/広岡裕児
執筆者紹介 バックナンバー一覧 編集後記
編集後記から
小誌の発行日である10日をまたいで参議院選挙が実施されています(4日告示・21日投票)。この選挙を創価学会・公明党がいかに位置付けているか、また参院選を前に浮上し、参院選の重要なテーマとなった年金問題に、公明党そして創価学会がどのような対応を見せたかについては、特集記事で詳報しました。ぜひ、選挙での投票行動の参考にしていただきたいと思います。
ところで、小誌の事務所にも、参院選を前に『公明新聞』の号外が配布されてきました。小誌事務所は東京都新宿区にありますので、一面は参院選東京選挙区に立候補した山口那津男代表の顔写真。そこには「生活者の声 日本の政治の真ん中に」とあり、大きく「身を切る改革 国会議員歳費の10%削減に挑戦」との見出しが。説明文には「政治の安定には、国民の納得と信頼を得ることが不可欠です。消費税率10%への引き上げに向けた今こそ、国会議員自らが痛みを伴う『身を切る改革』を断行し、その覚悟を示すべきです。公明党は国会議員歳費の10%削減の実現へ先頭に立って闘います」とあります。
他党、例えば自民党がこれに反対すれば実現しないのですから、この10%歳費削減が、選挙向けのパフォーマンスであることは明らかですが、6月27日付『朝日新聞デジタル』によれば、この公約は党内で議論されたものではなく、先の統一地方選挙で知事や市長・議員の歳費削減を訴えて圧勝した大阪維新に対抗し、創価学会・公明党が最激戦区と位置付ける参議院選兵庫選挙区で、維新・自民・立民・共産各党と競合する新人候補を当選させるための対策として、トップダウンで急きょ、決まったものだというのです。
かつてミッチーの愛称で親しまれた渡辺美智雄元大蔵相は、1986年に野党を支持する有権者を「毛鉤に引っかかるようなもので、知能指数は高くない」と揶揄し、厳しい批判を浴びましたが、選挙対策それも兵庫選挙区での議席確保のためだけに、できもしない(やる気もない!?)10%削減をひけらかす公明党こそ、悪質な毛鉤政治家と非難されるべきなのでは。
だいたい「生活者の声 日本の政治の真ん中に」などといいながら、年金水準を自動的に削減するマクロ経済スライド方式を導入し、それをもって「100年安心年金プラン」などと称していたのですから。
選挙闘争には宗教的功徳や利益があるとして学会員を駆り立て、有権者を毛鉤で欺罔しようという創価学会・公明党という政治宗教集団。一日も早く日本の政界から退場してほしいものです。
特集/年金2000万円問題から見える創価・公明+自民政権
「老後2千万円問題」の火消しに奔走する「公明党=創価学会」の欺瞞の極み
古川利明
ジャーナリスト
建物ごと燃やして「なかったこと」に
参院選(7月4日公示、同21日投開票)を前に、「老後2千万円問題」が炸裂している。
発端は、この6月3日、金融庁の金融審議会が公表した報告書の中で、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では、毎月の不足額の平均は約5万円であり、不足額の総額は単純計算で、この先20年で約1300万円、30年で約2000万円になる」と書かれていたからである。つまり、「公的年金だけでは生活は無理」と、当局自らがレッドカードを出したわけで、「老後を乗り切るには、2千万円の蓄えが必要」と言っているのに等しい。で、問題はそれだけにとどまらず、報告書では「少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していくことを踏まえて、年金制度の持続的可能性を担保するために、マクロ年金スライドによる給付水準の調整が進められることとなっている」と、「今後の年金支給額のカット」に踏み込んでいた点である。
ここで出てくる「マクロ年金スライド」とは、04年の参院選前に、当時、第1次自公政権で官房長官だった福田康夫や厚労相の坂口力ら、小泉内閣の閣僚以外にも、池田大作を創立者とする公明党(=創価学会)の代表だった神崎武法以下、同党国会議員14人にも年金未納問題が噴出し、いわゆる年金政局となった際、彼らが「平和の党」とともに、「福祉の党」を謳い文句にしている手前、前年03年の総選挙で「年金百年安心プラン」を公約に掲げていたことから、例の「百年安心」をブチ上げることで収束を図った際、自公によって強行採決された“年金改悪法案”に盛り込まれていたものである。それまでは、年金は「物価が上がれば、支給額も増加」していたが、このマクロ経済スライドの導入によって、「物価」以外にも、年金支給の原資である年金保険料を負担する「現役世代の賃金」なども指標に組み入れ、要は「年金支給額の算出方法を、わざと複雑に分かりにくくする」ことで、「最終的に支給額を引き下げる」というものである。もちろん、これを主導したのは、「福祉の党」を謳う公明党(=創価学会)である。
そこで、この老後2千万円問題がヒートアップしてくるのは、首相の安倍晋三も出席した6月10日の参院決算委員会で、野党議員からの集中砲火を浴び、安倍が窮地に追い込まれたことで、ここから泥縄式に「火消し」がおっ始まったのである。朝日新聞(6月19日付朝刊)によると、委員会終了後、安倍が「金融庁は大バカ者だな。こんなことを書いて」と激怒したため、翌11日午前中には、官房長官の菅義偉が自らの秘書官や首相秘書官を動かし、金融庁と財務省に「審議会の報告書は受け取らない」という、異例の対応を指示した。これを受け、所管の金融相を兼務する副総理兼財務相の麻生太郎が、閣議後の会見で「正式な報告書として受け取らない」と述べ、要は「初期消火に失敗したら、建物ごと燃やすしかない」と、この報告書を「なかったこと」にしてしまったのである。
信濃町にも飛んだ火の粉
これを受け、参院選が刻一刻と近づいていたとあって、「福祉の党」を謳う公明党(=創価学会)も、機敏な対応を見せた。
さっそく、安倍が火だるまとなった国会追及から4日後の聖教新聞(6月14日付)には「Q&A 『老後2000万円』問題」「年金『100年安心』批判は的外れ」の見出しで記事が載っている。末尾には「公明新聞6月12日付から抜粋」とあり、その2日前の公明新聞を丸写ししたものだが、十分これだけで、火の粉が信濃町にも飛んできたため、さながら「カチカチ山のタヌキの尻に火が点き、炎上を始めた」ことが、窺える。というのは、学会の地区幹部といった「K」に相当する「活動家」は、ちゃんと公明新聞も取っているが、そうでない一般の学会員だと、聖教新聞しか購読していない人も多いため、これは、要するに「参院選で、外部のF(フレンド)票を獲得するための折伏マニュアル」である。
そこで、当該記事では「高齢者の生活は多様であり、それぞれの状況に応じて異なるため、全ての世帯が2千万円足りなくなるわけではない。一般的に高齢者世帯の家計は、公的年金を柱に、貯蓄、退職金といった金融資産の活用や就労などで賄われている。こうした現実を踏まえず、単純計算で『30年で2千万円』の赤字であるかのような報告書の記述は、国民の誤解や不安を広げる不正確な表現で、麻生太郎金融相も『政府の正式見解ではない』としている」と、火消しに躍起なのである。
ただ、この「単純計算で『30年で2千万円』の赤字」だが、報告書では「高齢無職夫婦世帯の平均的な姿」と、ちゃんと書いてある。それゆえ、これは、彼らの言うような「不正確な表現」どころか、「正確な実態そのもの」を反映している。ところが、それに対して、「高齢者の生活は多様である」云々と、要は「例外」を引っ張り出すことで、「高齢者の平均的な姿」にあたる「正確な実態」を隠蔽しようするのは、「ああでもない、こうでもない」と喚くことで、「事の真相を糊塗するための、いつもながらの丸め込めの手口」に他ならない。逆に、そうやって「高齢者の生活は多様である」ならば、「十分な貯蓄や退職金がないため、それをもとにした資産活用が、やりたくてもできない高齢者世帯」は、もっと大勢いるはずである。しかし、そうした「不都合な真実」は、わざと、無視しており、安倍官邸と連動し、火消しに奔走する姿は、まさに欺瞞を極めている。
「年金カットありき」の政府与党
そこで、その“百年先までの安心”を保証するという「マクロ経済スライド」の導入により、人口や経済情勢、雇用状況などの変化を踏まえ、「年金財政検証」という、概ね百年間の公的年金財政の健全性を、少なくとも5年に1回、チェックすることが義務付けられ、前回は14年6月3日に、厚労省が公表していた。ところが、今回は、この「老後2千万円問題」が炸裂したため、東京新聞(6月22日付朝刊)によると、当初は「6月中」とみられていたものが、「公表時期を参院選後の8月頃に先送りする方針を固めた」と報じている。さらに、毎日新聞(6月20日付朝刊)などによれば、財政制度等審議会が6月19日に財務相の麻生に提出した意見書から、原案にあった「マクロ経済スライドが十分に機能しておらず、将来の年金給付水準が、04年改正時の想定より低くなることが見込まれる」「(年金だけに頼らない)自助努力を促していく観点が重要」との文言を、財務省は「年金財政検証が未公表」も理由に、削除していた。
このことを裏付けるように、しんぶん赤旗(6月23日付電子版)によると、6月19日の党首討論で、共産党委員長の志位和夫が、このマクロ経済スライドの廃止を安倍に求めたところ、「バカげた案だと思う」と一就した際、唐突に「7兆円」という数字を出したため、後で厚労省に問い質すと、「その7兆円は、マクロ経済スライドによる基礎年金(国民年金)の減額幅を示したもので、2040年の時点で本来25兆円になるはずの総給付額が、18兆円に抑制される」との内容の資料を提出してきたというのである。
「少子高齢化の進展で、年金財政が大変になる」というのは、ずっと前から分かっていたことで、であれば、「どうやって、年金の財源を確保するか」ということを、参院選の期間中である今こそ、その「年金財政検証」をもとにオープンに議論しなければならないはずである。「現役世代からの保険料収入」「年金積立金の運用益」「国庫負担」が、年金財源の三本柱だが、18年度の年金支給総額は55兆円と、93年度の26兆円から、ほぼ倍増している。このように年金の収支は兆単位に上るため、税制ともリンクさせながら、検討する必要があるが、とにかく、政府与党は「年金カットありき」なのである。
元大蔵省理財局資金企画室長の高橋洋一は『財務省が隠す650兆円の国民資産』(講談社)の中で、「増税しなくても、すぐに使える金融資産が300兆円ある」と指摘する一方、「国庫負担から拠出する年金財源」ということで言えば、消費税増税に拠らなくても、「内部留保」と呼ばれる、企業が儲けで貯め込んだカネが、17年度で507兆4454億円と、初めて500兆円台を突破し、何と、日本のGDP1年分に相当している。要するに「消費税増税とリンクで行われている法人税減税」を廃止し、法人税増税をすれば済む話で、さらに、法人税で言えば、宗教法人をはじめとする公益法人等の非課税特権も廃止しなければならない。
とりわけ、一説では「資産総額は10兆円」と言われる創価学会のように、巨額の御布施をかき集めているところからは、格差拡大によって下流層の増大がもたらす歪みに対する国民感情を勘案し、公正かつ適切な課税を行う必要がある。(文中・敬称略)
古川利明(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『デジタル・ヘル サイバー化監視社会の闇』『日本の裏金(上、下)』『ウラ金 権力の味』『「自民党“公明派”」10年の功罪』『「自民党“公明派”」15年目の大罪』(いずれも第三書館刊)など著書多数。
信濃町探偵団──創価学会最新動向
- 危機感露わ――公明党が東京ドームで10万人集会
・6月6日付『聖教新聞』「公明党 参院選勝利へ総立ち」「山口代表 激戦5選挙区必勝訴え 東京ドームで『フォーラム』」
「夏の参院選勝利へ総立ちとなって戦おう!――公明党は5日、東京・文京区の東京ドームで党員・支持者が集う『公明フォーラム2019』を盛大に開催した。席上、全国屈指の激戦に挑む兵庫をはじめ埼玉、神奈川、愛知、福岡各選挙区の予定候補が渾身の決意を表明。山口那津男代表は『いずれも厳しい戦いを強いられている。この戦いを突破するためには、全国の皆さまの力を借りるほかない』と訴え、5選挙区の必勝へ絶大な支援を呼び掛けた」
※6月5日、公明党が東京ドームで昼夜2回、「公明フォーラム2019in東京ドーム」なる参院選に向けた決起集会を開催。これには約10万人の創価学会員が動員された。
「東京ドームで10万人集会=参院選決起―公明」との見出しのついた「時事ドットコムニュース」(6月5日20時5分配信)にはこうある。
「公明党は5日、夏の参院選に向けた決起集会を東京都文京区の東京ドームで開催した。首都圏の支援者計10万人が参加し、山口那津男代表は『参院選は重要な選挙だ。政権の安定性を継続していくためにも公明党の議席はなくてはならない』と訴えた。
集会では、公明党の選挙区候補7人のうち、自民党の推薦を得た埼玉、神奈川、愛知、兵庫、福岡の5選挙区の候補が支援を呼び掛けた」
ここには5選挙区の候補が支援を呼び掛けたとあるが、6月6日付『聖教新聞』によれば、「山口那津男代表は、『いずれも厳しい戦いを強いられている。この戦いを突破するためには、全国の皆さまの力を借りるほかない』と訴え、5選挙区の必勝へ絶大な支援を呼び掛けた」とあり、山口代表が危機感も露わに全国支援を訴えたことがわかる。
決起集会で山口代表が危機感に満ちた全国支援を呼び掛けたのは、創価学会の危機意識の投影にほかならない。なぜなら告示を1カ月後に控えたこの重要な時期に、10万人もの大集会を開催したこと自体が、創価学会の強い危機感の表れと見ることが可能だからだ。
本誌でたびたび指摘しているように、創価学会は国政選挙の比例区票を「広宣流布のバロメーター」(秋谷会長発言・当時)と位置付けており、2005年の小泉郵政選挙において、過去最高の898万票を獲得した際には、「広宣流布の一千万」を到達したと欣喜雀躍した。
しかしその後、国政選挙・地方選挙ともに公明党の勢力は停滞。2010年5月に健康状態の悪化に伴い池田大作名誉会長が表舞台から姿を消すと、池田体制の終焉が加速化。原田稔会長を中心とする集団指導体制による本尊・教義の変更や、政治的決定に対する創価学会員の不信感に基づく混乱と混迷が拡大。直近の国政選挙である17年10月の衆院選では、比例区697万票と、700万票を割る惨敗を喫した。「広宣流布のバロメーター」は、05年から17年の12年の間に創価学会勢力が201万票も後退したことを示したのである。
創価学会は、4月の統一地方選と7月21日投開票の参院選を、創立90周年の明2020年を勝利で迎えるための「勝ち越えるべき広布の山」と位置付けているが、前回、1票の格差解消を目的に定数増となった愛知・兵庫・福岡で議席を復活させたにもかかわらず、今回、再び最激戦区である兵庫選挙区をはじめとする5選挙区で取りこぼすとともに、比例区票でも前回同様700万票を割るとなれば、選挙の勝利を政治的・宗教的正当性の根拠とする創価学会にあっては、原田執行部の宗教的・政治的決定は失敗だったということになる。その意味で、原田執行部にとって参院選は絶対に負けられない選挙なのである。
だが、平和と福祉を標榜してきた公明党そして創価学会の馬脚が露呈したいま、昨年秋の沖縄知事選で、多くの沖縄の学会員が、学会本部の指示に反して辺野古新基地建設に反対した玉城デニー候補に投票した事実が示すように、参議院選挙でも公明党候補の苦戦は免れない。そのため公明党は昨年末、早々に自民党に対して1人区候補27人を推薦。その見返りとして重点区5候補の推薦を得た。その結果、5選挙区の公明党候補の事前ポスターには、公明党候補の横に安倍晋三首相の写真が山口代表よりも大きく印刷されている。これで自民党支持者と保守層の票の一部を取り込む算段なのだ。
そうした仕掛けを施した上で、10万人集会を開催した創価学会と公明党。危機感と一体感を煽って学会員の士気を鼓舞した結果は、果たして吉とでるか凶とでるか。
すでに本誌発行時点では、参院選は告示されているが、今回、創価学会・公明党が最激戦区と位置付ける兵庫選挙区の事前情勢はどうなっていたか。前回、定数が1人増えて3人に戻ったことで24年ぶりに議席を回復した公明党だが、今回は4月の統一地方選で圧勝した維新と、自民、立憲民主、共産との間で3議席を争うこととなる。メディアや政治アナリストらの事前予想では、維新・自民が優勢で、立憲民主・公明がこれに続くと見られていた。そこにきての年金2000万円問題。公明党には厳しい逆風が吹いている。それだけに創価学会は、全国の組織に兵庫への支援を指示。数千人規模の活動家を兵庫へ動員する予定だ。そうした状況を5月31日付『毎日新聞』は、「公明、参院選で『兵庫シフト』 新人擁立、全国から数千人動員」と題して次のように報じている。
「公明党は今夏の参院選で『兵庫シフト』を強めている。新人を擁立する兵庫選挙区(改選数3)の議席確保に向け、支持母体の創価学会を含め全国から数千人規模で支持者らを動員する予定で、参院選では異例の総力戦を展開する。6月1日にはそのための現地事務所を神戸市の兵庫県本部近くに開設し、2日には菅義偉官房長官が応援に入る予定だ」
では創価学会は、兵庫選挙区での勝利に向けてどのように学会員を煽り立てているのか。以下にその実態を見てみよう。
- 兵庫の勝利が関西・世界の勝利と煽る「永遠の師匠」
・6月4日付『聖教新聞』「勇気の旗高く 池田先生と兵庫①」「世界の憧れ 常勝の模範」
「兵庫の使命は大きい。関西の勝利が全国の勝利へと深く連動しているように、兵庫の勝利は、必ず関西の常勝へと、大きくつながっていくのだ」
「兵庫が勝てば 関西が勝つ! 関西が勝てば 世界が勝つ! ゆえに あなたよ 兵庫のあなたたちよ! 日本中 そして 世界中の模範となりて わが友のために 断じて負けるな! 断じて勝ちゆけ!」
・同『聖教新聞』「兵庫家族が威風堂々の前進」「原田会長が出席し 壮年部が燃える支部長会」「婦人部は幸福常勝大会を各地で」
「壮年部の支部長会は兵庫池田文化会館で。(中略)広崎総兵庫長は“断じて勝つ”との強盛な祈りと異体同心の団結で、師恩に報いる戦いをと呼び掛けた。谷川主任副会長が、広布の黄金柱・壮年部の地涌の連帯を大きく拡大し、勝利を開こうと訴えた。原田会長は、初代会長・牧口恒三郎先生の獄中闘争に言及し、創価の師弟が貫いた不惜身命の戦いに連なるのが我ら弟子の使命であると力説。立正安国のバトンを受け継ぐ一人一人にと述べた。そして世界の平和、社会の安穏のために、迷いなく、あらゆる人に仏縁を広げ、相手の心を揺り動かす対話に挑戦しようと望んだ」
・同「寸鉄」「兵庫が怒涛の追い上げ。猛然と攻め抜け。『まさかが実現』の逆転劇を必ず」
・6月25日付『聖教新聞』「常勝兵庫の底力を見よ 原田会長が出席し幹部会行う」
「総兵庫の代表幹部会が24日、神戸市の兵庫池田文化会館で意気高く行われた。(中略)原田会長は、池田先生が若き日から常勝関西の地を舞台に、広布のため、同志のために、不惜身命の戦いを繰り広げてきた歴史に言及。『一つの勝利から次の勝利へ、間断なき指揮を執り続けた師の闘争に我らも学び、続き、立正安国の大道を次代にさらに広げていこう』と訴えた」
※創価学会の「永遠の師匠」(会憲)である池田氏の「兵庫の勝利」が「関西の勝利」であり、「世界の勝利」であるとして、「断じて負けるな」「断じて勝ちゆけ」との檄を掲げて学会員の尻を叩く創価学会。すでに本誌でたびたび指摘しているように、池田名誉会長・原田会長は、公明党の宗教的意義を繰り返し強調するとともに、立正安国の闘争=選挙闘争には宗教的利益があることを強調し続けている。
そうした宗教的アジテートに加え、公明党は兵庫選挙区の勝利に特化したこんな毛鉤も仕掛けている。報じるのは『朝日新聞デジタル』(6月27日付)。
「公明党は26日、参院選公約を発表し、冒頭で国会議員の歳費削減をうたう『身を切る改革』を掲げた。(中略)公明関係者によると、今回の歳費削減案は、党内議論の積み重ねではなく、山口氏のトップダウンで決まった。『参院選で最激戦区に指定している兵庫選挙区対策のため』という。改選数3の同選挙区では、自民、公明、立憲民主党、維新などがしのぎを削る。関西では維新が知事・市長給与や国会議員の歳費削減などを訴えて支持拡大を図っていることが背景にあり、突然の提案につながった」
宗教的呪縛と見え透いたパフォーマンスで兵庫での当選を企図する創価学会・公明党には、きっと有権者の厳しい審判が下ることだろう。