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4月号目次

閻魔帳

消費税増税と「国民に安心」という虚言/浦野広明

 

特集/会長辞任から40年……混乱、衰亡する創価の端緒

宗教官僚の“生活の資”と化した創価の終焉/溝口 敦

池田名誉会長在職、40年を回顧する/段 勲

辞任から40年して実現する“池田外し”/乙骨正生

 

トピックス

大阪発「異様で不可解なダブル選挙」 責任の一端は公明党にも/吉富有治

トピックス

保守系ニセ科学の新たな動き 「日本母親連盟」と「226事件」/藤倉善郎

 

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

新・現代の眼(第32回)

善く游ぐ者は溺れ、善く騎る者は堕つ──石垣島陸自基地建設を追う(2)/菅野 完

ヨーロッパ・カルト事情252

NZ銃乱射事件/広岡裕児

執筆者紹介  編集後記

 

 

 

編集後記から

5月1日の天皇代替わりに先立って、新年度初日に当たる4月1日に新元号「令和」が、菅官房長官から発表され、安倍首相が会見で「希望に満ちあふれた新しい時代を、国民の皆さまとともに切り開いて(いきたい)」との談話を発表しました。

「令和」の「令」には、「良いこと」や「めでたい」という意味があるそうですが、一般的に想起されるのは「命令」や「指令」そして「令夫人」や「令嬢」の「令」であり、高校で漢文や古文を履修した人ならば、「使役」の助動詞としての「しむ・せしむ」を思い起こすことでしょう。

この「しむ・せしむ」に基づくならば、「和せしむ」ですから、いくら「良いこと」「めでたい」と説明されても、聖徳太子の十七条憲法の冒頭にある「和を以て貴しと為す」ではありませんが、対立を止揚し、なにか異論があってもお上のいうとおり和せよと、「命令」ないしは「指令」されているような圧迫感や違和感を感じるのは、「令」の持つ語感や語意、そして国民主権や立憲主義に否定的な国家主義的政策を推し進める安倍政権が、改元を担当する内閣だったからといったら穿ちすぎでしょうか。

ところで今回の改元では、これまでの中国古典(漢籍)からの出典ではなく、初めて日本の古典(国書)である「万葉集」を典拠にしたとのことですが、安倍首相を支持する保守層の一部からは、「漢籍を出典とする慣例にとらわれず新元号を決めるべきだ」として、日本の古典からの採用が期待されていたとの報道(『東京新聞4月1日付夕刊』もあります。まさか改元を自らの政治的基盤を固めるために利用したのではないでしょうが、会見で異例の談話を得意気に発表する安倍首相の姿を見ると……。いずれにせよ平成が明治・大正・昭和と異なって、日本にとって戦争のない平和の時代だったように、安保法制や共謀罪が整備され、防衛費の増大が続く中で迎える新元号の時代も、戦争のない平和が続くことを切に願いたいものです。

そうした近未来の日本の在り方を左右する参議院選挙が指呼の間に迫ってきました。すでに統一地方選挙は前半戦が終わりましたが、主権者である国民が、この国の在り方や政府・政治の在り方を決めることのできる唯一の権利行使の手段が選挙です。

選挙を一部の宗教勢力の政治的・宗教的目的達成や、組織の延命・保身に利用させないためにも、私たちは賢明な判断をする必要があるのではないでしょうか。

 

特集/会長辞任から40年……混乱、衰亡する創価の端緒

 

宗教官僚の“生活の資”と化した創価の終焉

溝口 敦

ノンフィクション作家

 

池田大作の宗教的敗北だった会長辞任

創価学会第三代会長・池田大作は79年4月、第四代会長の座を北條浩に譲り、自らは名誉会長に退いた。同時に法華講総講頭の座も追われ、名誉総講頭に祭り上げられた。創価学会が本尊や教義を借りる日蓮正宗に敗北した結果である。

その2年前、創価学会は「52年路線」を開始した。同路線は日蓮正宗の征圧支配を狙うもので、各地で僧侶吊し上げ事件や寺院への経済封鎖、ときの日蓮正宗法主である細井日達の追い落とし工作などを展開した。

宗門側はこれらの攻撃に対し、最悪「創価学会と手を切る」と決意し、若手僧侶は創価学会批判を強め、学会員を脱会させ、寺院の檀徒に移し替える活動などを始めた。

宗門側の反撃を予期していなかった池田は狼狽し、自分が会長から退くことで日蓮正宗との関係を修復しようとした。いわば池田の宗教的敗北を最初に印したのが、この会長辞任である。

だが、池田の懲り方、反省は不十分で、その後も学会は宗門と僧侶を蔑視し続けた。創価学会は91年、再び宗門批判キャンペーンを始め、たとえば僧侶無用の学会葬などを始めた。宗門は同年11月、学会に対し「解散勧告」を行い、創価学会とSGIを破門した。92年8月には池田に対し信徒除名処分を行い、97年12月にはついに創価学会と根底から関係を断つべく日蓮正宗檀信徒資格を喪失させた。98年にはかつての創価学会が会員を叱咤激励して大石寺内に供養・建立させた正本堂さえ解体、跡形もなく消滅させた。

今、振り返れば40年前の79年、池田の会長辞任こそ、その後の創価学会・公明党の混迷、衰亡の原点だったと総括できる。もちろん創価学会は単なる宗教団体ではない。公明党を持ち、大学を持ち、政治的、社会的にも一定の地歩を占める複合体として存在する。だが、その発生を見ても明らかなように組織の基本を形成するのは宗教であり、宗教的な蹉跌こそが創価学会の全体を沈下させていった。

創価学会は日蓮正宗に敗北し、ついには日蓮正宗から排除されて、なし崩し的に単独の新宗教へと変容した。2002年には相次いで学会会則・学会規則を変更、改正している。

旧会則では「日蓮正宗の教義に基づき、日蓮大聖人を末法の御本仏と仰ぎ、日蓮正宗総本山大石寺に安置せられている弘安二年十月十二日の本門戒壇の大御本尊を根本とする」とあったところ、新会則では、「日蓮大聖人を末法の御本仏と仰ぎ、一閻浮提総与・三大秘法の大御本尊を信受し、日蓮大聖人の御書を根本として、日蓮大聖人の御遺命たる一閻浮提広宣流布を実現することを大願とする」と変更した。

この後に「三代会長」に関する一条も新設し、「牧口常三郎初代会長と、戸田城聖第二代会長、池田大作第三代会長の「三代会長」は、広宣流布実現への死身弘法の体現者であり、この会の永遠の指導者である」とうたった。

すなわち正統性と有り難みに欠ける本尊を拝し、折衷と弥縫(びほう)の教義を信じ、池田など三代の会長を宗教的に敬わなければならなくなったのだ。池田教の旗揚げである。こうした逸脱と改変で、まず伝統的な強信者が疑心を抱き、創価学会を離れた。

学会員たちは集票活動と投票行動により議員を当選させ、公明党を存続させている。多くの学会員大衆にとって、公明党は自分たちの力を確信できる計器となり、喜びとなり、信仰の正しささえ証明されるように感じていた。公明党は学会員大衆の社会的、政治的、経済的利益も図ってくれるかもしれないし、政権与党や野党が池田と創価学会をいじめないための防波堤になってくれるかもしれない。

学会員大衆のこうした願望も宗教的な確信が揺らぎ出すと、同じように揺らぎ出してしまう。まして89年、横浜市旭区の産廃処分場で1億7000万円が入った古金庫が投棄される事件が発覚した。3日後、池田の腹心である学会総務・中西治雄が自分の物と名乗り出たが、中西は自宅を担保に350万円を借金している境遇であり、おおかたは「池田の裏金」と見た。ついで91年には、学会による墓苑会計の不正で東京国税局が税務調査に動き、さらには不明金15億円のルノワール絵画疑惑も発覚した。

 

政治的衰退を誘因

こうして相次ぐ創価学会の金銭不祥事は公明党の矢野絢也が裏工作で国税局を抑えこむなどして糊塗したが、並行してオウム真理教による一連の兇悪事件が摘発され、96年宗教法人法の改正に至る。

法の改正にからみ、第五代会長・秋谷栄之助は95年10月、日本外国特派員協会で行った講演で創価学会の政治との関わりについて、「基本原則として、①政治や政治権力に自らの教義の実現を望まない。また政治権力を使って布教しない。②国家からの特別の保護を求めない。③支持する政党が宗教的中立を政策として明確にすることを求める」との条件を示した。

もちろんこれは改正法を睨んで外見を飾っただけの虚飾であり、創価学会のホンネは前年の94年9月、池田が各社との記者懇で語った「こう言うと、また政教一致と言われるけどね。教義を実現するためには、政治の力が必要です。そういう目的で公明党を作ったのだから。それは変わらないですよ」という言葉だった。

しかし、池田の願いにもかかわらず、学会員の集票活動は次第に低落していった。

公明党の比例区での得票数は03年衆院約873万、04年参院862万、05年衆院898万、07年参院776万、09年衆院805万、10年参院763万、12年衆院711万、14年衆院731万、17年衆院697万――と低落していった。実に05年の898万票に比べ、17年には22%も減少、700万票を割った。

公明党は自民党との連立を99年から09年まで、さらに12年から今日まで、安倍政権と連立を組み、政権与党であり続けた。その間、公明党が安倍政権で果たした役割は醜悪といっていい。沖縄の辺野古新基地建設や消費税10%アップ、それに伴うキャッシュレス決済でのポイント還元策など、愚劣極まる悪政であり、まともな社会常識を備えた者なら、とっくに見放すレベルに達している。

昨年の沖縄知事選では、学会本部の決定に造反して玉城デニー候補に投票した「公明党支持層」は約4割に上ったという。確実に心ある学会員の公明党離れは進んでいる。

先に触れたように、学会員は学会で日常活動することで創価学会を支え、もう一つ集票、投票活動することで公明党を成立させてきた。公明党や創価学会の幹部は政党間取引の通貨として学会員票を商うことでその発言力と棲息圏を拡大してきたのだ。宗教と政治の二頭立てだったからこそ、創価学会は新宗教としては異例のことに、長期の繁栄を誇ることになった。

だが、40年前の池田の宗教的敗北は政治的な衰微をもたらし、ほぼ10年前になって池田に肉体的敗北をもたらした。池田はそのころから活動不能に陥り、学会員の前に姿を現せずにいる。彼の認知能力にさえ疑問符が付され、たとえば「池田先生を守れ」というかつての号令が今、どこまで現実的なのか不確かなのだ。

公明党は池田を外護(げご)する、つまり防波堤となる役割を課されることでその首尾一貫しない政治的な軌跡の言い訳としてきたが、今、その安倍政権べったり路線は単に公明党議員の利権を維持・拡大する方便に成り下がっている可能性がある。

対して学会員大衆としては、誰もが等しく持つはずの1票を長期間、創価学会・公明党のために詐取され続けたに等しい。一票は人により投票しないほど無価値なものだが、一定のカサに集まることでカネと権限を呼び寄せる。学会員は鷹揚に1票を学会幹部に委ねることで自らの死を招く法案にさえ白紙委任状を与えたともいえよう。

創価学会は17年11月、会長・原田稔、理事長・長谷川重夫の主導の下、新たに「会憲」を制定した。会憲9条は「この会に、会長を置く」として会長の権限を「この会を指導し、統理する。この会の教義及び化儀を裁定する。御本尊に関する事項を司る。この会の儀式行事を主宰する」と定め、会長の権限を池田より上位に据えた。

早くも池田亡き後に備えた準備、布陣といえよう。創価学会は池田の所有物から学会官僚たちの生計の資となりつつある。官僚とすれば、長期、安定的な勤め先であることこそ最優先される。引き比べ、どこまで行っても浮かばれないのが一般の学会員である。だが、公明党票の縮減に見られるように、学会員たちも創価学会・公明党の詐術に気づきつつある。どのようなウソも長期にわたって、多数を騙すことはできないのだ。(文中・敬称略)

 

溝口 敦(みぞぐち・あつし)ノンフィクション作家。1942年生まれ。早稲田大学政経学部卒。出版社勤務などを経てフリーに。宗教関係をはじめ幅広く社会問題を扱う。『食肉の帝王』(講談社プラスα文庫)で第25回講談社ノンフィクション賞、日本ジャーナリスト会議賞、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞の3賞同時受賞。『堕ちた庶民の神』(三一書房)『歌舞伎町・ヤバさの真相』(文春新書)『パチンコ「30兆円の闇」』『生贄の祀り』『あぶない食品』(小学館文庫)『武富士 サラ金の帝王』『池田大作「権力者」の構造』『中国「黒社会」の掟』『細木数子 魔女の履歴書』(講談社プラスα文庫)『暴力団』『続・暴力団』(新潮新書)『抗争』(小学館新書)『やくざの経営戦略』(文春新書)など著書多数。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

  • 公明党支援活動の宗教的正当性と政治姿勢・政策を最大限礼賛

・4月1日付『聖教新聞』「創立90周年を勝ち開く! 座談会」「威風堂々と!――我らは『日本の柱』覚悟の信心が眼前の壁を破る」「大衆の声を政治に届ける公明党」

「原田(会長)戸田先生は獅子吼されています。『選挙の支援活動は、国民の権利であり、義務である』『(政治家は)民衆のなかに生き、民衆のために闘い、民衆のなかに死んでいってほしいと私は願う。名聞名利を捨て去った真の政治家の出現を、現代の人類社会の民衆は渇望しているのだ』

志賀(男子部長)『民主政治というものは、民衆の要望におされ、かつ、その要望にこたえて出馬した人々が、国家の大勢を考え、民衆の要望をいれ、国家百年の大計を政治に具現すべきもの』とも強調されています。

長谷川(理事長)また、『青年は心して政治を監視せよ』とは有名な宣言です。私たちは青年を先頭に、庶民の声を政治に届ける運動を積極的に展開してきました。

原田 仏法の目的は、平和社会の創出と民衆の幸福です。仏法者の社会的使命として、政治にも関与し、より良き社会の建設を目指していくのは当然です。(中略)

私たちは仲良く、強く、朗らかに団結して、『日本の柱』との誇りで、威風堂々と進んでいきたい。そして、勇気凛々と全てに勝利していきたい」

・3月28日付『聖教新聞』「創立90周年を勝ち開く!座談会」「獅子奮迅の勢いと語り抜く執念 強情な祈りで不可能を可能に」「公明が高齢社会の課題を解決へ」

・3月25日付『聖教新聞』「創立90周年を勝ち開く!座談会」「子育て支援に先駆する公明党」

「志賀 最近、世界最高峰のケンブリッジ大学出版局が刊行する『日本政治学誌』という学術誌で、『自公連立』についての興味深い論文が掲載されていました。執筆者は、インディアナ大学の助教授とノーステキサス大学の准教授です。

大串(女子部長)ここでは、『保守の自民党と平和主義の公明党が20年も連立を続けているのは異例』であるとし、その理由を、さまざまな角度から検証しています。

志賀 その中で、『公明党は、その規模以上の力を発揮して、自民党の重要な安全保障政策を抑制している』『1955年以来、自民党のアイデンティティーや綱領に関わる優先事項とされている事柄について、重要な政策上の譲歩を引き出している』などと論じられています。

長谷川 一橋大学大学院の中北浩爾教授も、『政権に“おごり”が生じないよう自民党と緊張感を持って接し、憲法や外交・安全保障などで中道の方向に引っ張っているのも公明党だ。公明党が存在感を示すことは、日本政治を安定させる上で不可欠になっている』と述べられていました。公明党が存在感を発揮し、日本政治を中道へと導き、政治を安定させていると評価する識者は、本当に多くいます」

・3月21日付『聖教新聞』「創立90周年を勝ち開く!座談会」「『断じて勝つ』と決めて戦う」「公明が若者の声を政策に」

・3月18日付『聖教新聞』「創立90周年を勝ち開く!座談会」「『中小企業』を応援する公明党」

 

※統一地方選と参院選を、2020年の創価学会創立90周年を勝利で迎えるための「広布の山」と位置付け、両選挙での「完全勝利」と「連続勝利」を目指して組織あげての選挙闘争を繰り広げる創価学会。すでに創価学会が、公明党の宗教的存在意義や、選挙闘争の宗教的正当性を繰り返し主張してきたことは、本項でたびたび指摘してきた通り。

その創価学会が、統一地方選前半戦真っ只中の4月1日、「会憲」で池田大作名誉会長と並んで「永遠の師匠」としている戸田城聖二代会長の言葉を引いて、選挙闘争の正当性をアピールしている。もっとも引用されている戸田会長の言葉には、「公明党支援」という主語はない。では戸田会長はどのような意図で創価学会を政界に進出させたのかといえば、「われらが政治に関心をもつゆえんは、三大秘法の南無妙法蓮華経の広宣流布にある。すなわち国立戒壇の建立だけが目的なのである」(『聖教新聞』1955年4月3日付)ということであり、そうした前提のもとで、「(創価学会)文化部員の中で一人が社会党であり、一人は自由党であり、一人は民主党であり、中には共産党がいても一向に差し支えないのであります」(同)としていた。

もっとも戸田会長が唱えた唯一の政治目的である「国立戒壇」は、言論出版妨害への謝罪と創価学会・公明党の政教分離宣言を行った1970年開催の第33回本部総会で、池田大作会長によって否定されている。

戸田会長の政治的発言の背景にあるこうした歴史的事実を知らない、あるいは「精神の正史」である『人間革命』や『新・人間革命』によって歪曲された虚構の歴史しか知らない青年部員、特に今回の統一地方選からは18歳選挙権が実施されることから、2010年以来、大衆の前に姿を見せることがない池田名誉会長の「生(ライブ)」の姿すら知らない若年の青年部員は、一連の公明党支援の宗教的正当性の意味づけの一環としての戸田発言を刷り込まれて、公明党への集票活動に駆り立てられていくことになるのだろう。

『聖教新聞』掲載の「創立90周年を勝ち開く!座談会」なる記事は、毎回、大々的に公明党の政治姿勢や政策を礼賛し、宗教的扇動に加えて政治的にも公明党支援が正当であるかのように刷り込み続けている。

そこにはこんなキャッチフレーズが並んでいる。「大衆の声を政治に届ける」「高齢社会の課題を解決」「子育て支援に先駆」「若者の声を政策に」「中小企業を応援」。

このうち3月25日付座談会記事では、「世界最高峰のケンブリッジ大学出版局が刊行する『日本政治学誌』という学術誌」や一橋大学の教授が、安全保障政策などにおいて公明党が自民党のブレーキ役になっていると評価していると喧伝するが、そこには安保法制や共謀罪、防衛費の増大に公明党が反対しないことや、核兵器禁止条約に日本政府が背を向けているにもかかわらず掣肘(せいちゅう)しないことなどへの言及はない。

この他、『聖教新聞』のコラム「寸鉄」では、「滋賀の大津、大阪の堺市西区、奈良が気迫の拡大。民衆の力で激戦勝ち抜け」(3月25日付)などと、毎度おなじみの各種選挙で公明党候補が立っている選挙区の創価学会組織の名前をあげて、必勝を檄している。

あらためて言うまでもないが、創価学会は前出の第33回本部総会での「会員の政党支持は自由」との池田発言を受けて、公明党支援活動は強制ではなく任意としている。だが実際には宗教的扇動や呪縛で会員の政党支持の自由、投票の自由を束縛し続けている。

 

  • 岩手県でも辺野古埋め立て中止に反対

・3月27日付『琉球新報』「辺野古埋め立て中止を 岩手県議会が意見書可決 沖縄以外で初」

「岩手県議会は25日の最終本会議で『沖縄県民投票の結果を踏まえ、辺野古埋立て工事を中止し、沖縄県と誠意を持って協議を行うことを求める』意見書を社民党や共産党などの岩手県政与党会派による賛成多数で可決した。野党の自民党や中立の公明党などは反対した。

沖縄県議会以外の都道府県議会で辺野古新基地建設の中止を求める意見書が可決されたのは初めてとみられる。

意見書では、辺野古埋め立て工事について『埋立て海域に軟弱地盤や活断層の存在が指摘されたことなどにより公有水面埋立承認が取り消され、実現性が大きく揺らいでいる』と指摘。『県民投票において、埋立て反対の明確な民意が示された以上、憲法が保障する地方自治と民主主義、国民主権、基本的人権を踏まえた真摯(しんし)な対応が求められる』とした。

事務局によると、意見書は、憲法改悪反対県共同センターなどの市民団体が提出した請願の採択を受けたもので、意見書の宛先は首相や外務大臣ら。

新基地建設を巡っては、岩手県の達増拓也知事が2月28日の記者会見で、米朝首脳再会談に絡み、東アジアでの緊張緩和が進んでいるとして、普天間飛行場を辺野古に移設する必要はないとの考えを示した。

県民投票の結果については『個人的な考えだが重く受け止めるべきだ』と述べ、他都道府県知事では初めて結果の尊重に言及していた」

 

※辺野古新基地建設の是非を争点として実施された沖縄県の県民投票の結果を受けて、岩手県議会が『沖縄県民投票の結果を踏まえ、辺野古埋立て工事を中止し、沖縄県と誠意を持って協議を行うことを求める』意見書を可決したが、沖縄には「核も基地もいらない」と主張する池田大作創価学会名誉会長を創立者とする公明党は、この意見書に反対した。

辺野古新基地建設現場では、広大な軟弱地盤の存在が確認され、新基地を建設するには7万本以上の杭を打ち込む必要があり、その費用は沖縄県の試算で2兆円超。工事期間も順調に進んで13年にも及ぶと推測されている。しかも軟弱地盤は水面下90メートルの深部に及んでいる場所もあり、工事の実効性を疑う声もある。

民主主義の観点から、沖縄の住民投票の結果を尊重するのは当然のこととして、軟弱地盤であることから完成するかどうかも分からない工事に数兆円もの税金を投入することが許されるものなのか。戦前の戦艦大和や、戦後の原子力船むつやもんじゅを持ち出すまでもなく、政府・官僚は愚策を繰り返してきた歴史がある。ここは一度立ち止まって、基地建設を抜本的に考え直すべきであるにもかかわらず、公明党は基地推進のお先棒を担ぎ続けている。

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