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3月号目次

閻魔帳

イラク革命40年の帰結に見る宗教の政治介入の危険性/乙骨正生

 

特集/“悪夢”はどちらか──亡国政治支える創価・公明

 

嘘で固めた安倍政権の体質 それに輪をかける創価学会/柿田睦夫

沖縄県民投票での「コウモリ飛行ぶり」から垣間見える「公明党=創価学会」の懊悩/古川利明

自公政権は沖縄から崩壊するか/段 勲

 

トピックス

血なまぐさい権力闘争に揺れる神社界/伊藤博敏

トピックス

韓国を「嘘つき泥棒」呼ばわりの自民党国防部会長は統一教会シンパ/鈴木エイト

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

新・現代の眼(第31回)

善く游ぐ者は溺れ、善く騎る者は堕つ──石垣島陸自基地建設を追う(1)/菅野 完

ヨーロッパ・カルト事情251

政教分離法改正?/広岡裕児

執筆者紹介  編集後記

 

 

 

編集後記から

小誌の創刊は平成14(2002)年3月のこと。おかげさまで今号をもって小誌は満17年の節目を刻むことができました。4月には統一地方選、5月には天皇代替わり、7月には参議院選と、今年は宗教と政治・宗教と社会に関する重要なシーンが相次ぎます。今後、いっそう気を引き締めて宗教と政治・宗教と社会に関する事実と真実の追究ならびに報道に心がける所存です。

ところで辺野古新基地の建設の是非を唯一の争点とした沖縄県の県民投票が2月24日に行われました。結果は、投票率が52%で、反対が43万票、賛成が11万票、どちらでもないが5万票と、投票者の70%以上が新基地建設に反対の意思を表明しました。

二択が三択になった背景や、選挙結果の分析等については、小誌今号の特集記事をご参照いただくとして、注目されるのは、この選挙結果に対する公明党の対応です。

マスメディアの報道によれば、当日の出口調査の結果、公明党支持者の55%が反対の票を投じたともあります。しかし公明党の山口那津男代表は26日の記者会見で、賛成数は「(得票総数を有権者総数で割った)絶対得票率は38%程度にとどまった。その他の思いがかなりあるという結果をありのままに受け止める」(「産経ニュース」26日付)と、投票結果を矮小化するような発言をし、県民投票の結果を尊重して土砂投入を中止するなど、いったん立ち止まって新基地建設を見直すというような姿勢は微塵も見せませんでした。

こうした党首の姿勢と軌を一にするように、県民投票の結果を受けて、東京都小平市議会が2月25日、本会議で辺野古新基地建設の即時中止と、国内外に普天間の代替施設が必要かどうかを含めて国民的な議論を行うことを求める請願と意見書を賛成多数で可決しましたが、公明党は自民党とともに反対しました。

これに先立つ昨年12月6日、東京都小金井市議会が定例本会議で、「辺野古新基地建設の中止と、普天間基地代替施設について国民的議論を深め、民主主義及び憲法に基づき公正に解決することを求める意見書」を賛成多数で採択した際にも、公明党は反対しています。

2月8日、創価学会は中央社会協議会で、7月の参院選での公明党支持を決定。その理由として、公明党が生活者優先の政策決定や、行政の信頼回復に全力をあげて取り組んでいることなどをあげていますが、沖縄県民の民意を無視して新基地建設に加担する公明党と、その組織母体の創価学会の欺瞞性には呆れるしかありません。

特集/“悪夢”はどちらか──亡国政治支える創価・公明

 

沖縄県民投票での「コウモリ飛行ぶり」から垣間見える「公明党=創価学会」の懊悩

古川利明

ジャーナリスト

 

公明党の動きでオウンゴールになった県民投票

池田大作を「創立者」とする公明党(=創価学会)所属の国交相・石井啓一が、「私人」ではない、国家権力中枢の防衛省からの行政不服審査法に基づく申し立てを丸飲みし、「沖縄県が行った埋め立て承認撤回の処分」の効力を停止させたことで、海への土砂搬入が始まっていた米軍辺野古新基地建設の是非を問う県民投票が2月24日、行われた。投票率は52・48%と過半数に達し、反対43・4万票(得票率72・1%)、賛成11・4万票(同19%)、どちらでもない5・2万票(同8・7%)と、「新基地建設ノー」の民意が明確に示された。とりわけ、昨年9月30日に投開票のあった同県知事選で、過去最多だった玉城デニーの得票数である39・6万票を上回ったことは、「圧勝」と言ってよい。

ただ、今度の県民投票は、実現に至るまで紆余曲折があり、当初、自公系が首長を務め、議会の多数派を占める宜野湾など5市が「投開票作業のボイコット」を表明していたことから、全市町村での実施が危ぶまれていた。地元紙の沖縄タイムスと琉球新報が、この動きのウラに、官邸の意向に沿って、弁護士資格を持つ自民党衆院議員の宮崎政久(12年から3回連続で沖縄2区で落選するも、比例で復活当選)が、去年12月初め、地元の保守系市町村議の勉強会で、こうした「ボイコット指南マニュアル」を配布していたことを報じた直後の今年1月15日、宜野湾市役所前で、「『辺野古』県民投票の会」代表の元山仁士郎(27歳)が、「全県での実施」を求め、ハンストに入ったのである。

ところが、これに激しく動揺し、いつもながらのコウモリ飛行をおっ始めたのが、口さえ開けば「反戦平和」を唱える池田大作を創立者に抱える公明党(=創価学会)だったのである。敢えて東京・南元町の公明党本部とは差別化させるべく、「普天間基地の辺野古移設反対」を主張している公明党沖縄県本部の代表で、同県議の金城勉が動き、例の「3択案」を提示してきたのである。これを報じた朝日新聞(1月26日付朝刊)によると、この金城が「大変な状況にある5市長が肩の荷を下ろすため、協力してほしい」と、4月の衆院沖縄3区補選や夏の参院選での選挙協力もチラつかせ、自民党を説得したことで、急転直下、その「どちらでもない」を加えた3択案が、与野党間で合意したのである。

もし、このタイミングで動いていなかったとしたら、その5市がボイコットしていた可能性は、ほぼ間違いなく、その場合、有権者の約3割が投票できなかったことになるため、「県民投票の正当性」が疑われかねないところだった。しかし、逆に言えば、こうやって「オキナワの公明党」が動いたことで、「基地問題」という国政の根幹を問う住民投票で、「安倍内閣に対する不信任」を突きつけたのだから、まさに、これはサッカーで言うところの「オウンゴール(自殺点)」を決めた形となってしまったのである。

 

懊悩する沖縄の創価学会員

そこで、朝日新聞(2月25日付朝刊)の出口調査(有効回答3173人)によると、県民投票で「公明支持層」とは、要するに「創価学会員」のことだが、「反対」に投じた割合が、じつに55%に達していた。これは、無党派層の79%には及ばないものの、自民支持層の45%を10ポイントも上回っており、現地では「辺野古移設反対」が根強いことを窺わせている。

折しも、時期としては「3択案による県民投票」が正式に決まった直後の2月2日、那覇市の沖縄国際平和会館で、創価学会沖縄青年部による連続講演会「沖縄ピースフォーラム」が開かれ、そこに沖縄国際大学名誉教授の石原昌家を招いていたことを、翌日付の聖教新聞が報じている。掲載された写真を見る限りだが、画面中央で講演する石原の話を、後ろ姿ではあるが、大学生ぐらいの若者が、メモを取りながら真剣に聞き入っているのが、分かる。

じつは、この石原昌家というのは、沖縄戦を体験した生き証人からの聞き取り調査をもとに、「戦争の真実」を発掘してきた点では、筋金入りの社会学者である。東京新聞(18年6月17日付朝刊)のサンデー版「変質する沖縄戦」と題する特集で、この石原の研究成果を引用する形で、「残るのは真実か公文書か」という石原自身の文章も、冒頭に載せている。

それには、例えば、戦時中、真実は「日本軍に壕を追い出された」のであるのに、「日本軍に協力するため、壕を提供した」というふうに変更を申し出れば、「戦闘参加者」として認定され、遺族年金や弔慰金などが支給され、靖国神社への合祀も認めるという措置を、戦後、厚生省は取ってきた。こうした結果、「戦争証言の書き換え」が現に行われているのだが、近い将来、「沖縄戦の生き証人」がいなくなった暁には、「住民が積極的に戦争に協力した」という膨大な公文書だけが残り、「歴史の真実が隠蔽されかねない」と警鐘を鳴らしているのである。

その沖縄ピースフォーラムで、石原は「青年の皆さんが“戦争体験を聞き取れる最後の世代”との自覚をもって、継承に取り組んでほしい」と、若い創価学会員らを激励していたのだが、これを見るだけでも、本土の信濃町や南元町と沖縄との間には、相当の温度差があることだけは、間違いない。本来であれば、オキナワの公明党、すなわち現地の創価学会員は「自公体制の維持」という点で言えば、県民投票で「賛成」を呼びかけなければならない。しかし、実際には「自主投票」という形で、「動けなかった」ことの機微が、まさにここにあり、むしろ、その基地問題を前にして、“善男善女”とも呼ばれる彼らの懊悩とも言うべきものが、この記事からはひしひしと伝わってくる。

 

「ヤルヤル詐欺」の池田提言

さて、沖縄県民投票を巡り、その「3択案の採用」云々で、まさに揉めていた最中の1月26、27日付の聖教新聞に、今年もまた、池田大作による「『SGIの日』記念提言」が掲載された。10年5月を最後に、不特定多数の学会員を前に、自らの肉声でもってスピーチが行えていないことや、最近の同紙に掲載されている動静写真などから、「少なくとも認知症の初期段階」が疑われる池田が、この期に及んでも、「自らペンを取って執筆している」と、信濃町が大本営発表していることはさておき、例の「核廃絶」をメインディッシュに、あれこれと副菜を添えているのは、いつもの通りである。

ただ、今回は、同時並行で県民投票が動いていたこともあってか、真新しさという点では、いつもながらの「戦争の悲劇を繰り返させない」との仰々しい見出しとともに、「『LAWS(自律型致死兵器システム)禁止条約』の交渉会議を早期に立ち上げることを強く求めたい」と言及していた。「LAWS」とは、戦場で使用するAI(人工知能)を搭載した「殺人ロボット」のことだが、これは17年11月から国連公式専門家会議での議論が始まり、現在、禁止条約制定に向け、動きがあることを受けてのものである。

もともと、池田は17年7月に国連で採択された核兵器禁止条約についても、今回のLAWSと同様、例えば、15年のSGI提言では「18年までの開催が要請されている『核軍縮に関する国連ハイレベル会合』を16年に行うことで、そこで条約案をまとめることを目指していってはどうか」としていた。要するに、また、その二番煎じが始まったわけだが、この池田のSGI提言の致命的な欠陥とは「言うだけならタダ」とばかり、実効性が何ら担保されていないことに尽きる。

例えば、その核兵器禁止条約でも、日本は世界で唯一の戦争被爆国でありながら、驚くべきことに、米国をはじめとする他の核兵器保有国とともに、国連での審議には参加せず、最初からボイコットを決め込んでいた。本来であれば、まず、「これ」に対する根本的な批判があってしかるべきだが、池田のSGI提言では、今年もスルーしたうえで、ヌケヌケと「私は、唯一の戦争被爆国である日本が、核兵器禁止条約を支持し、批准を目指すべきであると訴え続けてきました」と言い切っているのである。

もし、マトモな提言であれば、「今夏の参院選までの通常国会で、政府は核兵器禁止条約を必ず批准せよ」でなければならない。例えるなら、「池田大作」という振出人の署名はあるものの、「支払い期日」が書き込まれていない空手形を切っているのに等しく、こんなものは「ヤルヤル詐欺」以外の何物でもない。しかし、辺野古移設反対でヒートアップしている沖縄の状況が目の前にあるため、その「反戦平和」という虚飾の仮面の上に、さらにこうして分厚い化粧を施さざるを得ないところに、追い込まれているのである。(文中・敬称略)

 

古川利明(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『デジタル・ヘル サイバー化監視社会の闇』『日本の裏金(上、下)』『ウラ金 権力の味』『「自民党“公明派”」10年の功罪』『「自民党“公明派”」15年目の大罪』(いずれも第三書館刊)など著書多数。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

  • 噴飯!創価学会の公明党支持決定理由

・2月8日付『聖教新聞』「総本部で中央社会協議会 参院選比例区公明党支持を決定」

「創価学会の『中央社会協議会』(議長=原田光治主任副会長)が7日、信濃町の学会本部別館で開催された。ここでは、公明党から寄せられた今夏の第25回参院選比例区への支持依頼について検討・協議を行った。

協議会では、①『大衆とともに』との立党精神を貫き、『軽減税率をはじめとした消費税引き上げへの対策』『未婚のひとり親への支援』など、生活者の視点に立った政策実現に最優先で取り組んでいる②少子高齢化に対応する『全世代型社会保障』構築への具体策や、国と地方が連携した『防災・減災対策』などを着実に実現、さらには行政の信頼回復に向けて全力を尽くすなど、国民に安心をもたらすために欠かせない連立与党の要である③今回の参院選に向け、『良識の府』である参議院にふさわしい、見識と人格を兼ね備えた、実力ある人材を公認候補として擁立したこと――などの党の基本姿勢と行動を評価。同党のさらなる努力に期待して支持を決定し、同日、公明党の山口那津男代表に通知した。(中略)公明党公認の選挙区予定候補7人への支持依頼については、該当都府県の社会協議会が同日までに開かれ、支持を決定した」

・2月14日付『聖教新聞』「創立90周年を勝ち開く!座談会」「統一地方選へ公明党が全国遊説を開始」

「原田(光治主任副会長・中央社会協議会議長) 先日(7日)、中央社会協議会を開催し、公明党から申し入れのあった夏の参院選比例区への支持依頼について、検討・協議しました。

永石(婦人部長)ここでは、公明党が、『大衆とともに』との立党精神を貫き、『軽減税率をはじめとした消費税引き上げへの対策』『未婚のひとり親への支援』など、生活者の視点に立った政策実現に最優先で取り組んでいる点を評価しました。

原田(光)さらに、少子高齢化に対応する『全世代型社会保障』構築への具体策や、国と地方が連携した『防災・減災対策』などを着実に実現し、また行政の信頼回復に向けて全力を尽くすなど、国民に安心をもたらすために欠かせない連立与党の要であることを確認。今後の公明党のさらなる努力を期待し、支持を決定しました。

大串(女子部長)同様に、該当の都府県で社会協議会が開催され、参院選の選挙区予定候補の支持を決定。各県等の社会協議会でも、4月の統一地方選への支持を検討・決定しています。

志賀(男子部長)公明党は去る3日から、山口代表をはじめとした党幹部による全国遊説をスタートさせました。統一地方選の全員当選へ、『安定した政権のもと、国民にとって、身近で切実な声を政治に反映させるのが、公明党の地方議員』などと訴えています」

「原田(会長)昨年、アメリカの政治学者イアン・ブレマー氏と経団連の中西宏明会長による共同寄稿が、読売新聞に掲載されました(10月20日付)。

そこでは、世界のいたるところで変化を求める風が吹き荒れ、政治情勢が一変しつつあると論及。日本は世界で最も緊張が高まる地域に位置しているにもかかわらず、民主主義の基盤のもと、連立与党によって、長期にわたり、安定した政権が維持されていると評価していました。

志賀 『他の民主主義国が社会の分裂に直面する中にあっても、日本の政治は今もコンセンサス(合意形成)をベースに動いている』とも論じていました。日本でこうした政治が機能しているのは、『中道政治』を掲げる公明党が、幅広い国民の声を政策に反映させ、その特徴である『合意形成』を進めてきたからにほかなりません。

原田 事実、私がお目にかかる各界のリーダーの多くが、連立与党における公明党の活躍に期待を寄せています」

・2月21日付『聖教新聞』「創立90周年を勝ち開く!」「『日本を守る公明のネットワーク』識者」

「竹岡(青年部長)現在の公明党の役割について、『自信をもって公明党独自の国家ビジョンを打ち出し、国政の場で公明党のオリジナリティを発揮していくときではなかろうか』と期待を寄せる識者の一人が、東京大学名誉教授で、政治学者の御厨貴氏です。

永石 御厨氏は、テレビ番組『時事放談』の司会者としても有名な方ですね。

竹岡 その御厨氏が、公明党を評価する理由は、大要で3点にわたります(月刊誌『潮』18年11月号)。第一として、社会保障や教育無償化など、かつての自民党が苦手としていた弱者救済の政治が、『福祉の政党』『教育の政党』の伝統を持つ公明党のおかげで実現している点です。(中略)

志賀 『「大衆とともに」という立党の精神をもつ公明党は、つねに低所得者層にもっとも密接に寄り添ってきた』とは、氏の論評です。(中略)

原田 こうして公明党を高く評価する識者の方は多くいます。それだけ、期待も大きいということです。だからこそ公明党は、4月の統一地方選を断じて勝ち抜き、さらに国民のために働いてもらいたい」

2月25日付『聖教新聞』「創立90周年を勝ち開く!」「公明は『一人の声』を政策に実現」

「原田 これまで取り上げられることのなかった庶民の声を地方政治にも、国政にも届ける――まさしく、公明党の55年間の歴史は、政治を庶民の手に取り戻す闘争であったと思います」

2月28日付『聖教新聞』「創立90周年を勝ち開く!」「『公明が日本を安定に導く』識者」

「原田 さて、1月31日付の朝日新聞に掲載された、一橋大学大学院の中北浩爾教授の論評には、大きな反響がありました。タイトルは『自公連立20年、野党は学べ』。本年、自民党と公明党が初めて連立を組んで20年になることから論じられています。

長谷川(理事長)そこでは、『自公政権は現在、日本政治で唯一の安定した連立の枠組み』『多党制が日本政治の現実である。自民党は、公明党との連携によって、「一強」の地位を確保しているに過ぎない』と分析していました」

 

※今年の4月と7月に予定されている統一地方選挙と参議院選挙を、創価学会は、明2020年に迎える創立90周年を勝利で飾るための「勝ち越えなければならない広布の山」と位置付け、「立正安国」を旗印に、池田大作名誉会長の代表的著作とされる『新・人間革命』の記述をもとに公明党結党の宗教的意義と存在意義を強調しつつ、組織あげての選挙闘争に突入している。

そうした宗教的意義づけに加えて創価学会は、2月8日付『聖教新聞』で公明党支持を決定した理由を発表。以後、原田稔会長を中心とする座談会記事で、繰り返し公明党の政治的業績を評価。幹部・活動家に公明党支援の正当性と必要性を刷り込むことに腐心している。

それによると創価学会の公明党支援は、「①『大衆とともに』との立党精神を貫き、『軽減税率をはじめとした消費税引き上げへの対策』『未婚のひとり親への支援』など、生活者の視点に立った政策実現に最優先で取り組んでいる②少子高齢化に対応する『全世代型社会保障』構築への具体策や、国と地方が連携した『防災・減災対策』などを着実に実現、さらには行政の信頼回復に向けて全力を尽くすなど、国民に安心をもたらすために欠かせない連立与党の要である③今回の参院選に向け、『良識の府』である参議院にふさわしい、見識と人格を兼ね備えた、実力ある人材を公認候補として擁立したこと」だという。

字数の関係もあり、細かい検証は省略するが、①については、防衛費(軍事費)を大幅に増額する一方で、福祉予算を削減している事実、イギリスのように生活必需品である食料品の税率をゼロにするのではなく、現行税率8%の維持に過ぎない軽減税率のまやかしを指摘すれば十分だろう。②については、モリカケ問題で一貫して安倍首相を擁護し続けた政治姿勢。多くの国民が反対の姿勢を示す中で、安保法制や共謀罪、IR法案(カジノ法)などで強行採決などを繰り返し、法案成立に賛成した事実。さらには沖縄の民意を無視して辺野古新基地建設を推進するお先棒を公明党の国土交通大臣が担いでいることを指摘すれば十分なのでは。そして③については、7月の参院選に神奈川選挙区から立候補する佐々木さやか候補(現職)の、共謀罪審議における金田勝年法務大臣擁護発言を指摘すれば十分だろう。共謀罪のデタラメぶりを象徴するかのように、国会答弁で醜態を繰り返した金田法務大臣。しかし佐々木議員は、平成29年6月14日の参議院本会議でこう金田法務大臣を擁護した。

「金田法務大臣は昨年8月に大臣に就任して以来、誠実かつ真摯な答弁を行うなど国民のために尽くしてこられました」

この発言は、世間の物笑いの種になり、昨年『創価学会』を出版するなど、日頃から創価学会・公明党を評価してきたジャーナリスト田原総一朗氏でさえも、さすがに同日夜のテレビ朝日の『報道ステーション』で、「あれは皮肉にしか思えないね。あれが皮肉じゃなかったら本人はばかだよ」と発言している。

共謀罪をめぐっての国会審議では、40年以上にわたって参院の法務委員長を占める公明党の秋野公造委員長が、職権で「中間報告」という奇手をつかって委員会審議を省略、本会議での強行採決に持ち込むという異常な審議指揮を行っている。こんな「良識」に背く議員を擁立している公明党が「『良識の府』である参議院にふさわしい、見識と人格を兼ね備えた、実力ある人材を公認候補として擁立した」などとは噴飯以外のなにものでもない。

だが創価学会は、東大や一橋大の学者のコメントを引用する形で、こうした主張にさも信憑性があるかのように粉飾。宗教的意義づけに加え、詭弁や虚弁に基づく公明党礼賛で、学会員と世間を欺罔しようとしている。

そもそも創価学会の「永遠の師匠」(会憲)である池田大作名誉会長は、言論出版妨害事件について謝罪した昭和45年5月3日の本部総会の席上、創価学会と公明党の組織的政教分離を宣言した上で、学会員の政党支持の自由についてこう公約・公言した事実がある。

「学会は、公明党の支持団体ということになります。とうぜん学会員の個人個人の政党支持は、従来通り自由であります。学会は日蓮大聖人の御本尊を信奉する宗教団体であって、政党支持については、会員の自由意思にまかせ、まったく干渉するものではありません」

しかし創価学会と公明党の関係は、竹入義勝・矢野絢也両元公明党委員長が、著作の中で「政教一致」と吐露している事実が示すように、今日なお政教一体そのものであり、創価学会は宗教的洗脳によって学会員の政党支持の自由への事実上の侵害行為を続けている。

創価学会は、公明党の地方議員もまた、生活者優先で地域に密着した活動を続けているなどと喧伝するが、公明党目黒区議団全員が、政務調査費の不正使用で議員辞職した事実を嚆矢として、全国各地で政務調査費・政務活動費の不正受給・不正使用を繰り返してきたことは既報の通り。宗教的洗脳に加え政治的デマゴギーを繰り返す創価学会。有権者の厳しい審判が必要であることは当然だが、多くの沖縄の学会員が、学会本部の指示に反して辺野古新基地建設反対の意思表示をしたように、本土の学会員もそろそろ覚醒すべき時なのでは。

 

  • 不信感の拡大――公明党と選挙支援活動の宗教的意義を繰り返す執行部

・2月18日付『聖教新聞』「創立90周年を勝ち開く!座談会」「公明党は永遠に『大衆とともに』」

「永石 私たちが支援する公明党は、今年、結党から55周年を迎えます。結党当時の状況は『新・人間革命』第9巻『衆望』の章にも詳しく描かれています。

長谷川 あの頃、日本では、保守政党は大企業を擁護し、革新政党はそれらの企業で働く組織労働者に基盤を置いていました。しかし、日本は中小企業などが圧倒的に多い。つまり、真の意味で多種多様な『大衆の声』に耳を傾ける政党が存在しなかったのです。

竹岡 『衆望』の章にはこうつづられています。『多様な大衆に深く根を下ろし、大衆の味方となり、仏法の慈悲の精神を政治に反映させゆく政党が、今こそ踊り出るべきであろう。それが衆望ではないか――山本伸一は、こう結論したのである。彼は、日本の政治の現状を検証していくなかで、公明党の結成の意思を固め、あえて嵐に向かって、船出しようとしていたのである』

大串 真に庶民のための政治を目指し、誕生したのが公明党だったのですね。

原田 その根本にあるのが『大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく』という立党精神です。現実に、立党以来、公明党は政治の腐敗をただし、各地で公害の解決にも尽力してきました。そして、平和に貢献し、福祉、教育の向上などに大きな力を発揮してきた歴史があります。(中略)

永石 公明党には、全国各地で積み重ねてきた『地域密着』の実績があります。生活者目線の具体的な実績に、地域の方々からも大きな信頼が寄せられていることを実感します。

竹岡 20年前の1999年、公明党は自民党からの要請を受けて連立政権に参画。以来、民主党政権の3年間を除き、連立与党として政治の安定と改革の『要』の役割を担っています」

 

※前項で指摘したように、「立正安国」を旗印に統一地方選・参院選に血道をあげる創価学会だが、世間の政教一致批判を恐れて一時控えていた公明党の宗教的意義の強調や、創価学会の選挙支援闘争の宗教的意義付の強調がやたらと目立っている。

集団的自衛権の行使容認と安保法制への賛成以来、多くの学会員が、平和と福祉を金看板としてきた公明党の変節に不信と疑念を抱き、こうした姿勢を容認する創価学会本部・執行部への不信を強めている。

執行部は、こうした自らにとっての批判分子・不満分子を、「破和合僧(組織攪乱)」などを理由に相次いで処分するなどしているが、沖縄県知事選・県民投票で、多くの学会員が、学会本部の指示に反して、辺野古新基地建設に反対する意思を表示しているように、不信感は全国の創価学会組織において、静かに拡大を続けている。そうした不信や疑念を払拭するために、執行部が原点回帰ともいえる公明党の宗教的意義や選挙闘争の宗教的意義を強調していることを、一連の『聖教新聞』記事は示している。

安倍自民党と共同歩調をとることで組織の延命と保身を図ってきた創価学会執行部の危機感をそこから読み取ることができる。

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