4月号目次
閻魔帳
福岡5歳児餓死事件と宗教のかかわり/段 勲
特集/春の嵐に右顧左眄する創価・公明
“生きていたのはこの選挙の為” コロナ禍で「まさかが実現!」策す創価学会/乙骨正生
ワコロナ禍での実施も見込まれる「都議選」を前に綻びを晒す「創価学会=公明党」/古川利明
トピックス
幸福の科学の一般公開施設取材に有罪判決 報道の自由と建造物侵入罪に関する初判断/藤倉善郎
トピックス
菅原一秀前経産相と武田良太総務相に見る、悪あがき政治家の共通項/鈴木エイト
- 連載
「公明党と創価学会」を考える(第18回)
公明党の自立路線時代(4)/平野貞夫
ナニワの虫眼鏡(第22回)
大阪北部の街に衝撃 問題市長の出身はやはり「あの政党」/吉富有治
新・現代の眼(第56回)
玉の盃、底無きが如し/菅野 完
ヨーロッパ・カルト事情(275)
報告書は出たけれど/広岡裕児
執筆者紹介 バックナンバー一覧 編集後記
編集後記から
今年、東京の桜の開花宣言は観測史上最速に並ぶ3月14日でした。小誌の編集部は、JR東日本の中央・総武線飯田橋駅がもよりであり、周辺には江戸城外堀にあたる飯田堀や千鳥ヶ淵・江戸川橋などの桜の名所があります。今年も飯田堀や千鳥ヶ淵の桜は見事でしたが、ちょうど桜の満開の時期に飯田堀に隣接する法政大学の卒業式が行われており、多くの学生や保護者が、桜の下で記念撮影に勤しんでいました。
かつて桜は入学式に定番の花でしたが、東京ではもはや卒業式の花と変わりつつあります。この開花時期の変化も地球温暖化の影響なのでしょうが、地球温暖化は極地の氷やシベリアの凍土、ヒマラヤの氷河などを次々に溶かしており、海水面上昇という問題とともに、氷や凍土に閉じ込められていた未知のウイルスの出現・復活なども危惧されています。
それにしても危機管理のお粗末さが際立つ自公連立政権のコロナ対策。切り札などといわれたワクチンの確保・接種でも、海外諸国と比べて後手後手にまわっており、医療現場を含めた混乱は激しくなるばかりです。そういえばワクチン確保に貢献したのは公明党などと、『聖教新聞』の座談会記事で創価学会の首脳幹部は、しきりに公明党を礼賛していましたが、昨今は「子育て支援を支える公明党」「公明が推進 県立病院に女性専用エリア」「公明が推進 医療用ジェット機が話題」などと、ワクチンにはさっぱり触れません。どうしたのでしょうか。ワクチンといえば子宮頸がんワクチンも、公明党が推進し、創価学会婦人部は推進署名まで行っていましたが、重度の副反応が相次いだため、批判の声が高まり、厚労省が接種を抑制するや、とたんにダンマリを決め込むようになりました。これ一事をもってしても公明党そして創価学会のPRは信用できません。
ところで3月26日に自民党の東京都連と公明党東京都本部は、7月の都議選で公明党と自民党が選挙協力を行うことで合意しました。前回の都議選で公明党は、飛ぶ鳥を落とす勢いだった小池百合子都知事に急接近。都民ファーストの会と選挙協力を行いましたが、今回は翳りの見える小池都知事からは離れて自民党と選挙協力を行うとの事です。
議席を守るために公明党は、大阪でも維新の会とくっついたり離れたり。東京も他聞に漏れず、議席維持のための右顧左眄ですが、コウモリ政党の本領発揮。見苦しい限りです。小誌は、宗教と社会・宗教と政治の事実と真実を追究し続けます。
特集/春の嵐に右顧左眄する創価・公明
コロナ禍での実施も見込まれる「都議選」を前に綻びを晒す「創価学会=公明党」
古川利明
ジャーナリスト
5歳男児餓死事件の背景にあるもの
福岡県篠栗町で昨年4月、5歳の男児に十分な食事を与えずに餓死させたとして、福岡県警はこの3月2日、同町在住の母親・碇利恵(39歳)と近所に住むママ友の赤堀恵美子(48歳)を保護責任者遺棄致死の容疑で逮捕し、同月23日に起訴された。
2人は16年4月、子供を同じ幼稚園に通わせる保護者として知り合い、関係を深めていくなかで、赤堀は碇家の子育てなどに介入するようになり、捜査を担当する刑事によれば「碇は赤堀にマインドコントロールされたような状態だった」という。碇は生活保護費などで月20万円前後の収入があったが、家計を握っていた赤堀がその全額を受け取り、週に数回、碇家にパンや米、菓子を差し入れるほかは自分の懐に入れ、こうやって毟り取っていたカネは合計で1200万円にも上っていた。赤堀は「あなたのダンナが浮気をしている」と嘘を言って19年5月に碇を離婚させ、「別れたダンナとの裁判に勝つには質素な食生活をしなければならない」とけしかけていた。長男や次男に比べて三男の翔士郎ちゃんは、赤堀の言うことを聞かなかったため、19年8月頃から、兄2人よりもご飯の量を少なくしたり、食事を抜くよう碇に指示し、さらに翔士郎ちゃんを日常的に怒鳴りつけて叩き、「監視カメラで見張っている」と脅していた。
翔士郎ちゃんが亡くなったのは20年4月18日で、急変して意識を失ったことから、まず、碇は赤堀を自宅に呼び、赤堀の夫が119番通報している。その10日前からは、翔士郎ちゃんは水しか与えられておらず、体重は同年齢平均の半分の10キロ前後しかなく、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図そのものだった。週刊新潮(3月18日号)によれば、じつは、この赤堀は父親の代からの創価学会員で、ママ友となった碇を折伏して入信させており、救急隊員が駆けつけたとき、横たわる翔士郎ちゃんの側で、碇は一心不乱に「南無妙法蓮華経」の御題目を唱えていたというのである。大分に住む赤堀の父親は「池田大作名誉会長は、絶対やっとらんことは死んでもやっとらんち言い通せち。それが信念や」と、容疑を全面否認する娘を庇っていたが、こうやって池田大作の名前を出しているところに「信心の深さ」が窺える。
「罪を憎んで人を憎まず」との宗教の本懐に立って、今回の事件を省みるなら、まず、赤堀は「財務」をどれだけ納めていたのか、である。実際のところ、創価学会員が関与した犯罪を見ると、これまで吉展ちゃん事件の犯人だった小原保や、元警視庁警部でありながら資産家2人を殺害し、死刑判決を受けた沢地和夫を始めとして、枚挙にいとまがない。つまり、創価学会員の構成人員が社会全体からすると、「低所得者層」、すなわち、「貧困」と呼ばれるゾーンに属している人たちが多いことに加え、1982年以降、池田大作の鶴の一声で始まった「暴走財務」により、あこぎなカネ集めが各地で競い合うように行われていることが、組織に著しい歪みを与えており、こうした背景を決して見落としてはならない。さらには、昨春以降、コロナ禍によって巣篭もり生活を余儀なくされていることで、「暴力が内へと加速していった」という側面はなかったのか、である。もし、コロナ禍がなければ、地区座談会だ、F(フレンド)票取りだとコマネズミのように動かされることで、こんな子供への虐待へとエスカレートする余裕などなかった可能性があり、それを思うと改めて無念でならない。
都議選に向けて「住民票移動」の報も
そこで、巷間ではあまり知られていないかもしれないが、『諜報機関 日本の諜報機関の最前線を記す』(青林堂)などの著書があるブロガーの井上太郎が、3月8日にツイッターで「7月にある都議選に向けて創価学会員の住民票移動が始まっています。移動先は全国1000箇所ある創価学会の名前はいろいろですが会館で、都議選ではその都内施設です。宿泊設備もあり、住み込み管理人もいて、行政側は住居として認めざるを得ません。定員なんてタコ部屋でも行政は無視します。」と投稿している。「全国1千箇所」は多過ぎ、これには個人宅も含まれていると思われるが、この井上は「井上太郎の諜報インテリジェンス『日本のために』」という公式ホームページも開設しており、国際関係を始めとしてウラ情報に詳しく、公安警察が情報源と推測される。
こうした「創価学会員による選挙目的の住民票移動」は、これまでにもマスメディアで取り上げられたことはあったが、そのたびごとに信濃町は「デマ」だとして恫喝抗議や恫喝告訴を行い、その成果が創価学会青年部サイト「SOKA YOUTH」で披露されている。とりわけ、民主党衆院議員だった永田寿康は、05年の都議選後の8月28日に自らの選挙区での国政報告会で、このことをしゃべったところ、会場に創価学会員を潜入させていたのであろう、永田は名誉毀損罪で刑事告訴され、30万円の罰金刑が科されたこともちゃんと紹介されている。永田は翌06年2月の衆院予算委での堀江メール問題で引責辞職し、09年1月に入院先の北九州市の病院近くで飛び降り自殺を図ったことで、創価学会は執拗に「ガセネタ男」と永田を糾弾しており、これもあって、その後の民主党は、創価学会を始めとして、国政におけるスキャンダル追及の牙をへし折られ、現在に至っている。
少なくとも、過去において、創価学会が選挙目的の住民票移動を行っていたことは動かし難く、例えば、85年の都議選前に、東京都中央区で創価学会員の集団移住が発覚したことを受けて、都選管と区選管は計17人を選挙人名簿から抹消している。いずれにしても、「選挙目的での住民票移動」の話については、彼らが異常なまでに神経質になっていることがよく分かる。
都議選で「自公連携復活」のコウモリ飛行
そこで、池田大作を創立者とする公明党の代表の山口那津男は、3月8日に通信制高校「N高校」の御茶ノ水キャンパスに出向き、オンラインで同校生徒から「どのような状況になっても自民党との協力を続けるのか」との質問に、「永遠ではない。国民の支持、信頼が失われることがあれば、連立が永遠に保持されるものではない」と答えたことから、永田町にはさざ波が立った。もっとも、その後で「(自民党は)一度決めたら、皆で実行する伝統があり、野党や公明党、それ以外の国民の声も一応受け止めて考える姿勢を持っている。パートナーとして経験と人材と総合力でベターだ」と持ち上げており、東北新社に勤める首相の菅義偉の長男・正剛も登場した、総務省を舞台とする接待スキャンダルで世間をお騒がせしていることに、とりあえずは釘を刺しておいたということだろう。
とはいえ、永田町を見ると、菅は「春解散のカード」をチラつかせることで政局の主導権を握ろうとしており、読売新聞(3月19日付朝刊)によれば、「自民党内に春解散の可能性が取り沙汰されている」として、「4月前半の訪米、デジタル庁設置、携帯電話料金の引き下げ」を手土産に、「衆院議員の任期満了(10月21日)近くの追い込まれ解散」ではなく、「4月下旬解散―5月総選挙」に打って出るとのシナリオを紹介している。しかし、何よりまず、「コロナ禍の収束」が最優先されるため、敢えて強行突破した際のハレーションは計り知れず、まだ、自民党内で大勢にはなっていない。
信濃町にとって、衆院選と都議選(7月4日投票)は全く別物であるため、「衆院選と都議選のダブル」など論外である。ましてや、その「創価学会員による住民票移動が始まった」が、もし、事実であるなら、有権者となる「18歳以上の日本国籍を有する者」が選挙人名簿に登載されるには「当該の市区町村に住民票登録してから3ヵ月以上が必要」であるため、信濃町としては「なおさら」ということになる。一都三県の新型コロナの緊急事態宣言が3月21日をもって解除され、ようやく、彼らも本格的にF票取りに動き出せるわけで、となると、消去法で「事実上の任期満了となる秋解散」しか残されておらず、件(くだん)の山口による「自公は永遠ではない」との発言も、そうした諸々の牽制と受け止められる。
折しも、都議会の自民党と公明党は3月19日、都議選協力に向けた「政策協定書」に調印し、都庁で会見した自民幹事長の山崎一輝と公明幹事長の東村邦浩は、仲睦まじくグータッチをして見せたことで、翌日付朝刊の東京新聞は「公明党は前回17年の都議選直前に、長年続いた自公連携を解消し、小池百合子知事率いる都民ファーストの会と組んだが、5年ぶりに自公連携を復活した」と報じており、また、なりふり構わぬコウモリ飛行をおっ始めたということである。
ただ、コロナ禍収束がどうなるか、さらにはそれと合わせ一本で東京五輪の開催も不透明なことから、もし、「中止」の場合は一転して小池にスリ寄ることも考えられるので、彼らの「再豹変の可能性」をも見据えつつ、我々心あるジャーナリズムは、その動向を注意深く監視し続ける必要がある。(文中・敬称略)
古川利明(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『デジタル・ヘル サイバー化監視社会の闇』『日本の裏金(上、下)』『ウラ金 権力の味』『「自民党“公明派”」10年の功罪』『「自民党“公明派”」15年目の大罪』最新刊『「自民党“公明派”」20年目の大失敗』(いずれも第三書館刊)など著書多数。