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8月号

8月号目次

8月号目次

閻魔帳

「加計ありき」疑惑、安倍に逃げ道なし/川﨑泰資

特集/深刻化する宗教と政治の混迷と混乱

都議選結果から見える「安倍1弱」の出現と「コウモリ飛行」の再開/古川利明

都議選・幸福の科学と都民ファーストの“カルト問題”/藤倉善郎

また明らかとなった自民党と旧統一教会の関係 自民党は旧統一教会を支持母体として認めるのか/鈴木エイト

都議選総括─創価学会・公明党の「全員当選」がもたらしたもの/段 勲

選挙闘争の切り札は「陰徳陽報の大功徳」──勢力後退をごまかす姑息な選挙戦術/乙骨正生

トピックス

秒読み「政権崩壊」 依怙贔屓で行政を歪めた安倍内閣/森 功

●連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

新・現代の眼(第12回)

忠義の末期

/菅野 完

ヨーロッパ・カルト事情(233)

医療におけるセクト(有害カルト)的逸脱/広岡裕児

執筆者紹介  編集後記

編集後記から

 小誌の発行日は毎月10日です。日本の文芸誌の代表である「文藝春秋」と同じ発行日であることはおこがましく、少々気恥ずかしいのですが、発行日を10日としたのは前月に発生した事件や事象を網羅することができるとの考えに基づいています。

 しかしそれゆえに毎号の締め切りは月末となり、月初に生じる事件や事象への対応は遅れることになります。今年最大の政治決戦と位置づけられた東京都議会議員選挙の投開票は7月2日。本来であれば7月号で対応したかったところですが、残念ながら1カ月遅れの特集記事となりました。もっとも時間的余裕は、多角的な検証を可能にしてくれます。一般紙誌とは一味違った特集記事を、是非、ご一読ください。

 7月18日、聖路加国際病院名誉院長である日野原重明氏が105歳で逝去されました。従来は成人病といわれていた各種の疾病を生活習慣病という呼称へと変えた人としても知られており、予防医学への貢献から2005年には文化勲章も受賞されています。

 その日野原氏は、30年前の1987年から全国各地の小学校を訪問し、子供たちに平和や命の大切さを訴える「いのちの授業」を100歳を超えるまで続けられており、戦後70年の節目の年に上梓した『戦争といのちと聖路加国際病院ものがたり』の出版会見では、「武器には武器、暴力には暴力で応じる悪循環を断ち切り、戦争ではなく話し合いで物事を解決する、根強い精神が必要」だと訴えられていました。

 その日野原氏と比較するのもおこがましいですが、日本には、世界各国の政治的指導者や識者と、世界平和に向けた「対話」を繰り返してきたことを自慢する核廃絶論者だというよわい89の老人がいます。

 もっともこの人物は、日野原氏とは異なり、7年もの間、人前にはいっさい姿を見せず、自分を「永遠の師匠」と崇め奉る宗教団体の機関紙にコメントやメッセージを載せるのみ。そしてこの人物が創立した政党は、いま政権与党の一角を占めていますが、日本政府が核兵器禁止条約交渉に反対し交渉会議を欠席しても、この人物は政府に抗議することも、政党を叱責することもありません。

 先日の都議選でこの人物が創立した政党は、宗教団体の熾烈な選挙闘争の結果、全員当選を果たしました。今後、一強だった安倍政権の支持率が低下する中で、この宗教団体の政治的影響力が拡大することも懸念されます。それだけに小誌は、今後とも厳しく宗教と政治、宗教と社会の諸問題に取り組んでいく所存です。

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特集/深刻化する宗教と政治の混迷と混乱

選挙闘争の切り札は「陰徳陽報の大功徳」──勢力後退をごまかす姑息な選挙戦術

乙骨正生

ジャーナリスト

選挙結果に欣喜雀躍する創価学会

「立正安国の大連帯の構築」「創価学会の永遠性確立のための闘争」「池田大作先生の総仕上げの闘争」──創価学会が今夏の東京都議会議員選挙で、全国の会員を選挙闘争に駆り立てるために用いたフレーズである。

 東京都民が住民自治を実現するための選挙を、宗教団体の保身と延命に利用し、都民以外の会員を選挙闘争に駆り立てることは、地方自治と民主主義への冒瀆だが、馬耳東風の創価学会はそうした批判を一顧だにせず、冒頭紹介の宗教的フレーズをくり返し、なりふり構わぬ熾烈な選挙闘争を展開した。

 その結果、公明党は候補者23人が全員当選。また公明党と連携した都民ファーストの会が躍進する一方で、公明党が縁切りした自民党が惨敗したことは、選挙における創価学会の存在感を際立たせたことから、いま創価学会は都議選の結果に欣喜雀躍している。

 その一例として、投開票から6日後の7月8日開催の本部幹部会における原田稔会長発言を紹介しよう。ここで原田氏は、都議選の結果を「信心の凱歌」と形容。創価学会の宗教的勝利である旨、強調しつつ、全国の会員の献身的支援に次のように感謝の意を表した。

「東京都議選の大勝利、大変におめでとうございます。新党の突風が吹き荒れた今回の都議選で、公明党は、初挑戦や定数減の選挙区を抱え、候補の世代交代も重なり、極めて厳しい戦いを強いられました。

 しかも投票率が大幅に上昇する中、公明党候補は総得票数で前回を10万票近く上回り、実に7回連続となる、見事な全員当選の完勝を果たすことができました。これもひとえに、全国の同志による献身的な取り組みのたまものであり、『異体同心の団結』の結晶であります。そして何より『不二の師弟の凱歌』であり、『一人一人の信心の凱歌』であります。心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました」(7月14日付「聖教新聞」)

 その上で原田氏は、選挙結果により公明党の存在感が増すと強調。創価学会が政治的にも勝利したとアピールしている。

「都議会第2党を維持した公明党を、新聞各紙も『存在感が増すのは間違いない』などと論評。中央大学の佐々木信夫教授が『公明党は、都議会で中軸政党の役割を期待されることになる。つまり、単なるキャスティングボート(政策の決定権)ではなく、責任政党として真ん中に座る主軸の役割だ』と指摘する通り、公明党の役割は、一段と重要性を増しております。

 今回の勝利で、東京のみならず、日本の政治を支え、社会の安定を守り抜いているのは公明党であると、日本社会に広く証明することになりました」(同)

 たしかに今回の都議選において、公明党が選挙協力を結んだ小池百合子都知事率いる都民ファーストの会は、55議席(追加公認6)を獲得したものの、定数127の過半数64議席に届かなかったことから、公明党が都議会のキャスティングボートを握るのみならず、知事与党として都政に多大な影響力を持つこととなった。

 また自民党が57議席から23議席(選挙後1人が離脱し22議席に)へと歴史的惨敗を喫し、第3党へと転落したことも創価学会の政治的影響力と存在感を高めるものとなった。というのも、今年3月、安倍晋三首相は、都議会公明党が1979(昭和54)年以来、約40年にわたって連携し、都政・都議会を壟断してきた都議会自民党と手を切り、都民に人気がある小池知事にすり寄ったことを受けて、「公明党抜きの単独で勝利するいい機会だ」と発言。二階俊博自民党幹事長も「自民党の底力を見せ、今までにない選挙をやる。公明党がなくても勝ち抜く」と豪語していたにもかかわらず惨敗したからだ。

 これによって自民党は、創価学会の支援なくしては選挙に勝利することが難しいという政治的現実が再確認されただけに、今後、国政選挙をはじめとする各種選挙での自民党の創価学会依存度は、高まりこそすれ弱まることはないだろう。実際、安倍首相は8月3日の内閣改造を前に公明党の閣僚ポストを一つ増やすことを打診したと報じられている。

「週刊文春」7月20日号には、「創価学会中枢幹部が都議選大惨敗に『ざまあみろ』」との見出しで、創価学会の中枢幹部が都議選での自民党の惨敗を喜んでいるとの記事が載ったが、安倍一強体制下で“生命維持装置”である創価学会のありがたみに鈍感になっていた自民党に、あらためて“生命維持装置”の重要性を再確認させることができたという意味でも、今回の選挙結果は、創価学会にとって「大勝利」ということなのだろう。

「全員当選・完勝」の裏にある退潮の実態

 もっとも都議選における公明党の得票数を仔細に分析すると、政治的地歩を固めることはできたのかもしれないが、結果は原田会長が「公明党候補は総得票数で前回を10万票近く上回り、実に7回連続となる、見事な全員当選の完勝」と大言するほどのものではなく、後退・低下する組織力・活動力を、全国動員に象徴される熾烈な選挙闘争や、都議会自民党と手を切って、小池都知事にすり寄りイメージアップを図るなどの狡猾な選挙戦術によって、ようやく糊塗している実態が浮き彫りとなる。

 そもそも都議会における公明党の最大獲得議席数は1985(昭和60)年選挙の29議席であり、その後、26・25・24議席と1議席ずつ減らし、2001(平成13)年選挙から今回に至る5回の選挙は、いずれも23議席の獲得にとどまっている。「完勝」などと威勢はいいが、実は公明党は29議席から後退を続けるばかりで、8回の選挙、実に32年にもわたって都議会では現有議席を1議席も増やすことができないのである。

 しかも今回、原田会長は前回比で「10万票近く」得票を伸ばしたと自画自賛しているが、周知のように今回の選挙は前回と異なり18歳選挙権が実施されている。公明党が候補を擁立した選挙区内での18歳・19歳の創価学会青年部員数は分からないが、前回比2513票増やした八王子選挙区を例にとれば、学生総数7447人(17年5月現在)を擁する創価大学の1年生だけで1861人となる。もちろんすべての学生が八王子市に居住しているわけではないが、仮に半数が居住していると想定すると得票増の37パーセントにあたる930票のプラスとなる。18歳・19歳の青年部員の得票数は全選挙区で一定程度の割合にのぼるであろうことは想像に難くない。

 前回まで候補者を二人擁立していたが、今回は一人にしぼった世田谷選挙区や、世田谷選挙区の現職が移動して立候補した北多摩3区を除く19選挙区における今回と前回2013(平成25)年選挙の得票数を比較すると、前回比マイナスだった選挙区は創価学会本部のある新宿選挙区と町田選挙区のみで、残り17選挙区はプラスとなっている。だが、前々回09(平成21)年選挙と比較すると、プラスは7選挙区でマイナスは13選挙区となる。さらに3回前の05(平成17)年選挙と比較するとプラスなのは北選挙区のみで、他の18選挙区は軒並みマイナスとなる。

 このうち創価学会本部のある新宿選挙区は、今回も前回比47票のマイナスだったが、前々回比では1676票、3回前との比較では3271票のマイナスとなっている。前回比で2513票のプラスだった八王子選挙区も、前々回比では3076票のマイナス、3回前比では5610票の大幅減。同様に町田選挙区では9823票のマイナス、練馬選挙区でも9199票のマイナスで、池田氏の出身地である大田選挙区は7642票減、墨田・板橋・江戸川の各選挙区でも軒並み5000票以上のマイナスとなっており、比較できない世田谷選挙区と北多摩3区をのぞく19選挙区の比較で合計67406票のマイナスとなっている。同様に前々回比では23531票のマイナス。前回比では約10万票のプラスかもしれないが、18歳選挙権があってなお、前々回、3回前の得票数には遠く及ばないのである。

12年前の古テープを放映した本部幹部会

 勢力の後退を受けて、いま創価学会が会員を選挙闘争に駆り立てるための切り札としているのが、選挙闘争に挺身した会員には、「陰徳陽報」の「大功徳」があるという“空手形”である。

 投開票から一夜明けた7月3日付「聖教新聞」掲載のコラム「今週のことば」。池田名誉会長のメッセージとされる同コラムにはこんな文言が並んでいた。

「ああ感激の同志、万歳!民衆の団結の大勝利だ。『陰徳陽報』は絶大なり。いよいよの信頼と福徳でみなが凱歌の人生を!」

 ここにある「陰徳陽報」とは、漢籍の淮南子「人間訓」にある「陰徳有る者は、必ず陽報有り。陰行有る者は、必ず昭名有り(人知れず徳を積む者には必ず誰の目にも明らかなよい報いがあり、隠れて善行をしている者には必ずはっきりとした名誉があるものだ)」(Web故事ことわざ辞典)に基づく故事成語で、創価学会が本仏と仰ぐ日蓮聖人が在家信徒への書状で引用していることから、学会員の間では「創価学会の信仰・活動を実践すれば、必ず功徳・利益がある」という意味合いでよく知られている言葉である。

 この池田メッセージの意味を解説していたのが7月6日付「聖教新聞」掲載の首脳幹部らによる座談会記事。「全国の『感激の同志』の奮闘に感謝──広布の戦いに陰徳陽報の大功徳」との見出しのついた記事中で永石婦人部長は、池田氏が「広宣流布のため、立正安国のため、感激の同志と、金の汗を流して積み上げた『心の宝』は無量無辺です。わが身をいとわず、奔走してくれた、誉れの創価家族の健康長寿、そして陰徳陽報の大功徳を、私は祈りに祈っていきます」と語ったと紹介している。選挙闘争に挺身した会員には、「永遠の師匠」(会則)である池田氏の「陰徳陽報」の「大功徳」の保障があるということなのだろう。

 都議選の勝利集会という意味合いもあった7月8日の本部幹部会で、創価学会は12年前の7月度本部幹部会での池田スピーチを放映した。12年前の7月にも都議選が行われており、この時も都議選の勝利集会の意味合いをもっていた。そのスピーチで池田氏は、選挙闘争に尽力した会員をこう激励している。

「晴れ晴れと、完全勝利、おめでとう!全国の皆さん、本当にありがとう!すべて、勇気ある同志の勝利である。婦人部の皆さん、家庭を守りながらの活動、本当にご苦労さま!芸術部の皆さんも、ありがとう!青年部も、よく頑張った!どうか、上手に体を休め、英気を養っていただきたい。そして愉快に、爽快に、ともどもに新たな前進を開始したい」(7月19日付「聖教新聞」)

 今回の本部幹部会で12年前のスピーチを放映したのは、池田氏が選挙闘争に挺身した会員を激励していると“錯覚”させるための印象操作にほかならない。姑息なごまかしにほかならないが、古テープを放映した事実は、今日ただいまの池田氏が、生身でのスピーチどころか肉声映像すら出せないことを意味している。

 都議選の結果、こうした姑息な手段で会員を選挙闘争に駆り立てている創価学会の政治的影響力や存在感が増したとすれば不幸なことである。日本の議会制民主主義の危機はいまだ深いと言わざるを得ない。

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』『司法に断罪された創価学会』(かもがわ出版)など。

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信濃町探偵団──創価学会最新動向

●選挙に明け暮れる宗教政治集団─東京都議選の次は沖縄那覇市議選

・7月6日付「聖教新聞」「座談会 栄光の峰をめざして」「全国の『感激の同志』の奮闘に感謝──広布の戦いに陰徳陽報の大功徳」

「永石(婦人部長)『世界広布新時代 青年拡大の年』の師弟の月・7月を目指し、全世界の同志が『異体同心の団結』で、懸命に広布拡大を果たしてくださいました。

 原田(会長)筆舌に尽くせぬ奮闘をしてくださった全ての方々に、あらためて心より、厚く感謝と御礼を申し上げます。誠にありがとうございます。

 長谷川(理事長) 世界各地に、『一人一人の信心の凱歌』『不二の師弟の凱歌』が轟いています。池田先生は、同志の一人一人と心の握手を交わす思いで『真金の 宝友の明日に 凱歌あれ』と讃えてくださっています。

 永石 さらに先生は、こう語られました。『広宣流布のため、立正安国のため、感激の同志と、金の汗を流して積み上げた「心の宝」は無量無辺です。わが身をいとわず、奔走してくれた、誉れの創価家族の健康長寿、そして陰徳陽報の大功徳を、私は祈りに祈っていきます』(中略)

 竹岡(青年部長)今、沖縄の那覇市議選が最終盤を迎え、投票日まで3日となりました。

 志賀(男子部長)かつてない大混戦に公明党の7候補が挑んでいます。公明候補は、当落線上で懸命の戦いを続けています。

 原田 公明党はこれまでも、沖縄の発展のために全力を挙げてきました。どうか油断することなく、支持者の期待に応え、今回の戦いを断じて勝ち抜いてもらいたい」

7月13日付「聖教新聞」「座談会 栄光の峰をめざして」「那覇・奈良も完勝」

「竹岡 先日、沖縄県の那覇市議選が行われ、私たちが支援する公明党は大混戦を制し、前回を上回る得票総数で、7人全員が当選を果たすことができました。また、奈良市議選においても、公明党は7人全員が当選。得票総数も過去最高を記録しました。

 原田 国政においても、地方政治においても、公明党の存在感は、ますます際立ってきています」

※東京都議会議員選挙で創価学会が支援した公明党は23候補全員が当選した。「完勝」と寿ぐ創価学会は、選挙闘争に尽力した会員には、「陰徳陽報」の「大功徳」があると喧伝している。詳しくは特集記事を参照いただきたいが、創価学会はとうとう選挙活動に宗教的利益があると、おおっぴらに言い始めたのである。これも「創価学会仏」となったことの副作用か。都議選終了後は、沖縄の那覇市議選に注力した創価学会。辺野古基地建設問題で混乱する沖縄で、公明党沖縄県本部は、自公連立政権の一員として辺野古基地を容認する党本部と一線を画して普天間基地県外移設を主張している。都議選では、多年にわたって連携して都政を壟断してきた自民党と手を切って、小池百合子知事にすり寄った公明党だが、選挙に勝つためにはなんでもありなのである。

●核兵器禁止条約交渉会議をめぐる欺瞞的態度

・7月10日付「聖教新聞」「戸田先生の原水爆禁止宣言60年の年に歴史的な一歩」「国連で核兵器禁止条約が採択 SGIが宗教コミュニテイの一員として共同声明」「アメリカ・ニューヨークの国連本部で開かれていた核兵器禁止条約の交渉会議で7日午前、同条約が賛成多数で採択された。創価学会第2代会長の戸田城聖先生の『原水爆禁止宣言』(1957年)から60周年の節目の年に、歴史的な一歩が刻まれた。SGIは、市民社会の代表として交渉会議に参加するなど条約成立に貢献。採択を受けて、寺崎SGI平和運動総局長が談話を発表した」

・7月13日付「聖教新聞」「座談会 栄光の峰をめざして」「戸田先生の原水爆禁止宣言から60年──国連で核兵器禁止条約が採択」

「永石 本年は、戸田先生が核兵器を“絶対悪”と断じた『原水爆禁止宣言』の発表から60年という、意義深い節目です。(中略)

 長谷川 恩師・戸田先生の熱願を胸に、池田先生は毎年、『SGIの日』記念提言を発表し、各国の首脳、識者との対話を行うとともに、青年を軸にした草の根の運動や多角的な核兵器廃絶運動のリーダーシップを執ってこられました。

 原田 池田先生は、学会の平和運動や国連支援の取り組みは、『立正安国』の現代的な展開の一つであると語られています」

※国連で核兵器禁止条約が採択されたことを、創価学会の機関紙「聖教新聞」が大々的に報じている。もっとも見出しは「戸田先生の原水爆禁止宣言60年の年に歴史的な一歩」であり、記事では「SGIは、市民社会の代表として交渉会議に参加するなど条約成立に貢献」と、あたかもSGIが、条約の成立に寄与したかのような手前味噌の内容。13日付「聖教新聞」掲載の座談会記事でも、創価学会の平和運動や国連支援は「立正安国」の現代的展開だとする池田氏の発言を紹介し、あたかも今回の核兵器禁止条約採択の背景に池田氏の影響力が働いたかのような書きっぷりである。

 もし創価学会が本当に核兵器の廃絶に心を砕いているのであれば、最優先で取り組むべきは、核兵器禁止条約交渉に反対し、交渉会議を欠席した日本政府を厳しく叱責し、核兵器禁止条約のテーブルにつかせることだったのではないか。公明党ばかりか自民党を選挙で支援してきたのは、まさにこうした場面で影響力を発揮するためだろう。にもかかわらず日本政府を批判することもなく、アリバイ的記事を掲載して事足れりとしているのでは、その本気度が疑われる。

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