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2025年5月号特集/統一教会解散命令と創価学会――宗教と政治の闇と真相

5月号目次

 

閻魔帳

夏の都議選・参院選を目前にした「(池田)会長就任65周年」を吟味する/段 勲

 

特集/統一教会解散命令と創価学会――宗教と政治の闇と真相

「統一教会への解散命令」を横目に都議&参院のダブル選に邁進する「公明党=創価学会」/古川利明

抵抗を続ける統一教会 解散命令確定までに成すべき課題とは/鈴木エイト

佐藤優の異常な創価学会愛/佐高 信

「カルトと政治家」の問題は、統一教会問題だけなのか?/藤倉善郎

教団の利益と組織防衛のために政治に傾斜した創価学会&統一教会/乙骨正生

 

  • 連載

「日本の議会政治」を考える(13)

「カルト政治」の淵源──住専国会と「密会ビデオ」(5)/平野貞夫

ナニワの虫眼鏡(第71回)

政治にも潜むカルトの恐怖 安易に信じる支持者にも問題が/吉富有治

ヨーロッパ・カルト事情(320)

宗教問題ではないセクト問題(2)

マインドコントロールの事実/広岡裕児

執筆者紹介  編集後記

 

編集後記から

6月22日投開票で行われる東京都議会議員選挙と、7月末に予定されている参議院選挙での「完勝」「連続勝利」を目指して、創価学会が組織挙げての選挙闘争に突入しています。

また創価学会を組織母体とする公明党も、参院選に向けて自民党との選挙協力を結び、両党による過半数の獲得による自公政権の安定化を企図。4月24日の中央幹事会では「与党の結束を重視」して、なんと安倍派を中心とする自民党派閥の裏金問題で、政治資金収支報告書に不記載があった3人の自民党現職参院議員の推薦を決定しました。

昨年10月の衆院選で公明党は、自民党が公認しなかった裏金候補を推薦したことから、「清潔」の看板の偽りが露顕。有権者の厳しい批判を受けて8議席減という惨敗を喫しました。この結果を受けて公明党は、衆院選の惨敗は自民党の裏金問題の「もらい事故」であり、公明党は自民党と「同じ穴のムジナ」ではないと猛アピール。

斉藤鉄夫代表も2月10日、出演した『報道1930』(BS―TBS)において、司会の松原耕二キャスターが、昨年の衆院選で収支報告書に不記載があり自民党の公認を得られなかった候補を推薦したことを「後悔していますか?」と質問したところ、間髪を入れずに「後悔しています」と発言。併せて「昨年の衆院選で自民党が公認していない不記載議員を公明党が推薦したことで、『清潔な党』としての姿勢に疑問を持たれた。(今夏の参院選では)自民党が公認しない人を公明党が推薦することはあり得ない」(2月12日付『公明新聞』)と述べ、党としての存在感を発揮するために「平和」と「清潔」を堅持していく旨、アピールしていました。

ところがここにきてまたもや参院選での不記載議員の推薦を決定。その理由として公明党は、「自民党が公認している」ことや、地元の公明党員や支持者に十分な説明や再発防止の意思が表明されたからだとしています。

まァ、「理屈と膏薬は何処にでも付く」の類で、要は昨年の衆院選で596万票にまで落ち込んだ「広宣流布のバロメータ」である比例区票の上積みを図るため、背に腹は代えられずに不記載議員の推薦を決めたものと思われます。

統一教会の解散命令が東京地裁から出されましたが、統一教会と自民党との関係をはじめ、宗教と政治の歪んだ癒着関係はいまだに政界や大手メディアの不作為により放置されたままです。それだけに小誌は今後も宗教と政治、宗教と社会の事実と真実、その闇や問題点に光を当てる所存です。

 

特集/統一教会解散命令と創価学会――宗教と政治の闇と真相

 

教団の利益と組織防衛のために政治に傾斜した創価学会&統一教会

乙骨正生

ジャーナリスト

 

「自前の党」の先蹤・公明党

3月25日に東京地裁から宗教法人の解散命令を出された世界平和統一家庭連合(以下・統一教会)は、4月7日には東京地裁の決定を不服として東京高裁に即時抗告したことから、今後は東京高裁での審理が続けられる。仮に東京高裁でも解散命令が出た場合、統一教会は最高裁に特別抗告することが予想されるため、解散命令が確定するまではまだしばらく時間がかかりそうだ。

ところで、今回、東京地裁が解散を決める前提とした認定事実の中に注目される一件があった。詳しくは本誌今号別掲の古川利明氏と鈴木エイト氏の論考をご一読いただきたいが、それは霊感商法の捜査の過程で、警視庁公安部が統一教会施設に家宅捜査を行った直後の2009年6月23日の責任役員会ならびに評議員会で、統一教会が宗教法人を解散する場合の残余財産の帰属先を、1999年に事実上吸収合併した別法人の天地正教とする決議を行っていたことである。

この事実は、すでに09年の段階で、宗教法人の解散を視野に入れた対策を講じるという統一教会の危機感ないしは用意周到ぶりを窺わせて余りあるが、こうした動きと軌を一にするように統一教会は、安倍派を中心とする自民党政治家との関係強化を図っており、警視庁公安部の家宅捜査を契機に統一教会は、教団の延命と組織維持のために制度と政治の二つの側面で周到な工作を実施していたことが分かる。

というのも統一教会は、1964年に宗教法人として認証されて以来、安倍晋三元首相の祖父である岸信介元首相を中心に保守政治家との関係を強化。中曽根政権下の86年の衆参ダブル選挙を機に大規模な組織的支援を行うようになるが、90年代以降の霊感商法問題や合同結婚式などによって、厳しい社会的批判を浴びたこと、また教組の文鮮明が91年に北朝鮮を訪問し、金看板だった反共主義に翳りが見えたことから、一時、自民党と統一教会の濃密な関係はやや稀薄になりかけていた。

ところが警視庁による家宅捜索後の2013年の参院選を契機に、統一教会は再び自民党に急接近し、安倍元首相や安倍派との関係強化を図った。その結果、安倍元首相銃撃事件によって自民党と統一教会の濃密な癒着関係が明らかとなり、厳しい社会的批判に晒された後の22年9月8日に、自民党は統一教会との関係性の有無を調査した結果を公表したが、それによれば自民党の379名の国会議員中、関係があった議員数は179名、特に「つながりが深い」として氏名を公表された議員はなんと121名にものぼっていた。

そうした統一教会の支援の実態について、統一教会の元広報部長だった大江益夫氏は、24年8月に出版した『懴悔録』(光文社新書)で、

「自民党は今、自分たちが生き延びるために、統一教会との関係をすべて断ち切り、“教団とは無関係”と世間にアピールしています。あれだけ、教団の世話になっておきながら、ひどいものです。選挙などで組織あげて協力してきたのに、まるで手のひら返しです。そのような人たちとは、こちらから縁を切らせていただく。こんな連中、こんな政党をなんで応援しなきゃならんのか。こっちから願いさげです」

と語っており、組織挙げて選挙支援をしていた事実を明かしている。大江氏の「懴悔録」には、教団の政治理念の実現と組織防衛のために自民党を熱烈に支援したにもかかわらず見捨てられたことへの憤りが随所にみられるが、注目されるのは大江氏が、創価学会と公明党の関係を、宗教団体の政治モデルの成功例と認識しているからだろう、教団の政治的理念や組織防衛を図るなら「自前の政党」をつくるべきだと発言していることだ。「懴悔録」には次のようにある。

「今からでも遅くない。統一教会は独自の政党をつくったらいいと私は思います」

「今後はどんなに叩かれようとも自前の政党をつくり、自民党に頼らないということが重要だと思います」

自民党を教団の政治理念の実現や組織防衛の橋頭保にしようとして裏切られたことに憤る統一教会の元幹部が、「今後はどんなに叩かれようとも自前の政党をつく(る)」べきだと平然と発言するところに、創価学会・公明党問題を中核とする現今の日本における政治と宗教の闇の深刻さが投影されていると言えよう。

その大江氏が宗教団体の政治参加の手本と見なしていると思われる創価学会・公明党だが、安倍銃撃事件以来の政治と宗教の歪んだ癒着関係への批判が高まり、統一教会への解散命令が出る中で、政教一体の政治路線、野合としかいいようがない利害と打算の自公政権への参画という従来の政治姿勢を見直すかと思えば、さにあらず。統一教会が警視庁公安部による家宅捜索の結果、自民党支援を強化したのと同様、ますます政治への依存・傾斜を強めている。

 

ターニングポイントは都議選

4月12日、創価学会は池田大作三代会長の会長就任記念日である「5・3『創価学会の日』」を記念する本部幹部会を開催したが、同幹部会における原田会長発言は、“宗教に名を借りた政治団体”という創価学会の“本質”を如実に示すものだっただけに、少々長くなるが以下に引用してみたい。

まず原田会長は、6月22日投開票の東京都議選、7月の参院選の公明党公認候補の支持を中央ならびに当該都府県の社会協議会で決定したことを報告した後、創価学会と政治・選挙の意義と意味、具体的な闘争への心構えという核心部分に次のように入っていく。

〈特に都議選は、各党ともに参院選の前哨戦と位置づけ、国政選挙並みの力を入れて臨むことになります。学会にとっても都議選は、70年前の1955年に、初めて選挙で候補者を推薦した、立正安国の原点であります。

私どもは、本陣・東京から全国へと、完勝への波動を広げていきたい〉(4月20日付『聖教新聞』)

この「本陣・東京から全国へと、完勝の波動を広げていきたい」との原田発言の意図は、都議選で候補者22人の全員当選を果たし、その勝利の波動を参院選の選挙区候補7人の全員当選へとつなげたいということ。もっとも東京都議会の公明党の現有議席は23であり、全員当選しても1議席減の敗北なのだが、全員当選すれば“完勝”というのが創価学会のレトリック。極めて欺瞞的というか騙しの手口で学会員を選挙闘争に駆り立てようというのだから、宗教団体にあるまじき不誠実ぶりである。

〈かつて公明党が、衆院選で25議席を減らすという大敗北を喫した際、このような声が聖教新聞に掲載されました。「勝負は時の運である。負けた時に勝つ原因を作るのだ」「この尊い経験をバネに、不死鳥のように立ち上がれ!」と。文末には括弧書きで「この声は、電話での投稿であります」と見慣れぬ一文が記されていました。声の主は、ほかでもない池田先生でありました。

当時、陰険・陰湿な宗門から“指導を聖教新聞に出してはならない”などと、理不尽な制約を強いられていた先生は、けなげな同志を励ますために投稿してくださったのです。見出しは『再び、公明党よ、がんばれ!』。

これに心ある同志が奮い立たないわけがありません。翌年に行われた都議選では、新人10人を含め、3議席増を果たし、見事に全員当選を勝ち取ることができました。

還暦には“生まれた時に戻る”との意義があります。結党60周年を迎えた公明党にとって今という時は、一切を変毒為薬し、「青年・公明党」へ生まれ変わるチャンスであります。「第2の草創期」の幕開けともいえます。(中略)「大風吹けば求羅は倍増するなり」――逆風、烈風こそ正義の証であり、人間革命のバネであります。私たちは不死鳥のごとく、何があろうとも一歩も退くことなく戦い抜き、大風が吹けば吹くほど境涯を拡大しながら、断じて勝利していこうではありませんか〉(同)

ここに引用している衆院選での公明党の惨敗は1980年6月の衆院選で、58議席から33議席へと25議席減の大敗北を喫したことを指す。しかし翌81年7月の都議戦では24議席から27議席へと3議席を増やし、83年12月の衆院選での58議席獲得という党勢回復へとつなげたことから、原田会長は昨年10月の衆院選で惨敗した公明党の党勢回復のターニングポイントとして来たる都議選での「完勝」を檄しているのである。

もっとも81年都議選は、池田氏の“陰の激励”も奏効したのか24議席から27議席へと3議席増を果たして衆院選へとつなげられたが、今回は当初から1議席マイナス。戦う前から負け戦である都議選を、いくら「完勝」などと粉飾しても党勢回復につながるものでもなかろう。厳しい選挙情勢を「逆風・烈風こそ正義の証であり、人間革命のバネ」などと煽っても、会員の高齢化に加え求心力の要である池田氏も死去した中で上がり目はない。

そうしたことから創価学会は、本部幹部会の前日に開催した全国総県長会議で、原田会長があらためて創価学会の「支援活動(筆者注・選挙活動)」の意義を「生命尊厳の哲学と利他の精神を胸に、国民の幸福のために尽くす政治家を輩出する意義深き活動」であり、「戸田先生(筆者注・二代会長)と池田先生(筆者注・三代会長)の師弟」が開かれた「立正安国の道」などと強調。「私たちは、わが胸中に師匠を抱きながら、日々、師恩に報いる共戦を進め、断固、連続勝利の歴史を開いていこうではありませんか」と檄を飛ばしているが、勝算は薄い。

統一教会の元幹部が、教団の利益と組織防衛のための政党結成の先蹤かつ成功例と見なす創価学会と公明党。創価学会は組織衰退の危機にあたって政治依存を強めているが、その70年に及ぶ宗教と政治にまつわる壮大な実験は、多くの犠牲を伴いならが、いま破綻へと向かっている。来たる都議選と参院選ではその傾向がさらに顕著となることだろう。

 

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』『司法に断罪された創価学会』(かもがわ出版)など。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

  • 統一教会の解散命令決定を背景に政治闘争に傾斜する創価学会の実態

・3月30日付『聖教新聞』「4・8関西の日から勇躍前進 原田会長が出席 関西代表者会議」

〈同会議で会長は、分断と混乱が深まる社会にあって、人々の心を結ぶ我らの対話の価値は、いや増して高まっていると強調。①広布の最前線を走る同志を励まし抜く②兵庫・大阪の勝利こそ学会の前進の原動力③相手の心をつかむ対話で風に揺るがぬ真の味方をつくる――この3点を胸に変化の時こそ飛躍の好機と捉え、師弟不二の強き確信で激戦を勝ち抜こうと訴えた〉

・同「兵庫 大阪で師弟誓願の大会」

〈原田会長は、80年5月3日を中心に刻まれた池田先生と関西との原点の歴史に触れつつ、池田先生が恩師・戸田城聖先生のため、同志のために不退の信心で戦い抜いたからこそ、学会は一切に勝つことができたと力説。「なにの兵法よりも法華経の兵法をもちい給うべし」との御聖訓を拝し、師の不屈の闘争に続く関西魂を燃え上がらせ、断じて師弟勝利の証しをと訴えた〉

・4月7日付『聖教新聞』「福岡 九州池田講堂と各県85会場を結び 九州総会・青年部総会 先駆とは一番弟子の栄光」

〈平井九州長、川上同女性部長が、生命と生命の触れ合いこそ九州広布の魂であると述べ、全リーダーが情熱をたぎらせ、仏縁拡大へ勢いよく挑戦をと力説した。

長谷川理事長は、「九州ありての学会」「九州ありての広布」との言葉に込められた池田先生の真情を確認。学会活動は社会に平和と幸福を打ち立てゆく大民衆運動であるとの誇りを持って、勇敢に先駆の道を突き進もうと呼びかけた〉

・4月15日付『聖教新聞』「埼玉が本部長会 原田会長、那須女性部長と共に」

〈那須女性部長は、信心の歓喜をみなぎらせ、勝利の大波を起こそうと語った。原田会長は、アジア各国での池田先生の激励行を紹介し、師弟の絆があったからこそ広布の大城は築かれたと強調。真心を尽した分だけ友は立ち上がると力説し、師の行動を範として猛然と祈り、勇敢に正義を語り抜こうと訴えた〉

・4月16日付『聖教新聞』「東京は団結で勝つ 分区長・女性部長会を意気高く!」

〈萩本総東京長、濱崎同女性部長が、壁を破る拡大には「異体同心の団結しかないと強調。東京また全国を舞台に、友情の絆を強め広げる対話に、今こそ大きく打って出ようと訴えた」

・4月17日付『聖教新聞』「神奈川に立正安国の旗 勇気の大行進誓う幹部会」

〈後藤総神奈川長、斉藤同女性部長は、勝利の決め手は「勇気」であり、真心の対話と励ましで歓喜の凱歌を轟かせようと訴えた。

那須女性部長は確信の声が友の心を動かし社会を変えていくと強調。原田会長は、池田先生の「学会精神を忘れるな」との獅子吼が勝利の突破口を開いた歴史を紹介。今こそ御書根本に強き信心で壁を破り、報恩の道を歩もうと呼びかけた〉

・4月20日付『聖教新聞』「堅塁中部が幹部会 原田会長が激励 愛知の友らが飛翔誓う」

〈熱田中部長、松波同女性部長が今こそ堅塁の団結と勇気の行動で対話の大旋風をと訴え、大中部の底力を満天下に示そうと力説した。

原田会長は、師弟の絆こそ勝利への力であると強調。「法華経はよきつるぎなれども、つかう人によりて物をきり候か」との御文を拝し、強盛な信心で壁を破ろうと述べた。また、池田先生と中部の共戦史に言及し、猛然と題目を唱え、勇敢に正義を叫び、師恩に報いる勝利の劇をと呼びかけた」〉

・4月22日付『聖教新聞』「兵庫 誓いの地区部長会 県内の会館を結び意気高く 原田会長が出席 われらは信心で勝つ!師弟で勝つ!」

〈原田会長は荒波や逆風も、不屈の一念で栄光へと転じゆけると述べた。また、世界広布を開いた戸田城聖先生と池田先生の師弟不二の闘争に言及し、師弟の心が一致した祈りには、全ての壁を破る力があると力説。胸中の師と共に勇気の信心で怒涛の前進を開始し、新たな常勝の凱歌をと望んだ〉

 

※7月20日投開票での実施が有力視されている参議院選挙に向けて、創価学会が選挙区に公明党候補を擁立する地域の組織で、事実上の出陣式を相次いで開催した。いずれの会合にも原田稔会長ないしは長谷川重夫理事長が出席。そこでの指導に共通するフレーズは、「強盛な信心で壁を破れ」「異体同心の団結」「対話拡大」「師弟不二の闘争」などであり、4月22日付『聖教新聞』の見出し「われらは信心で勝つ!師弟で勝つ!」が端的に示すように、6月22日投開票で実施の東京都議選と7月の参院選という二大政治決戦に、創価学会は「信心」と宗教上の「師弟」の絆を紐帯として挑み、公明党候補の当選という「壁を破」る闘争を繰り広げる意向だ。

創価学会は4月11日開催の中央社会協議会で、公明党の参院選比例区候補の支持を決定(選挙区候補の支持決定は該当する都府県の社会協議会)したが、同日開催の全国総県長会議でも原田会長は、同会議を「出陣式」と位置づけた上で、次のように都議選・参院選に向けた決意を披歴している。

・4月12日付『聖教新聞』「総県長会議での原田会長の指導(要旨)」「全リーダーが地区の最前線へ!」

〈いよいよ広布と社会の未来を決する勝負の時が近づいてきました。大変な戦いだからこそ、「軍には大将軍おくしぬれば、歩兵臆病なり」「異体同心なれば万事を成じ、同体異心なれば諸事叶うことなし」の御金言を命に刻み、本日よりは、全国の池田門下のリーダーが決意も新たに、そして異体同心の団結も固く、完勝の歴史を切り開いてまいりたい。その出陣を切る、本日の総県長会議としていきたい〉

 

※都議選と参院選を「広布と社会の未来を決する勝負の時」「大変な戦い」と位置づけた原田会長は、この後創価学会の選挙闘争(支援活動)は、「生命尊厳の哲学と利他の精神を胸に、国民の幸福のために尽くす政治家を輩出する意義深き活動で」であると自画自賛。その上で、こうした「意義深き」「立正安国の道」を開いたのが宗教上の絶対的師匠である戸田城聖・池田大作の両会長だと強調。その道を拡大していくのが「池田門下生」の「使命」だとして、こう幹部・活動家の尻を叩いている。

〈私たちは、師弟の誇りと宗教的使命を胸に、勇んで立正安国の戦いを進めていきたい。とともに、国難ともいえる大事な時を迎えている今だからこそ、公明党には国民を幸福に導く政策の実現に全力を傾け、民衆に奉仕する姿勢を断固と見せてもらいたい。

「慈悲と哲理を持つ政治家はやはり違う」と実感できてこそ、公明党を応援する人も増えるはずです。「公明党よ、今こそ衆望に応えよ」と、大いに期待し、全力で支援していきたい。

ともあれ大事な戦いだからこそ、私たちは小説『人間革命』『新・人間革命』を学び、戸田先生と池田先生が、どれほどの思いで立正安国の道を切り開かれてきたかを心肝に染めていきたいと思います。(中略 さあ、新たなる出発です。「師弟相違せば、なに事も成すべからず」の御聖訓の通り、私たちは、わが胸中に師匠を抱きながら、日々、師恩に報いる共戦を進め、断固、連続勝利の歴史を開いていこうではありませんか!〉

 

※選挙闘争の宗教的意義を強調した上で、公明党への期待を口にする原田会長。その公明党について創価学会は、『聖教新聞』掲載の最高幹部らによる座談会記事で、「都議会公明党 他党を圧倒する実績」(3・31付)「コメ価格適正化の活路開く公明」(4・3付)「識者 政治の調整役担えるのは公明」(4・10付)「家計負担軽減へ全力挙げる公明」(4・17付)「トランプ関税 公明 中小企業支援に全力」(4・28付)などと、その真偽はともかくとして、公明党の実績なるものをこれでもかとばかりに大喧伝。だがそこには格差と分断、そしてコメ価格の高騰に象徴される物価高などの失政や、福祉を切り捨て軍拡を拡大してきた自公政権、公明党の政策や政治姿勢への言及はない。

宗教的アジテーションと姑息なプロパガンダで、会員を政教一体の政治闘争に駆り立てる創価学会。その政教一体の政治姿勢は、統一教会と自民党の異常な癒着関係が指弾された後も弱まるどころか、さらに強まっていると指摘できる。

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