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2023年9月号 地球的危機を前にしても党利党略に執着する創価・公明

9月号目次

 

閻魔帳

自公が推進するマイナ保険証の“闇”/岩瀬達哉 

 

特集/地球的危機を前にしても党利党略に執着する創価・公明

 

“増上慢”と手打ち──政治的存在意義喪失の証左/乙骨正生

終戦78年を迎えて相も変わらず口先だけの「平和創出」を唱える「公明党=創価学会」/古川利明

 

トピックス

戦前回帰へ 維新・馬場代表の本音 統一教会と濃密関係の“実相”/柿田睦夫

トピックス

学校の水クライシス 東京・多摩地区 PFAS汚染の死角/諸永裕司

 

  • 連載

「公明党と創価学会」を考える(第47回)

「平成の政治改革」を考える(4)/平野貞夫

ナニワの虫眼鏡(第51回)

維新の「第2自民党」発言 みずから“エセ野党”であることを暴露/吉富有治

ヨーロッパ・カルト事情(301)

高齢者が餌食にならないために/広岡裕児

信濃町探偵団──創価学会最新動向

執筆者紹介&バックナンバー一覧 編集後記

 

 

編集後記から

9月1日は関東大震災の発災から100年の節目でした。東日本大震災や阪神淡路大震災をひきあいにだすまでもなく、3つのプレートの上にある災害列島・日本では、いつ東南海地震や首都直下型地震が起こってもおかしくありません。あらためて、震災に対する心構えと備えを再確認しておくことの重要性を痛感します。

そんな日本列島は今夏も猛暑に見舞われました。地球環境が劇的に悪化していることを感じさせる異常気象。その対策は重要な政治課題ですが、CO2の削減を名目に原発回帰路線に走る自公政権は、8月24日に福島第一原発からの「処理水(放射能汚染水)」の放出に、約束だった福島県漁連の「理解」を得ないままに踏み切りました。

脱原発を掲げ、「小さな声を、聴く力。」を標榜する公明党は、これに反対することもなく政府の姿勢を容認しています。それも当然でしょう。公明党そして創価学会は、今年5月に「東京における信頼関係は地に落ちた」とまで啖呵を切った自民党との関係改善に、わずか3カ月で踏み切ったからです。「増上慢」と目していた自民党と唯々諾々と手を結ぶ創価学会・公明党。その理由と背景は特集記事をご参照ください。

もっとも自公の関係改善が額面通りいくかどうかは五里霧中。というのもその帰趨を占うと見られた9月3日投開票の岩手県知事選と東京都立川市長選では、自民党や公明党が推薦した候補が野党推薦候補に敗れたからです。この敗北は岸田首相の解散戦略にも影響を及ぼすことは間違いありません。

ところで市長選のあった東京都立川市をはじめとする東京都多摩地域では、いま米軍・横田基地からの流出が疑われている発がん性の高い有機フッ素化合物(PFAS)汚染が問題となっており、一般市民をはじめ教育現場などでの被害が憂慮されています。トピックスではそのPFAS汚染問題と、議会制民主議を否定するかのような維新の馬場代表の「反共」発言をと、その裏にある統一教会との濃密な関係を取り上げました。

いったいこの国の政治はどこに向かうのでしょうか。小誌は今後とも宗教と政治・宗教と社会の事実と真実を追及し、有権者の政治判断に資する記事を提供できるよう努力します。

特集/地球的危機を前にしても党利党略に執着する創価・公明

 

“増上慢”と手打ち──政治的存在意義喪失の証左

乙骨正生

ジャーナリスト

 

「空手形」を掲げて関係改善を正当化

8月31日、岸田文雄首相と公明党の山口那津男代表が首相官邸で会談し、次期衆院選に向けた東京での自公の相互選挙協力を復活させることで合意。9月4日に正式文書を交わした。これにより今年の5月25日に公明党・石井啓一幹事長が発した「東京における自公の信頼関係は地に落ちたと言える。東京における自公間の協力関係は解消する」との「決別宣言」は取り消された。

両首脳が合意した相互選挙協力の具体的内容は、東京にある30の小選挙区中、公明党は東京29区にのみ候補を擁立し、自民党はこの公明党候補を推薦する。一方で公明党は残りの29選挙区に立つ自民党候補の中で公明党の推薦を希望する候補を推薦するというもの。さらに今回の「決別宣言」の要因となった東京で公明党が2人目の候補を立てることについては、「次期衆院選の結果を踏まえ、次々回の衆院選では、東京で公明党が2選挙区で議席を得ることを共通目標とし、誠実かつ真摯に取り組む」(9月1日付『公明新聞』)としている。

会談後に記者会見した山口代表によると、今回の合意は「(8月9日の自公党首会談で)岸田首相から『党首同士で自公が協力できるような合意をつくっていきたい』との申し入れがあったことをきっかけに」(9月1日付『公明新聞』)しており、この日の会談でも岸田首相から「自分がお願いをして前へ進めたいと言ったことなので、この合意ができたことで両党が力を合わせられるようにしていきたい」(8月31日付『毎日新聞』)との発言があったという。

この山口発言を額面通り受け取るならば、合意は公明党の意向ではなく自民党・岸田首相の意向で実現したものであり、「東京で公明党が2選挙区で議席を得ることを共通目標」とするという合意内容からも、自民党が公明党の立場に譲歩しているかのようである。

もっとも「次々回の衆院選」の際に、岸田首相が自民党総裁である保証はどこにもない。まして「次期衆院選の結果を踏まえて」との前提条件に基づくなら、政界は「一寸先は闇」。政治状況の変化など見通せるはずもなく、「共通目標」など「空手形」に等しい。

同様に相互の選挙協力にしても、上意下達の全体主義的体質を持つ公明党そして創価学会にすれば、「下」は唯々諾々と「上」の指示に従うかもしれないが、「信頼関係は地に落ちた」とまで腐された東京の自民党組織や、東京29区の自民党支持者が簡単に選挙協力に応じるとは考えにくい。

実際、衆院の定数是正に基づく区割変更で旧14区から新29区へと変わる荒川区に住む筆者と知己のある自民党員は、立候補する公明党の岡本三成衆院議員には投票せず、昨年の参院選東京選挙区で53万票を獲得しながら次点だった維新の海老沢由紀候補に投票すると断言している。

それもそうだろう。前回まで自民党の松島みどり衆院議員に投票していた荒川区の自民党員にすれば、いきなり選択肢を奪われるようなもの。いくら「与党統一候補」などと言われても、政策ならびに政治信条が自民党により近い維新に投票しようと判断するのは無理からぬところ。かてて加えて5月25日の石井幹事長による「決別宣言」を自己正当化するための公明党そして創価学会の説明は、東京の自民党関係者にとって聞き捨てならないものだったからだ。

 

自民党との決別は政治悪との戦い

その代表的事例を、創価学会の外郭である潮出版社発行の月刊誌「潮」8月号掲載の元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏の主張に見てみよう。いまや公明党・創価学会最大の擁護者・代弁者として知られる佐藤氏は、常日頃、創価学会の「内在的論理」の理解が、日本の政治を読み解くカギだと主張しているからだ。

「潮」8月号の「池田思想の源流 『若き日の読書』を読む」と題する連載で佐藤氏は、「公明党の決断の真意はどこにあるか」「政治の世界における増上慢」の見出しで、7ページの記事中、冒頭の2ページ半を使って、「公明党は不退転の決意で東京における選挙協力を解消」したとして、自公決裂における創価学会の「内在的論理」を次のように解説している。今回の自公両党の軋轢を理解する上で興味深い一文なので少々長いが引用してみたい。

〈自公の関係がここまで崩れてしまった原因はどこにあるのだろうか。筆者は権力の魔性にはらわたを食われた一部自民党政治家の増上慢にあると考えている。東京29区の岡本三成衆院議員に対して「公明党のやり方は強引だ」「自民党の現場は応援しない」「自民党の公認がなくても出馬したい人がいる。その人を応援する」との無礼な発言をした高島直樹自民党東京都連幹事長(都議会議員)の事例は氷山の一角に過ぎないと筆者は見ている。(中略)

公明党員、さらに同党の支持母体である創価学会員からすれば、東京の自民党国会議員の態度は傲慢なのである。「権力を持っているのはわれわれだから、ブツブツ言っても最終的に公明党は俺たちについてくるしかない」という一部の国会議員の認識を改めさせるためには、選挙協力の解消まで踏み込む必要があると公明党と創価学会が腹を括ったのだ。

政治における増上慢は悪だ。悪を放置しておくことは創価学会の基本的価値観に反する。また創価学会と基本的価値観を共有する公明党もこのような事態を看過することはできない。次期衆議院議員選挙における東京29区は、政治だけでなく創価学会の価値観が問われる重要な戦いの主戦場になる。

われわれが池田大作創価学会第三代会長の『若き日の読書』を読んで学ぶことの一つが、悪と戦うことだ。政治における増上慢との戦いにおいても池田氏は正しい指針を示してくれる。次の衆議院議員選挙で東京選挙区の自民党候補はかなり苦労すると思う。また、公明党と創価学会は、新29区では、自民党に頭を下げずに自力で岡本三成氏の当選を実現しようとし、それを実現するだろう〉

だが、「不退転の決意」で「腹を括った」はずの公明党と創価学会は「増上慢」の自民党と再び手を結んだ。ただしその合意形成の経緯を、自民党に頭を下げたのではなく、むしろ自民党が頭を下げて来たかのように演出したのは、公明党そして創価学会の面子を守るために他ならない。まさに政治的「茶番」だ。

 

不調に終わった維新との闇取引

では、「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」とまで「啖呵」を切った公明党そして創価学会が、振り上げた拳をわずか3カ月で下ろし、佐藤理論に基づくならば「増上慢」という「政治における悪」との戦いを放擲したのはなぜか。

その真相を浮かび上がらせているのが9月2日付『読売新聞オンライン』の「維新、関西の公明6選挙区で候補選定を完了…次期衆院選で『地上戦』の構え」と題する記事。そこには次のようにある。

〈日本維新の会が、次期衆院選で公明党現職がいる大阪、兵庫の計6小選挙区への候補選定作業を終え、両党は臨戦態勢に入っている。維新は、全員が新人ながら一定の支持者を抱える地方議員や参院議員を中心に擁立して「地上戦」を挑む構えだ。危機感を強める公明は、組織をフル回転して対抗するほか、自民党の支援にも期待を寄せる。(中略)

維新関係者によると、東京で自公両党の選挙協力が解消した際、公明の支持母体である創価学会は、東京で維新候補を支援する代わりに、6選挙区で維新が擁立を見送る案を水面下で打診してきたという。ただ、維新内では「公明の支援に頼れば将来足かせになる」との意見が大勢を占め、対決姿勢を強めた。維新幹部は「退路を断った以上、一つも負けられない」と意気込む。

一方、公明の石井幹事長は1日の記者会見で「勝利を目指して全力で取り組んでいくということに尽きる」と気を引き締めた。

関西は伝統的に創価学会の組織力が強く、「常勝関西」として知られるが、民主党政権が誕生した2009年衆院選では全6小選挙区で敗北するなど、もろい側面もある。公明内では「場合によっては全敗の再来もあり得る」との危機感が強まっており、組織を総動員する考えだ。

維新との協調路線が崩れた公明は、東京での自民党との選挙協力復活に向けて詰めの協議を急いでいる。公明の府本部幹部の一人は「東京での自民との融和が全国的に波及すれば、与党が一体となって維新に対抗できる」と語る〉

記事の肝は「東京で自公両党の選挙協力が解消した際、公明の支持母体である創価学会は、東京で維新候補を支援する代わりに、6選挙区で維新が擁立を見送る案を水面下で打診してきた」という点である。創価学会・公明党は東京の自民党の不誠実な対応に業を煮やして選挙協力を解消する一方で、それを維新との取引・妥協の餌に利用しようとしたのだ。

しかし交渉は不調に終わり、維新は大阪・兵庫で公明党と対決する6選挙区に立てる候補の選定を終えた。しかもその選定の過程で、大阪維新は維新発祥の地である大阪の4選挙区での敗北は許されないとの考えから、大阪維新所属の地方議員・党員による「予備選」まで実施し、公明党に勝てる候補として知名度と一定の支持基盤を持つ現職の参議院議員2名、同じく現職の大阪府議と堺市議各1名を候補者に選んだ。

これに対し兵庫の2選挙区については日本維新の党本部主導で候補が決まったが、こちらも現職の参議院議員と元厚労省職員の医師という難敵であり、池田大作創価学会名誉会長のカリスマの源泉である「常勝関西」で、2009年衆院選で民主党候補に“全敗”した“悪夢”の再現が現実味を帯びてきた。

創価学会そして公明党が、「増上慢」と再び手を握り、選挙協力に舵を切った理由と背景がここにある。前出の佐藤氏は、「増上慢」という「政治における悪」と戦うことが創価学会の基本的価値観であり、自民党と手を切って独自で東京29区での岡本候補の当選を勝ち取ることが、「政治だけでなく創価学会の価値観が問われる重要な戦いの主戦場」と意義付けたが、「主戦場」での決戦を回避し、易々と「増上慢」と手を握った事実は、創価学会が政治に進出する基本的理念や価値観を放擲していることの証左であり、いまや利害と打算こそが政治進出の動機となっていると見ることが可能だ。

 

環境問題、中国との連帯を強調

異常な猛暑だった今年の夏は、地球環境が危機的状況にあることをあらためて私たちに突きつけたが、東京の最高気温が35℃に迫った8月24日、日本国政府ならびに東京電力は福島第一原発の「処理水(放射能汚染水)」の海洋放出を開始した。

折しもこの日は池田名誉会長の「入信記念日」なのだが、公明党の創立者でもある池田氏は、2012年1月に発表した「SGIの日記念提言」で、福島第一原発事故を踏まえて「原子力発電に依存しないエネルギー政策への転換を早急に検討すべきだ」と主張。この提言を受けて公明党もまた、同年12月の衆院選マニフェストに「可能な限り速やかに原発ゼロを目指す」と明記したのを皮切りに、脱原発路線へと方針を変更、以後、脱原発の姿勢をとり続けている。

しかし創価学会は、政府・東電が15年に福島県漁連と交わした「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」との約束を反故にし、抜本的な廃炉の道筋もつかないまま「処理水(汚染水)」を放出したことを批判することはなく、公明党も放出強行を批判するどころか、24日に行われた中央幹事会で山口代表は、「IAEAが包括報告書で『国際的な安全基準に合致している』と結論付けたことに『国際社会が徐々に理解を示しつつある』との認識を表明。『日本が科学的な根拠に基づき、透明性を高く確保しながら、客観的に安全基準を満たしていることをしっかり説明する対応が重要だ』」(8月25日付『公明新聞』)と、政府の姿勢を追認した。

中央幹事会の席上、山口代表は「28日からの中国訪問では『こうした日本の対応について機会があれば丁寧に説明したい』と語った」(同)が、「適切なタイミングではない」と中国に訪中を断られてしまった。

22年1月の「SGIの日記念提言」で池田氏は、「日本と中国が行動の連帯を広げ、気候危機を打開する牽引力に」と、地球規模の環境危機に日中の連携強化を主張している。その中で池田氏は「日本と中国には、環境問題で長年にわたり協力を重ねてきた実績があります」として、1994年に日中環境保護協定が結ばれた事実や96年に北京に日中環境保全センターなどが設立されたことに触れた上で、「大気汚染の防止をはじめ、植林や森林保全、エネルギーや廃棄物対策など、数多くの成果」を積み上げてきたと主張。「気候危機の打開に向けて、日本と中国がこれまでの実績を基盤に、韓国をはじめアジア諸国との協力をさらに深めながら、世界に“希望と変革の波動”を広げる挑戦を力強く進めることを願ってやみません」などと主張している。

だが現状の日中関係は、「日本と中国が行動の連帯を広げ、気候危機を打開する牽引力に」なるどころか、「処理水(汚染水)」放出を巡って対立が激化、関係は悪化の一途をたどっている。

創価学会は池田氏を日中国交正常化を含む日中の関係改善の立役者と主張。公明党もまた自らを日中の橋渡し役と自認しているが、自民党に唯々諾々と従う「下駄の雪」を中国がまともに相手にするはずもない。所詮、公明党そして創価学会は、自民党や中国に足元を見られて利用されるだけの“都合の良い存在”でしかない。

戦後の価値紊乱期に台頭し、高度経済成長期に勢力を拡大した創価学会だが、21世紀に入り地球的規模・人類的規模の危機に直面する中で、反核や脱原発で政権のイニシアチブをとることもなく、保身と延命のためにひたすら政権に留まることを目的とした政治的駆け引きに終始しているだけでは政治に関わる必要性はない。宗教的理念を発揮することができず、政界の混乱と混迷を助長するだけの存在に過ぎないのであれば、速やかに政治の舞台から退場すべきではないか。

 

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』『司法に断罪された創価学会』(かもがわ出版)など。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

  • 東南アジア歴訪―今年の外遊は4回目

・8月24日付『聖教新聞』「マレーシア創価幼稚園 原田会長ら訪問団が交流」

「創価学園最高顧問の原田会長らマレーシア訪問団が23日午前、首都クアラルンプール近郊のマレーシア創価幼稚園を訪れ、梅松明理事長、黎来好園長ら教職員、園児の代表と交流した」

・8月25日付『聖教新聞』「創価インターナショナルスクール・マレーシア 晴れやかに第1回入学式」「創立者・池田先生が祝福のメッセージ」「原田会長ら訪問団が出席」

「『創価インターナショナルスクール・マレーシア(SISM)』の第1回入学式が24日午前、マレーシア・ヌグリスシビラン州の州都スレンバンにある同校で晴れやかに行われた。創立者の池田先生はメッセージを贈り、マレーシア、日本、韓国、インド、タイ、シンガポールなど9カ国・地域からの第1期生112人の船出を祝福。地球民族の希望と喜びの光を放つ世界市民に成長をと呼び掛けた。SISM最高顧問の原田会長、同理事の谷川主任副会長ら訪問団が出席した」

・8月26日付『聖教新聞』「東南アジア・韓国の最高協議会 インド タイ マレーシア シンガポール インドネシア 韓国の代表が出席 原田会長が激励」

「南アジア・韓国最高協議会が24日夕、マレーシアの首都クアラルンプールで開催された。これには原田会長、谷川主任副会長らマレーシア訪問団一行が、インド、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、韓国の広布のリーダーと共に出席。アジアから平和・文化・教育の大光を放ちゆくことを誓い合った」

「アジア広布は第2代会長・戸田城聖先生の悲願だった。(中略)池田大作先生は第3代会長就任翌年の1961年1月、アジア歴訪に出発。(中略)先生は21世紀を前にして、次のように展望した。『第二の「七つの鐘」を打ち鳴らす、21世紀の前半の50年では、アジアをはじめ世界の平和の基盤をつくってまいりたい』」

・同「マレーシア サイフディン内相と会見 原田会長ら訪問団」

・8月27日付『聖教新聞』「池田先生の初訪問35周年を祝賀 マレーシア全国幹部会 先生が記念のメッセージ 勇敢に幸福勝利の人生を」

・8月28日付『聖教新聞』「マレーシア ニュー・エラ大学学院から池田先生に『名誉文学博士号』

・8月29日付『聖教新聞』「池田先生の初訪問35周年を記念 シンガポール全国幹部会 先生が祝福のメッセージ 仲良き異体同心の大行進を」

「池田大作先生の初訪問35周年を記念するシンガポール創価学会(SGS)の全国幹部会が27日午後、SGS本部で晴れやかに開催された。これには原田会長、谷川主任副会長ら訪問団が、SGSの代表約1000人と共に出席した」

「谷川主任副会長が、池田先生のメッセージを紹介。(中略)原田会長は、SGI結成の地・グアムをはじめ、韓国、ブラジルなど各国各地の同志が今、信心根本に地涌の連帯を広げる模様を紹介しつつ、世界中の同志が師弟の心を燃やし、使命の舞台で広布に励む事実は仏法史に輝く壮挙であると強調」

・8月31日付『聖教新聞』「座談会 広宣流布大誓堂完成10周年 創価の凱歌を轟かせ」

「原田(会長)おかげさまで、マレーシア、シンガポールでの全ての行事を大成功で終え、帰国しました。(中略)南アジア・韓国の最高協議会も行われ、アジアから平和・文化・教育の大光が広がっていることを実感しました」

 

※公明党と自民党の関係修復が最終盤を迎えていた8月末、創価学会の原田稔会長と谷川佳樹主任副会長は、マレーシアとシンガポールを歴訪していた。本欄既報のように、今年、原田会長と谷川主任副会長は、1月にグアムを訪問したのを皮切りに、韓国・ブラジル・アルゼンチン、そして今回のマレーシア・シンガポールと、8カ月の間に複数回の海外訪問を繰り返している。そのことはシンガポール全国幹部会の席上、原田会長自ら「グアムをはじめ、韓国、ブラジルなど各国各地の同志が今、信心根本に地涌の連帯を広げる模様を紹介」とある通りである。

創価学会は「アジア広布」は戸田2代会長の悲願であったとか、「アジアから平和・文化・教育の大光が広がっている」などと喧伝し、いかにもアジア広布(戸田時代は東洋広布)や世界広布が広がっているかのごとく喧伝し、創価学会が「世界宗教」として拡大しているかのように主張するが、幼稚園でのチーチーパッバが「世界宗教」でもあるまい。要するに、衰退する国内の創価学会の現実を糊塗する偽装工作に他ならない。

先日、自民党女性局メンバーの研修に名を借りたパリ観光旅行に対して多くの国民から批判の声があがったが、学会員の財務を原資として大名旅行を繰り広げる原田・谷川両氏らの海外歴訪に対して、学会員も厳しい眼を向けるべきなのでは。

 

  • 入信記念日―近影写真は掲載なし

・8月24付『聖教新聞』「きょう『8・24』池田先生の入信記念日」「綴れ凱歌の民衆叙事詩を」

「きょう8月24日は、池田大作先生の入信76周年。(中略)先生は記念日に当たり、全国・全世界の同志に3首の和歌を詠み贈った」

「仏法の 中道の智慧 青年かかげ 人類包み 地球(ほし)を癒せや」

 

※毎年、創価学会の機関紙『聖教新聞』は池田大作名誉会長の入信記念日を慶祝する記事を掲載してきた。そこには池田大作夫妻の近影が掲載されることが常だったが、池田氏が大衆の前に姿を見せることがなくなった2010年6月以降、『聖教新聞』への近影の掲載も激減。当初は、軽井沢の長野研修道場で電動カートに乗る池田夫妻の写真なども公表されたが、19年10月の聖教新社屋訪問写真を最後に『聖教新聞』に、池田氏の近影は掲載されていない。

76回目の入信記念日にあたる今年8月24日付『聖教新聞』にも近影はなし。その代わりに例年同様、記念の和歌が掲載されている。

そのうちの一首は、「仏法の中道の智慧」を「青年がかかげ」て、「人類を包み」「地球を癒せ」というもの。昨今の地球環境の危機に、仏法の「中道の智慧」をもって対処しろとの謂いであろう。

だがくしくもこの日、政府そして東京電力が福島第一原発事故で破損した原子炉の燃料デブリに触れた「核汚染水」を、浄化処理した「処理水」を、地元・福島県魚連の反対や多くの反対を無視して、海洋放出する挙に出た。

原発回帰を進め、核禁止条約への参加に背を向ける自公政権。そして自公政権の最大の支持基盤となっている創価学会。いったい「地球を癒」す「中道の智慧」はどこにあるのか。

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