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2022年10月号

10月号目次

 

閻魔帳

アベ葬への税支出と自公大臣の賠償責任/浦野広明 

 

特集/カルト問題に揺れる日本の宗教と政治―創価・公明&自民

 

フランスのカルト対策を歪曲して 自己正当化を図る創価学会/広岡裕児

統一教会との接点 自民党調査は状況改善につながるのか/藤倉善郎

代表選直前に「言論出版妨害事件」を起こした「公明党=創価学会のカルト性」をブッた斬る/古川利明

“無節操”を紐帯として結びつく宗教と政治/小川寛大

山口代表の無投票8選は創価学会の組織防衛人事/乙骨正生

 

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

「公明党と創価学会」を考える(第36回)

「平成の政治改革」と公明党・創価学会(5)/平野貞夫

ナニワの虫眼鏡(第40回)

公明党との関係はリセットか!? 維新の発言に困惑する”コウモリ政党”の末路/吉富有治

 

執筆者紹介 編集後記

 

 

編集後記から

法的根拠もなく財政民主主義にも反する安倍国葬が、9月27日に日本武道館で行われました。ほとんどすべてのメディアの世論調査で、国葬反対が賛成を上回る中で強行された安倍国葬。小誌の事務所からもさほど遠くない九段下交差点では、安倍国葬に反対するデモと賛成派の間でひとしきり応酬が続きましたが、分断された国民世論を象徴する一コマでした。

安倍国葬に参列した公明党の山口那津男代表は、式後に国会内で記者団に「静かな雰囲気の中、厳かな会場の空気に包まれて、安倍元首相に最後のお別れをさせていただいた」(9・28付『公明新聞』)と述べ、安倍元首相の「功績継ぎ平和に尽力」する意思を示しましたが、巷間、SNS上で、安倍元首相とのツーショット写真が流布されている原田稔創価学会会長は安倍国葬に出席されたのでしょうか?

安倍国葬に先立って行われた公明党大会で、退任すると見られた山口代表が無投票で8選されました。安倍元首相の銃撃死亡事件を契機に高まる宗教と政治の癒着、宗教団体の反社会性に対する厳しい世論への防波堤として、山口代表の宗教法人法改正の際の奮闘を創価学会が評価しての判断だったものと見られます。そのことは創価学会が、フランスのカルト対策の事実を歪曲して自己正当化を図り、火消しに懸命になっている事実からも窺うことが可能です。詳しくは小誌今号の広岡祐児氏の特集記事をご参照ください。

公明党大会に来賓として出席し挨拶した岸田文雄首相は、「今、私たちの国は戦後最大級の難局に直面している。自公は一分の隙間もなく緊密に対応していかなければならない」と強調。互いに手を取り合って「大衆の、国民の暮らしを守る自公連立政権発足当時の思いをさらに強固にし、この国難を共に乗り越えていきたい」と語りましたが、国民を苦しめる生活苦を招いたのは自公政権に他なりません。

その岸田自公政権は、いま統一教会問題から派生した宗教と政治のカオスの中で、支持率を急落させ、『毎日新聞』の世論調査(9月17・18日)では、支持が危険水域の30%を割る29%、不支持が64%に達しています。

10月3日開会の臨時国会では、野党が統一教会と自民党との関係を軸に政治と宗教の癒着を追及することは必至ですが、宗教法人法改正の際には、自民党に抱きつくことで危機を脱した創価学会・公明党がはたしてどのような動きを見せるのか。小誌は今後とも宗教と政治の関係を厳しく監視・追及する所存です。

特集/カルト問題に揺れる日本の宗教と政治―創価・公明&自民

 

代表選直前に「言論出版妨害事件」を起こした「公明党=創価学会のカルト性」をブッた斬る

古川利明

ジャーナリスト

 

奇っ怪極まりない公明党の代表選

公明党代表選が9月15日、告示され、午後3時から30分間の受付時間内で現・代表の山口那津男(70歳)以外に立候補の届出がなかったため、山口の無投票による連続8選(1期の任期は2年)が決まり、同月25日の党大会で正式承認された。98年11月に公明と新党平和が合併した現在の新・公明党の発足以降では、在任期間がまる13年を超えたこの山口が最長だが、創価学会第3代会長時代の池田大作が、64年11月17日に創立した旧・公明党時代においては、竹入義勝が衆院議員に初当選した直後の67年2月から、20年近く党トップである委員長を務めており、よって、山口はこれに次ぐものである。ただ、奇っ怪極まることに、旧・公明党時代も含めて、複数候補による党首選が行われたことは、一度たりともない。

今度の山口の代表8選にあたって、この春先以降、「山口は今期で代表を退任し、後任には幹事長の石井啓一(64歳)が就く」との観測が流れ、事実、今年4月の都内での講演で山口は石井を名指しして、「判断力が的確。ぜひ、次のリーダーとして頑張ってもらいたい」とまで持ち上げていた。ところが、毎日新聞(9月14日付朝刊)を始めとする各紙の記事を突き合わせると、7月の参院選を潮目にその流れが変わり、比例での「618万票ショック」を受けて、同月中旬の創価学会の会合では、秋の党大会で「執行部の刷新を図る」との党方針に難色が示され、「世代交代」はウヤムヤにされてしまったというのである。ただ、これも奇っ怪極まりない話で、本来であれば、昨年10月の衆院選から約93万票もの激減の責任を取り、「山口の代表退任」がスジで、当面、国政選挙がある見通しもないのだから、その間に、山口に比べて知名度が決して高いとは言えない石井でも、また他の人間でも、とにかく選挙で新代表を選び、その名前の浸透を図るのが常識的な線である。

そこで、こうした世の常識が全く通用せず、何やら奇っ怪なことばかりがまかり通るタネを明かすと、その竹入義勝が98年に朝日新聞で連載した手記「秘話・55年体制のはざまで」の中で、こう明かしている。

〈創価学会の世界には独特の論理がある。「辞めるか辞めないかは、自分で決めることができない。任免は池田大作会長の意思であり、勝手に辞めるのは不遜の極みだ」というものだ。(中略)よく後継者を指名しなかったとか批判されたが、私が仮に後継者を指名しても、そうならないのだから、仕方ない。委員長を引き受けるときから人事権は学会にあると、明確にされていた。〉

現在では、その「任免権」が公明党創立者である池田大作から、創価学会会長の原田稔に移っているわけだが、朝日新聞(16年9月22日付朝刊)のインタビューで原田が「山口代表は後輩でもあり、意思疎通は図っています。これでもかなり自制しているつもりですけど」と、敢えて同じ東大の後輩である山口を名指しで喋っていることから分かるように、何よりまず、「山口は原田の大のお気に入り」ということがある。

 

「山口続投」は会長職にしがみつく原田の意図か!?

そこで、現在80歳の原田が「山口続投」に舵を切った理由だが、最近の聖教新聞を見ても、沖縄県知事選(9月11日投開票)に向けて、「指導」と称して現地入りしていたことからも窺えるように、どうも、本人はまだやる気満々のようである。相変わらず、座談会にも率先して顔を出しており、「少なくとも、来春の統一地方選までは自分が陣頭指揮を執る」というふうに傍目には映る。それは山口の事実上の代表選出馬表明となった公明新聞(9月13日付)で、たまたまのタイミングだったのだろうが、ちょうど60年前の1962年のこの日(=9月13日)に、公明党の前身である公明政治連盟の第1回全国大会で、池田が「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に入りきって、大衆の中に死んでいく」と喋った「立党精神の淵源」なるものについて敢えて言及していたが、恐らくこれは「原田が言わせた」ものである。続く同日の出馬会見で山口は「総動員で当たっていく統一地方選では、私が先頭に立って党の力を最大限に発揮していく必要があるとも考えた。私たち最年長世代の蓄積を実践を通じて伝え、次の世代へバトンタッチを進めていくことが重要であり、それには私の働きが必要だと判断した」と喋っているが、ここに出てくる「私」とは、要は「原田稔」のことである。で、飽くまで筆者の見立てだが、これは原田が創価学会会長という権力の座にしがみついているというのはもちろんだが、さらにそこから先、今度の「618万票ショック」について、本来であれば、原田本人が会長職を引責辞任すべきところ、内心では「先生、本当に申し訳ありませんでした。これを挽回すべく、最後のチャンスを下さい」と池田に頭を下げたということではないだろうか。

その創価学会が「国政選挙並み」の体制で臨んだ沖縄県知事選、すなわち、都内の学会員であっても同県内在住の知り合いがいれば、F(フレンド)票を取りに行くということだが、投票率は前回より5・32ポイントも下がって57・92%だったにもかかわらず、オール沖縄が支援する現職の玉城デニーが33・9万票を獲得し、27・4万票に留まった自公推薦の佐喜真淳(元宜野湾市長)を降し、再選した。ただ、14年に続いて、保守系無所属の元衆院議員・下地幹郎が今回も出馬して、5・3万票も獲得しており、佐喜真陣営としては、何よりもまず、下地を味方に取り込めなかったことが大きい。加えて、告示直前に佐喜真と統一教会との“濃厚接触”が報じられ、逆風に晒されたことから、今回は「玉城が勝った」というよりは、「佐喜真の腰砕け」の感が強く、ダブル統一議会選での公明党の集票力は落ちておらず、侮れない。

 

「口封じ目的」の恫喝訴訟はカルトの証し

折しも、公明党代表選告示のちょうど1週間前に発売された週刊文春と週刊新潮(いずれも9月15日号)が、この7月の参院選で再選したばかりで、妻子のある同党参院議員(比例)・熊野正士による、独身の支持者女性への執拗なセクハラを報じたところ、公明党はその翌日の9月9日、「事実無根」だとして、両誌を相手取り、各3300万円の賠償金支払いと謝罪広告の掲載を求める訴訟を、即、東京地裁に起こした。ただ、その訴えた内容を見ると、熊野本人のセクハラ行為は完全にスルーしたうえで、その支持者女性が困った挙句、公明党関係者に相談したところ、今年4月末と5月下旬に公明党副代表の北側一雄から電話があり、特に5月下旬には、途中で代表の山口が代わって本人と話し、その場で「議員を続けてはいけない人です」と抗議すると、山口から「もうすぐ選挙なので」「それが表に出ると議席が」と、要するに「このことを口外するな」と言われたというのである。これに対し公明党側は「そもそも、セクハラの相談自体、受けていない」と反論しているのだが、女性はこうした詳細なやり取りについてLINEで記録を残している。つまり、公明党(=創価学会)は「黒を白」と言いくるめてヌケヌケと嘘をついているばかりか、まさに「口封じ目的」の恫喝訴訟であって、これは「令和の言論出版妨害事件」以外の何物でもない。そもそも、提訴が「代表選告示直前」というタイミングであり、何よりもこれは「山口を守って、代表8選を保証する」べくメンツを潰さないがための措置だったとも言える。

ちなみに、半世紀以上前に、藤原弘達の『創価学会を斬る』(日新報道)の刊行に対して、公明党と創価学会が引き起こした言論出版妨害事件では、党委員長だった竹入が自民党幹事長の田中角栄に頼んで、藤原に出版を止めるよう圧力をかけていたが、当初、信濃町サイドは「これ」を「事実無根」と全面否定していた。しかし、69年10月15日に赤坂の料亭・千代新での田中との会話を藤原は録音していたため(なお、このとき、池田大作は竹入と一緒に、襖一枚挟んだ隣の部屋から聞き耳を立てて二人の会話を盗聴していた)、これを踏まえて、さらには、自宅に届いたイヤガラセの投書の山をも含めた執拗な妨害工作の実態を藤原が暴露すると、当時の国会で徹底追及されたことから、一転して、翌70年5月3日に池田は事実関係を認め、「猛省」に加えて「公明党との

政教分離」を表明させられたのである。

一連の統一教会の問題で、改めて「カルト」がクローズアップされており、本誌前号の拙稿でも指摘したように、フランス下院の調査委員会が95年12月に出した報告書「フランスにおけるセクト」で、統一教会などとともに創価学会をセクト(カルト)としてリストアップした際、そのセクトに該当する10項目の要件において、「法外な金銭要求」と合わせて、「裁判沙汰の多さ」を挙げている。カルトはカネをふんだんに持っているため、自らに都合の悪いことや批判を封じ込めるため、すぐ訴訟を乱発するわけである。それで言えば、創価学会が完全にコントロールする公明党が、今回、週刊文春と週刊新潮に対して起こした恫喝訴訟は、まさに「これ」に当てはまり、要は「自分たちはカルトである」と言っているようなものである。こうした我が国最大の「『宗教の仮面を被った全体主義結社』たるカルト」である創価学会が、その「カルト性ゆえに引き起こす言論出版妨害事件」に対して、健全な民主主義を取り戻すためにも、我々心あるジャーナリズムは警鐘を鳴らし続けることで、一過性の問題で終わらせてはならない。(文中・敬称略)

 

古川利明(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『デジタル・ヘル サイバー化監視社会の闇』『日本の裏金(上、下)』『ウラ金 権力の味』『「自民党“公明派”」10年の功罪』『「自民党“公明派”」15年目の大罪』最新刊『「自民党“公明派”」20年目の大失敗』(いずれも第三書館刊)『核と原発 ヒロシマ・ナガサキ、ビキニ、そしてフクシマを繋ぐ悲劇の誕生』(アメージング出版)など著書多数。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

  • 2022年上半期雑誌広告出稿量で出版業の断トツ1位は聖教新聞社‼

・9月1日付『新文化』(出版界唯一の専門紙)「22年上半期『新聞・雑誌広告』動向」「雑誌1位 聖教新聞社」

「エム・アール・エス広告調査はさきごろ、2022年上半期(1~6月)の新聞・雑誌広告サマリーレポートを発表した。雑誌の広告量は3万8403・19頁。『出版』関連の広告出稿量は雑誌が聖教新聞社、新聞では日本経済新聞社が1位だった」

 

※創価学会が、マスコミ対策あるいは世論誘導を企図して、各種のマスコミ媒体に広告を出稿していることは周知の事実。そうした実態の一端を、「出版界唯一の専門紙」である「新文化」9月1日付が伝えている。

同紙掲載の「22年上半期『新聞・雑誌広告』動向」によれば、今年1月から6月の上半期に調査対象の雑誌160誌に広告を出稿した出版関連の広告主の第一位は聖教新聞社で、広告量は45・26ページ、広告費は4888万1千円となっており、2位の文藝春秋の広告費2004万9千円を2883万2千円も上回る断トツ1位となっている。

昨年、一昨年の広告量・広告費の資料が手もとにないことから、比較はできないが、おそらく今年は7月に参院選挙があったこと、また昨年末に露見し今年春に貸金業法違反で有罪判決を受けた遠山清彦元公明党代議士のスキャンダルもあったことから、雑誌に対する広告量の出稿は少なくなかったと想像できる。

創価学会に関する雑誌報道は、創価学会・公明党による名誉棄損訴訟や名誉棄損の高額化工作の影響で、マスコミ総体が委縮したことから、昨今、極めて少なくなっているが、こうしたムチに加え、大量のアメが周到にまかれていることが、今回の「新文化」報道から垣間見ることができる。

 

  • 熊野正士公明党参院議員が辞職

・10月1日付『聖教新聞』「公明 熊野参院議員が辞職党は週刊誌発行元を提訴」

「公明党は30日、熊野正士参議院議員が『辞職願』を参議院議長に提出し、辞職が許可されたと発表した。

熊野氏は、党員・支持者、国民に対しておわびの言葉を述べるとともに、『辞職願』に署名した。

石井啓一幹事長は、『公明党所属議員が議員辞職に至ったことについて、党員・支持者、国民の皆様にあらためて深くおわび申し上げます』と述べた。

なお、週刊誌報道については、公明党として、8月9日に名誉棄損を理由に損害賠償・謝罪広告の掲載を求めて、週刊誌の発行元を提訴している」

・9月30日付『THE SANKEI NEWS』「公明熊野氏が参院議員辞職 セクハラ疑惑報道受け 臨時国会前に事態収拾」

「公明党は30日、知人女性へのセクハラ疑惑を週刊誌に報じられた熊野正士参院議員(57)=比例代表=が同日に党幹部を通じて尾辻秀久参院議長へ辞職願を提出し、辞職が許可されたと発表した。10月3日の臨時国会召集前に事態の収拾を図ったとみられる。

党の説明によると、石井啓一幹事長ら幹部が29日夜、熊野氏の家族から辞職願を預かった。

セクハラ疑惑は週刊新潮と週刊文春が今月6日、ニュースサイトで報じた。公明は7日、内容が事実なら熊野氏に議員辞職を求めるとのコメントを公表。熊野氏は入院し、面会謝絶状態だと説明してきた」

 

※7月の参院選で再選されたばかりであるにもかかわらず、『週刊文春』(9月15日号)『週刊新潮』(同)の両誌に、セクハラ・スキャンダルを報じられていた公明党・熊野参院議員が、9月30日に参院議長に「辞職願」を提出し、許可されたと公明党が発表した。

知人の創価学会二世の女性の尻を触った上に、執拗に下品な性的メッセージを無料通信アプリ「LINE」で送り続けたという熊野議員。被害女性は警察に相談したほか、今春には大阪の公明党関係者を通じて被害を訴え、北側一雄副代表と山口那津男代表が被害女性に電話。謝罪するなどしていた。

スキャンダルを報じた『文春』『新潮』両誌の記事によると、この際、被害女性はセクハラをするような人物を候補にすることの非を鳴らしたが、北側副代表と山口代表は参院選が近いことから、「隠蔽」「口封じ」を図ったとされる。

両誌の報道以後、公明党は熊野議員に「事実なら言語道断」だとして議員辞職を迫る一方、9月9日には、「熊野正士参院議員のセクハラ行為を党幹部が『隠蔽』『口封じ』していたとの記事を掲載したことについて、全くの虚偽であり、名誉棄損行為に当たるとして、発行元の文藝春秋と新潮社に対し、それぞれ損害賠償の支払いと謝罪広告の掲載を求める訴訟を東京地裁に起こし」(9月11日付『公明新聞』)ていた。

熊野議員の辞職を発表した石井幹事長は、「党員・支持者、国民の皆様にあらためて深くおわび申し上げます」と殊勝な姿勢を見せる一方で、『文春』『新潮』の発行元である文藝春秋と新潮社を提訴していることを強調。併せて被害女性についても「また、熊野氏の妻は、週刊誌報道にある女性に対し、法的措置をとったと聞いております」と、被害女性にも非があったかのように強調した。

今後、真相は裁判の場で明らかにされることになる。はたして山口代表や北川副代表が、少なくとも5月時点に熊野議員が下品な性的メッセージを執拗に女性に送り続けていた事実を把握していたかどうか、また被害女性に「隠蔽」「口封じ」を行ったどうかが法廷で争われることになる。山口代表・北側副代表の電話を被害女性が録音していなかったとは考えにくいが、はたしてどうなることか。

提訴を受けて『週刊文春』編集部は、次のようなコメントを発表した。

「記事にはじゅうぶん自信を持っています。今回、公明党の説明でも、北側一雄副代表や山口那津男代表は被害女性と電話で会話し、熊野正士参院議員とのトラブルについて、山口代表が謝罪したことは認めています。トラブルを把握しながら、そのような問題議員を、なぜ参院選で公認して出馬させ、当選させたのか、公党として有権者に説明するべきと考えます。

最近、セクハラ報道の細田博之衆院議長など、提訴を言い訳にして、説明責任を果たさない政治家が増えています。政権与党の公明党が、提訴を理由に説明責任を回避することのないよう、期待しています。また、『週刊文春』は提訴に萎縮することなく、今後も取材、報道を続けてまいります」

ちなみに『聖教新聞』の幹部座談会で公明党を評価しているとしてしばしばその言説が引用されてきた一橋大学の中北浩爾教授は、『日本経済新聞』(9月30日付)に次のようなコメントを投稿している。

「遠山清彦議員の貸金業法違反事件、参院選候補者のわいせつ動画投稿など、公明党では不祥事が相次いでいます。私がよく知る創価学会の地方幹部は、支持者のやる気が削がれると嘆いています。

党創立者である池田大作創価学会名誉会長は、幹部や議員の思い上がりや慢心を諫めることが多かったと聞きます。その名誉会長も10年以上、公の場に姿を現していません。

自民党との連立が常態化して行動原理が似通ってきたことが、不祥事の原因ともいわれます。いっそ自民党に合流した方がよいかもしれません。

そうしないならば、『大衆とともに』という党是を再確認し、『公明』という名に恥じぬ規律を確保する必要があります」

強気の『週刊文春』と「いっそ自民党と合流した方がよいかも」とする中北教授。裁判の推移が注目される。

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