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2021年7月

7月号目次

閻魔帳

「五輪の嘘」を上塗りする公明・山口代表/柿田睦夫

 

特集/都議選―創価・公明勝利の要因は低投票率

 

会員・都民の“生命・健康”度外視の非常識な選挙闘争を展開/乙骨正生

「史上2番目の低投票率」で何とか命拾いした「公明党=創価学会」の7・4都議選/古川利明

都議選・公明党獲得票の推移が意味するもの/段 勲

 

トピックス

原田義昭前環境相が統一教会系議員連合の会長に、議員会館で総会も/鈴木エイ

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

「公明党と創価学会」を考える(第21回)

公明党の自立路線時代(7)/平野貞夫

ナニワの虫眼鏡(第25回)

本末転倒な「見回り隊」の存在  コロナ禍で無能ぶりを発揮する大阪の政治/吉富有治

新・現代の眼(第59回)

人木石に非ず。皆、情あり。/菅野 完

ヨーロッパ・カルト事情(278)

コロナ禍の失政支える宗教政党の責任/広岡裕児

執筆者紹介 編集後記

 

 

編集後記から

注目の東京都議会議員選挙が終わりました。コロナ禍での選挙、東京都にはまん延防止等重点措置が出されており、人流の制限・不要不急の外出の自粛が叫ばれる中、創価学会の人海戦術にはブレーキがかかると見られていました。しかし、創価学会は東京の組織はもとより、首都圏の組織に熾烈な選挙闘争を指示。その結果、公明党の得票数は63万810票と、前回の73万4697票から10万3千票も減らしましたが、前々回の得票63万9160票とほぼ同数の得票数を積み上げ、戦後2番目に低い42・39%という低投票率のおかげもあって、候補23人全員が当選しました。

前々回2013年は、都議選と参議院選がほぼ同時に行われたため、創価学会は参院選にも注力する必要があり、都議選にのみ組織の総力を傾注することができなかったという背景があります。しかし前々回も今回同様43・50%という低投票率だったことから、公明党候補は全員当選しました。

都議会で最大29議席を獲得していた公明党は、東京の創価学会組織の勢力退潮を受けて、01年からは候補を23人に絞り、以後、全員当選を続けていますが、その間の得票数は先の2回を除くと72万票(01年)・78万票(05年)・74万票(09年)・73万票(17年)となっており、全国の組織をフル稼働できる場合は、70万票台、阻害要因のある場合は60万票台前半となっていることが分かります。

その意味ではコロナ禍にあっても創価学会は、学会員や都民の健康や安全おかまいなしに選挙闘争を繰り広げ、東京や首都圏組織のもっている潜在力はすべて発揮したということでしょう。

その成果と意義を創価学会は、「創立100周年へ向けての“勝負の10年”の初陣の勝利」と位置付けており、この勝利を今秋の衆院選に繋げるとの意思を見せています。詳しくは各特集記事をご参照ください。

コロナ禍、多くの国民が中止ないしは延期の意思を示す中で、東京オリンピックが強行されようとしています。戦前、日本は客観的かつ科学的根拠を無視して無謀な戦争に突入、亡国の憂き目を見ましたが、いままた日本は、自公政権のもとで同じような道を突き進もうとしています。小誌はオリンピックの開催には反対ですが、こうした態度は、東條内閣の商工大臣だった岸信介元首相の孫で、オリンピックを虚言で誘致した安倍晋三前首相によれば、「反日的な人が五輪開催に強く反対」なのだとか。安倍氏と創価学会は独善的な批判拒否体質で親和性が高いのでしょう。

小誌は今後も宗教と政治・宗教と社会の事実と真実を追究し続けます。

特集/都議選―創価・公明勝利の要因は低投票率

 

会員・都民の“生命・健康”度外視の非常識な選挙闘争を展開

乙骨正生

ジャーナリスト

 

危機感煽り期日前を推進

7月4日投開票の東京都議会議員選挙で、公明党候補23人全員が当選した。コロナ禍、まん延防止等重点措置が出される中で行われた今回の都議選。公明党はコロナの影響で、組織母体の創価学会の人海戦術にブレーキがかかったことから苦戦となり、メディアや政党による世論調査や投票日の出口調査の結果では、現有23議席を大きく割り込む最悪16議席あるいは17議席の獲得にとどまるとの予測も出ていた。

だが蓋を開けてみれば23人全員が当選。全員当選をもたらした最大の要因は、戦後2番目に低い42・39%という低投票率にあったといって過言ではなかろう。コロナと雨そして政府与党とメディアによる争点隠しの結果、多くの有権者が投票所に足を運ばなかった。その結果、公明党候補は当落線上に浮上し全員が当選したのだ。というのも今回の都議選における公明党の総得票数63万810票は、前回17年都議選に比べて10万3887票も減っているからである。

だが創価学会は得票数の大幅減にはいっさい触れない。『聖教新聞』では、「公明党相次ぎ激戦突破」「劣勢はねのけ逆転劇!」(7月5日付)「公明党23人全員当選」「8回連続で完全勝利」(7月6日付)と、勝った、勝ったと大喧伝するだけである。

そして都議選の勝利に宗教的意義を付与することも忘れない。7月5日付『聖教新聞』1面掲載の池田大作名誉会長のメッセージとされるコラム「今週のことば」には、「試練を越えた大勝利!感激の全同志に深謝を。大聖人が御賞賛なり。陰徳陽報の誉れを胸に 幸と安穏の虹光る都を」と、コロナ禍の苦境の中でつかんだ全員当選を「末法の御本仏日蓮大聖人」(創価学会会憲)が賞賛しているとアピールした。

本誌前号の特集記事「東京に出向き“F票獲得”を指示する創価の“悪辣”」で筆者は、神奈川県の創価学会組織で配布された6月7日までのスケジュール闘争を指示した内部文書を紹介し、コロナ禍であるにもかかわらず、創価学会が神奈川の学会員に対して公明党激戦区に出向いて外部のフレンド票(F)を獲得するよう指示している事実を批判したが、その後も創価学会は次々と「緊急連絡 混戦突破へ圧倒的な大攻勢を!」「今後の活動について 東京完勝へ圧倒的な拡大を!」「緊急連絡 当落線上で熾烈な攻防 限界突破の猛攻撃を!」などの指示文書を配布し、F票の拡大に全力で取り組むよう指示していた。

このうち「当落線上で熾烈な攻防 限界突破の猛攻撃を!」との見出しがついた「緊急連絡」文書は、豊島・中野・目黒・北多摩3の各選挙区が「極めて厳しい危機的な情勢」、荒川・足立・新宿・江東の各選挙区が「予断を許さない」「重大局面」と危機感を煽り、

「1.すべての超重点区に総当たりし、Fから票に固めてください

支持者カードの起票先をはじめ、すべてのF先に『直接足を運ぶ』、もしくは、『電話』で総当たりし、指示を固めて頂きますよう、お願い致します。

また25日(金)の告示後は『いよいよ告示になりました』と語りながら、『いの一番』ですべてのF先に対し、期日前を推進して頂きますようお願いいたします。

2.とくに情勢が厳しい『①豊島区、②中野区、③目黒区、④北多摩3区(調布市・狛江市)、⑤大田区』に対して、新たな支持を拡大してください

今回すでに当たったF先へ再度、総当たりしながら『このままでは危ない状況です』と語り、そのF先の家族などへの拡大に挑戦するなどして、さらに、それぞれ『地区1』の新たな支持の拡大をお願い致します」

などといっそうのF票拡大を指示していた。

まん延防止等重点措置が出されている東京に「直接足を運」んでF票を獲得せよとの非常識な指示文書には、あらためて呆れるしかないが、その中で特に注目されるのは、「『いの一番』ですべてのF先に対し、期日前を推進して頂きますようお願いいたします」という指示である。

東京都選挙管理委員会のホームページに「仕事、出張などの理由で、投票日に投票所にいけないと見込まれる方には、期日前投票の制度があります」とあるように、本来、期日前投票は、投票日に仕事や冠婚葬祭等で投票に行けない人の権利を保障するための制度。これを創価学会は公明党のF票獲得に利用し、友人・知人を期日前投票へ連れ出せというのだから、これはもう制度の悪用としかいいようがない。

『東京新聞』(7月4日付)が今回の都議選における期日前投票の実態を、「都選挙管理委員会は三日、都議選の期日前投票(六月二十六日~七月二日)の投票者が九十九万七千八百二十三人だったと発表した。前回比一・〇一倍で、現行制度で行われた二〇〇五年以降の都議選で過去最高。選挙人名簿登録者数に占める割合は8・67%」と報じているが、公明党の出口調査の結果と、最終の開票結果が大きく異なる事実からすると、期日前投票の大半は公明党票である可能性が高い。

 

衆院選の勝利を会長続投の布石に

首都圏の組織に「圧倒的な大攻勢」を指示した創価学会は、東京の組織にも激しい檄を飛ばしており、先の指示文書で「超重点区」とされている豊島・中野・目黒・北多摩3区の当該組織の会合では、原田会長をはじめとする各種幹部が、常軌を逸した宗教的・政治的アジテーションを繰り返した。

その一端として、6月30日付『聖教新聞』掲載の「調布・狛江、目黒が勇進! 勝利へ決意の大会 原田会長が出席」なる記事を紹介しよう。「東京凱歌を必ず!」との書き出しで始まる記事には、「あらゆる人を味方にする執念の対話を」「徹底して語り抜き、断じて逆転劇を」「不可能を可能にする強盛な祈りで限界突破の拡大を成し遂げよう」とある。

また原田会長も「広宣流布とは、仏と魔との間断なき闘争であり、困難は必定である」「いまだかつてない試練の中にあって、自分がいかに決意し、戦ったかは、必ずや三世永遠に生命に刻まれゆく『今生人界の思出』となる」「最後の最後まで団結固く、信心根本に戦い抜こう」と、選挙活動即宗教活動との位置づけのもと、選挙闘争への挺身が今生の思い出になるなどと煽りに煽っている。創価学会は「学会員の政党支持は自由」などと標榜しているが、一連の幹部発言に照らせば「政党支持の自由」など有名無実であることは明らかだ。

コロナ禍で人流を制限し、東京への不要不急の外出の自粛が叫ばれる中で、それでも創価学会は、宗教的アジテーションを駆使して、最大限、人海戦術を展開したことが分かる。

投開票から一夜明けた7月5日に、創価学会は総東京総区長会を開催したが、そこでは都議選の勝利を、創価学会創立100周年に向けた「勝負の10年」の初陣の勝利と位置付けた上で、都議選の勝利を今秋の衆院選に繋げるべく、原田会長が「民衆の幸福のため、世界の安穏のため、我らは『日本の柱』『青年の眼目』『人類の大船』として、立正安国の『次なる勝利』を目指し、きょうより確かな歩みを開始しよう」と、早くも衆院選への準備を指示した。

ここにあるように創価学会は、今年の都議選を「創立100周年」に向けての「勝負の10年」の「初陣の勝利」としており、その勝利を「勝負の10年」の帰趨を左右する今秋実施の衆院選の勝利に繋げようと企図している。

今回、50議席台への復調も取りざたされていた自民党が、過去2番目に少ない33議席と敗北したことは、自公の力関係という力学の上では、非常に大きな意味を持つ。なぜなら衆院選の前哨戦とされる都議選での自民党の敗北は、来る衆院選でも自民党は厳しい戦いを余儀なくされることを示唆しており、自民党の創価学会依存度は高くなりこそすれ、低くなることはないからだ。

当然、創価学会は自民党ならびに自民党の小選挙区候補に対して、支援の見返りとして比例区での協力を強く求めるはずだ。その結果、17年衆院選で697万票、19年参院選で653万票と続落・低迷する「広宣流布のバロメーター」・公明党比例区票の700万票台への回復が視野に入る。

創価学会にとって7という数字は、「南無妙法蓮華経」の題目の七字に通じる、佐藤優氏の言葉を借りるならば、創価学会の「内在的論理」にとっては重要な数字。それだけに700万票を回復すれば、原田会長を中心とする創価学会執行部の正当性の裏付けとなり、原田会長の権威を聖・俗ともに高めることにつながるだろう。

それはとりもなおさず現在4期目4年の会長任期(19年11月~23年11月)の半ばを迎えた原田会長の、23年以降の続投への大きな追い風となる。そして「不可能を可能」とした今回の都議選の勝利は、原田会長が後継視しているとされる萩本直樹総東京長(北條浩4代会長の女婿)に、会長候補としての地位を付与するものだったと見ることも可能だ。

今年80歳になる原田会長の在位年数はすでに15年。秋谷栄之助会長の25年には及ばないが、池田会長(現名誉会長)の19年は、23年に続投となれば超えることとなる。17年の会憲制定・会則変更で会長権限を強化し、池田名誉会長が就いているSGI会長を創価学会会長の風下に置いた原田会長とすれば、池田会長の在位年数だけは超えたいところだろう。

ポスト池田を最重要課題とする「創立100周年」に向けての「勝負の10年」の覇権争いを含めて、創価学会は都議選そして衆院選に負けられない事情を抱えている。

それがコロナ禍での非常識な東京でのF取りという指示につながっている。そしてこうした宗教団体の宗教的・政治的思惑や都合による政治容喙(ようかい)が、国民・都民にとって不用・無用であるどころか、弊害であることは火を見るよりも明らかだろう。

 

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』『司法に断罪された創価学会』(かもがわ出版)など。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

  • 「死せる孔明、生ける仲達を走らす」――都議選投票日直前に池田大作氏の「祈念」をアピール

・7月3日付『聖教新聞』「池田先生ご夫妻 恩師記念会館で勤行」

「池田先生ご夫妻は2日、戸田城聖先生が出獄した『7月3日』を前に、東京・総本部の創価学会恩師記念会館を訪問。亡国の坂を転げる日本にあって、軍部政府の弾圧に屈せず敢然と広布の旗を掲げ、殉難の道を歩んだ初代会長・牧口常三郎先生、第2代会長・戸田先生の遺徳をしのび、厳粛に勤行・唱題を行った。

さらに、立正安国へ勇み戦う東京をはじめ、全国の同志の勝利と福徳と健康を心から祈念した」

 

※東京都議会議員選挙の投票日直前の7月2日、創価学会は会憲で「永遠の師匠」と位置付ける池田大作名誉会長とその夫人が、創価学会総本部・恩師記念会館で「立正安国へ勇み戦う東京をはじめ、全国の同志の勝利」を祈念したと報じた。

創価学会は7月3日を、「師弟不二の記念日」とする。これは昭和20年7月3日が、戸田城聖創価教育学会理事長(当時)が治安維持法違反ならびに不敬罪での逮捕・拘留から「出獄」した記念日であるとともに、池田大作参謀室長(当時)が昭和32年の参院大阪補選の選挙違反事件で大阪地検に出頭、逮捕・拘留された「入獄」記念日であるとして、この日を不当な国家権力による弾圧に抗うことを師匠と弟子が誓う日と位置付けている。その上で選挙の勝利こそが「師の仇討ち」であるとして、通常7月に実施されることの多い参院選と都議選の度に選挙闘争への挺身を煽ってきた経緯がある。それだけに苦戦必至となった都議選投票日目前のこの日に池田氏を登場させることで“最後のムチ”を入れたのである。

もっとも『聖教』紙面に写真はない。池田氏の近影写真が掲載されたのは19年9月の世界聖教会館訪問時まで遡らねばならない。それ以後、池田氏の近影写真は掲載されておらず、健康状態の悪化が取り沙汰されて久しいが、その池田氏が「厳粛」に「立正安国」の「勝利」を祈念したとの記事を創価学会が掲載した意図は、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」の故事さながらに、表に出られない池田氏が選挙の勝利を祈っていると報じることで、学会員を選挙闘争に走らせる意図だろう。

というのも6月15日付『聖教新聞』1面掲載の「HEROS ヒーローズ」なる特集記事では、「諸葛孔明」を大きく取り上げ、2008年に池田氏が創価学会傘下の東京富士美術館で開催の「大三国志展」を鑑賞する写真とともに、孔明は五丈原で没したが、孔明の指示に基づいて攻勢に出た蜀軍が司馬懿(い)(仲達)率いる魏軍を撃退したと強調。その上で「広宣流布の諸葛孔明となって、断じて勝利の名指揮を!」との池田発言を紹介しつつ、こんなアピールを行っているからだ。

「君よ、創価の諸葛孔明たれ!人間主義の力によって民衆を守りゆく生き方――孔明が終生貫いた『王道』は、広宣流布即立正安国の戦いを勝ち開く我らが進むべき使命の大道である」

「死せる孔明」ならぬ「表に出られない池田」を立てて都議選を戦った創価学会。来る衆院選では、戸田会長が好んだという「丞相病あつかりき」と、孔明の最後をテーマにした土井晩翠作詞の「星落秋風五丈原」でも歌いながら、選挙闘争に勤しむのだろうか。

 

  • 中国共産党に媚び、日本共産党を攻撃する創価学会

・7月1日付『聖教新聞』「中国共産党創立100周年に親書」

「池田名誉会長と原田会長は、きょう1日の中国共産党創立100周年に際して、親書を送った。その中で名誉会長は、中国は日本にとって文化大恩の国であるとし、学会が平和・文化・教育の民間・青年交流を広げてきた歴史に言及。47年前(1974年)に周恩来総理と会見した際に、総理が語った『これからは世界の国々が互いに尊敬し、励まし合って進むべきです』との指標を、次世代の世界市民が継承することを念願しつつ、日中友好の促進、アジアの安定と世界の平和の伸展に心からの期待を述べた」

・7月1日『産経新聞』「公明代表、創建100年の中国共産党に祝意」

「公明党の山口那津男代表は1日、創建100年を迎えた中国共産党について『一つの政党で100年を迎えること自体、なかなかないことだ。なお一層、世界の平和と発展、安定のために力を尽くしていただきたい』と述べた。東京都内で記者団に語った。同党関係者によると、中国共産党側からの要請により、山口氏の名義で祝意のメッセージも出した」

・7月1日付『聖教新聞』「創立100周年へ――希望の橋を架ける 座談会」「さあ、『師弟の月』7月を勇躍前進執念の対話拡大で壁を破れ」「光る公明党の政策実現力」

「志賀(青年部長)生活者を不安にさせ、党勢拡大を企むのは共産党の常套手段だ。

原田(会長)コロナ禍にあって、どの党よりも行動しているのは公明党です。この都議選、最終盤まで大激戦の地域をはじめ、全選挙区で勝ち抜いてほしい」

 

※7月1日の中国共産党創立100周年にあたって創価学会の池田大作名誉会長・原田稔会長が、親書を送ったと『聖教新聞』が報じている。また、公明党の山口那津男代表も中国共産党の創建100周年に祝意を述べ、メッセージも出したことを『産経新聞』が報じている。

東アジアの平和と安定、ひいては世界の平和のために中国との関係を重視することは当然のことだが、真に世界や東アジアの平和と安定、日中友好を願い、中国の良き友人でありたいと思うならば、時には厳しい忠告・諫言も必要だろう。

だが、創価学会なかんずく日中友好に多大な貢献をしたと自負・喧伝する池田氏は、これまで同様、中国の覇権主義的姿勢や、チベットや新疆ウイグル自治区、そして香港での激しい人権弾圧に声をあげることはなく、当たり障りのないおべんちゃらに終始。

山口代表が祝意のメッセージを送った公明党も、国際社会で問題となっている中国の人権弾圧を受けて、国会で与野党が「海外での深刻な人権侵害行為に制裁を科すための日本版『マグニツキー法』の制定に動き出す中、公明は同法の策定に慎重な姿勢を示し、他党から『弱腰だ』との批判も浴びている」(4月6日付『産経』)始末。

6月15日には東京の中野区議会が、日本政府に中国国内の人権問題を調査・抗議するよう要求する意見書を賛成多数で可決したが、公明党だけが反対した。

これは「中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書」で、そこではアメリカのブリンケン国務長官の「新疆ウイグル自治区、チベット自治区、香港における人権と民主的な価値観を米国は擁護し続ける」との発言や、イギリスのラーブ外相の「中国西部の新疆ウイグル自治区でおぞましく、甚だしい人権侵害が起きている」などの指摘を引用。さらに中国政府がイギリスのBBC放送の中国国内での放送を禁止した事実などを挙げて、言論の自由が脅かされていることを指摘し、日本政府が中国の「人権状況について懸念をもって注視している」というだけでなく、より踏み込んで調査や抗議を行うよう求める内容となっている。

この意見書については、自民党・立憲民主党・日本共産党・都民ファーストの会・無所属議員が賛成したが、公明党だけが反対した。

こうして中国共産党には媚びを売る一方で、選挙で競合する日本共産党に対して創価学会は、『聖教新聞』掲載の幹部座談会記事で、原田会長をはじめとする首脳幹部が、激しい批判や非難を浴びせている。

中国共産党の人権侵害や覇権主義には口を閉ざすとともに、政府・自民党のモリカケ問題や桜を見る会、さらには河井夫妻の悪質な選挙違反事件に関する自民党の責任は等閑視する一方で、日本共産党や立憲民主党を激しく攻撃する創価学会の欺瞞的かつ狡猾な姿勢に、宗教者・仏教者としての誠実さや高い倫理性を見ることはできない。

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