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2020年10月号

10月号目次

閻魔帳

「党本部がハラハラ」した“男”が就いた自公連立政権の“首班”/乙骨正生

 

特集/安倍亜流・菅政権と創価学会

『「自民党“公明派”」20年目の大失敗』が結実した「安倍辞任表明」/古川利明

菅“自公”政権が継承・強化するもの/柿田睦夫

 

トピックス

菅内閣が安倍政権から「継承」する統一教会との関係、「発展」は?/鈴木エイト

トピックス

キリスト教福音宣教会SNS勧誘で再燃する「摂理」問題/藤倉善郎

 

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

「公明党と創価学会」を考える(第12回)

前尾衆議院議長と公明党(3)/平野貞夫

ナニワの虫眼鏡(第16回)

菅内閣誕生で喜ぶ維新 迷走する公明党大阪に支持者も呆れ顔/吉富有治

新・現代の眼(第50回)

蛤よく気を吐いて楼台をなす(2)/菅野 完

ヨーロッパ・カルト事情(269)

首の皮一枚となった“セクト的逸脱対策”/広岡裕児

 

執筆者紹介 編集後記

 

 

編集後記から

9月27日開催の公明党全国大会に、菅義偉首相が出席して挨拶。安倍政権での公明党の協力に感謝の意を表するとともに、横浜市議を経て国会議員となった自らの政治の原点と、「大衆とともに」という公明党の政治理念とは相通ずるものがあるとし、「私は、友党・公明党の皆さんの政治に心から拍手を送る者の一人だ」と、公明党に強いシンパシーを示し、やんやの喝采を浴びました。

しかし菅首相、国政に初出馬した1996年の衆院選では、相手が創価学会プロパーの現職公明党代議士だった新進党候補だったこともあって、なんと「池田大作は人間の仮面をかぶった狼」と非難するビラを配布するなど、「選挙期間中、党本部がハラハラするほど激しい創価学会批判演説をやってのけた」人物だったのです。

しかし当選後は、熾烈な反創価学会キャンペーンを張った自民党の変節と軌を一にして創価学会にすり寄り、二度目の選挙となる2000年の衆院選では創価学会に詫びを入れ、今日では自民党議員中、創価学会ともっとも太いパイプをつなぐ昵懇の政治家へと“成長”。小誌7月号掲載の「河井夫妻逮捕─創価・公明の支援責任」で詳報したように、創価学会の選挙実務を掌握する政治担当の佐藤浩副会長との濃密な関係を背景に、自民党内での影響力を拡大し、ついに自公連立政権の首班の地位にまで上りつめました。

以前、政府・自民党と創価学会・公明党の関係について矢野絢也元公明党委員長は、小誌の政教一致に関する取材に対して、「私たちの時は、公明党が間に入っていた。いまは政府・自民党と創価学会が直接やりとりをしている」と、両者の関係がダイレクトな関係になっていることを危惧していました。

初当選の挨拶で「私は選挙期間中、政教分離の大切さをずっと訴え続け、創価学会という巨大組織と真っ向から戦った」と語った菅首相ですが、所詮は創価学会プロパーを相手に当選を果たすための詭弁だったのでしょう。

両者は政権維持と組織防衛という利害と打算から、いっそう結びつきを強くする可能性は否定できません。厳しい監視と批判の必要性を痛感します。

特集/安倍亜流・菅政権と創価学会

『「自民党“公明派”」20年目の大失敗』が結実した「安倍辞任表明」

古川利明

ジャーナリスト

 

秋元司の共犯・淡路の逮捕がトドメの一発か!?

首相の安倍晋三は8月28日午後5時過ぎから官邸で会見を開き、持病の潰瘍性大腸炎が再発したことを明かしたうえで、「国民の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった以上、総理大臣の地位にあり続けるべきでない」と語り、突如、辞任を表明した。最初の登板の13年前の2007年に続いて、今度もまた「同じ病気」を理由に任期途中で政権を投げ出したわけだが、この「潰瘍性大腸炎」とは、大腸が炎症を起こすことで粘膜を傷つけて、ただれたり、剝がれたりする病気で、下痢や腹痛などの症状が出る。完治は難しいものの、薬物療法などによって支障なく日常生活が送れる寛解状態にまで回復する人も多く、特に「ストレス」が再発につながるとされる。

会見での安倍の説明では、「6月の定期検診で再発の兆候を指摘され、7月中頃から体調に異変が生じ、体力をかなり消耗するようになり」、8月17日と24日には、創価学会総本部と同じ信濃町にある慶大病院を受診し、官邸関係者によれば、「レミケード」と呼ばれる点滴タイプの薬剤を使い始めていた。そこで持病再発のきっかけとなったストレスだが、そもそも「モリ&カケ」を始めとする自らのスキャンダルがメディアや国会で追及されていたことが、それなりに堪えていたと思われる。折しも、東京地検特捜部は、カジノ誘致に関わる汚職事件で起訴済みの衆院議員の秋元司(自民党を離党)を組織犯罪処罰法(証人等買収)違反で再逮捕した際、「48(よつば)ホールディングス」という名前の会社で、仮想通貨によるマルチ商法を繰り広げていた淡路明人(54歳)を、共犯として8月4日に逮捕していたが、これがトドメの一発となった可能性がある。

しんぶん赤旗(8月6日付)などによると、同社は「1ヵ月半後には10倍に値上がりする」と謳って、「クローバーコイン」という仮想通貨を販売していたが、実態は新規の会員を勧誘することで連鎖取引のピラミッドを構築する「ネズミ講」そのもので、全国の消費生活センターに苦情が殺到していたことから、消費者庁は17年10月、同社に特定商取引法違反により取引停止命令を出しており、高齢者と若者に被害が多かった。

15年12月に同社を立ち上げていた淡路は、翌16年4月には例の「桜を見る会」や「前夜祭」に出席して、安倍夫婦と写真を撮りマクり、さらに同年8月に安倍が地元に帰省した際にも、淡路は関門海峡花火大会で一緒に写真を撮っていた。これら安倍とのツーショット写真を宣伝材料に使ったことで、同年9月頃から同社は急速に売上を伸ばし、翌17年6月までのわずか10ヵ月間で、何と192億円を超えたというのである。であれば、「淡路とはどういう関係なのか。秋元によるカジノ汚職絡みの証人買収事件で、ひょっとしたら、安倍が淡路にその指示を出していたということはないのか」と追及されてしかるべきなのだが、その突然の投げ出し辞任により、ウヤムヤにされてしまったのである。

 

長期政権の「梃子の支点」だった公明党

安倍の首相在任日数は、連続で2822日、通算で3188日に及び、いずれも憲政史上最長となったが、とりわけ、2度目の登板で7年8ヵ月も続いたのは、とにかく、「自公」の存在に尽きる。最初の登板ではわずか1年しか持たなかったが、というのも、07年7月の参院選惨敗で「自公過半数割れ」を喫したのがすべてであり、再登板においても、池田大作を創立者とする公明党(=創価学会)の存在があったからこそ、「自公で参院過半数」が確保し得たのである。確かに、16年7月の参院選では、89年以来、27年ぶりに自民党は「参院での単独過半数」を回復させていたが、とはいえ、追加公認などでやっとこさこぎつけたもので、とりわけ、選挙区の1人区においては「創価学会の全面協力」がなければ、全く立ち行かないわけである。それゆえ、見た目は、公明党(=創価学会)とは最早、完全に「自民党“公明派”」そのものだが、その本質を見据えると、公明党(=創価学会)の存在とは、古代ギリシャの物理学者・アルキメデスが「私に支点を与えよ、されば地球を動かして見せよう」と梃子の原理を解明したごとく、まさに「梃子の支点」に他ならない。

12年12月に「自公」に政権が戻ると、表面的には「アベ1強」という状況を見せていたが、それは「向こう4年、消費税は上げない」と大見得を切って政権の座に就いた民主党が大嘘をついた挙げ句、野党転落後も離合集散を繰り返し、今もってその総括から逃げ続けているため、「政権批判票」の受け皿になり得ていないことからも分かる通り、とにかく、「野党が弱過ぎるだけ」のことである。今回、たまたま安倍を神輿に担いだことで、第2次自公政権は、7年半以上も続いたが、担ぐ神輿が別に安倍以外であったとしても、この「自公」である限り、長期政権であったと筆者は考えている。

安倍の再登板においては、「改憲」と「アベノミクス」をブチ上げたことに集約されるように、「政治の右」と「経済の右」とががっちりと手を組み、その自民党支持層を公明党(=創価学会)が下支えするという構図だった。この間、「政治の右」においては、自衛隊を海外での米軍との共同作戦に連れ出す安保関連法制はもとより、特定秘密保護法、共謀罪と「戦争国家」へと変えるための仕掛けが作られた一方、「経済の右」で言うと、とにかく、大企業を優遇し、法人税減税分の穴埋めに消費税増税を充てることで、格差の拡大と貧困層の増大が一気に進んだ。しかし、これも「自民党単独」では決して成し遂げれなかったことを忘れてはならない。「平和の党」とともに「福祉の党」「大衆の党」を謳う公明党(=創価学会)の存在があったがゆえ、なのである。

 

ムラの論理振りかざし総裁選を圧勝した菅義偉

安倍辞任表明を受け、第2次自公政権では、その安倍の下で一貫して官房長官を務めてきた菅義偉が、主要5派閥の支持を受けたことで、さながら「昭和の自民党」を彷彿とさせるムラの論理を振りかざすことで総裁選を圧勝し、9月16日の臨時国会で新首相に選出された一方、公明党は同27日の党大会で山口那津男の代表7選(1期2年)を正式に決めた。64年に池田大作が公明党を創立して以降、1度たりとも複数候補による党首選が行われたことがないという異常極まりなさは、今回も踏襲され、新幹事長には、前国交相として辺野古埋め立て再開にOKを出していた石井啓一を就けた。

菅新政権は、自民党幹事長の二階俊博、副総理兼財務相の麻生太郎を再任させるなど代わり映えのない布陣となったが(公明党の赤羽一嘉も国交相を再任)、前任の安倍との決定的な違いは、党内基盤の脆弱さである。安倍は最大派閥の細田派(98人)の支持があったのに対し、「脱派閥」を謳う菅は、無派閥とは言いながら、表立って看板は掲げていないものの、どの派閥にも属していない若手中堅議員をかき集めて「菅グループ」を作っているが、それでもメンバーは20数人しかいない。今後、内輪同士で足の引っ張り合いが起こったとき、これは「菅降ろし」に発展しかねない危うさがある。

菅は秋田から集団就職により裸一貫で上京し、小此木彦三郎の秘書から横浜市義を経て衆院議員にまで上り詰めた、最近の自民党では少なくなった「叩き上げ」だが、それで言うと、池田大作と酷似している。けだし、菅というのは、参謀タイプで、根回しや謀略的手腕に長けており、毎月1億円強も計上されている官房機密費を自由自在に操ることで、安倍を支えてきたのではないだろうか。その点では、池田も全く同じだが、ただ、池田の場合は、組織のトップである第3代会長に就任したことで、そうした汚れ仕事に、自分がなかなか直接タッチできなくなっても、52年路線(第1次宗創戦争)で日蓮正宗僧侶の吊るし上げで縦横無尽の活躍を見せた野崎勲や、共産党委員長だった宮本顕治宅の電話盗聴の実行責任者を務めた山崎正友といった有能な手足が、いくらでもいた。ところが、菅の後任の加藤勝信は元大蔵キャリアで、「そつがないが、度胸とアイデアに欠ける」との人物評ゆえ、叩き上げの菅のように睨みを効かせて閣内を締める感じではない。

そこで、公明党(=創価学会)だが、朝日新聞(9月16日付朝刊)によれば、「解散の時期」について、「11月1日に大阪都構想の是非を問う住民投票があり、地元では維新と自民とで賛否が割れて動揺している」として、「ベストは任期満了、ベターは11月中旬以降」との公明幹部の話を紹介しているが、ただ来年夏には都議選があるため、信濃町としては「ベターは『11月中旬以降の年内』」である。相変わらず、自分たちの都合しか考えていないのだが、今後も「安倍路線」が継承される以上、我々心あるジャーナリズムは、彼らに対する監視と批判を今後も怠ってはならない。(文中・敬称略)

 

古川利明(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『デジタル・ヘル サイバー化監視社会の闇』『日本の裏金(上、下)』『ウラ金 権力の味』『「自民党“公明派”」10年の功罪』『「自民党“公明派”」15年目の大罪』(いずれも第三書館刊)など著書多数。

 

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

  • 菅自公連立政権発足―創価・公明に安堵感

・9月16日付『聖教新聞』「自公が連立政権合意」「産業・雇用守るコロナ禍の国難を克服」

「自民党の菅義偉総裁と公明党の山口那津男代表は15日、国会内で会談し、菅総裁の選出に伴い、新型コロナウイルス対策などを盛り込んだ新たな連立政権の合意文書を確認し、それぞれ署名した。

会談後、山口代表は記者団に対し、『自公両党が力を合わせて、連立政権の結束の下、政権合意を実現できるために全力を挙げていきたい』と強調した」

・9月17日付『聖教新聞』「菅新内閣が発足」「国民目線の改革に全力」

「自民党の菅義偉総裁(71)は16日召集の臨時国会で、第99代首相に指名された。この後、皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て、自民、公明両党連立による菅内閣が発足した」

 

※9月15日に菅自民党総裁と山口公明党代表が確認し署名した「連立政権合意文書」。『公明新聞』9月16日付によれば、その前文には「新政権発足に当たり、これまでの安倍政権における政権合意(2017年10月23日)を継承し、国民のための政策をさらに前へ進める」とあり、安倍政権の継承を明示している。その上で、「未曽有の国難」であるコロナ対策等にあたるとして、9項目の政策が掲げているが、その「八」と「九」は次のようなもの。

「八、平和外交と防衛力強化により、国民の生命と財産を守る」

「九、衆議院・参議院の憲法審査会の審議を促進することにより、憲法改正に向けた国民的議論を深め、合意形成に努める」

この政策について、羽田内閣で運輸大臣を務めた二見伸明元公明党副委員長は、16日付のツイッターで、「菅政権は安倍よりも危険だ。自公政権合意が公明党の立党精神を否定しているからだ。政権合意八『防衛力強化により国民の生命と財産を守る』とは具体的には『敵基地攻撃能力』だ。戦争だよ。政権合意九『憲法改正に向けた国民的議論を深め、合意形成に努める』とは憲法改正賛成ということ。学会沈没だよ」と、「政権合意」の内容は、創価学会・公明党のもともとの政治理念に反すると指摘している。

実際、自公両党の「政権合意文書」に盛られた政策で、「防衛力強化が」謳われたとたん、防衛省は、過去最大の5兆4000億円にのぼる防衛費を計上。その中には東京に電子戦の専門部隊の新設まで含まれている。

創価学会の「永遠の指導者」である池田大作名誉会長は、2013年の「SGIの日記念提言」において、「持続可能な未来のために世界の軍事費の半減達成を!」と訴えている。そこには「世界全体で核兵器の関連予算は、年間で1050億ドルにのぼるといいます。その莫大な資金が各国の福祉・教育・保険予算に使われ、他国の開発を支援するODA(政府開発援助)に充当されれば、どれだけ多くの人々の生命と尊厳を守られるか計り知れません」とあり、2010年を基準として、20年後の2030年までに「核兵器の廃絶と、非人道性などに基づき国際法で禁じられた兵器の全廃」とセットで、「世界の軍事費の半減を目指す」ことを強調している。

だが、この提言が出された2013年以降も、安倍自公政権は一貫して防衛費(軍事費)の増強・拡大を続け、いままた安倍政権の施策を継承することを確認した「政権合意文書」で公明党は、「防衛力強化」を容認している。

菅政権の発足を受けて9月21日付『時事通信』は、「公明、菅政権を歓迎 改憲停滞を期待、解散は警戒」との記事を配信し、「公明党は菅政権発足を受け、『菅義偉首相とは考え方が近い。共通の基盤がある』(幹部)と歓迎している。安倍晋三前首相は宿願として憲法改正を掲げ、集団的自衛権行使容認など保守色の強い政策を押し進め、公明党は対応に苦慮してきた。一方で、菅首相は縦割り行政の打破や規制改革に全力を挙げる方針のため、改憲や安全保障分野では公明党に対して強硬姿勢を取らないのではと期待している」と報じているが、公明党の期待どおりになるかどうかは未知数だ。たしかに解散については、コロナ禍で組織の選挙態勢が整わない創価学会の意向に配慮して、年内解散は行わないようだが、「軍事費の半減」や「核兵器禁止条約への署名」についてはどうか。まずは防衛の概算要求5兆4000億円を認め、防衛費の増額を維持するのか、見直すのか、その扱いが試金石だ。

 

  • 公明党全国大会―山口代表無投票7選&菅首相挨拶

・9月28日付『聖教新聞』「公明が希望と安心届ける」「コロナから国民生活守る 全国大会で勇躍の新出発」「山口代表ら再任 幹事長に石井氏が就任」

「公明党は27日、東京・千代田区の都市センターホテルで第13回全国大会を開催し、新型コロナウイルスの脅威から国民の命と生活を守り、一致団結して安全・安心の新時代を築くことを約し合った。大会では山口那津男代表が再任されたほか、本部役員が指名・承認され、幹事長には石井啓一氏、政調会長には竹内譲氏が新たに就任した。あいさつに立った山口代表は『国民のための政策を実行する公明党は、コロナ禍の困難克服へ身を粉にして働き、希望と安心の新時代を築く』と力説。『次期衆院選、再来年の参院選、来年の大型の統一外地方選と、“政治決戦”の連続勝利に向け、怒涛の前進を開始しよう』と呼びかけた」

・9月28日付『公明新聞』「党大会 来賓あいさつ(要旨)公明の政治に拍手 規制改革進め国民のため働く 自民党総裁 菅義偉 首相」

「公明党全国大会のご盛会を心からお祝い申し上げます。安倍政権7年8カ月、公明党には、安定的な政権運営に尽力をいただいた。日本経済の再生、外交安全保障の再構築、全世代型社会保障の実現といった大きな課題に成果を上げることができた。(中略)

私の政治の原点は、横浜市議選に出馬した時、一人でも多くの人に会って市政に対するアンケートを行い、そこから私の考え方を申し上げたことだ。まさに、公明党の皆さんは『大衆とともに』という大きな政治理念の下、全国的なアンケート調査を行っている。重要な問題については、しっかり(国民の声を)吸い上げて、私ども政府に何回となく要請をいただいた。私は、友党・公明党の皆さんの政治に心から拍手を送る者の一人だ。(中略)

私自身、首相として役所の縦割り、既得権益、あしき前例を打破し、規制改革を進め、国民のために働く内閣をつくっていきたい。そのために、友党・公明党の協力を心からお願い申し上げる。山口代表を中心に一致結束し、発展されることを祈念する」

 

※9月27日開催の党大会で、山口代表を無投票で7選した公明党は、これまで同党をリードしてきた大田昭宏元代表・井上義久元幹事長などを引退させ、幹事長に石井啓一元国交相、政調会長に竹内譲代議士を登用するなど世代交代を行った。これは安倍政権から菅政権への政権交代という節目に若返りを図り、党創立者でもある池田大作創価学会名誉会長のXデーの混乱に備えようとの腹積もりと見られる。

というのも、いま創価学会は、11月18日の創立90周年から、創立100周年までの10年間を、“正念場”と強調しているが、これはその期間中に「永遠の指導者」である池田大作名誉会長が死去することを確実視しているからにほかならない。

矢野絢也元公明党委員長は、自公連立政権成立の動機を、90年から3年間にわたった国税庁による創価学会への税務調査にあると指摘しているが、池田氏が死去すれば相続税問題が発生する。当然、国税庁とすれば、90~92年にかけての税務調査で最大の問題であったにもかかわらず、矢野氏をはじめとする創価学会・公明党による妨害行為によって積み残されたため「宿題」となった、創価学会と池田氏の金銭上の公私混同問題を再調査する可能性が高い。

だが自民党議員の中で、もっともパイプが太い昵懇の政治家で、党大会の席上、公明党を「友党」と呼び、その政治姿勢を称賛する菅氏が、首相の座にある限り、国税庁が創価学会への再調査を実施する可能性は低い。おそらく信濃町に蟠踞(ばんきょ)し、組織防衛と保身に汲々としている一部の特権的幹部連中は、菅首相の誕生に胸をなでおろしていることだろう。

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