4月号目次
閻魔帳
コロナウイルス感染問題と森友・桜/浦野広明
特集/創価学会──コロナ禍の活動休止から見えるもの
韓国『新天地イエス教会』のコロナ集団感染で慌てた創価学会の「中止」「延期」「禁止」の数々/斎藤昇一郎
新型コロナで“長期休暇”を体感している創価学会員のつぶやき/段 勲
違和感・疑念・疑問と向き合う時間の重要性/乙骨正生
トピックス
幸福の科学教祖長男の手記発刊 教団とのバトルと長男の評判/藤倉善郎
- 連載
信濃町探偵団──創価学会最新動向
「公明党と創価学会」を考える(第6回)
創価学会「言論出版妨害事件」と国会/平野貞夫
ナニワの虫眼鏡(第10回)
歴史は繰り返すのか 2度の“バブル崩壊”を経験した大阪の惨状/吉富有治
新・現代の眼(第44回)
病膏肓に入る/菅野 完
ヨーロッパ・カルト事情(264)
長州(明治維新)目線とフランス革命目線の相違/広岡裕児
執筆者紹介 編集後記
編集後記から
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、東京では小池百合子都知事が不要不急の外出の自粛や、酒食をともなう飲食店への出入りを、事業者等への補償もないまま要請するという異常な事態に立ち至っています。
そんなさ中の3月29日、コメディアンの志村けんが新型コロナウイルスのために亡くなりました。志村が新型コロナウイルスに感染したと報じられたのが3月21日。「だいじょぶだぁ!」と言っていた志村が大丈夫ではなく、それからわずか1週間で帰らぬ人となった事実は、新型コロナウイルスの危険性を象徴しているといえましょう。
志村はヘビースモーカーで、以前にも肺炎で入院(以後、禁煙)していたということですから、肺炎に対する抵抗力が弱かったのかもしれませんが、読者の皆さまには、手洗い・うがい・外出時のマスク着用など、十分な予防対策を講じられることをお願いいたします。
それにしてもオリンピックが延期になるや、突然、激増した東京での感染者数。なにがなんでもオリンピックを開催するために、政府や東京都は情報操作をしていたことは、まず間違いないでしょう。結局、そのために新型コロナウイルス対策は後手後手にまわり、国民の命は危険に晒され、社会的混乱も拡大の一途をたどっています。
4月1日、病床・人工呼吸器の絶対的不足が取りざたされる中で安倍首相は、全国すべての世帯に1住所あたり布マスク2枚を配布すると表明しましたが、エイプリルフールの下手なジョークかと錯覚するばかりのお粗末さといわざるを得ません。いったい2月12日の記者会見での、来週になればマスク不足は「緩和する」との菅官房長官の発言はなんだったのでしょうか。
国民の生命よりも利権の塊であるオリンピックの開催を優先するかのようなこの国の為政者たちの無慚無愧な姿勢は、森友問題で公文書改竄を強要され自殺した財務省近畿財務局の職員の、遺書を軽侮する姿勢にも一貫しています。
そんな冷酷非情な政府を支えているのが、創価学会・公明党です。
小誌は、今年3月で創刊18年の春を迎えましたが、今後とも宗教と社会・宗教と政治の真実と事実を追究し続けます。
特集/創価学会──コロナ禍の活動休止から見えるもの
韓国『新天地イエス教会』のコロナ集団感染で慌てた創価学会の「中止」「延期」「禁止」の数々
斎藤昇一郎
ジャーナリスト
早々に活動休止を決定
3月下旬の平日、久し振りに信濃町のウオッチングをしようとJR信濃町駅に降り立った。第一目的は昨年の11月、東電病院跡地に出来た『世界聖教会館』の撮影である。聖教新聞の購読部数の低下が叫ばれ、若者には電子版が普及するこのご時世に“ハコ物”を建てた勇気をこの目で確認したかったからである。
信濃町をウオッチングするにあたり、知人の幹部に今の学会の状況を聞いてみた。
組織への打ち出しの第一報は2月28日で、全国全ての会館での会合は3月末日まで行わないばかりか、「3・16記念座談会」、会館での「春季彼岸勤行法要」を始め、「セミナー」や「御本尊授与式」までもが中止だという。ブロックや地区における小単位の唱題会や打ち合わせも含むというから、かなりの厳戒体制だ。
家庭訪問や直接会っての会員への激励も3月15日までは自粛し、電話・メール・SNS・手紙等での激励を奨励している。
第二報の打ち出しは3月16日で、
①家庭訪問や激励は3月末日まで自粛。同3月末日まで会合は中止、会館は閉館
②4月に開催予定の「本部幹部会」は見送りで、衛星中継も行わない
③4月1日からの「任用試験」の申し込みは延期
④4月の「地区統監」は行わない
⑤4月以降の大誓堂で行われる「誓願勤行会」の再開については後日連絡
⑥「上村松園展」が開催中の「東京富士美術館」は全館臨時休館。4月1日以降の予定はホームページでお知らせする
というものだった。
まさにいま創価学会は、「中止」「延期」「禁止」「見送り」のオンパレードなのだ。
風に揺れる「閉館」プレート
しかしせっかく信濃町に来たのだ。
線路沿いにある『信濃平和会館』から探索を開始した。ここは善男善女の会員が自由に「唱題」が出来る会館なのだが、人影はなし。「閉館」のプレートが無常にも風に揺れている。同行のカメラマンが、閑散とした光景にシャッター音を響かせている。
坂を上ってメイン通りへ。右手に『大誓堂』がそびえるが、警備員が数人いるだけだ。
池田先生へのお手紙や贈り物、ときには「広布基金」として「お金」を届ける場所で知られる『接遇センター』も、本部職員らしき人物が手持ち無沙汰にこちらを見ている。2月29日からの休館は本当だったようだ。
外苑東通りに出て、四谷三丁目方向に歩く。通りの向こうに『民音文化センター』があり、その並びに『世界聖教会館』が見える。昨年11月の開館セレモニーへの出席を何度も打診したのだが、「フリーのマスコミ関係者はお断りしています」(広報室)とアッサリ振られている。今日の撮影取材も、外観を撮るしかない。間口の割には奥行の長い、まさに“鰻の寝床”のような建物を撮影する。
建物を眺めながら、ふと思った。「中止」「禁止」「延期」の学会において、あの過酷といわれる新聞啓蒙はどうなっているのか。通達の中に「3月、4月の新聞啓蒙は自粛して下さい」の言葉は無かったはずだ。
私に新聞啓蒙をした、婦人部員に聞いてみた。「電話で啓蒙活動をしていますよ。ノルマの未達成? 大丈夫。目標は年間目標だから、1~2カ月間の未達成なんて、年内に挽回しますよ」。明るい声だ。聞けば、新型コロナウイルスの一日も早い収束を願って、「いま、お題目をあげていたの」だという。末端の会員は、ことに婦人部員は何とも健気だ。
「今回の休み? 皆、せいせいしているみたい」。「活動が再開されても、当分エンジンはかからないと思う」。壮年部員に聞くと、答えはガラリと違っていた。
中止を「先手必勝」と豪語する理事長
駅の近くに戻り、昼食をとろうと寿司処『信濃町 満月』の暖簾をくぐる。
かつてこの店で中国の元駐日大使・程永華氏が当時の池田名誉会長から数々の激励を受けたと聞く。雰囲気を知ろうと、以前から訪問を願っていた店なのだ。まだ午後の1時半だというのに、2階の広い店内には3組の客しかいない。
席に着くと、一つテーブルを挟んだ隣の席に聖教新聞で見覚えのある人物が、3人連れで座っている。同行のカメラマンが小声で、「あれは確か、長谷川重雄理事長では」と囁く。確かにあの薄っすらとした頭髪は更迭を噂された正木正明氏の後任理事長になった、長谷川重雄氏のようだ。
長谷川氏といえば、思い出すことが一つある。
“関西創価学会の良心”と言われた元本部職員、故・友岡雅弥氏の「証言」を後輩たちがまとめた『妙法の万葉集』を最近読み、衝撃を受けたからだ。証言の中に、友岡氏は長谷川氏から何度も査問を受け、苦渋の中で亡くなったとある。加害者と名指しされた人物が、すぐ隣でニコニコ顔で座っているのだ。
長谷川理事長と同席しているのは古い学会員夫妻なのだろうか。かくしゃくとした白髪の老人と品のある婦人が歓談していて、そこに「弁当」が運ばれて来たところだった。聞くとはなしに、耳を傾ける。
「今回のコロナウイルス。創価学会は世界の宗教団体に先駆けて、会合を一切中止しました。先手必勝です」、と長谷川氏の声。
そうか創価学会は韓国の大邱市にある『新天地イエス教会』の集団感染・クラスターを恐れて、全国の会館を閉鎖したのだ。「イエス教会」の女性信者が発熱したのは2月10日で、その後も大邱市の教会に4度礼拝に訪れている。
2月28日の創価学会の「組織への打ち出し第一報」は、かなり慌てた末の決断だったことが判る。多分学会の執行部は、「イエス教会」の教祖が土下座して謝罪をする姿が世界中に発信された姿を見て、土下座している教祖が原田稔会長の姿に二重写しに見えたのではあるまいか。
テレビで見る限り「イエス教会」の会合は前後左右に隙間が無く、信者は床の上に直接座っている。創価学会の一般的な会合でも、かなり詰め合って畳の上に直接座る。大声で学会歌を唄い題目を唱える会合は、まさにウイルス感染の温床になると判断したのだろう。しかも活動家は会合が終わると、家庭訪問を励行する。「イエス教会」のクラスターは対岸の火事ではなく、足元の火に見えたことだろう。
組織実態を投影する「弁当」
我々も1600円の「弁当」を注文したときだった。
老夫婦が不思議な物を見るかのように、「弁当」に見入っている。長谷川氏が店員を呼び、「お刺身にワサビが付いていないよ」と笑顔で話し掛けている。そういえば、店全体の雰囲気が妙にユルイ。調理室からは板前の世間話、プロ野球の開幕話が客席にまで聞こえてくる。この店は学会本部の系列店だと聞く。その店に創価学会ナンバー2の理事長が来店しているのだ。それなのに、この緊張感の無さはどうしたことか。それとも長谷川理事長は店員たちに、「軽い人物」と見なされているのだろうか。
「弁当」が出てきて、老夫婦の不満の意味が判った。たかが弁当なのだが全体を見て、「ああ、旨そうだ」と思わせる作者の心意気がどこを探しても見当らないのだ。そして驚くなかれ、我々の弁当の刺身にもワサビはついていなかった。
「これはショウカドウ弁当ではなく、ソウカドウ弁当だよね?」
カメラマンのオヤジギャグにも反応はナシ。ワサビを付け忘れた刺身……。緩みっぱなしで締まりのない、まるで与党ボケしたいまの創価学会・公明党のような“ソウカドウ弁当”だった。
斎藤昇一郎(さいとう・しょういちろう)フリージャーナリスト。1960年生まれ。週刊誌、雑誌記者を経てフリージャーナリストに。宗教、政治分野を中心に執筆中。
信濃町探偵団──創価学会最新動向
- 新型コロナウイルス対策で公明党を評価・礼賛
・3月21日付『聖教新聞』「座談会 皆が前進!皆が人材!」
「長谷川(理事長)新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。学会としても、20日付の聖教新聞で伝えられた通り、4月19日まで『会合中止』『会館閉館』及び『訪問・激励自粛』を、延長することとなりました。(中略)
原田(会長)政府の『専門家会議』は、専門家の知見と根拠に基づいた政策判断や情報発信を推進する観点から公明党が政府側に設置を求め、実現したものです。
西方(男子部長)今月10日発表の緊急対応策第2弾などの政府の施策にも公明党の提案が大きく反映されました。例えば1・6兆円規模の手厚い資金繰り支援策です。これは、経営への影響を受けている中小企業・小規模事業者を支援する措置です。
永石(婦人部長)臨時休校で、子どもの世話のために仕事を休んだ保護者に向け、休業補償の申請受け付けも3月18日に始まりました。これについて、公明党はフリーランスや非正規労働者の方も支援できるよう、政府に提言し、実現させています。
長谷川 新たな経済政策についても山口代表は『さまざまな意見を聞き、今一番、傷んでいるところ、困っているところに、しっかり手が行き届くような対策を公明党として考えていきたい』『インパクトのある効果的な対策をまとめ上げたい』と力説しています。
原田 公明党には人々の健康、暮らしを守るため、大きく手を打ち、どんどん政策を実現してほしい。こんな時だからこそ、ネットワーク政党の本領発揮がいっそう求められます」
※新型コロナウイルスの感染拡大によって、東京・大阪は不要不急の外出自粛要請が出され、日本医師会からは、「緊急事態宣言」の発令を求める声まで出ている。「緊急事態宣言」は、憲法が保障する基本的人権を制約する恐れが強いことから、慎重であるべきだが、それにしても後手後手だったのが日本政府=自公連立政権の新型コロナウイルス対策。しかし、自公連立政権の支持基盤で、公明党の組織母体の創価学会は、後手後手だった政府の姿勢を批判するどころか、むしろ新型コロナウイルス対策の各場面で、公明党が活躍していると評価し、喧伝しているのだから呆れるしかない。
いまや国民や中小零細業者に自粛を強要する一方で、なんの補償もしようとしない国や東京都に対する不信と怨嗟の声が出始めているが、創価学会の最高幹部は借金でしかない融資・貸し付けを評価。休校に伴う保護者への補償についても、企業の正規職員に比べてフリーランスなどへの補償は半額以下というお粗末さにも言及することなく、これを評価している。
当然のことだが、経済対策としての消費税の減税や国民への現金給付には触れようともしない。税制上の優遇措置を受けていながら、税務調査を妨害した公益法人としては、下手に口を出して巨大宗教法人課税などの藪蛇になっては困るということなのだろう。姑息であざとい姿勢といわざるをえない。