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2月号

2月号目次

 

閻魔帳

公明党の自殺行為、名護市長選挙での反平和/川﨑泰資

 

特集/沖縄・ICAN対応に見る創価の保身戦略

 

口先だけの「核廃絶」を飽きもせず唱える「創価学会=池田大作」の欺瞞の極み/古川利明

創価学会・公明党と沖縄・名護市長選 「核兵器禁止条約」の立ち振る舞い/段 勲

票のために辺野古を取引した創価学会──不正義の報いは必然/乙骨正生

 

トピックス

現代における宗教者の使命とは──総選挙以降の2つの潮流/柿田睦夫

トピックス

東京高裁が統一教会・家庭連合の組織的不法行為を認定/鈴木エイト

 

 

  • 連載

信濃町探偵団──創価学会最新動向

新・現代の眼(第18回)

覆水盆に返らず/菅野 完

ヨーロッパ・カルト事情239

国会報告「健康の分野におけるセクト的性格の運動の影響」(6)/広岡裕児

執筆者紹介  編集後記

 

 

 

編集後記から

1月22日に召集された第196通常国会。その冒頭25日の衆議院代表質問で、日本共産党の志位和夫委員長が、沖縄で相次ぐ米軍機の事故に言及した際、自民党席から「それで何人死んだんだ」とのヤジが飛びました。

ヤジの主は松本文明内閣府副大臣。かつては沖縄北方担当の内閣府副大臣も務めた人物です。翌26日、松本副大臣は「誤解を与えた」として辞任しましたが、辞任は、1月28日告示・2月4日投票の沖縄県名護市長選挙への悪影響を恐れた安倍首相の判断による、事実上の更迭だったと報じられています。

18人の死者と210人もの負傷者を出した宮森小学校への在日米軍戦闘機の墜落事件(昭和34年)を持ち出すまでもなく、また沖縄全県が怒りに震えた平成7年の米兵少女暴行事件に象徴されるように、沖縄は在日米軍基地があるための数々の事件・事故に見舞われてきました。その問題を質す国会質問に対して、「それで何人死んだんだ」とのヤジを飛ばす人物が、選良として国会に席を置く資格があるとはとうてい思えませんが、松本氏は議員辞職を否定。「沖縄に寄り添う」という安倍首相や自民・公明もこれを容認しています。

その沖縄の名護市長選挙で、公明党は、自民党とともに在日米軍海兵隊普天間飛行場の名護市辺野古への移設を容認する渡具知武豊候補を推薦、創価学会も沖縄の組織あげて渡具知候補を支援しました。告示を2週間後にした1月10日には原田稔会長が沖縄入りし、全面支援の態勢を強化。山口那津男公明党代表は「激戦突破へ総力をあげる」とし、渡具知候補の推薦を決めた公明党沖縄県本部の金城勉代表も「公明党は、とぐち氏の勝利へ、死力を尽くして戦い抜く」と異常なまでの執念を見せました。

創価学会の池田大作名誉会長は、沖縄が平和の島であって欲しいとの願いを込めて『人間革命』の執筆を沖縄で始めたということですが、その『新人間革命』第13巻「楽土」の章では、「核も、基地もない、平和で豊かな沖縄になってこそ本土復帰である」と、沖縄の本土復帰に関する自らの信念を披瀝しています。

「永遠の師匠」(会憲)である池田氏が「核も、基地もない」沖縄を指向する一方で、普天間飛行場の辺野古新基地移設に賛成する候補を組織の総力をあげて支援する創価学会・公明党。名護市長選挙をめぐる創価学会・公明党の動きに、混迷・混乱する創価学会のいまが透けて見えます。詳しくは特集を。

特集/沖縄・ICAN対応に見る創価の保身戦略

 

口先だけの「核廃絶」を飽きもせず唱える「創価学会=池田大作」の欺瞞の極み

古川利明

ジャーナリスト

 

谷川佳樹の「壮年部長就任」は詰め腹?

2018年が明けて早々、普天間基地の辺野古移設の是非が最大争点ゆえに、準国政選挙と位置付けられる沖縄県名護市長選(2月4日投開票)に向けて、創価学会は組織を固めるべく、会長の原田稔が現地入りしたことを、1月11日付聖教新聞が報じている。記事によれば、前日の1月10日、恩納村の沖縄研修道場であった沖縄総県代表幹部会で、原田は「沖縄広布の栄光の新時代を洋々と開きゆこう」と語ったというのである。ここで「広布」、すなわち、「広宣流布」とは、「選挙戦で票を獲得して勝つ」という意味ゆえ、現職で3選を目指す野党系の稲嶺進に対し、自民党が既に推薦し、昨年末になって公明党がようやく推薦を決めた新人の前自民系同市議・渡具知(とぐち)武豊への「血より濃い自公の絆」を確認したうえで、創価学会挙げての支援を改めて指示したと言える。

そこで本題から少し外れるが、この1月7日付聖教新聞に新人事が載っており、これまで事務総長だった主任副会長の谷川佳樹(56年生まれ)が「壮年部長」に就いている。前任は今回、総東京長に昇格した、計8人いる同じ主任副会長の萩本直樹(53年生まれ)で、秋谷栄之助の後任会長に原田が就いたのと同じ時期の06年11月から、このポストにあった。この壮年部長は同じ06年11月に創価学会理事長となっていた正木正明が、それ以前に就いていたポストであり、大きな声では言えないが、「次期会長の聴牌(テンパイ)」としては軽過ぎるのである。で、今回の人事で、09年の総選挙での公明党惨敗後の同年10月から、要するに「選挙の持ち場」として、谷川は「総東京総合長」のポストにあったが、これも同じく主任副会長で前・総東京長の金澤敏雄(53年生まれ)が、今度の新人事で谷川の後任に就いている。東京はその戦略的重要性から、単独で「方面」にあたるが、谷川は今回、その「総東京」における方面長に相当するラインの役職(=総東京総合長)を剝奪されており、傍目には「降格」、もしくは「棚上げ」と映る。

折しも、昨年末の12月30日夕、信濃町の学会関連施設にナイフ(刃渡り14センチ)を持った少年(19歳)が柵をよじ登って中に侵入し、警備の学会員に引き戻された際、その2人の腕や腹に切りつけて、けがを負わせたとして現行犯逮捕され、四谷署に引き渡される事件が起こっている。学会内部で流れている話では、この少年は、施設警備にあたる男子部内の「牙城会」のメンバーで、現場で侵入しようとしていた関連施設とは、池田大作が自宅として使っている「第二別館」だったとの情報がある。もし、事実であれば、トンデモないことだが、しかし、今回の新人事を見たとき、そのあまりにもタイミングの符合ぶりに、じつはこの情報は「本当」で、ゆえに「池田先生の顔に泥を塗りやがって」と逆鱗した原田が、谷川に「その詰め腹を切らせた」との筆者の見立ては、穿ち過ぎだろうか。

 

十八番の「言行不一致」体質あらわに

話を戻して、今回、沖縄入りした原田が出席して沖縄総県代表幹部会が開かれた恩納村の沖縄研修道場だが、聖教新聞記事では、池田大作が83年3月、この沖縄研修道場を初訪問してから今年は35周年で、そのとき、池田は敷地内のミサイル基地跡を視察し、「永遠に残そう!」「この場所を『世界平和の碑』にしよう!」と提案したとある。今回の記事では詳しく触れてはいないが、この沖縄研修道場のあった一帯は、じつは、かつては米軍基地で、とりわけ、35年前に池田が覗き込んでいたように、そこには「メースB」と呼ばれる核弾頭搭載可能な有翼ミサイル(射程1930キロ)の発射口があったのである。メースBの発射口は沖縄県内4ヵ所にあったが、この恩納村にあった「嘉手納第4サイト」だけが返還後も撤去されずに残され、跡地は転売の末、76年に創価学会が入手していた。米軍統治下の沖縄で核兵器が配備されていたのは公知の事実で、メースBなどはその一端でしかなったのだが、それはともかく、このときの池田のツルの一声で、このメースBの発射口跡を取り壊さないで保存することを決め、現在は、6体のブロンズ像が立つ「世界平和の碑」に改装することで、例の「反戦平和」に「核廃絶」を池田大作と創価学会が声高に唱える際のダシとして、使い倒しているのである。

折しも、昨年ノーベル平和賞を受賞したNGO「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」の事務局長のベアトリス・フィンが来日し、1月16日には国会内で与野党代表と討論会を行っていた手前、その谷川の「壮年部長就任」が発表された1月6日の全国総県長会議の場では、SGI平和運動総局長の寺崎広嗣が「核兵器禁止条約には、SGIの提案も反映されており、これを機に『核は絶対悪』の声を一段と」と話したことが翌日付聖教新聞に載っている。核兵器の使用や保有、製造、開発はもとより、「使用するとの威嚇」も禁じた核兵器禁止条約が国連で採択されたのは、昨年7月7日である。ところが日本は、唯一の被爆国であるにもかかわらず、世界最大の核兵器保有国であるアメリカの顔色をうかがって、何と、他の核保有国などと一緒に、条約の交渉には最初から参加せず、ボイコットを決め込んでいたのである。

このように「言ってることと、やってることの間に整合性がない」というのは、じつは「創価学会=公明党」の十八番でもあるのだが、事実、ICAN事務局長のフィンが出席した与野党代表との討論会で、同条約への賛同を明確にしたのは共産、自由、社民、沖縄の風の3党1会派だけで、その「核廃絶」を口酸っぱく唱える池田大作を「創立者」と仰ぐ公明党の代表・山口那津男は「長期的視野から同条約の趣旨には賛同するが、現実には核保有国と非保有国が協力し、ともに解決しなければならない」と、相変わらず、煮え切らないことを述べるにとどまった。本来であれば「同条約の国会批准に向け、連立与党の責任として安倍首相を必ず説得する」と言いきり、その通り実行しなければならない。

 

「一晩で核保有は可能」な日本を容認

そこで、今年の7月16日で30年の有効期限を迎える日米原子力協定が、その6ヵ月前の1月16日までに双方が破棄を通告しなかったことにより、それ以降は「自動延長」されることが、事実上、確定した。要は、あの日米安保条約と同じで、いちおう、条文上では、今後も日本から事前に破棄を通告することはできるが、実態としては、安保条約と同様、半永久的に継続するとみなしてよい。この日米原子力協定とは、米原子力法に基づく二国間協定で、かいつまんで言えば、「アメリカがウランを日本に供与するにあたって、様々な制約を課したもの」である。本来であれば、アメリカの指示に従って、箸の上げ下ろしまで言う通りにしなければならないところ、核保有国以外では、日本にだけ例外的に「使用済み核燃料の再処理」という名の「プルトニウム抽出の自由」を認めているのである。

そうした「核保有国並みの特権」をアメリカに認めさせるにあたって、30年以上前の首相・中曽根康弘の時代の改定交渉ではいろいろとあり、それは一言で言えば、オモテにはほとんど出ていないが、日本は「機微核技術」を完璧なまでに確立させているからである。「機微核技術」とは、核兵器製造に直結しているウラン濃縮に始まり、高速炉におけるプルトニウム生産、そして、原発の使用済み核燃料からプルトニウムを抽出する再処理を指す。動燃(現・日本原子力研究開発機構)が手がけた高速炉「常陽」「もんじゅ」では、既に純度99%超の世界でも最高レベルの軍用プルトニウムの生産に成功しているし、また、電力会社や三菱重工をはじめとする原子炉メーカーなどで作る「レーザー濃縮技術研究組合」は、年10発以上の原爆を製造する量のプルトニウムを抽出できるだけの「原子法」と呼ばれるレーザー濃縮技術を完成させている。オバマ政権下の副大統領バイデンが「日本がその気になれば、一晩で核保有は可能」と米メディアで喋っていたことは、全くその通りで、使用済み核燃料の再処理によって、長崎型原爆6千発以上に相当する約47トンものプルトニウムを溜め込んでいる日本は、既に「潜在的核保有国そのもの」なのである。

じつは、三菱グループ元首脳は筆者の取材に、そのレーザー濃縮技術の原子法がアメリカやフランスに移転されている可能性を暗に認めており、最早、日本の機微核技術は「日米軍事同盟の生命線」と断言してもよい。だから、日米原子力協定が自動延長されているのである。「核廃絶」とは、こうしたところから含め、その根を完全に断ち切ることだが、飽きもせずに口先で「それ」を唱えるだけの「創価学会=池田大作」の欺瞞の極みこそ、我々心あるジャーナリズムは、徹底的に批判しなければならない。(文中・敬称略)

 

古川利明(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『デジタル・ヘル サイバー化監視社会の闇』『日本の裏金(上、下)』『ウラ金 権力の味』『「自民党“公明派”」10年の功罪』『「自民党“公明派”」15年目の大罪』(いずれも第三書館刊)など著書多数。

信濃町探偵団──創価学会最新動向

 

  • 大誓堂の新年勤行会写真が示す創価学会の実態

・1月4日付『聖教新聞』「新年勤行会で『栄光の年』を出発 池田先生が歌とメッセージ贈る」

「『世界広布新時代 栄光の年』が晴れやかに幕を開けた。新年勤行会が、完成5周年を本年11月に迎える広宣流布大誓堂(東京・信濃町)をはじめ、日本と世界の各地で1日を中心に開かれ、池田大作先生が、新春の歌とメッセージを寄せた。池田先生の卒寿(90歳)の誕生日である2日には、イタリア・トゥルシ市が先生に、韓国・天安市が先生と香峯子婦人に対する名誉市民称号の授与式を、同時刻に開催。世界各都市から先生に贈られた名誉市民称号は800となった」

 

※今年を「世界広布新時代 栄光の年」と位置づける創価学会は、元日の新年勤行会で1年のスタートを切った。1月4日付『聖教新聞』1面には、「1日午前に広宣流布大誓堂で行われた新年勤行会。原田会長、長谷川理事長、永石婦人部長ら各部の代表が集い、世界宗教として飛躍を期す“栄光の年”の勝利を深く祈念した」とのキャプション付きで、新年勤行会を撮影した写真が大々的に掲載されたが、同写真は創価学会の現実を赤裸々に示す興味深いものだった。

新年勤行会の様子を壇上左上から俯瞰するかのような構図の写真には、壇上中央に勤行の導師をする原田会長の姿が。その左脇には長谷川理事長や池田・谷川両主任副会長ら10名ほどの男性幹部が陣取り、右脇には同じく永石婦人部長ら10名ほどの女性幹部の姿がある。一般席の最前列には、久本雅美、岸本加世子、山本リンダ、島田歌穂、田中美奈子などの芸術部のいつもの面々が顔を並べ花をそえている。一見すると華やかに行われているかのように見える新年勤行会だが、写真を仔細に見ると後方座席は数列にわたって空席であることがわかる。

総本部の大誓堂で新年最初に行う勤行会、しかも昨年に制定施行した「会憲」で、その権限を大幅に強化した「会長先生」が出席している勤行会を、当初からガラガラでやるつもりだったのか、それとも入場券を所持してはいたが出席を見送る幹部がいたのかどうかは分からないが、一見、盛会に見えて、その実スカスカという“上げ底”勤行会は、皮肉にも創価学会の現状・実態を写し出してしまったといえよう。

なぜなら「世界宗教として飛躍」とか「栄光」とか、掛け声は勇ましいものの、創価学会の勢力は減少傾向にあることは、昨年10月の衆議院選挙の結果からも明らか。それだけに一見華やかに見えるものの、よく見ると後方座席はガラガラという新年勤行会写真は、あたかも世界に向けて発展しているかのような幻想を振りまくものの、実態は勢力の後退に戦々恐々とする創価学会のいまを象徴するものであるからだ。

その新年勤行会にあたって池田大作名誉会長は、「未来に向かって、地涌の菩薩を一段と呼び出そう」と、会員の獲得に拍車をかけるようハッパをかけた。「地涌の菩薩」とは、法華経の従地涌出品に説かれる釈尊滅後の弘教を誓う菩薩で、創価学会は学会員をこの「地涌の菩薩」と位置づけている。要するに池田氏は、新年早々、学会員を一段と増やそうと呼びかけたのだ。

昨年11月10日の全国総県長会議の席上、原田会長は、創価学会総本部・広宣流布大誓堂建立5周年の佳節にあたる今年平成30年の「最重要課題」は“折伏・弘教”と“活動家の育成”だと強調。とくに「学会の永遠性を確立」するためには「学会活動に励む人をいかに増やすか」が急務であるとし、宗教コングロマリットである創価学会の顧客である会員の獲得(折伏・弘教)と、財務(集金)、新聞拡販(聖教啓蒙)という経済的利益や、政治的影響力を生み出す選挙闘争(集票)に挺身・従事する活動家の育成を訴えた。

新年勤行会への池田メッセージや全国県長会議での原田発言は、公明党比例区票が顕著に示す勢力の後退という現実に対する創価学会の危機意識にほかならない。

 

  • ICANを最大限利用

・1月18日付『聖教新聞』「力を合わせ『核兵器なき世界』を」「2017年のノーベル平和賞 ICAN事務局長が総本部へ 原田会長、池田主任副会長らが歓迎」

「2017年のノーベル平和賞を受賞した国連NGO『ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)』のベアトリス・フィン事務局長、川崎哲国際運営委員が17日午後、東京・信濃町の総本部を訪問。原田会長、池田主任副会長、笠貫SGI女性部長、寺崎同平和運動総局長らが歓迎し、『核兵器のない世界』の実現に向けて、一段と協力を深めていくことを約しあった」

「語らいでは、原田会長が、昨年7月に国連で採択された『核兵器禁止条約』の実現におけるICANの貢献を賞賛。また2007年以来の国際パートナーであるSGIにとっても、ICANのノーベル平和賞受賞は大きな喜びであると語った。

フィン事務局長は、『祝意の言葉をいただき、ありがとうございます。ですが、皆さんもICANですから、私からも、“おめでとうございます”と申し上げたいと思います』と笑顔で応じつつ、核兵器の非人道性に対する認識の国際的な普及や宗教コミュニティとしての取り組みの中で、SGIが大きな力になってきたと言及。『友情に根ざしたICANとSGIの緊密な連携が、禁止条約の実現、またノーベル平和賞の受賞につながったと思います』と述べた」

 

※国連での核兵器禁止条約の採択に尽力したICANの事務局長が来日し、核兵器禁止条約に反対し、条約交渉会議も欠席した日本政府に、核兵器禁止条約に参加するよう訴えた。日米同盟を基軸とする核抑止力で日本の安全保障を担保しようと考えている安倍首相はフィン事務局長との面会を拒否。日本政府は核兵器禁止条約への参加にも否定的姿勢を崩そうとはしない。いまや自民党の最大の支持団体で、公明党の組織母体である創価学会が、本当に核兵器の廃絶を願っているのであれば、とるべき行動はひとつ。日本政府・安倍自公政権に核兵器禁止条約への参加を働きかけることだ。

 

  • 卒寿が書いた??SGIの日記念提言

・1月26日付『読売新聞』「創価学会が平和提言」

「公明党の支持団体である創価学会は、昨年7月に国連で採択された核兵器禁止条約について、日本政府が参加に向けて意思表明を行うよう求める提言をまとめた。『平和提言』として池田大作名誉会長名で26日に発表する。核保有国は、同条約が非現実的だとして参加せず、日本も同調した」

・1月26日付『朝日新聞』「池田大作氏が平和提言へ」

「創価学会の池田大作名誉会長は26日、唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約への参加を求める『平和提言』を発表する。国連の持続可能な開発目標(SDGs)を前進させるために、中国と連携して地球温暖化対策を強化することも提唱する」

・1月26日付『毎日新聞』「創価学会名誉会長が平和提言」

「創価学会の池田大作名誉会長は25日、『人権の世紀へ 民衆の大河』と題する平和提言をまとめた。日本政府に対し、唯一の被爆国として核兵器禁止条約への参加に向けた意思表示をするよう求めている。また、世界で最も高齢化率が高い日本で第3回『高齢化世界会議』を開催することを提唱した」

・同『東京新聞』「核兵器禁止条約に参加を」

「創価学会の池田大作名誉会長は二十五日、国連で昨年七月に採択された核兵器禁止条約に参加していない日本政府に対し、唯一の戦争被爆国として参加を検討する意思表明を行うよう求める平和提言をまとめた。二十六日に発表する。提言では『核兵器のない世界』に向けた建設的な議論を求め、核兵器による惨劇を起こさないためにも日本が国際会議の場で核軍縮の機運を高める旗振り役となるよう呼び掛けた。

このほか①平和・軍縮教育の推進②難民や移民の子どもたちへの教育機会の確保③高齢者の人権を守る国際的な取り組みの推進−に言及。日本と中国が連携し、地球温暖化対策を強化する重要性も訴えた」

・1月26日付『産経新聞』「創価学会・池田名誉会長が平和提言へ」

「創価学会の池田大作名誉会長は26日、『人権の世紀へ 民衆の大河』と題する平和提言を発表する。昨年、国連採決された核兵器禁止条約で、日本が先頭に立ち参加の意思表明を行うよう呼びかける一方、難民・移民に関する枠組み作りをめぐり児童の『教育機会確保』を重要課題に盛り込むよう訴えた。高齢者の尊厳を守る人権保障の重要性も指摘。また、国連の持続可能な開発目標の前進へ日中連携も提言した」

 

※今年もまた1月26・27の両日にわたって『聖教新聞』に「池田大作創価学会インタナショナル会長」名義の「SGIの日記念提言」が紙面を飾った。大版の『聖教新聞』8ページ分の大提言。これを1月2日に90歳となった池田氏が執筆したというのが創価学会の建前。

読売・朝日・毎日・産経・東京などの新聞メディアは今年もベタ記事扱いで同提言を報道した。このうち『読売新聞』は昨年来、「創価学会が平和提言」と打ち、「池田名誉会長名で26日に発表する」と事実に即した報道姿勢を見せているが、他の新聞メディアはあいかわらず「創価学会の池田大作名誉会長は」と、池田氏が提言をまとめたかのような報道に終始している。

今年の提言内容は、昨年7月に国連で採択された核兵器禁止条約への対応が中心となっており、核兵器禁止条約に反対し、条約会議にも出席しなかった日本政府に核兵器禁止条約に参加するよう求めるものとなっている。

もっとも核兵器禁止条約に反対した日本政府=安倍自公政権を構成するのは、自らが創立した公明党。しかし池田氏は、公明党を叱ることはなく、淡々と日本政府に核兵器禁止条約に参加するよう求めている。

池田氏は、恩師と仰ぐ戸田城聖創価学会二代会長の原水爆禁止宣言を創価学会の平和運動の原点だと強調。核兵器の廃絶を声高に叫んできたが、日本政府が核兵器禁止条約の採択で反対票を投じた際には沈黙。今日に至ってようやく参加を促すとは……。大仰な提言で、宗教者然として核兵器禁止を強調する池田氏。その欺瞞性と提言内容の検証は3月号で。

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