特集/創価学会の国際感覚―そのご都合主義と謀略性

日中友好を勢力拡大に利用する池田創価学会

2005-5-15

乙骨正生 ジャーナリスト


 尊敬・謝罪・補償を強調

 平成11年4月12日、創価学会の池田大作名誉会長は、東京都港区にある中国大使公邸に陳健駐日中国大使を表敬訪問したが、その際、陳健大使に次のように語ったと「聖教新聞」は報じている。
 「貴国に対する創価学会の姿勢は一貫して変わりません。文化の大恩の国であり、日本は心から尊敬し、侵略の大罪を誠心誠意、謝罪し、償っていかなければならない。
 日本に対して、貴国が戦争賠償の請求を放棄してくださったおかげで、今日の日本の経済発展もあります。
 もしか、日本が歴史の真実を見つめることなく、“傲慢”になり、貴国との友好を損なうような方向に行ったならば、日本自体が衰微していくことでしょう」(平成11年4月13日付)
 1中国を尊敬し、2侵略の歴史を謝罪し、3補償し続けていかなければならないと強調する池田氏は、中国に対する「創価学会の姿勢は一貫して変わりません」と述べているが、たしかに中国に対する池田氏ならびに創価学会の姿勢は、今日においても不変のようだ。というのも池田氏は、3月下旬、「聖教新聞」紙上に「創価大学創立者第2回特別文化講座 革命作家・魯迅先生を語る」を上・中・下の3回にわたって掲載したが、その中で(「下」3月24日付「聖教新聞」)創価大学生らに対して「正しき歴史観を持て」と次のように強調しているからだ。
 「1977年の5月、私は第10次の訪中で、大発展を遂げる上海を訪れた。招聘をいただいた上海大学のキャンパスは、かつて日本軍の攻撃で、破壊しつくされた場所である。銭偉長学長は言われた。
 『中国と日本は、力を合わせて、偉大なる東アジアを建設すべきです。唯一、残念なのが日本の軍国主義なのです。日本は正しい歴史を若い人に教えるべきです』
 今年は戦後60年。青年に正しい歴史観を!世々代々の友好を!――時代がどう変わろうと、創価大学は『日中友好の大道』『世界平和の大道』を誠実に進みゆくことを明確に宣言しておきたい」
 こうした池田氏の指示・指導に基づき、創価学会は中国礼賛と迎合を繰り返している。例えば今年3月28日から4月6日にかけて、中華全国青年連合会から派遣された中国青年代表団が創価学会青年部の招聘を受けて来日、全国各地で創価学会の青年部と交流を重ねたが、4月3日に広島市にある創価学会施設・広島池田平和会館で行われた平和座談会の発言からも、そうした事実が確認できる。その席上、創価学会の河合青年平和会議議長と中国青年代表団の張団長は次のような発言を行っている。まずは河合青年平和会議議長。
 「正しき歴史観に立ち、中国を尊敬しつつ、感謝する心を持つこと。戦後60年、両国の永遠の友好と平和創造の決意を込め、貴国に対する日本の非道を深くお詫びします。三代会長の平和への精神を継承し社会に訴えることこそ、青年部の平和運動の根本です。本日お集まりの皆さまと力をあわせて、両国の友好のため前進してまいります」(4月11日付「聖教新聞」)
 これに対して中国青年代表団の張団長は、「人類は、歴史への眼差しをもち、反省してこそ進歩するのです。特に、『勇気ある反省』が人類の未来を開きます」「子どもの頃から『正しい教育』を行うことです。正しい歴史を何世代にもわたって継承することが大切です」(同)などと発言した。
 昨年、中国で行われたサッカー・ワールドカップ予選において、全日本チームは、激しい反日の洗礼を浴びた。そして広島での平和座談会の直後から中国では反日の嵐が吹き荒れ、北京・上海などで反日デモが頻発。日本大使館や総領事館、そして日系企業などが襲撃され、上海に留学していた日本人学生に対する暴行事件も生じた。
 一連の反日デモでは、日本に日中戦争の侵略の事実を反省、謝罪し「正しい歴史観」を持てとのアピールが繰り返し声高に叫ばれた。
 日本国内では、大使館等への破壊行為を中国当局が黙認したこともあって、中国の姿勢に対する批判が噴出。特に愛国教育の名のもとに行われている反日教育への批判が高まっている。また戦後の日本は、戦前の日本とは異なり平和国家としての道を歩んできたこと、さらには、村山談話に代表されるように日本政府は過去に17度(ロンドン・タイムズによる)も謝罪していることや、戦時賠償に代わるODAや円借款で中国の社会資本整備に多大な貢献をしている事実などを、きちんと主張すべきだなどの声があがっている。

 勇気と先見の行動?

 だが創価学会は、破壊行為を含む異常な反日デモについても、これを批判しないばかりか、反日デモの事実にすら言及せず、4月23日の日中首脳会談の結果、中国政府が違法デモを取り締まる姿勢を示し、事態が沈静化した後の4月27日になって初めて、「聖教新聞」掲載の首脳幹部らによる座談会記事で、「政治外交で立ち遅れた日本」「日――中関係悪化が国際問題に」と日中問題に言及。いかに池田氏が日中友好に貢献してきたかを次のように強調した。
 「原田(副理事長)それにしても、今の焦点は、何といっても日本と中国の関係だ。国際的にも大問題になっている。
 青木(理事長)今の状況が続けば、日本も中国も、決して得はない。これは確かだ。
 大川(墨田区副総合長・元公明党参議院議員)その通りだ。先日(4月23日)、やっと両国の首脳会談が実現した。しかし、予断は全く許さない。マスコミでも連日、報道されている。
 青木 日中関係の歴史に詳しい識者が心配し、私にこう語っていた。『国連の首脳も指摘していたが、今、大事なのは、両国に橋を架ける存在だ。かつて日中に国交すらなかった当時、その役割を創価学会の池田大作会長が果たした。国と国の関係において、意見の衝突、利害の相違は、常にある。避けようがない。その両者を結びつけてきた池田会長の勇気と先見の行動に、今こそ学ぶべきだ』このように語っていた。
 原田 そういう先見の指導者が今の日本にいなくなっているからだ」
 だいたい中国政府は、日本の人民大衆に対して侵略戦争の歴史を謝罪しろとは求めていない。その対象はあくまでも日本政府である。ところが創価学会は、先述のような日本の立場を主張することはせず、必要以上の謝罪をひたすら繰り返しているのである。
 そうした創価学会そして池田氏が、中国にとって都合の良い人物であることは間違いなかろう。だが、その存在が真に「両国に橋を架ける存在」になりうるかどうかは疑わしい。そもそも「池田会長の先見性」なるものが、極めていいかげんなものであることは、中国の文化大革命に対する池田氏の姿勢に象徴的に示されている。
 すでに本誌の平成14年10月1日号の特集記事「中国に迎合・礼賛し売名行為に利用した池田大作氏の恪゚掾vでも触れたことだが、昭和49年5月の第1次訪中後に、池田氏は中国の文化大革命を礼賛する『中国における人間革命』を出版した。しかし同年12月の第2次訪中時にトウ小平副首相は、池田氏の文革礼賛をたしなめた。だが、その際、池田氏はトウ小平副首相の忠告に逆らい開き直ったことを、翌50年の3月6日に聖教新聞社で会見したアドブル・ホセイン・ハムザービイ駐日イラン大使に対して次のように自慢している。
 「私は昨年、中国のトウ小平副首相と会った。この時、第一次の10日間の訪中を本にしたことが話題になったんです。それで、本の内容は、少し、ほめすぎではないかとトウ小平はいった。私はこたえた。これは50年先の本質をみている。その視点から書いたと。子供を見て、その子供が50年先にどうなるか、この本質を見抜かないと大変なことになる。私は私なりに、そうした本質の上に立って、必ずそうなってもらいたいという期待を込め、私は私の責任のもとで、信念に基づいて書いた。論じたものであって、閣下は何もいう必要はないと申し上げた」
 ところが池田氏は今日では、読売新聞社から出版した『私の世界交遊録」』(平成8年刊)の中で、「文化大革命。『十年の内乱』と呼ばれる狂気の時代に触れるのは、あまりに痛ましい」「文革という『大ペテン劇』がなぜ起こったのか」などと否定的記述を行っている。いったいどこに「50年先の本質」を見ていたというのだろうか。
 そもそも中国を礼賛し、迎合する池田氏だが、本当に中国を尊敬しているかといえば疑問符がつく。というのも昭和52年1月11日に聖教新聞社で行われたJ・D・ホッドソン駐日アメリカ大使との会見の際、ホッドソン大使に中国首脳に対する評価を質された際、池田氏はこんな発言を行っているからである。
 「大使 ところで会長が中国に行かれて、トップの指導者と会われた。中国の指導者をどう評価しているか。
 会長 周恩来は近代という視点から考えるならば、どちらかといえば過去の人です。しかし、人間的には知的、円満、熟知の人ということができるでしょう。しかし、知的だが行動的ではない。周恩来の大きなポイントは、天は二物を与えずで、結局、周恩来は、側近から後継者を育てなかったところが唯一の欠点といえる。毛沢東は、教育者ではあったが、国際経済というものをくわしく知らなかった」
 現在、創価学会は、全国各地で周恩来展を開催し、周恩来首相と池田氏との関係をアピールし、池田氏が日中友好を促進したと誇示しているが、周恩来・毛沢東の中国建国の指導者を見下したような発言からは、中国に対する池田氏の本音が透けて見える。
 では、池田氏の本音とはなにか。それを窺わせる2つの発言を紹介しよう。まずは昭和51年6月28日に、創価大学施設・万葉の家で行われた松下電器産業の創業者である松下幸之助氏との会談での発言。
 「(上海京劇団の歓迎集会に5万人の男女青年部が集ったという話から)
 共産主義は制度である。したがって制度的にいくら締めつけていっても人間の生命に沈殿しているものまで否定できない。
 したがって、いま中国は宗教を否定しているけれど、中国の民衆の生命の中に沈殿しているものは必ず芽を吹き出す。
 したがって将来(中国で)学会員が何百万人にもなると見越している。そのためにいま、手を打っている」
 そしてもう1つは、平成2年4月29日に行われた創価学会の東京記念総会での池田氏の発言。
 「私は正しいことを一生懸命やっているのに、日本中でこんなに迫害を受けている人は誰もいない。でも世界が証明してくれた。私は日本の勲章などもらわなくてもよいのだ。今度は北京で、これまで日本人が誰ももらっていない教育貢献賞をもらう。勲章なんか眼中にないが、皆が喜んでくれるだろうと思って受ける。日本人は嫉妬深く、人間の思いがわからない。二百年遅れている後進国だよ」
 ここには勢力拡大と礼賛という、池田氏ならびに創価学会にとっての自己利益が露骨なまでに示されている。悪化する日中関係を改善するためには、対等な関係に立った上での両国間での冷静かつ真摯な話し合いが必要だが、自己利益のために動く創価学会の言動が、日中友好にプラスなのかマイナスなのか、それは自ずから明らかだろう。

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』(かもがわ出版)など。

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