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特集/政治劣化を助長する創価勢力の原罪

 

創価・公明の加速度的レゾンデートル崩壊示唆した3つの指標

乙骨正生

ジャーナリスト

 

森友問題・共謀罪そして核兵器禁止条約

 会則改変による本尊・教義の変更や、イラク特措法・特定秘密保護法・集団的自衛権行使容認・安保法制への賛成などなど、自公連立政権参画に伴う政治的スタンスの激変は、創価学会の宗教的・社会的レゾンデートル(存在理由)の崩壊を示唆していると、筆者は本誌で指摘してきたが、昨今、話題の国民注視の3つの問題が、その崩壊の度合いがさらに加速度的に進んでいることを示す指標となっている。

 3つの指標とは、いまや国民の一大関心事となった森友問題と共謀罪(テロ等準備罪)、そして法的拘束力をもつ国連の核兵器禁止条約決議ならびに会議への日本政府の反対と不参加表明に対する公明党そして創価学会の対応である。以下、それぞれの指標についての創価学会・公明党の対応を簡単に検証してみよう。まずは森友問題から。

 国民の財産である国有地を、教育勅語を園児に暗誦させる教育を施してきた森友学園にタダ同然で払い下げるという不透明かつ不自然な問題に端を発した森友問題は、3月23日、森友学園の籠池泰典理事長(当時)の国会証人喚問へと発展した。証人喚問に至る過程で、国会や大阪府議会では連日のように森友問題が取り上げられたが、公明党は森友問題に関する質問を行うどころか、自民党と一体になって籠池氏の参考人招致に反対。籠池氏が安倍首相夫妻からの寄付に言及するや、一転して首相への侮辱だとして、籠池氏を国会に証人喚問したが、野党が国有地の廉価での払い下げや異例続きの小学校認可問題、さらには首相夫妻や政治家の関与、行政当局の忖度(そんたく)を追及する中で、公明党は自民党と一体となって、安倍政権へのダメージを抑えるために、籠池氏の証言の信用性・信憑性に疑問を投げかける質問に終始した。

 創価学会もそうした公明党の姿勢を是認しているのだろう。証人喚問翌日の3月24日付「聖教新聞」は、「『森友』問題で籠池氏喚問 『訴追の恐れ』証言拒否 衆参予算委 公明・竹谷、富田両氏が追及」との見出しで、公明党議員の質問に特化した報道を行い、籠池証言の信憑性に疑問を投げかけている。例えば注目の安倍昭恵夫人からの寄付金100万円の有無については次のようにある。

「参院予算委で竹谷参院議員は、籠池氏が首相夫人から封筒に入った100万円の寄付を受け取ったとしたことについて、寄付金が入っていた封筒を残しているかと聞き、籠池氏は『残っていない』と答えた。竹谷参院議員は、『封筒も残していない。お礼状も出していない。私には100万円の寄付がなかったのではないかと思えてならない』と指摘した」

 本誌読者には周知のことかもしれないが、創価学会が政界に進出したのは昭和30年のこと。同年4月の統一地方選挙で東京都議会や東京特別区(23区)、横浜市議会など複数の地方議会に議席を獲得したのだが、その際、創価学会が政界進出の旗印として掲げたスローガンは、「公明選挙」「政界浄化」だった。翌317月の参院選で国会に議席を獲得した創価学会は、池田大作会長(当時)の提唱で、3611月に公明政治連盟を、3911月に公明党を結党したが、その綱領には「腐敗政治と断固戦い、公明なる議会制民主主義の確立」とあり、結党宣言でも「政界浄化」を掲げていた。

 

国有地不正追及は「公明党の独壇場」

 しかも結党50年を記念して公明党が出版した『大衆とともに――公明党50年の歩み』(公明党史編纂委員会 平成26年刊行)によれば、そもそも「公明」なる名称は、戸田城聖創価学会二代会長が、創価学会が参院に初めて議席を獲得した直後に、「学会の選挙運動は『公明選挙』だ。宴会政治のような、腐敗した政治を正すのが使命だからだ」と述べ、政治団体を作る場合には「公明」の名を冠するよう提案していたことを踏まえた池田会長の、「政治団体としての名称は『公明政治連盟』としてはどうだろうか」との提唱に基づいて名付けられたという。

 一連の事実は、「政界浄化」と「腐敗した政治を正す」ことが、宗教団体である創価学会の政界進出と、公明党という宗教政党結成の重要な動機と目的だったことを示している。

 それだけに公明党は、結党当初から「清潔の党」を自らのキャッチ・フレーズとし、国会ならびに地方議会で腐敗政治すなわち汚職や疑獄、政官業の癒着やもたれ合いの追及に力を入れた。前出の『大衆とともに――公明党50年の歩み』では、そうした公明党の“活躍”を、「『政界浄化の公明党』の真価発揮――国、地方で金権腐敗政治の一掃に総力」との見出しでアピール。「●“公明党の独壇場”参院決算委での追及」「●共和製糖事件追及。黒い霧解散の引き金に」「●都議会リコール解散主導。議長選汚職で」「●都議会公明党が『宴会政治追放』の口火切る」「●法案審議で“与野党ヤミ取引?”疑惑糾す」「●追及した不正浪費額・国の予算の12%分」などの“実績”をあげたと誇示している。

 このうち「公明党の独壇場」だったという参院決算委員会の追及とは、国有地などの払い下げをめぐる不正の追及。そこには公明党の活躍によって次のような不正や疑惑が暴かれたと書かれている。

「公明党が第3党になった参院では、特に決算委員会を舞台とした国有財産払い下げをめぐる不正追及は、“公明党の独壇場”といわれた。旧虎ノ門公園払い下げにからむ不正転売、旧陸軍経理学校跡地の不正転貸し、旧高輪御用邸跡の国有地払い下げに絡む疑惑、日本住宅公団が行った大阪・光明池の用地買収をめぐる疑惑・・・など次々糾弾し、そこに政治家や利権屋が暗躍している実態を浮き彫りにした」

 国有財産の払い下げをめぐる不正の追及で「独壇場」とまで言わしめた公明党と、今日、国有地の払い下げに端を発した森友問題で、沈黙するどころか疑惑に蓋をしようとする公明党の態度はまるで似て非なるもの。

 宗教的倫理観に基づく「政界浄化」を旗印に、政界に進出した創価学会と公明党の、宗教的・社会的レゾンデートルが崩壊していることは明らかだろう。

 

創価学会弾圧の根拠は「治安維持法」

 同様に共謀罪に公明党が賛成し、創価学会がこれを是認していることも、創価学会・公明党の宗教的・社会的レゾンデートルの崩壊を示唆している。

 創価学会の前身である創価教育学会は、戦前、治安維持法違反と神宮大麻に対する不敬罪で摘発され、牧口常三郎会長・戸田城外(後に城聖)理事長以下の幹部21人が検挙され、牧口会長は獄死、組織は壊滅した。

 こうした歴史的経緯から、創価学会ならびに池田名誉会長は、自らの平和活動や人権闘争の原点は戦前の軍国主義政府との闘争にあると強調。創価学会弾圧の根拠となった治安維持法を「稀代の悪法」と批判してきた。例えばブラジル文学アカデミーのアタイデ総裁との対談集『二十一世紀の人権を語る』において池田氏は、「日本では、一九二五年、普通選挙法が成立した時、稀代の悪法である治安維持法が同時に成立しました。青年男子の参政権が認められた一方、表現・結社の自由、ついには思想・信条の自由さえ制限されることになってしまい、その結果、国家総動員法にいたる軍国主義日本への道となったのです」と、治安維持法を「稀代の悪法」と表現した上で、「私ども創価学会が第二次世界大戦当時に軍事政府から受けた迫害は、先ほど申し上げた『治安維持法』という思想統制の悪法にもとづいたものでした」と発言している。

 国民の強い反対によって過去3度にわたって廃案となった共謀罪については、「原則として結果犯を処罰するという我が国の刑事法の基本原則や法体系に反し、人権保障機能を危うくする」(新たな共謀罪法案の国会上程に反対する東京弁護士会会長声明・2017/1/11)ことや、「結社の自由、表現の自由はもとより、思想信条の自由という内心の自由をも侵害」(同)するおそれがあることから、日本弁護士連合会会長をはじめ、東京・大阪・愛知など全国各地の弁護士会会長が、相次いで反対声明を発表。今年2月には葛野尋之一橋大学教授、高山佳奈子京都大学教授らを呼びかけ人とする刑法学者137人も反対声明を出すなど、法律専門家を含む国民各層からの強い反対の声があがっている。

 だが公明党は、安保関連法制を「平和安全法制」と言い換えて成立を図ったように、共謀罪に関しても、676あった共謀罪政府原案の犯罪対象を277に絞り込んだと喧伝。「共謀罪は、国民を弾圧するための法律などではなく、組織犯罪集団の犯行から国民の権利を守るための法律」(漆原良夫公明党法務部会長)などと主張。安倍自民党ともに、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催のために共謀罪の成立は必要と強調している。そして創価学会ならびに池田氏もまた共謀罪に反対することはなく、共謀罪の成立を急ぐ自民・公明両党を批判することもない。

 創価教育学会を壊滅させ、初代会長を獄死させる根拠となった「稀代の悪法」の再来を黙認する創価学会と公明党の姿勢は、宗教団体としての自己否定にほかならず、「内心の自由」を侵害・抑圧する可能性のある共謀罪の導入に道を開くことは、宗教団体の存立基盤である「信教の自由」や「思想・信条の自由」を放擲する自殺行為ですらある。

 

核兵器禁止条約反対に沈黙

 そして法的拘束力をもつ核兵器禁止条約交渉に関する国連決議に日本政府が反対し、いままた交渉会議に不参加を表明したことを政権与党公明党が是認し、創価学会が抗議も批判もしていない事実も、創価学会・公明党の宗教的・社会的レゾンデートルの崩壊を物語っている。

 今年1月の「SGIの日」記念提言で池田氏は核兵器禁止条約に言及、交渉会議直前の3月1日には英字紙への寄稿文で、日本が核兵器禁止条約会議でイニシアチブを取ることを提唱しているが、日本政府が核兵器禁止条約交渉決議に反対したことや、交渉会議に不参加を表明したことを批判することはない。池田氏はつねづね、生命尊厳という宗教的理念と宗教的使命感に基づいての発言とする戸田二代会長の「原水爆禁止宣言」を、創価学会ならびに自らの平和運動の原点であると強調し、声高に核兵器の廃絶を訴えてきた経緯がある。

 そうした事実に基づくならば、アメリカ従属という政治的思惑から核兵器禁止条約に反対する日本政府を厳しく批判すべきは当然であり、自らが創立した公明党に政府と厳しく対峙し、もし聞き入れないならば連立離脱をも考慮すべきが至当のはず。だが共謀罪同様、核兵器禁止条約への反対・不参加にも池田氏ならび創価学会は沈黙を守り、唯々諾々と連立を維持する道を歩んでいる。

 こうした創価学会の現状を矢野絢也元公明党委員長は、著書『黒い手帖』に「私の見る限り、学会は明らかに宗教法人の枠組みを外れ、反社会的な集団への道を辿っている。このまま、進路を修正せずに進んでいけば、行き着く先は『忘』ではないか」と書いているが、それが単なる宗教団体の「忘」だけですむなら問題はない。というのも創価学会が首相官邸と直接、政治的パイプを結んでいること、さらには公明党を通じて日本の政界全体に少なからぬ影響力をもっている事実に鑑みる時、それは宗教団体だけの「忘」にとどまらず、日本社会全体の「忘」に繋がりかねない。その意味で3つの指標は、創価学会の崩壊と同時に、日本社会全体の危機を浮き彫りにしたともいえよう。

 

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』『司法に断罪された創価学会』(かもがわ出版)など。

 

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