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特集/伏魔殿東京を支えた公明党&創価学会

“伏魔殿”を破壊したとPRする創価・公明“伏魔殿”の罪深さ

乙骨正生

ジャーナリスト

都政の「ムダ」を撤廃??

「都議会公明党は、63(昭和38)年4月の統一地方選で改選前の3議席から一挙に17議席へと大躍進。議会での発言の機会と場を確保したことを機に、“伏魔殿”と呼ばれていた都政の大掃除に取り組んだ」

 これは、一昨年に結党50年を迎えた公明党の歴史を編纂した『大衆とともに──公明党50年の歩み』(公明党機関紙委員会)の一節。以下、都議会公明党は、「伏魔殿」東京都政を浄化するために、「●都議会リコール解散主導。議長選汚職で」「●都議会公明党が『宴会政治追放』の口火切る」「●身を挺し摘発の“隅田川し尿不法投棄”」などを通じて、議会や行政の不正や腐敗を追及してきたと強調。「伏魔殿」を浄化したのは公明党だとアピールしている。

 公明党の組織母体である創価学会も、東京都議会議員選挙のたびにここに書かれた公明党の実績をアピールしている。たとえば池田大作名誉会長が大衆の前に姿を見せなくなった平成22年の前年、平成21年7月の都議選を前にした「聖教新聞」掲載の「新時代を勝ち進め」と題する座談会記事には、「元副知事も公明党の都政改革を賞讚 “腐敗を一掃し東京都を改善”」(7月6日付)との大見出しで、公明党の実績をこう綴っている。

杉本(婦人部長)公明党は、首都・東京においても、ずっと『都政改革』を推進してきましたね。

 原田(会長)公明は、昭和38年4月の都議選で17人が当選。本格的に都政に進出した。だが、当時の都議会は『宴会政治』『金権汚職』が横行。『伏魔殿』と呼ばれるほど腐りきっていた。

 正木(理事長)この腐敗政治を一掃したのが、都議会公明だ。昭和40年、リコール運動を起こして、都議会を解散に追い込んだ。そして行われた『出直し選挙』で、公明党は『都政の刷新』を叫び、23議席に躍進。都民の期待に応えて、都政改革を断行したんだ。

 金沢(総東京長)元副知事の青山佾氏も高く評価しておられた(月刊誌『潮』7月号)。『公明党は創立当初から、「伏魔殿」を破壊し、改革を担ってほしいと都民に期待されていた。そして実際に、公明党は具体的な政策を提案し、東京都を全国に先駆けて改善してきた』と賞賛しておられた」

 同様に創価学会は、都政の「特権」と「ムダ」を改善してきたのも公明党だとアピールする。そのさわりを、都議選の告示を翌日にした同年7月2日付「聖教新聞」掲載の座談会記事から紹介しよう。

津田(総東京婦人部長)何といっても都議会公明党には『庶民の党』だからこそ実現できた、幾多の実績があります。都政の『特権』と『ムダ』を撤廃した『都政改革』も有名です。

 棚野(男子部長)まず、都の職員を削減した。(注・1978年当時223千人だった都職員を2009年時点で16万5千人まで削減したとする)―中略―

 正木 それにまた、公明党は『天下りの温床』と批判されてきた、都の外郭団体(監理団体)にも鋭いメスを入れた。1993年当時は『72』あった団体を、半分以下の『33』に削減。さらに役員の『報酬カット』『退職金廃止』も断行した。―中略―

 原田 『庶民の目線』に立って、粘り強く行政改革を実行する。まさに公明党の真骨頂だ。堂々たる実績じゃないか。都民は皆、拍手、喝采だよ」

 昭和40年代の議長選の汚職をめぐるリコールの主導や、宴会政治批判をもって「腐敗政治を一掃した」するとともに、人件費や天下り先を縮小することで、「都政の『特権』と『ムダ』を撤廃した『都政改革』」を推し進めてきたのは公明党と強調する創価学会。だが、小池百合子知事の登場によってあらためて焦点があたった築地市場の豊洲移転問題ひとつみても、都政の「特権」や「ムダ」は排除されておらず、政官業癒着の「伏魔殿」としかいいようがない腐敗した利権の構図が温存されていることは明白。

 だいたい築地市場の汚染地・豊洲への移転を決めたのをはじめ、都民の税金をドブに捨てることとなった新銀行東京問題、新銀行東京問題での司直の追及をかわすためとしか思えない2016年オリンピック誘致計画、尖閣買収問題、福祉切り捨て、繰り返された大名外遊、身内への利益供与、週2日しか登庁しない問題などなど、都政を混乱・紊乱させただけで知事職を放り出して国政に逃亡した石原慎太郎知事を、自民党とともに強力に支えたのは公明党である。

 さらには金絡みの不正や公私混同問題などで知事を辞職せざるをえなくなった猪瀬直樹、舛添要一両知事を自民党とともに支援して当選させたのも公明党であることは記憶の新しいところ。

 その意味では、都議会公明党が「腐敗政治を一掃」したとか、「都政の『特権』や『ムダ』を撤廃」したなどとはとうていいえず、むしろ「伏魔殿」を下支えする存在だったことは、明らか。そのことは築地市場の豊洲移転問題や新銀行東京問題をめぐる都議会公明党の政治姿勢からも読み取れる。

豊洲移転推進を自慢する公明党

 まずは築地市場の豊洲移転だが、都議会の会議録を参照すれば、共産党や生活者ネットなどが、食の安全の観点から、築地市場の豊洲移転に強く反対するなかで、公明党は一貫して豊洲移転を後押ししていたことがわかる。そうした公明党の政治姿勢を自認しているのが平成25年6月7日付「公明新聞」掲載の、「進む 中央卸売市場の豊洲移転」と題する記事である。

「東京の食を支える築地市場(中央区)の移転事業が進んでいる。2015年度には築地の多彩な役割を継承した新市場が豊洲(江東区)に完成予定だ。期待される豊洲市場の機能を解説する」との書き出しで始まる記事で、「都議会公明党が着実に事業推進」との小見出しをつけ、公明党が豊洲移転を積極的に進めてきたことをアピールしている。

「都議会公明党は豊洲への市場移転について、さまざまな角度から検証を重ねてきた。その上で、移転を求める声を都に伝えるなど着実に事業を推進してきた。

 建設予定地から検出された汚染物質問題では、無害化に向けて都が主体的に取り組むよう強く主張。汚染土壌の処理状況を入念に視察、進行具合を確認し、市場関係者や都民の懸念を一つ一つ取り除いてきた。この結果、開場に向けた汚染物質の除去作業は確実に前進、『人が一生涯この土地に住み続けても健康に影響が生じることがない』」(豊洲新市場ガイドブック)までになった」

 記事では、築地市場の危険性を強調する一方で、豊洲市場には民営の「千客万来施設」も設けられることから、大きなビジネスチャンスが生まれるとしている。しかし安全性を担保するための盛土がなされていなかったばかりか、地下空間が秘密裏に作られ、あまつさえ東京都が実施した地下水のモニタリング調査の結果、検出されてはならないはずのヒ素やベンゼンが検出された事実が明らかになった今日、この記事がいかに噴飯ものであるかは明々白々。仮に本当に「汚染土壌の処理状況を入念に視察、進行具合を確認し、市場関係者や都民の懸念を一つ一つ取り除いてきた」というのであれば、公明党の目は節穴だったという以外ない。

 汚染土壌である東京ガス工場の跡地を破格の高値で購入、しかも購入後に汚染が確認された場合は東京ガスに土壌汚染浄化の責任を負わせることが可能となる瑕疵担保責任まで放棄して購入。結果的に東京都に800億円もの土壌汚染対策を負わせることとなった豊洲移転。施設建設についての談合疑惑も指摘されるなどいわくつきの豊洲移転に一貫して賛成したばかりか、「都議会公明党が着実に事業推進」というのだから、開いた口がふさがらない。いったいこのどこが都政の「特権」と「ムダ」を排除したというのか。

口利き三昧の公明党議員

 こうした「伏魔殿」を破壊するどころか下支えする公明党の実態は、大失敗だった新銀行東京問題でも確認することが可能だ。石原知事のトップダウンで平成16年に設立された新銀行東京。都はこれに1000億円を出資したが、ずさんな融資や経営によって平成20年3月期決算で累積損失が1016億円に膨らみ、事実上破綻状態となったことから、都は損失を帳消しにするために855億円を棄損。その上で同年に400億円の追加支援を行ったが、結局、新銀行東京は、東京TYフィナンシャルグループと経営統合して整理縮小されることとなった。都は統合による株式交換で400億円の回収を見込んでいるが楽観はできない。結局、1000億円規模の損失を生み出すこととなった新銀行東京だが、その設立のための出資や追加支援など、一連の措置に賛成し後押しを続けたのが公明党だった。

 それもむべなるかな。新銀行東京に関しては、石原知事の長男である石原伸晃代議士の秘書をはじめとする国会議員や都議らの口利きの事実が明らかとなっているが、その多くを公明党議員や関係者が占めているからだ。同問題を追及した「週刊朝日」(平成20年9月12日増大号)の「公明党の『口利き案件』」と題する特集記事にはこうある。

「(新銀行東京の)内部データによれば、600件超ある“口利き”案件のうち、公明党関係者による件数は200件を超えている。実に3件に1件の割合なのだ」

 しかも「読売新聞」(同年9月4日付)によれば、公明党の現職都議と元都議が平成17年から18年にかけて破綻寸前の中小企業を新銀行東京に紹介して融資を受けさせ、その見返りとして政治資金などの報酬を受け取っていたという。2つの企業は融資を受けたあと事実上破綻し回収ができなくなったが、この破綻企業とは、聖教新聞販売店であるとも伝えられる。

「週刊朝日」が報じた公明党議員口利きリストには、閣僚経験のある公明党の現職国会議員から都議、元都議さらには公明党政調など、35人と1団体が口利きに関与していることが記載されており、中には「二十件以上」も口利きを行っている“猛者”までいる。

 当初から批判が強く、失敗が懸念されていた新銀行東京の設立と開業を積極的に支援したばかりか、口利きまで行っていた公明党。これでは公明党は「伏魔殿」を破壊どころか、「伏魔殿」の一角を構成していると批判されてもやむを得まい。

都議選必勝を決意表明

 もっともこうした公明党の負の側面を創価学会が批判することはない。「伏魔殿」や「特権」「ムダ」は今日的課題であるにもかかわらず、公明党そして創価学会は使い古しの証文のように、50年も前の「リコール主導」や「宴会政治批判」をもって、「伏魔殿」を破壊し、都政の「ムダ」を排除したのは公明党などと主張し、創価学会員を欺罔して来夏の都議選に突き進もうとしている。

 公明党は9月17日に全国大会を開催。山口那津男代表を無投票で5選したが、その山口代表は挨拶の中で、「公明党は連立与党として安倍内閣をしっかり支え、安倍政権の下、国内外に山積する課題解決に結束して立ち向かってまいります」と、「安倍政権をしっかり支え」ると公言するとともに、来夏に予定されている東京都議選に言及し、「党の総力を挙げて」必勝を目指すと次のように決意発表している。

「来年夏には最大の統一外地方選である東京都議選が行われます。2020年のオリンピック・パラリンピック開催を控え、課題山積の都政にあって、都議会公明党が都政の刷新・前進の要とならなければなりません。党の総力を挙げて、首都決戦の全員当選を勝ち取ってまいりましょう。年明けからは北九州市議選をはじめ大型の統一外地方選も相次ぎます。連続勝利で都議選を迎えていきたい。(中略)さあ、皆さん! 一人一人が獅子奮迅の力を奮い起こし、団結も固く、次の『勝利の峰』を共々に登攀しようではありませんか! 私自身、その先駆けとなって闘います。決意も新たに、圧倒的な勝利の歴史を築こうではありませんか! 皆さん、闘いましょう!」(「公明新聞」9月18日付)

 党大会後の9月28日、都内で講演した山口代表は、来年1月の通常国会冒頭の衆院解散説について、「ここから先は任期中、いつあってもおかしくない」「拒否するわけにはいかない。いつやるかは首相の判断次第」「常在戦場だと言っている」と発言。地元・山口でのロシアのプーチン大統領との会談後に解散を模索しているとされる安倍晋三首相の判断を尊重し、いつでも解散総選挙に応じるとの姿勢を示した。

 来夏に予定されている東京都議選、そしてその前に実施される可能性が高い衆院総選挙において創価学会・公明党は、「立正安国」を旗印にした熾烈な政教一致選挙を繰り広げることは間違いない。そしてその際、創価学会は、あたかも公明党が「伏魔殿」を破壊する都政の改革者であるかのごときプロパガンダを繰り返すだろう。──なんと罪深き創価・公明の“伏魔殿”。

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』『司法に断罪された創価学会』(かもがわ出版)など。

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