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特集/舛添問題&参院選=創価学会の責任と罪過

「参院」と「都知事」の時間差ダブル選で蠢く「公明党=創価学会」を斬る

古川利明

ジャーナリスト

連綿と続く都知事・都議の役得システム

 ゴールデンウィーク直前の4月27日発売の週刊文春(5月5・12日合併号)が、東京都知事・舛添要一の「公用車で湯河原の別荘通い」をスッパ抜いたことをきっかけに、公私混同を極めた舛添の「政治とカネ」の問題が次々と噴出したことで、舛添はギブアップし、都議会最終日の6月15日に辞職願を提出するに至った(辞職は同月21日付)。これにより、6月22日公示、7月10日投票の参院選に続く形で、7月14日告示、同31日投票の都知事選と、政局は「時間差ダブル選」へと突入することになった。

 この舛添と同様、「政治とカネ」の問題で辞職に追い込まれた前任者の猪瀬直樹もそうだが、そもそも擁立に動いたのは自公であり、2代続けて途中辞任を引き起こしたことに対する“製造者責任”が、安倍自民党とともに、公明党(=創価学会)にあるのは言うまでもない。

 ただ、今度の政治とカネにまつわる話は、舛添個人の責任もさることながら、「都知事であることの役得」という利権に(まみ)れた、「システム」というべきものが存在している。舛添は2年4ヵ月の知事在職中、都合9回の海外出張をし、随行の職員の分も含めて総額が2億4719万円にも達し、航空機はファーストクラス、宿泊先のホテルは豪華スイートルームであることに批判が集中していたが、こんなことは、前からそうだったのである。今から20年近く前だが、筆者が東京新聞のTOKYO発の記者だったとき、当時の都知事・青島幸男が、就任直後の都市博中止のお詫び行脚で宿泊したパリの最高級ホテル「クリヨン」の1泊約20万円のスイートルームを、パリ市を通じて契約することで3分の1まで値下げしてもらい、それで3泊分約40万円の裏金を捻出していたことを摑み、原稿にしたものの、そのカネで同僚の社会部の都庁担当記者が青島と一緒にセーヌ川のボートの上で飲食接待を受けていたため、ボツになったことがあった(もっとも、このネタは筆者が東京新聞退職後、フライデーの9711月7日号で記事化している)。

 ところが、こうした役得については、舛添を追及していた都議会も、じつは「同じ穴のムジナ」で、折しも、6月22日付の朝日と産経の朝刊が、この8月にリオで開催される夏季五輪に、都議会から4回に分け、共産と生活ネットを除く各7人ずつ計28人の都議を、大挙して「現地視察団」として送り込む計画があることを報じている。当初は計6200万円で見込んでいたものの、需要増による現地ホテル代の高騰や円高で、予算オーバーは避けられず、このままだと「1億円前後に達する可能性もある」というのである(ところが、この2日後に突如、視察中止を決定)。要は、こうした都議会の海外への“大名観光ツアー”も、20年前と全く変わっておらず、当時、東京新聞で筆者がこれを徹底的に暴いたことに神経を尖らせ、最も露骨に嫌な顔をしていたのが、じつは「都議会公明党」だった。その控え室に足を踏み入れると、中にいた議員の一人に「余計なことを書いてるのは、オマエか」という表情で、「何も言うことはない」とばかりに追い払われたのが、今でも忘れられない。

2つの悪法が治安立法のキモ

 今度の参院選では、民進、共産、生活、社民の野党は一致結束し、「戦争法制」としての安保関連法の廃止を訴えている。しかし、戦争の遂行にあたっては、何よりもまず、「国民監視」を徹底させることで、「物言えば唇寒し」という状況を作り出すことである。それゆえ、「世紀の悪法」である特定秘密保護法に加えて、「希代の悪法」である盗聴捜査の実質全面解禁に等しい、通信傍受法の改正案がこの通常国会で、共産、社民を除く与野党の賛成で成立させられた。もし、「本当に戦争を起こさない」のであれば、治安立法のキモにあるこの2つの悪法を廃止させないとだが、どこも言及していない。

 折しも、NSA(国家安全保障局)の上級サイバー工作員として、NSAのシステムを管理する権限を持たされることで、米国の最高機密の情報にアクセスできていたエドワード・スノーデンが、サンデー毎日(6月12日号)のインタビューで「NSAには100人前後の法律家がおり、各国の法律を調べ上げることで、NSAがどの程度までその国で諜報活動が許されるのかを分析している」としたうえで、「ちゃんとした秘密保護法を作らないことには、我々が獲得した機密情報を教えることはできない」と日本に伝えていた実態を暴露している。NSAについては、スノーデンの告発で、インターネット、メール、電話といった全世界の通信情報を無差別に収集していたことが明るみにされているが、要するに、最高刑・懲役10年を科せる特定秘密保護法も、盗聴捜査の実質全面解禁を実現させる通信傍受法改正と合わせて、「NSAが日本国内での盗聴活動をしやすくするために、実現に向けて圧力をかけた」とスノーデンは暗にほのめかしているのである。

 なお、筆者は、複数の内部関係者から「警察と自衛隊は、裁判所の令状に基づかない非合法盗聴を日常的に行っている」との証言を得ている。具体的にどこのセクションで、どのような方法で行われているかまでは詰めきれていないが、推測するに、専用のソフトウェア開発や機器の提供という形で、極秘に通信事業者に協力を求めているのではないかと思われる。今回の通信傍受法改正では、通信事業者の立会いを廃止し、警察の施設内で専用の端末を使って盗聴できるように変えているのだが、じつは現場では実態はずっと先行しており、おそらく、このような「後付け」の形で法律に書き込むことで、オモテに出してきた可能性を最も強く疑っている。

創価学会のカネと組織悪を監視せよ

 そこで、参院選公示前に発売された週刊ダイヤモンド(6月25日号)が、創価学会を総力取材した特集で、じつに興味深い記事を載せている。創価学会の保有する資産の総額について、全国にある主な会館施設はもとより、外郭である学校法人の創価大学や創価学園をはじめ、シナノ企画や日本図書輸送といった関連会社も含め、登記簿、官報、企業興信所の資料をかき集め、はじき出したところ、算出件数約830件で、総額で何と約1兆8387億円と推計されると明かしている。

 ただ、創価学会の資産は、ここでまだオモテに出ていない、会員からの御布施である財務に収益事業からのアガリと合わせて、年間4000億~4500億円、少なく見積もっても2000億円は下らないとみられている「カネの入り」がある。これらは任意団体である「SGI(創価学会インタナショナル)」の名義に変えられるなどして、株式や転換社債や国債、MMFといった投資にも回され、莫大な運用益を出している。さらには、そのもっと奥に潜り込ませる形で「池田大作名義の資産」もあり、これらもトータルしたら、総資産額は数兆円に上ることが見込まれるのではないだろうか。それで言うと、一説として巷間で取り沙汰されている「創価学会の総資産額は10兆円」というのも、あながち誇大だとは言い切れないところがある。

 週刊ダイヤモンドの特集では、これら「創価学会とカネ」の記事と合わせ一本で、「『創価王国』 内部崩壊への序章」のタイトルで、元学会本部職員の小平秀一ら3人が、折伏や選挙の集票で苛烈な成果主義に組織が走っている実態を公然と批判する一方で、「創価大学有志の会」を立ち上げた創価大OBの竹原弘樹が、安保関連法制廃止の署名を約2千筆も集めたことを紹介している。

 愛知県安城市で創価学会の副支部長を務めながらも、同様に安保法制廃止を訴えている天野達志もそうだが、彼らに共通しているのは、例えば「極悪に対して黙っていたら、こちらまで悪になってしまう」をはじめとする、「池田大作の言っていること」を、愚直に実行に移したがゆえに、組織に反旗を翻すことになった点である。その意味では「宗教者としての池田大作」を、そのまま素直に信じ込んでいる純粋さが決起の原点としてあり、余計なことかもしれないが、「そこ」に学会中枢も頭を抱え込んで、対応に苦慮しているであろうことが窺える。

 いずれにせよ、参院選の結果がどうあれ、「カルト」、すなわち、「宗教の仮面をかぶった全体主義結社」である創価学会が完全にコントロールする公明党が、わが国の政権中枢に強い影響力を行使する状況に、当面、変化はないので、我々心あるジャーナリズムは、この「公明党=創価学会」の動向を今後も厳しく監視していく必要がある。(文中・敬称略)

古川利明(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『デジタル・ヘル サイバー化監視社会の闇』『日本の裏金(上、下)』『ウラ金 権力の味』『「自民党“公明派”」10年の功罪』『「自民党“公明派”」15年目の大罪』(いずれも第三書館刊)など著書多数。

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