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信者の元夫が勝訴! 統一教会(家庭連合)の組織的不法行為を司法が認定

鈴木エイト

ジャーナリスト

教団の不法行為関与を認める画期的判決

 113日、献金収奪を巡る民事訴訟に於いて、統一教会(家庭連合)の組織的不法行為を認定する画期的な判決が出された。

 統一教会の現役女性信者の元夫である60代の都内在住会社員の男性が「自分名義の預金約8千万円を当時婚姻関係にあった妻が無断で引き出し教団に献金していたのは教団の意を受けた幹部信者の指示によるものだ」として、統一教会本部に対し約1億円の損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁の阪本勝裁判長は宗教法人・世界基督教統一神霊協会(統一教会/世界平和統一家庭連合/家庭連合)による組織的な不法行為があったと認定した。裁判長は元妻の一連の行ないについて「教団の働きかけによるものであり組織的活動として、夫に隠して献金をさせていた。教団は元夫の意思に反する献金だと認識していて、組織的な違法行為だ」と指摘、同教団に対し3430万円を支払うよう命じた。

 原告の元妻である現役の統一教会信者は、原告と1980年に婚姻した後、1984年に統一教会に入信。夫に入信の事実を告げぬまま1984年から2009年に掛けて管理を任されていた原告の預金口座から無断で現金を引き出し、総額約8千万円を同教団や関連信者組織である紫微斗推命に納めていた。この元妻は、累計で数千万単位の献金を納めた信者に教団から与えられる母国平和公臣賞を受賞している。本殿聖地献金や祝福感謝献金、先祖解怨献金などの名目で続けられた献金は、2009年、預金口座の“異変”に気付いた原告が妻を問い詰めた際、初めて発覚した。夫婦はその後2011年に離婚が成立。元夫は2014年、統一教会に対し前記損害賠償を求める民事訴訟を提起した。裁判の過程で教団サイドは「献金は個々の信者の問題であり、呼びかけることは問題ない」「口座から引き出されたお金は嗜好品の購入などにも使われていた。全てが献金されたという主張は臆測に過ぎない」などと抗弁していた。

 しかしながら裁判長は、別の元信者の証言などを根拠に「教団は組織的活動として信者の財産状態を把握した上で、自分の収入がない既婚女性に『献金で夫を救うのが使命』として、夫の財産を夫に内緒で献金させるように指示していた」と教団の組織的不法行為を認定した。尚、今回の判決では、紫微斗推命への拠出額約3千万円は被害算定額から差し引かれている。

 これまでの統一教会を相手取った損害賠償訴訟は、脱会した元信者が教団を提訴するケースが殆どだった。脱会後の元信者が原告として自身の被った損害を立証する過程に較べ、現役信者は教団にとって都合の悪い“事実”を隠匿する傾向があるため、親族による訴訟は立証のハードルが高くなる。

霊感商法対策弁連の弁護士が語る判決の意義

 原告代理人の山口広弁護士(全国霊感商法対策弁護士連絡会事務局長)は判決の意義をこう語っている。

「今回の様に家族が脱会していない場合は献金を取り戻そうとしても本人の協力は望めない。献金した人が依然として信者のままという場合は、教団を庇うためその立証がより困難になる。現役信者の親族らによる請求が認められた初の勝訴例であり、同種被害の救済に繋がる画期的な判決だ。東京地裁は教団が組織的に違法な献金をさせていたと認めており、今後の被害回復に道が開けた。判決では生活費や養育費などの支出を差し引いて被害額を算出しているが、生活費を毎月50万円と計上するなど、教団に渡った金額を低く見積もり過ぎている」

養子縁組で詐取した遺産を献金

 以前にも、統一教会への献金被害を信者の親族が訴えた事例がある。

 統一教会信者が孤独な資産家老婦人を籠絡して養子縁組を結び数億円を遺産相続した案件では、遺族が養子縁組無効を訴えたが、裁判所は訴えを却下している。この事件を始め全国で暗躍しているのが篤志家と呼ばれるお金持ちを狙った統一教会の女性グループだ。このグループのターゲットは、各地域で1人暮らし且つ親族が身近にいない資産家のお年寄りだ。偶然を装って近付き、徐々に信頼を得て家屋に出入りするようになると、親類縁者との関係を断つように仕向け、最終的には養子縁組にまで持ち込むのである。これらは全て綿密な作戦を練って行なわれる。

 その他にも、オレオレ詐欺で実親を騙して得たお金を献金した信者が内部集会で賞賛されるなど統一教会内で横行する献金集めの手口には反社会的側面が見受けられる。

信者は金集めの道具

 筆者は昨年、統一教会の沖縄中部教域長が信者に対して献金の集め方を指示した文書を入手した。2005年年頭に担当教域内で約13千万円を集金する目標を立てた当該教域長は「期間目標全家庭300K(献金)勝利」と信者の各家庭に300万円献金するよう命じ「具体的対象者」として各担当者(信者)にそれぞれ「夫名義のものから/目標1200」「軍用地売却/目標450」「遺産相続/目標3000」「両親からの借り入れ/目標300」「定期解約/目標300」「氏族借入/目標280」「夫復帰/目標230」「担保借入/目標300」などと指示していた。この様な手口が全国で組織的に行なわれていたことが判る。

各地で“事件”が発生

 統一教会が信者に課す献金強要は各地で様々な軋轢を起こしている。

 2013年には献金返還交渉のもつれから、韓国の教団聖地で女性信者が男性幹部にシンナーを掛け自身にも火を放つという道連れ心中事件が発生した他、中国地方では亡くなった親戚の遺産を相続人でない信者が詐取し献金するという事例も起こった。

 最近では広島で昨年暮れ、認知症の高齢者の銀行キャッシュカードを使って10回に分けATMで50万円ずつお金を引き出したとして呉教会が呉警察の捜査を受けた。この事態に慌てたのが教団本部だ。統一教会は昨年8月、教団名を世界基督教統一神霊協会から世界平和統一家庭連合(家庭連合)に変更したが、その際、徳野英治会長が献金や勧誘活動について教団側の使用者責任を認定した判決が相次いだことを受けて「今後もこのような問題を問われることのないよう、日本社会と国家からより信頼を受けることが出来るように、宗教法人として適正な管理運営に努めて参ります」との声明を出していたからだ。組織ぐるみの不法行為の発覚は教団の存続を危うくする。昨年の文化庁による同教団の名称変更認証に関しては、所轄官庁のトップである当時の文科大臣・下村博文の口利きがあったのではとの疑惑を本誌でも伝えた。トップダウンの認証指示に文化庁宗務課は名称変更認証の際、同教団首脳に対し、一連の不法行為が行なわれないよう旧名の法人名である「世界基督教統一神霊協会」を1年間は併記するよう指示したとされる。これは文化庁が教団に対し、不法行為の蔓延防止のために釘を刺したとも取れる。にも関わらず不法行為が継続していると文化庁が認識した場合、宗教法人格の剥奪という事態も起こり得る。そのため教団は「信者の自主的活動で信者が勝手にやったこと」と責任逃れを続けているのだ。

同種訴訟は増加傾向に

 2007年から2010年に掛けて全国の統一教会系販社が相次いで特商法違反容疑により摘発された。それ以降、教団は表向き霊感商法を自粛したが韓国の教祖一族からの集金指令に報いるため、内側の信者に対する献金強要が一段と烈しくなった。

 桜田淳子が参加して世間を騒がせた1992年の合同結婚式以降、教団は伝道のターゲットを青年から壮婦にシフトした。これはそれまで主だった青年伝道により人材を揃えた教団が、手っ取り早く資金を得るために採った方策であり、全国弁連によると、この時期に勧誘された壮婦を妻に持つ団塊の世代の男性による同種の相談が頻発しているという。今後も献金収奪を巡る訴訟は増加傾向にあり、刑事事件の発生も危惧されている。           (文中・敬称略)

鈴木エイト(すずき・えいと)ジャーナリスト。ニュースブログ「やや日刊カルト新聞」主筆。2002年から街頭でカルト団体の勧誘阻止パトロール活動を行っている。

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