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信濃町探偵団

信濃町探偵団・拡大版──創価学会最新動向

9月1日、創価学会が教団の最高規範・最高法規として「会憲」を制定した。平成22年5月以来、大衆の前に姿を見せない池田大作名誉会長の健康状態の悪化を背景に、ポスト池田体制の確立に腐心してきた創価学会。今回の「会憲」制定は、平成25年以来、本尊・教義を変更するなどしてきた一連の作業が最終段階に入ったことを示唆している。
というのも「会憲」の肝は、会長権限の強化と創価学会総本部の中央集権体制の確立にあったからだ。「生き仏」の消滅に備えて組織そのものを仏とする「創価学会仏」なる概念を提示した創価学会は、その組織の要である会長権限と、中央集権体制を強化することで、カリスマの喪失に備え延命を図ろうとしている。
そして「創価学会仏」の正当性や、本尊・教義・会則・機構の改革など一連の措置の正当性、さらには集団的自衛権の行使容認から安保法制、共謀罪などの安倍自公政権が推進してきた政治決定を支持ないしは是認してきた政治選択の正当性を強調するためには、来る衆院総選挙になにがなんでも勝たなくてはならない。9月17日に緊急の方面長会を開き、衆院の冒頭解散・総選挙に備えて選挙態勢に入ることを確認した創価学会は、以後、「圧倒的なスピードと勢い」(原田稔会長)で選挙闘争を展開している。
本誌では、選挙の勝利を宗教的勝利・宗教的正当性の根拠と位置づけて選挙活動・政治活動を展開し、国・地方を問わず日本の政治に多大な悪影響を及ぼしている創価学会の実態を追及し続けてきた。そこで今号の「信濃町探偵団」は拡大版として、「会憲」を制定した創価学会が、組織の維持と延命を目的に、7月実施の東京都議選に続いて、政権選択選挙である衆議院総選挙に突き進んでいる実態を、機関紙報道を通じて検証してみたい。まずは「会憲」制定の目的と狙いから。

●「会憲」で会長権限を強化
・9月2日付「聖教新聞」「万代に崩れぬ世界広布の基盤」「『創価学会会憲』を制定=総務会で可決、SGI常任理事会・理事会で承認=世界教団としての体制を確立」
「第73回総務会が1日午後2時から、東京・信濃町の広宣会館で(学会本部別館内)で開かれた。席上、原田会長から、『創価学会会憲』の制定について提案があり、全員の賛同で可決した。
創価学会は世界に広がる世界教団であり、『創価学会会憲』は創価学会の最高法規として、全世界の創価学会の団体と会員に適用される。会憲は、前文と15条の本文からなっている。前文の内容は、『三代会長』の広宣流布における偉大な事績を通して、世界に広がる創価学会の不変の規範として、『三代会長』の指導及び精神を永遠に創価学会の根幹とすることを確認し、創価学会の宗教的独自性を明確にするものとなっている。本文には、創価学会の名称、教義、目的、三代会長、広宣流布大誓堂、名誉会長、会長など創価学会の根幹をなす、世界共通の事項とともに、世界教団の運営に関する事項や、会憲が根本規範・最高法規であること等が明記されている。
なお同日午後3時からSGI常任理事会並びに理事会が、広宣流布大誓堂内の三代会長記念会議場で開かれ、『創価学会会憲』が参加者の全会一致で承認された」

※「世界教団」としての「宗教的独自性」を明確にしたとする創価学会の「会憲」の制定について、原田会長は9月1日の全国総県長会議の席上、「池田先生にご報告申し上げ、ご了解をいただき」と、まずは「会憲」の制定は池田氏の了解の下、実施したものであることを強調。同時に、「会憲」制定にいたる本尊・教義等の一連の変更もまた、「池田先生のご指導のもと」進めたとアピール。その上で、「創価学会が、未来と世界に向かって、さらなる発展を遂げるためには、三代会長のご指導・ご精神を根幹に、それを正しく継承し、発展させていくことが不可欠」「私たちは、どこまでも広宣流布の永遠の師匠である池田先生のご指導を根本に、世界の同志との異体同心の団結をもって、広宣流布を断行していきたい」と、創価学会は池田氏の指導を根幹に進んでいくことを繰り返し強調した。
執拗なまでの池田準拠発言の背景には、創価学会の執行部に対する、幹部・活動家らの根強い不信感がある。
それだけに今回の「会憲」報道でも、会長権限の強化について「聖教新聞」は一行も報じておらず、そもそも「会憲」の条文自体も、「聖教新聞」には掲載せず、「※会憲は創価学会公式ホームページ『SOKAnet』で閲覧できる」としている。
「会憲」の前文は、昨年、変更した「会則」の前文と同一であり、基本的には看板の架け替えにすぎないのだが、会長権限の強化と総本部への中央集権化だけは周到に図られている。特に、会長権限の強化は大幅で、「会則」では創価学会を「統理する」だけだったものが、「会憲」では「指導し、統理する」と、実務的権限に加え指導権まで付与している。
さらに指導権と密接に関連する「師範会議および最高指導会議に諮問」して行うこととなっていた教義および化儀についての裁定権も、「会長は、この会の教義および化儀を裁定する」とフリーハンドとなった。
この条文に基づけば、今後、会長は独自の判断で本尊・教義を自由に裁定することが可能となる。だが、執行部に不信感を抱く会員の目を意識してか、「聖教新聞」は、こうした会長権限の強化には触れず、ひたすら池田氏に拝跪・準拠するかのような体裁をとっている。
今年7月の東京都議会議員選挙を、創価学会は、自らの「永遠性を確立」し、「立正安国の大連帯」を築く師匠・池田先生の「総仕上げの戦い」と位置付け、熾烈な選挙闘争を繰り広げた。本誌は、そこには「創価学会仏」をはじめとする一連の「会則」変更や、自公政権支持の政治決定の正当化を都議選の勝利で図ろうとの狙いがあると指摘したが、その目論見は、都議会自民党と手を切り小池百合子都知事と連携した公明候補23人が全員当選したことで、いちおう成功したといえよう。
だが今度は衆院総選挙。衆院選は、政権選択選挙であり、ダイレクトに自公政権を支持してきたことの責任が問われる。しかも「会憲」制定後、初の国政選挙として、正当性の成否を占うものとなるだけに、創価学会にとって負けることは許されない選挙となる。その意味で、臨時国会の冒頭に、所信表明もしないで解散するという安倍首相の保身と延命を狙った、モリ・カケ隠しのご都合主義的で手前勝手な解散総選挙は、選挙に保身をかける創価学会執行部と魚心・水心の解散総選挙でもあるのだ。例年、「会則」の変更は創立月の11月に行っていたにもかかわらず、「会憲」制定を9月に実施したのは、解散総選挙で折り合いがついていた結果とみて差し支えあるまい。それだけに創価学会は、「圧倒的なスピードと勢い」を合言葉に、全組織あげての熾烈な選挙闘争に突入している。以下、そうした実態を概観してみよう。

●解散総選挙――「立正安国の大闘争」と扇動する創価学会
・9月20日付「聖教新聞」「『11・18』へ本陣から広布の夜明けを」「東京 北 足立 豊島板橋など躍進の大会」
「さあ11・18『創価学会創立記念日』へ、本陣・東京から新しき広布の夜明けを!『異体同心なれば万事を成じ』との御聖訓通り、信心の団結で大躍を期す大会が19日、東京各地で開かれた。北総区の地区部長会は北平和会館で。藤村副会長の後、笠原総区長、細野同婦人部長は“大東京の凱歌の北極星”として、広布拡大の先陣をと力説した。金澤総東京長は、師と心一つに、われら北区の手で栄光の暁鐘を打ち鳴らそうと訴えた。
足立総区の支部長・婦人部長会は足立池田記念講堂で盛大に。上田総区総主事らのあいさつの後、竹内総区長、佐渡同婦人部長が、10・25『足立広布 師弟原点の日』へ快進撃をと強く訴えた。池田主任副会長は広布拡大の勢いを一段と加速させ、威風堂々の前進をと激励した」
※北・足立・豊島・板橋は、太田昭宏前公明党代表が、東京で唯一、小選挙区で立候補する東京12区の地域組織。全国に先駆けて出陣式を行ったことがわかる。
9月22日付「聖教新聞」「正義の神奈川よ勇み立て」「横浜 保土ヶ谷 旭で誓いの大会」
「正義の波動は、常に神奈川の天地から!『声仏事を為す』の大確信を胸に、立正安国の歴史的闘争へ勇躍船出する大会が、神奈川の各地で開かれた。横浜・保土ケ谷総区の集いは20日、横浜池田講堂で意気軒昂に。竹本総区長、堀井同婦人部長が、心を一つに合わせた電光石火の快進撃で、栄光の『11・18』を勝ち飾ろうと呼びかけた。
一方、横浜・旭総区の集いは21日、同講堂で勢いよく。(中略)永石婦人部長、池田主任副会長が出席した。永石婦人部長は、『今日も必ず勝つ!』という朝の祈りを根本に、大きく仏縁を広げる一日一日をと強調。池田主任副会長は、創価のスクラムこそ民衆の幸福を実現する源泉であると述べ、異体同心の団結で勇気の対話に挑み抜き、師弟勝利の暁鐘を高らかに打ち鳴らそうと語った」
「池田先生ご夫妻神奈川文化会館へ 全同志の幸福を祈念し勤行」
「池田先生ご夫妻は21日午前、横浜市中区の神奈川文化会館を訪問。(中略)記念展示室の仏間で厳粛に勤行・唱題を行い、神奈川をはじめ、全国・全世界の同志の健康と幸福と勝利を深く祈念した」
・9月23日付「聖教新聞」「随筆 永遠なれ 創価の大城 池田大作」「自信満々と学べ語れ!太陽の哲理を」「立正安国へ立つ」
「この二十一日、私は妻と共に、三年ぶりに神奈川文化会館を訪問した。(中略)『正義』の神奈川は、まさしく大聖人が『立正安国』の大闘争を起こされた天地に他ならない。『立正安国論』には、『言わずんばある可からず』とある。一宗一派のためではない。民衆の幸福と安穏のため、『今、真実を語らずして、いつ叫ぶのか!』との炎の仰せであられる。(中略)『立正安国論』の結論の段には『汝早く信仰の寸心を改めて速に実乗の一善に帰せよ、然れば即ち三界は皆仏国なり』と呼び掛けられている。『決意』は即『行動』である。立つべき時に立つ!時を逃さずに戦う!電光石火の共戦こそ、創価の師弟の心であり、楽土を築きゆく地涌の闘争なることを忘れまい。(中略)
広宣流布、立正安国の大闘争は、そのまま一人ひとりが宿命転換を加速し一生成仏の大境涯を開く戦いに他ならない。(中略)私たちは第一に、勤行・唱題の『誓願の祈り』の呼吸を深く合わせた。第二に、どこまでも『御書根本』の『法華経の兵法』で、智慧と勇気を湧き出して戦った。第三に、『異体同心の団結』をがっちりと固めながら前進した。(中略)創価の『一善』の陣列に恐れるものはない。我ら『行学の闘士』は、正義の勝利の太陽を、断固と勝ち昇らせようではないか」
※横浜市の保土ケ谷区と旭区も、神奈川で公明党候補が唯一小選挙区に立つ神奈川6区の地元組織。この神奈川には池田名誉会長夫妻もわざわざ足を運び、その内容を「立正安国の大闘争」に結びつけて「聖教新聞」に発表。選挙闘争の功徳・利益を強調するとともに、勝利の要諦をアピールし、選挙闘争の士気を鼓舞している。以下、池田氏に名を借りた檄文が続く。
・9月24日付「聖教新聞」「池田大作先生 四季の励まし」「今こそ『黄金の自分史を綴ろう』
「『いざ』という時が大事だ。その時にはじめて人間の真価が分かる。意気地なしであってはならない。圧迫が強ければ強いほど、朗らかに、堂々と正義を語り抜く――これが学会精神である。日々、前進だ!日々、決戦だ!日々、勝利だ!広宣流布に生き抜く我らに停滞はない。前進してやまぬ生命それ自体が常に勝利者である。時を逃すな!スピードが力だ。勢いで決まる」
・同「わが友に贈る」「私たち一人一人が 平和創造の主体者だ! 立正安国の大精神は 創価の連帯に脈々 誇り高く進みゆこう!」
・同「破竹の勢いで前進!総神奈川が原田会長と支部長会」
「さあ『立正安国』即『世界平和』の歴史的闘争がスタート!栄光の大海原へ船出する総神奈川の支部長会が23日、横浜市鶴見区の神奈川池田記念講堂で勢いよく開かれた」
・9月26日付「聖教新聞」「立正安国の大闘争を 意気高く各部代表者会」
「世界広布新時代第47回の各部代表者会が25日、東京・信濃町の広宣会館(学会本部別館内)で行われた。『9月25日』は、日蓮大聖人が弘安5年、御一代の総仕上げに池上宗仲邸で『立正安国論』を講義されたと伝えられる日である。また、昭和18年、権力の魔性によって投獄されていた牧口先生が警視庁から巣鴨の東京拘置所に移送され、戸田先生と今生の最後の対面をした日でもある。
原田会長は、日蓮大聖人の仏勅、さらに三代会長の悲願を受け継ぐ立正安国の大闘争を勝ち抜く拡大の要諦は、『誓願の祈り』『法華経の兵法』『異体同心の団結』であると強調。今という時を逃さず、電光石火の行動で目の前の一人と信頼を結び、折伏精神みなぎる声を勇気凛々と響かせて、圧倒的拡大で栄光の『11・18』を荘厳しようと呼び掛けた」

※選挙闘争を「三代会長の悲願を受け継ぐ立正安国の大闘争」と位置付け、先の随筆での池田氏の勝利の「要諦」なるものを披露する原田会長。政教一体の実態を彷彿とさせる記事だ。
・同「総本部で中央社会協議会」「衆院選比例区公明党の支持を決定」
「創価学会の『中央社会協議会(議長=原田光治主任副会長)』が25日、信濃町の学会本部別館で開催された。(中略)協議会では、①『大衆とともに』との立党精神を貫き、『軽減税率の導入』や『教育負担の軽減』をはじめ、生活者の視点に立った政策実現へ真摯に取り組んでいる②政治を安定させる連立与党の要であり、『景気経済の再生』や『激変する安全保障環境への対応』など日本が直面する諸課題を打開するために欠かせない存在である③国政を担うにふさわしい、見識と人格を兼ね備えた実力ある人材を公認候補として擁立する――などの党の基本姿勢と行動を評価した」
・同「寸鉄」「北海道・大空知総県、留萌創価県が乾坤一擲の闘争 開拓魂燃やして勝ち進め」
・9月27日付「聖教新聞」「『常勝の空』明年40周年 関西魂よ燃え上がれ」「西大阪 新大阪 常勝大阪 堺が誓願の集い」
「西大阪総県の大会は、西成文化会館で。吉田総県長、田中同婦人部長が『「負けたらあかん!」と祈り抜き、常勝の源流の地に圧倒的な拡大を』と語った。堺総県の大会では北吉総県長、中川同婦人部長が『獅子王の心で学会の正義を一人また一人へと語り、広布の布陣を磐石に』と訴えた。
いずれの会合も原田会長、高柳婦人部総合長、山内関西長、伊藤女子部長が出席した」
・同「寸鉄」「神奈川の保土ヶ谷・旭よ時は今。正義の声強く!勢いとスピードで勝利を」
※冒頭解散を前に大阪の小選挙区に公明党候補が立つ地域組織には、原田会長・谷川主任副会長が足を運び檄を飛ばした。また小選挙区候補の立つ北海道にも「寸鉄」で言及。さらには同じく小選挙区候補が2人立つ兵庫でも大会を開催した。
・9月28日付「聖教新聞」「世界の兵庫に勝鬨を!」「10・15『県の日』へ躍進の集い 原田会長が激励」
「10・15『兵庫の日』記念の総兵庫代表幹部会が27日、兵庫池田文化会館で行われた。(中略)谷川主任副会長、高柳婦人部総合長に続き、原田会長は『堂々と正義を語る勇気』『圧倒的なスピードと勢い』『たゆまぬ行動と前進』を強調しつつ、新たな広布史を断じて勝ち開こうと呼び掛けた」
・同「寸鉄」「東京の北・足立・豊島・板橋が一気呵成に拡大!獅子となって走り凱旋を」
・9月29日付「聖教新聞」「東京凱歌へ勇気の前進」「原田会長と共に北総区の友が集い」
・同「寸鉄」「大阪の大正・住之江・住吉・西成よ頑張れ!常勝の源流の誇り胸に勝ち捲れ」「大関西の電源地、堺市の堺・東・北区が大攻勢!民衆勝利の銅鑼を鳴らせ」
・9月30日付「聖教新聞」「御書と歩む84 池田先生が贈る指針」
「同志への指針 大聖人の『立正安国』の大闘争から七百五十余年。一切衆生の幸福と平和という大願を受け継いで、今、世界中で地涌の友が立ち上がっている。一閻浮提広宣流布の『天の時』が来た。乱世を照らす立正安国の哲学を、人類が渇仰している。我らは一歩も退かない。一人一人と確信の対話を広げ、民衆の笑顔が光る生命尊厳の社会を築きゆこう!」
※「三代会長悲願の立正安国の大闘争」という宗教的フレーズで、学会員をマインド・コントロールし、選挙闘争に駆り立てる創価学会は、その一方で、公明党ならびに自公連立政権の政治的成果を強調することも忘れない。9月28日付「聖教新聞」掲載の「大切なのは勢いとスピード 『決意』即『行動』で前進!」と題する座談会記事では、原田会長・長谷川理事長・永石婦人部長らが、「公明党が政治の安定を実現」したとして、①景気を回復させた、②北朝鮮の脅威が高まったことで、安保関連法制(創価学会は「平和安全法制」と呼ぶ)を実現させたことの正当性が証明されたなどと、公明党・自公政権を高く評価している。
当然のことだが、ここでは森友問題や加計問題、PKO日報隠し、核兵器禁止条約への反対、原発再稼働、防衛費増強、改憲などについての言及はいっさいない。
公明党ならびに自民党を支援する選挙闘争を、「立正安国の大闘争」と位置付け、宗教的呪縛で学会員の投票の自由や政党支持の自由を抑圧・阻害するとともに、一方的な政治情報をすり込むことで選挙結果に悪影響を及ぼす創価学会の選挙闘争。
自らの保身と延命のために政治を利用する宗教団体の選挙闘争を許容・是認することは、日本の民主主義・議会政治の危機を招来し増長することにほかならない。<